モガンボ

1953年 アメリカ

キャスト:クラーク・ゲーブル(ビクター)エヴァ・ガードナー(ケリー)グレイス・ケリー(リンダ)ドナルド・シンデン(ドナルド)フィリップ・ステイントン(ブラウン)エリック・ボールマン(ボルチャク)

監督:ジョン・フォード

ビクターは相棒のブラウンと助手のボルチャクとともにアフリカで猛獣を捕獲し、それを動物園やサーカスに売って生計を立てている男であった。ビクターは自分の留守中に見知らぬ女が自分の風呂を使っているのを見て驚く。「あんた、誰?」「お前こそ誰だ」「名前はケリー。バニーに連絡して」「誰だ、そいつは」「インドの王様よ。私の話は?」「すると王様が会いにここに」「ニューヨークからね。はるばる来たのに迎えにも出ない」「王様なら一週間前に帰った」「まさか」

「本国で謀反騒ぎがあったらしい。サファリを中止して帰った」「私のことは言ってなかった?」「何も」「最低の男ね。私をこんな汚い所に残して」「粗末でもここは私の家だ。ここは仕事の場だ。邪魔しないでくれ」「そう怒鳴らないで。かよわいダンサーが大都会から暗黒大陸に来たのよ」「噛みつく元気があったら服を着たまえ。部屋に案内する」「ここを出るすべはないの?」「来週の船を待つんだな」「それまでここに釘付け」「そうだ」「楽しい一週間になりそうね」

あの王様の忘れ物はなかなか生きがいいなとビクターに言うブラウン。「プレイガールさ。ナイトクラブを振り出しに世界を飛び回る。真面目な気質など無縁だ」来週、ノードリー夫妻がここに来るとビクターに言うブラウン。「旦那は人類学者でサファリに来る。頭蓋骨で人間の祖先を調べる」科学者に会ってみたいと言うケリーにその暇はないと言うビクター。「帰りの船の乗ってもらう」「厄介払いね」

動物集めって変わった商売ねとビクターに言うケリー。「男には楽しいかも」「儲かればだ」「カンガルーはいないの」「あれはオーストラリアだ」そこに大蛇が現れ、ビクターにしがみつくケリー。「何とかして」「こいつはジョーだ。移動式のネズミとり。ネズミを退治してくれる。実は女を腕に飛びこませるために飼っている」ケリーにキスをするビクター。「あきれた。変種のアフリカ暴走族だわ」「一週間のつきあいだ」

船が到着してブラウンに別れを告げるケリー。「お世話になったわ」「こんないい人を。もったいない」「いいの。所詮彼の足手まといよ」「森を見て木が見えないこともある」「今に妙な木にぶつかって鼻を潰すわ。彼のことを頼むわ」ケリーにもっといてほしかったと言うビクター。「そんなことないわ。潮時よ」「一週間楽しかった。手紙をくれ」船から降りる夫のドナルドと妻のリンダ。代わりに動物たちと船に乗り込むケリー。

ここは予想外にいいところねと言うリンダに、あなたは予想外に美しいと言うビクター。実はゴリラの生態を観察したいとビクターに言うドナルド。「録音機も持ってきました」「そんな面倒な旅は組めません。知っていたら断った」「なぜです」「ゴリラは接触が難しい。10か月待っても会えないことがある。私も忙しいし」「お金は払います」「約束は守ってもらう。助手のボルチャクに行ってもらう」「契約はあなたと交わしたはずだが」「いえ。私の会社とです」

ドナルドはツェツェ蠅の予防接種の注射のために高熱を出して寝込んでしまう。パニックになるリンダに、すぐ熱は下がるから心配するなと言うビクター。「もっと真面目に看病して」「旦那さんと一緒に寝ましょうか」冗談言わないでと頬を殴るリンダに、毛布をかけて汗を出させれば全快すると言うビクター。やがてドナルドの症状は落ち着き、ビクターに謝罪するリンダ。「つい取り乱してしまって」「初めてのアフリカなら仕方ない」

ケリーが船が難破したと言って戻ってくる。動物は無事かと聞くビクターに、みんな無事だと答える船長。「船はいつ動く?」「代わりのエンジンが届き次第。4週間ってとこかな」君のいた部屋はあの夫婦が使ってるとケリーに言うビクター。「ボルチャクを移すから彼の部屋に」「学者夫妻ね。学者にしては初々しい感じ」「お手柔らかに頼むぞ。夫人はどうやら温室育ちらしい」

リンダに挨拶するケリー。「御主人の具合は?」「だいぶよくなったわ。ここにはサファリに?」「友達のインドの王様を尋ねてきたの。なのにすっぽかし」「ひどい話ね」「女の一人旅の話はショックかしら」「別に。主人が具合がよくなったのでちょっと歩いてきます」

リンダと話をしたとビクターに言うケリー。「彼女は美人ね」「ああ美人だ。どんな話をした」「さしさわりのない話よ。夫人は散歩に行ったわ」「黙って出したのか。なぜ止めない。夫人は公園にでもいるつもりだ」ビクターは黒豹に襲われそうになるリンダを助ける。「私って馬鹿な女ね」「そんなことはない」リンダを抱きかかえて戻ってくるビクターを見つめるケリー。

すっかり回復したドナルドにゴリラの生息地に案内しようと言うビクター。「本当ですか」「サーカスに子供2頭いい値で頼まれている。もう何年もいってないし、たまには気分転換もいい」「感激です」ケリーにキナまで一緒にくればいいと言うブラウン。「ここは動物の係だけ残して、6週間閉める。キナまで行けば、後は行政官が送ってくれる。10日後は飛行機でカイロだ」「早いほど結構だわ」

ゴリラの生息地に向かって出発する一同。ずっとケリーがあてこすりを言うとビクターに訴えるリンダ。「どうしてかしら」「なに。どうせキナで別れる」「でもなぜ」「君を抱いている私を見た」「あれは仕方なかったんです」「でも私は忘れられない」「それで道案内する気になったのね」いい旅になりそうだとリンダに言うドナルド。「ビクターは男性的魅力がある」「そうね」「君に先に出会ってよかった」

リンダにやたら噛みついて悪かったと詫びるケリー。「ビクターとのことは知ってる。女は敏感ですもの」「悪いけど荷造りするから」「頭を冷やして。あなたには素晴らしい御主人がいるのよ」「エラそうに忠告しないで。私よりちょっぴり彼と親密だったから」「そんなにのぼせないで」「あなたこそ妬いてるくせに」「彼は白馬の騎士じゃない。獲物を狙う狼よ」「出て行って」

一同はキナに到着するが行政官は象の密猟者に襲われていた。ゴリラの生息地まで同行することになるケリー。フラミンゴの大群を見て感激するリンダにキスをするビクター。ゴリラと遭遇し、声を録音し姿を撮影して喜ぶドナルド。明日は子供を捕まえると言うビクターに今夜は生息地でキャンプしたいと言うドナルド。「別にいいが、ここは奥さんにはきついぞ」「リンダにはキャンプ地に戻ってもらう」「わかった。ここにはブラウンとボルチャクを残す」

キャンプ地で抱き合うビクターとリンダ。「彼に悪いわ」「それは私もだ。彼にはっきり言うことだ」「できないわ」「明日は君はここに残るんだ」月夜の散歩はどうだったとビクターに聞くケリー。「とてもよかった」「よく言うわ。私の知ったことじゃないけど」「……」「あなたは本気なのね」「……」「どういう結末になるか知らないけど、あなたの幸せを祈ってるわ」

ゴリラの捕獲を見物する気かとドナルドに聞くビクター。「勿論です」「危険だぞ。子供を捕えようとすれば雄は網に飛びかかる」「気を付けよう」「ドナルド。話がある」「ビクター。あなたには感謝してる。何もかも申し分なし。私には一生の思い出になる。ただ一つ残念なのは妻のことだ」「と言うと」「今日もここに来ようともしない。私がフィールド調査に夢中になるのが妻のためにはなってない。私のために楽しんでるふりをしてる。最近、妙にいらだったりして彼女らしくない。結婚記念日まで忘れている。普通は夫が忘れるのに」「……」

「これからは家庭第一。子供を作りますよ」「……」「あなたと知りあえてよかった。お互い対照的。あなたは汗水たらして全てをつかむ人だ。私はお金の苦労がない」「……」「私だけでなくあなたの話も伺っておきたいな」「ゴリラが出て来たぞ。仕事開始だ」しかしドナルドがゴリラに脅えて大声を出したため、ビクターはドナルドを襲うゴリラをやむなく射殺する。「あなたは命の恩人だ」「全て計算のうちだ。子供は逃げた。生け捕れたのに」「すいません」「何も言うな」

ボルチャクになぜビクターは私に黙ってキャンプ地に戻ったのだろうと聞くドナルド。「私に怒ったのかな」「俺があんたならいい加減ピンと来るがね」「なんのことだ」「あんた、あんな美人の奥さんがいてちっと鈍くないかね」ゴリラはどうしたのと聞くケリーに全部ぶちこわしだと答えるビクター。「明日撤収だ。最低の気分だ」「ドナルドに話せなかったの?立派だわ」「腰抜けだ」「彼女にはどう伝えるの?」「何か考える」「今夜は飲みましょう」「ケリー。君はいい女だよ。乾杯だ」

酒を飲むビクターとケリー。そこに現れるリンダ。「リンダ。来いよ」「……」「何をびっくりしてる。ケリーと私の仲は知ってただろう。旧交を温めているんだ」「酔っぱらってるのね」「酔っぱらってるが気は確かだ。サファリとはこんなものだ。女はハンターによろめく。つけこんで悪いか。ははは」

錯乱したリンダはビクターを撃つ。ビクターの右腕をかすめる銃弾。リンダにどうしたと聞くドナルド。いいところに来たとドナルドに言うケリー。「この女たらしが奥さんを追いまわしたの。私が駆け付けた時に奥さんはたまらず銃を。身を守るためよ」「リンダ、よくやった。私が撃ちたかった」ドナルドの傷の手当をするケリー。「なかなかの名演技だったな」「何がアフリカよ。何がライオンよ。ライオンは図書館の前の像だけでたくさん」

翌日撤収するカヌーに乗り込むドナルドとリンダ。君も行くのかとブラウンに聞かれ、ええと答えるケリー。私は当分ここに残り子供ゴリラを捕まえるとケリーに言うビクター。「君もどうだ」「お断り。もみくちゃにされるのはもうたくさん」「結婚しないか」「お断り。羽を伸ばせる所に戻るわ」しかしカヌーが出発すると、ケリーはすぐに降りて、ビクターに抱きつくのであった。

★ロロモ映画評

ビクター(クラーク・ゲーブル)はアフリカで猛獣を捕獲し、それを動物園やサーカスに売って生計を立てている男であった。ビクターは自分の留守中に見知らぬ女が自分の風呂を使っているのを見て驚く。「あんた、誰?」「お前こそ誰だ」「名前はケリー。バニーに連絡して」「誰だ、そいつは」「インドの王様よ。私の話は?」「すると王様が会いにここに」「ニューヨークからね。はるばる来たのに迎えにも出ない」「王様なら一週間前に帰った」「ここを出るすべはないの?」「来週の船を待つんだな」「それまでここに釘付け」「そうだ」「楽しい一週間になりそうね」

一週間が過ぎて船が到着しケリー(エヴァ・ガードナー)にもっといてほしかったと言うビクター。「そんなことないわ。潮時よ」「一週間楽しかった。手紙をくれ」船から降りる人類学者のドナルドと妻のリンダ(グレース・ケリー)。代わりに動物たちと船に乗り込むケリー。ドナルドはツェツェ蠅の予防接種の注射のために高熱を出して寝込んでしまう。

パニックになるリンダに、すぐ熱は下がるから心配するなと言うビクター。「もっと真面目に看病して」「旦那さんと一緒に寝ましょうか」冗談言わないでと頬を殴るリンダに、毛布をかけて汗を出させれば全快すると言うビクター。やがてドナルドの症状は落ち着き、ビクターに謝罪するリンダ。「つい取り乱してしまって」「初めてのアフリカなら仕方ない」ケリーは船が難破したと言って戻ってくるのであった。

こうしてビクターとケリーとリンダの三角関係がアフリカの熱気の中で形成されて映画は進行していきますが、ロロモはこのエヴァ・ガードナーという女優にあまり魅力を感じないので、この三角関係が美しい正三角形に見えないのが残念で、角度が30度、60度、90度の直角三角形の三角定規で彼女は一番短い辺でありますから、彼女がいくら粋なことを言っても、どうもグッと来ないわけです。

そしてゴリラおたくの夫を持つグレース・ケリーにはあまり不倫のオーラがないので、クラーク・ゲーブルとはキスがせいぜいの火遊び程度に終わると感じさせるので、アフリカの熱気の中で激しく愛が燃え上がるという展開にはならず、主人公のビクターは動物商人と言う設定なのですが、どういう理由でアフリカにいるのが不明で、子供のゴリラを捕まえるのに執念を燃やすという男にどうも感情移入ができないわけです。

この映画でロロモがちょっと驚いたのはエヴァ・ガードナーが「麦畑」を歌うシーンでありまして、ロロモはずっとあれは日本の童謡だと思っていたのですが、元々はスコットランド曲で、原曲は「ライ麦畑で出逢うとき」いう題名で、「誰かと誰かがライ麦畑で出逢うとき、二人はきっとキスをするだろう。何も嘆くことはない。誰でも恋はするものなんだから」という内容の歌で、ライ麦は草丈が大人の背丈ほどあるため、夜でなくても畑の中に紛れ込むと、キス以上のことをしても恥ずかしい思いをすることがないというちょっとエッチな歌だったわけです。

ところがこの歌は1888年に鉄道唱歌で有名な大和田建樹の作詞で「故郷の空」というタイトルで日本に紹介され、最もよく歌われる小学校唱歌の一つになります。大和田の詩は故郷を遠く離れて暮らす人が秋の夕暮れに、今頃ふるさとの両親や兄弟たちはどうしているだろうと物思いにふける内容で、全然原曲と違うのですが、そのノスタルジックな歌詞は教育上よろしいと言うことで、日本人の少年少女に浸透していくわけです。

戦後、この歌を原詩に近い形に改作したのが、詩人の大木惇夫と声楽家の伊藤武雄の作による「誰かが誰かと」。東京芸術大学の教授だった伊藤は外国の歌はもっと原語に忠実に訳すべきという考え方から原詩に近い形に戻したわけです。それが1970年にさらにくだけた形にしたのが、なかにし礼の作詞でドリフターズが歌った「誰かさんと誰かさん」となるわけです。ロロモ世代では「麦畑」というとこのドリフのナンバーを思い出しますが、ずっとこの歌の題名は「麦畑」という題名だと思っていたりしていたわけです。

なおオヨネーズという男女デュオが東北弁のデュエットソング「麦畑」を発表していますが、この曲は1989年12月18日付けチャートでTOP10にランクインすると、7週連続でランクインするヒットとなったそうですが、この曲はイントロに「誰かさんと誰かさん」にメロディが使われているだけで、内容は吉幾造の「おら東京さ行くだ」のようなものらしいのですが、「おら東京さ行くだ」と言えば、ロロモが新入社員の歓迎会でこの歌の広島弁バージョンを熱唱したことが懐かしく思い出されるのでありました。(2014年2月)

得点 47点

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