もう頬づえはつかない

1979年 ATG

キャスト:桃井かおり(まり子)奥田英二(橋本)森本レオ(恒雄)

監督:東陽一

早稲田大学に通うまり子はバイト先で知り合った橋本という学生と同棲するようになる。コンドームをつけてと言うまり子にしぶしぶ同意する橋本。「あの風来坊ともこうしてやっていたんでしょうね」(恒雄。一年間も一緒に暮らしたのに黙って出てしまうなんて。気が付いたら別の男が部屋にいる)

セックスをせがむ橋本にけだるそうに拒否するまり子。「ねえ、ピル飲んでやってみない。近藤さんとは全然違うんだよね」(なんでこの男を部屋に入れたんだろう。惚れてるわけでもないのに)

いきなり薬科大学やめて衝動的すぎるだろうとまり子に言う恒雄。「それは恋したからだわ」「恋をしたらいちいち大学をやめんといかんのか。第一俺は大学をやめろと一言でも言ったか」「じゃあどうしたらいいの。自殺すればいいの」「まり子。君の意見はいつもどうして自殺なの。僕らの意見は同じ四畳半をぐるぐる回ってるんだよ。恥ずかしくないか」掴みかかるまり子にキスをする恒雄。

ピルを飲んで橋本とセックスをするまり子。「試験が終わったら鹿児島に帰ってくるよ」「鹿児島?」「ああ」「県庁のお役人になるの?」「なんだかわかないけどさ。ツテがあってさ」「私、そういうの嫌いだな」「そういうこと言うなよ」

三流雑誌から初めて仕事をもらったとまり子に言う恒雄。「母さんと喧嘩しちゃった」「俺のことでか」「ルポライターなんか信用できないって。薬剤師なるの諦めて、文学部なんか言って何するんだって」「俺も聞きたい」「今度はもう決定的。お金、送んないってさ」「どうしたの。元気がないぞ」

真夜中、まり子の部屋を訪ねる恒雄。「誰が来たの」「恒雄」「恒雄って、あの風来坊か」「……」「まり子、行っちゃうのか」誰か部屋にいるんだろうとまり子に聞く恒雄。「いるわけないじゃない」「いるんだろう」「行こ」

喫茶店で、あなたのアパートに何度も行ったのよと恒雄に言うまり子。「半年も電話しないで」「俺、田舎に帰ることにしたよ」「秋田?」「もういろいろやったけど行き詰ってね。いったん帰って出直す。田舎の出版社が仕事をくれたんだよ」「ふうん、そうなの。それを言いに来たの」「それだけじゃないよ」「私はただ男を待ってるだけの女じゃないからね」「……」

「すぐ行くの」「いや、こっちの取材が残っている。深入りしすぎてね。ちょっと厄介なことになっている」まり子の部屋に行くという恒雄に、男がいるのと答えるまり子。「じゃあ、帰れよ」「帰りたくない」「だって待ってるんだろう」あんたが風来坊かとつきまとう橋本を突き飛ばして姿を消す恒雄。

明後日田舎に帰るとまり子に言う橋本。「就職のこともあるしさ」「そう」「なるべく早く帰るからね」「ゆっくりしてきていいよ」「あの男とはもう会わないでくれよな」恒雄に呼び出され、新宿のホテルで抱かれるまり子。「なんだか前と違うじゃない」「何もかも前と同じってわけにいかないよ。秋田行きの段取りがうまくいかなくてな。気持ちがカサカサしている」「私は恒雄と会って、この男と一生やっていくと思ったのねよ。あたしをさんざん引っ張りまわして、姿を消して、やっと会えたと思ったら、前と同じわけにはいかないよと言われちゃうわけね」

病院に行き妊娠されていることを知らされるまり子は医師に中絶したいと言う。まり子に電話する恒雄。「今どこにいるの。ちょっと会いたいんだけど」「今すぐは無理だよ。ところで頼みがある。30万ほど都合してもらえないかな」「本気で言ってるの」「それがないとどうにもならないんだよ」「あんた自分のことばっかりなのね。私の用事は何だと思ってるの」「あとで聞くよ。とにかく頼む。じゃあな」

鹿児島から戻ってきた橋本は就職が決まりそうだとまり子に言う。「よかったね」「いろいろあったけどさ。俺、まりちゃんを鹿児島に連れて帰るつもりだからね」病院に行き中絶するまり子は、橋本宛てに「もう会いたくありません。理由を聞かないでください。合鍵を置いてってください」と書置きを残して、恒雄と会う。

「どうしたの。いきなり30万なんて。電話で言うんだもん」「できなかったのか」「できるわけないじゃない。第一何の金だかもわからないのに」「追っかけられてるんだ。俺の書いたちょっとヤバい組織のルポのせいで、30万ないと小指落とすと言われてる。だから逃げ回っている」「自分のことばっかしね」

「何だったの。用って」「子供ができたのね」「俺の?」「うん」「だって、お前、あの坊やと。それに今までそんなことなかったじゃない」「信じないならいいけど」「殺してくれ。俺は子供はいらない。一生作る気がない」「だからもう済ましてきたけどね」「そうか」まり子は部屋に戻ると引っ越しの準備をするのであった。

★ロロモ映画評

早稲田大学に通うまり子はバイト先で知り合った橋本という学生と同棲するようになる。コンドームをつけてと言うまり子にしぶしぶ同意する橋本。「あの風来坊ともこうしてやっていたんでしょうね」(恒雄。一年間も一緒に暮らしたのに黙って出てしまうなんて。気が付いたら別の男が部屋にいる)セックスをせがむ橋本にけだるそうに拒否するまり子。「ねえ、ピル飲んでやってみない。近藤さんとは全然違うんだよね」(なんでこの男を部屋に入れたんだろう。惚れてるわけでもないのに)

ピルを飲んで橋本とセックスをするまり子。「試験が終わったら鹿児島に帰ってくるよ」「鹿児島?」「ああ」「県庁のお役人になるの?」「なんだかわかないけどさ。ツテがあってさ」「私、そういうの嫌いだな」「そういうこと言うなよ」真夜中、まり子の部屋を訪ねる恒雄。「誰が来たの」「恒雄」「恒雄って、あの風来坊か」「……」「まり子、行っちゃうのか」

誰か部屋にいるんだろうとまり子に聞く恒雄。「いるわけないじゃない」「いるんだろう」「行こ」喫茶店で、あなたのアパートに何度も行ったのよと恒雄に言うまり子。「半年も電話しないで」「俺、田舎に帰ることにしたよ」「秋田?」「もういろいろやったけど行き詰ってね。いったん帰って出直す。田舎の出版社が仕事をくれたんだよ」「ふうん、そうなの。それを言いに来たの」「それだけじゃないよ」「私はただ男を待ってるだけの女じゃないからね」

この映画は1970年代前半を代表すると言うか象徴する女優である桃井かおりの1979年度作品でありまして、彼女が老けた女子大生にしか見えないのがちょっぴりもの悲しく、アンニュイないい女を演じるなら女子大生という設定が間違っているんじゃないかとヒシヒシと感じられ、結局この映画で一番カッコ良かったのは「もう頬づえはつかない」という意味深そうなタイトルだったのかなとロロモは思うわけです。

ところで、「頬づえをつく人は満たされない毎日を送っている」そうで、社会心理学者である渋谷昌三氏によると、「頬杖をつくことが普段から多い人は、日々の暮らしをつまらないと感じ、満たされない思いを抱いていると考えられます。日本では人前で頬づえをつくのは無作法とされているので、一人でいるときにつく頬づえこそ、まさに素の自分をさらけ出しているといえるでしょう」と分析。人は不安や葛藤を感じたり、緊張したり、不満を感じたりしたときに、手で自分の顔や体や髪の毛に触れることで心を落ち着かせようとし、心理学の世界では「自己親密行動」と呼ぶわけです。

ですから桃井かおりがもう頬づえをつかないと決心することは非常にいいことなのでありますが、こうした何気ない人のしぐさでその人が何を考えているかはだいたいわかってしまうようで、「よく鼻を触る人は嘘をついている」「女性が相手を見つめる場合は、相手に好意を持っている」「髪を引っ張る人は、もっと頑張ろうと思っている」「頬を撫でている人は、緊張を解きほぐしている」「背中を丸めて腕組みしている人は、不安を感じている」「手元にある物を弄んでいる人は、現状に不満を感じている」「ポケットに手をいれる人は、自分は優れていると思っている」「あごをさする人は、自分の立場が上だと思っている」「しているときに目をこする人は、ごまかそうとしている」「眉毛をよくさわる人は、疑ったり、不愉快になっている」「足を組んでいる人は、リラックスしているか、拒絶している」「手を口に持っていく人は、心を落ち着かせている」「独り言が多い人は、精神の安定を図っている」「貧乏揺すりをする人は、ストレスにさらされている」「のんびり話す人は、実はあわてている」「3回以上うなずく人は、話を適当に聞いている」「自分の匂いを嗅ぐ人は、アイデンティティを確かめている」「耳を触る人は、安心感を得たいと思っている」ということのようなので、そういうしぐさをしたりされたりしたら、注意が必要なわけです。

またモテる男のしぐさとして「子供や高齢者や周囲への優しい気遣いをする」「ネクタイを緩めたり、シャツのボタンを外す」「くしゃっとした笑顔を浮かべる」「ゴツイ手で腕まくりする」「瓶の蓋を開ける」「車をバックさせる時、助手席の後ろに手を回す」「食べ物をとり皿に分ける」などがあるそうですが、車の運転のできないロロモは基本的にモテるしぐさができないなとちょっと口惜しい思いをするのでありました。(2014年1月)

得点 22点

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