南極のスコット

1948年 イギリス

キャスト:ジョン・ミルズ(スコット)ハロルド・ウォレンダー(ウィルソン)デレク・ボンド(オーツ)レジナルト・ベックウィズ(バワーズ)ジェームズ・ジャスティス(エバンス)ダイアナ・チャーチル(キャサリーン)

監督:チャールズ・フレンド

何か心配事があるのねとスコットに聞く妻のキャサリーン。「大丈夫だ。大蔵省に金がないだけだ。人はいるが資金はないんだ。民間に募金の協力を頼まねば」「なぜやらないの」「これを遂行すれば、私は海軍の職を失うかもしれない。それで他の仕事を探し、君に不愉快な思いをさせるだろう。それがなければいつでもやるさ」

あなたは私より先に南極大陸を知っていたと言うキャサリーン。「あそこに戻るとわかっていたわ。全然嫉妬しないわよ。実際あそこへ行かないあなたには魅力はないわ。潮が引いた後の朝の散歩、覚えてる?あなたにとっての探検の意味を聞いたわ。砂がまだ濡れていて、初めの足跡をつける魅力だ、とあなたは言ったわ」「私は大変幸運な男だ。さっそく、募金を頼もう」

友人のウィルソンにシャックルトンはもう少しで南極点到達に失敗したと話すスコット。「シャックルトンはどこまで」「南極点から145キロの地点だ。南極点は未到達のままだ。私は英国人が一番に到達すべきだと思う」「私の探検の日々は終わった。ただ初めに到着したいがために探検はしたくない。もし、あそこに戻り、我々が始めた仕事を続けるのであれば」「まさに、それが目的だ。氷棚や南極点までの山々を研究しよう。最も装備の充実した探検隊。何人もの科学者の中のトップとなる科学者はウィルソン博士」「なら話は別だ」「私と一緒に来てくれ」

民間に募金を頼み、イギリス全土で遊説し、南極探検の重要性を説明するスコット。是非南極に行きたいとスコットに申し出るオーツ。「私は騎兵連隊に所属してます」「南極を知ってるかね」「本でなら。あなたが馬を連れていくのを知って役立つと」「つらいぞ」「わかってます」「地獄だ」「でも暑くない」

ノルウェーに行き、探検家のナンセンと会い、南極探検で動力雪上車を使うつもりだと話すスコット。「どう思われます」「私は犬が好きです」「私は新発明はなんでも使ってみるべきだと思うのです。誰かが試さなければ。実際、無線電信装置も考えましたが重すぎます」「あなたの言う通りですが、私は犬が好きです」

「アムンゼンもそう言ってます。彼の北極探検の計画を聞きました」「アムンゼンは私の教え子。勿論、犬を信頼します」「我々は犬をもっと友達のように扱います」「人に必要な友達が人の本当の友達です。あなたの目指している南極は寒く残酷な場所です。北極よりもひどい所です。犬は動物です。一匹が死んでも、他の犬の役に立ちます。もし必要ならば、人間の役にも。あなたの機械が壊れても、雪上のただの金属の塊で食べることはできません」「その通りですが、新しいことも加えてみたいのです。動力雪上車に加えて、犬と馬も連れていきます」「私なら犬を連れて行きます。犬また犬です」

政府の補助金もおり、探検隊を編成して南極に向かうテラ・ノバ号に乗り込むスコット。「電報が届いた。アムンゼンが南に向かったそうだ」「なぜ秘密に」「抜け駆けだ」「気分が変わったのだ。誰でも自由に気を変えられる」

スコットに聞くウィルソン。「最初に到達する事は君には重大事だろ」「勿論だ。こいつがいなくても南極点に到達するのは困難だ。なぜ急に気が変わったんだ。彼は競争を仕掛けてきたが、我々には準備がない」「これは科学的探検だ」「そうだった。先を争って動いたり、危険を冒してはいけない。私は競争しない。でもヤツはどんなルートを」

テラ・ノバ号は南極に到着し、上陸部隊はロス岬で基地を設営する。(馬・動力雪上車・犬・人間の部隊。バワーズの能力は完璧だった。彼が対処できない問題は一つもなかった。到着後、8日で小屋が建てられた。素晴らしい記録だ。テラ・ノバ号はニュージーランドに向かった。我々にやるべきことはいっぱいある。日が沈んだらあと半年は暗黒の世界だ)

隊員に訓示するスコット。「我々は冬に到着し、6か月間ここに閉じこもるのだ。太陽が戻った時の仕事を復習するのによい機会だ。この図は我々の立場をよく表している。今、我々は海氷の上だ。第一段階は巨大な氷棚、約640キロを渡る。次に2700メートル級の山々がある。ベアードモア氷河からこの山々に登る。160キロ以上の道のりだ。そして最後に氷原だ。あと560キロ行くと南極点に着く」

「それでは行く道筋と手段だ。南極旅行の秘訣は食物と燃料だ。温かい食事は冷たい食事より人を遠くへ進ませる。ここでは道すがら食べ物を得ることなどない。どんな少量でも持っていき、それを帰りの食糧用に道すがら置いていく。全部隊の人的及び物質的援助は5人の男だけで南極点への到達を試みる最終区間の出発点へ彼らを送り届ける事に向けられる」

「南極点へ向かい、氷河のすそまでは、牽引車、馬、犬ができるだけ多くの荷物をできるだけ遠くまで引っ張っていく。氷河から南極点と全帰り道は人間が引っ張る。時間的ゆとりは大変少ない。我々の馬は低い気温に耐えられないとわかっている。南極点に到達し帰るにはシャックルトンよりも速く動かねばならぬ。我々は猛吹雪と暗闇が始まる前に帰らねばならない」

ロス岬にテラ・ノバ号は戻り、船長のペネルはアムンゼンを見たとスコットに報告する。「どこで」「鯨湾」「鯨湾か。640キロ先だ」「探検隊は20人で、犬は100匹以上。見た事がないくらい沢山です」「ペネル。情報をありがとう」

アムンゼンは犬だけでやれるのでしょうかとスコットに聞くオーツ。「わからん。ノルウェー人は我々より犬の使い方がうまい。我々が馬を使うことで我々の出発は遅れる。彼の基地は我々より約130キロ南極点に近い。しかし彼らは知らない土地を横断する。幸運が味方するかどうか。ただ彼らは強靭だ。それは確かだ」

1911年11月1日、南極点に向かって出発するスコット隊。(エバンスは馬とソリを引っ張っている。エバンスの力強さは相変わらず堅実でたくましい。探検隊は全部で16人。このうち南極点に到達するのは5人)

出発後、すぐに動力雪上車は使い物にならなくなり、荷物は全て馬が運ぶことになる。氷棚突破を前に2人の隊員が基地に戻り、弱った馬は射殺される。(猛吹雪は我々を五日間足止めにした。氷棚突破はシャックルトンより長く掛かっていた)氷棚突破までに全て馬は射殺されてしまう。

氷棚を突破し、犬とともに2人の隊員が基地に戻る。(12人の人間と人に引かれる3台のソリで山越えに挑んだ)山越えを追え、4人の隊員が基地に戻る。(氷河と氷棚は我々の背後だ。後はゴールまで水平に進むのみだ。8人と2台のソリ。人間が引いていく)

最後に行くのはこの5人だとウィルソンに告げるスコット。「君、私、バワーズ、オーツ、そしてエバンス。隊長と科学者1名、船乗り2名、騎兵1名。これ以上よい仲間は持てないだろう」氷原の途中で、3人の隊員が基地に戻る。(5人と1台のソリ。人間が引いていく。ここの表面は恐ろしい砂のような氷の結晶)南緯88度25分に到達するスコットたち。「最南記録だ」「シャックルトンを超えた」

1912年1月18日、スコットたちは南極点に到達するが、そこにはすでにノルウェー国旗が掲げられていた。「アムンゼン」国旗の周りの無数の犬の足跡を見つめるスコット。こうなるのが運命だったというウィルソン。「彼らは手紙を残している。ここに来たのは5人の様だ。ノルウェー王宛ての手紙だ」「切手さえ貼ってない」「我々に託したのか」

(南極点。予想したのとはかなり違う状況だ。激しい落胆。そして私の忠実な仲間たちに申し訳なく思う)記念撮影をするスコットたち。「笑ってください」(風は強く吹き荒れ、人の骨まで浸み込むような湿気の不思議な感覚。ここは恐ろしい場所だ。全ての白昼夢は終わりだ。次は帰るための死に物狂いの苦闘だ。我々は帰り着くだろうか?)

1400キロの帰り道に挑むスコットたち。左手が凍傷になったエバンスは次第に衰弱し、命を失う。続いて左足が凍傷になったオーツは、これ以上迷惑をかけられないと吹雪の中に姿を消す。スコットとウィルソンとバワーズは基地を目指すが、猛吹雪のために一歩も進めなくなり、貯蔵庫の手前で永遠の眠りにつくのであった。

★ロロモ映画評

この映画は、アムンゼンとの南極点到達競争に負けたスコットの悲劇をドキュメンタリータッチで描いており、この二人の競争のことは一般教養としてよく知られているので、結末は見る前からわかっていましたが、改めて映像で見ると、その悲惨さがよくわかるわけです。

しかし映画の内容としてはあまりにスコット隊の悲劇を強調しすぎている嫌いがあり、南極編になってからはやや退屈で、調査野郎のウィルソンと探検野郎のオーツたちの板挟みになって苦悩するスコット、というような人間ドラマがあればよかったのですが、結局はみんな南極点の魔力に屈したということになっており、現実にはそういうことなのでしょうが、もう少し映画的面白さを追求してほしかったなあと思うわけです。

この映画でアムンゼンが勝ってスコットが負けた理由がいろいろ示唆していますが、スコットたちの捜索隊にも参加したアスプレイ・ガラードはその敗因について、「アムンゼン隊は犬ぞりとスキーによる移動で極点に到達したが、スコット隊は雪上車、馬による曳行が失敗し、人力でそりを曳かざるを得ず、いたずらに体力の消耗を招いたんじゃ」と分析。

その外にも「アムンゼン隊では現地に棲息する海獣を狩るなどして携行食糧を少めに抑え、足りなかった場合は犬ぞりの犬も食用としたが、スコット隊は全ての食料を持ち運んだため、その運搬でいたずらに体力の消耗を招いたんじゃ」「アムンゼン隊は南極点への最短距離にあたる鯨湾より出発したが、スコット隊は学術的調査の継続のため、より遠いマクマード湾より出発せざるを得なかったんじゃ」などと分析しているわけです。

この他にも「アムンゼンは北西航路の探検時に越冬した際、地元のイヌイットから犬ぞりの使い方や、毛皮を使った防寒着の作り方など、寒帯での生存術を学んでいたんじゃ」「アムンゼン隊の隊員はクロスカントリースキーが盛んなノルウェー出身だったため、スキーによる長時間の滑走にも慣れていたが、スコット隊はそのような技術や知識を持つ人間がいなかったんじゃ」などもスコットの敗因とされているわけです。

こうして分析するとスコットは負けるべくして負けたと言わざるを得ませんが、この映画では北極探検をするはずのアムンゼンがなぜ南極探検に心変わりしたのか描かれてませんが、どうやら1909年4月6日にアメリカの冒険家ロバート・ピアリーが犬ぞりで北極点初到達したので、なら南極点にと宗旨替えをしたようでありますが、南極点に初めて行ったのはアムンゼンと言うのは誰もが知ってますが、北極点に初めて行ったのがピアリーであるということは誰も知らないわけです。

ピアリーが探検から戻った後、元の仲間であるフレデリック・クックが、「自分は、1908年4月21日に既に北極点に到達したんじゃ」と主張。調査委員会が設けられ、結局クックの訴えは退けられ詐欺罪で収監となり、ピアリーが最初の北極点到達者と認定。現在ではピアリーが証人を買収したことが判明しているそうですが、実際に、クックは北極点の数百キロ手前までしか到達していなかったとされています。

また、後の詳しい測量により、ピアリーらが北極点だとしていた点は正確には北緯89度57分(北極点から約6キロの地点)であったことが判明し、ナビゲーションの技術を持つものがいなかったにも関わらず旅程が不自然に順調であることなどから、到達そのものを疑問視する説もあるそうで、なんだかんだでピアリーの北極点到達はかなりグレーで、アムンゼンとスコットのようなドラマチックなストーリーがないのが、あまり話題になることのない理由なのかなと思ったりするわけです。

この映画ではアムンゼンが勝利者、スコットは敗北者として描かれていますが、アムンゼンはこの後、1926年に飛行船で北極点へ到達し、人類史上初めて両極点への到達を果たした人物となりますが、1928年、北極を飛行機で探検中に、近くで遭難した飛行船イタリア号によるイタリア探検隊の捜索に赴き、行方不明となっており、宿命のライバルはともに極地で命を落としていることになり、痛み分けと言っていいのかどうかわかりませんが、スコット映画を見るとアムンゼン映画も見たいもんだとロロモは思ってしまうのでありました。(2017年8月)

得点 50点

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