長崎ブルース

1969年 東映

キャスト:松方弘樹(浜崎)宮園純子(直美)谷隼人(清志)大原麗子(京子)藤村有弘(古垣)青江三奈(銀子)梅宮辰夫(布施)

監督:鷹森立一

ホストの浜崎は長崎から上京したタレント志望の清志に目をつけ、クラブ「エリート」の支配人の古垣に紹介する。古垣は有閑マダム相手の競りに清志を賭けて、清志は土地成金の夫人に10万円で買われる。清志はなかなか有望だと浜崎に言う古垣。「10万円なんて値段がついたのは初めてだ。はい、これはスカウト代」「これっぽちですか」「あいつにも少しやらにゃいけん」浜崎にもうセリは終わったのと聞く京子。「ええ。ついさっき」「なんだ。つまんないの」

土地成金の夫人に童貞を奪われた清志に京子を紹介する浜崎。「お嬢さん、こいつですよ。昨夜、競りにかけられたのは」「へえ、可愛い子ね。昨夜、面白かった?それともショックだった」「いや。その」京子は遺産相続した凄い金持ち娘だと清志に言う浜崎。「俺はあいつと結婚するつもりだ」「財産目当てですか」「あったりまえよ。お前もこういう商売をしていくうちに早くあんな上玉を見つけるんだな。だけどそのためには一流のホストにならなくてはダメだ」「はい」

清志は浜崎のコーチもあって、次第に洗練されたホストになっていく。そんな清志の前に現れる姉の直美。「姉さん」「清志。あんたテレビタレントになると言ったんじゃないの」「あれはやめたよ。あきらめちゃったんだ」「それでこんなところに勤めるようになったの」「こんなところと言うけど、ここは一流なんだぜ」「姉さんは水商売させるために、あんたの面倒を見て来たんじゃないの。水商売は姉さん一人でたくさん」「……」「清志。姉さんと一緒に長崎に帰って」「僕はもう子供じゃない。今一日8000円も稼ぐんだぜ」「そりゃお金になるかもしれない。でも将来はどうするの」

僕は両親を亡くして姉に育てられたと浜崎に言う清志。「だから姉さんに弱いんです」「それできっぱり断れなかったのか。母親代わりか。泣かせるね」「姉さんは僕のためにホステスになったようなもんなんです」「姉さん、東京で働く気はないかな。何なら世話してやってもいいぜ」「その気はないようです。とにかく早くホストをやめさせて、普通の職業につかせたいようなんです」「それでお前の気持ちは」「僕はやめる気はありません」

直美にあなたのことは弟さんから聞きましたと言う浜崎。「あなたはホストという商売を誤解しているようです。確かに水商売ではありますが、誰にでもできるものではありません。ホストになるには様々な才能がいる。これは一種のタレントですよ。彼は一流のホストになります。私が保証します」「せっかくですけど、私はそうさせたくないんです。将来のこともありますし」

「将来?40や50になってホストなんかやってられません。将来のために若いうちにホストをやってるんです。そのくらいのこと、ホステスをやってるあなたならおわかりでしょう」「みんな、お金のためにこの世界に入り、堕落してしまうんです」「あなたは堕落してるんですか」「浜崎さん。清志を返してください」「本人が帰りたくないって言うんだから、しょうがないでしょう」

浜崎のアパートを訪ねる直美。「清志は?」「いませんよ。昨夜から女のところに」「……」「まあ金のためです。あなたも金のためにホステスをやってるんでしょう」「清志はそんな子じゃなかったわ」「確かにそうです。あいつはテレビタレントになりそこねて、野良犬みたいに腹をすかして新宿の裏町をうろついてた。それを私が拾ってやって、とにかく一人前の男にしてやった。これも皆お金のおかげですよ」

「確かに一人前の男には違いないわ。でも男として最低ね」「……」「あなたはタレントとおっしゃったけど、結局は金で買われる男。女から見て最低だわ」直美を殴り飛ばす浜崎。「いいか。最低の男の味を教えてやる」浜崎に抱かれる直美。

それから浜崎は直美に会おうとするが断られる。清志が病気になったと嘘をついてアパートに直美を呼び出す浜崎。「清志は?」「病気は嘘ですよ」「え」「直美さん。この間は悪かった。俺はあんたに惚れたんだ。こんな気持ちになったのは初めてだ。俺、清志からあんたに恋人がいるって聞いた。だからとっても悪いことをしたと思ってる。だけど、ちゃらんぽらんじゃない。その恋人に凄いジェラシーを感じるんだ。そいつにあんたを渡したくないんだ」

直美は浜崎に抱かれそうになるが、そこに清志が現れる。「姉さん」出ていく直美。入ってくる時はチャイムくらい鳴らせと清志に言う浜崎。「すいません。でも先輩、姉さんをおもちゃにするのはやめてくださいよ」「バカ野郎。惚れたんだよ」「先輩らしくないですね。ホストは女に惚れちゃいけないと言ったのは先輩でしたよ」

「生意気だぞ、お前。少し売れっ子になったと言って、大きな口を叩くな」「姉さんには婚約者がいるんですよ」「わかってるよ。そんなことは」「僕は先輩の事を尊敬してるんです。だからそんなことはしてほしくないんです。先輩もヤキが回りましたね」清志を殴る浜崎。「出てけ。お前なんか用はない」「お世話になりました」

直美は清志のことをあきらめて長崎に戻る。姉さんから手紙が来ましたと浜崎に言う清志。「結婚するそうです」500万の小切手をあげると浜崎に言う京子。「これで直美さんのことを忘れて。その代わり、あなたは永久に私のもの」「お嬢さん。私はもう金じゃあ買えませんよ」「直美さんのところに行くのね」長崎に行かないでくださいと浜崎に言う清志。「先輩は姉さんの結婚を邪魔しに行くんでしょう。それだけはやめてください」バカ野郎と言って清志を殴る浜崎。

直美を指名する浜崎。「何しにいらしたの」「座れよ。俺は客だぜ」「……」「まだ、俺のことを憎んでるのか」「……」「結婚するんだってな」「ええ」「紹介してくれないか」「会ってどうするの」「俺たちのことを話して、諦めてもらおうと思う」「あんたって悪党ね。人の幸せをぶち壊そうって言うの」「俺はお前を幸せにする」「これ以上つきまとったら、殺してやる」歌手の銀子に直美の婚約者が貿易会社の社長の布施で、明日、香港から帰ってくることを聞く浜崎。

香港から戻った布施に会いたかったと言う直美。お前のためにダイヤの指輪を買ったと言う布施。「掘り出し物があったんだ」「嬉しいわ。あなた。私を離さないで」布施に直美と別れてくれと頼む浜崎。「それはどういうことだ」「俺たちは東京で知り合った。俺は直美に惚れた。そして抱いた。俺は一緒になるつもりで東京から来た」「直美は俺の女だ。どこの馬の骨か知らないチンピラに用はない」「その馬の骨が直美に真剣に惚れたんだ」「わかった。明日の昼、12時に出島の岸壁で会おう。返事はその時だ」

直美に浜崎に会ったと話す布施。「あの人、なんて言ったの」「どうして、あいつに体を許したんだ」「許したんじゃないわ。清志があの人のアパートにいたんで、清志のことで相談をしに行って」「嘘をつくな」「信じて」「何とか逃げる方法があっただろう。お前に隙があったからだ」「そんなのひどいわ」「お前は俺を裏切ったんだ」「あなた。待って。許して」直美を殴り飛ばす布施。

ショックを受けた直美がガス自殺を図るが浜崎に救われる。「私を死なせてくれなかったのね」「そんなこと言わないで、早く前のような意地っ張りな直美になってくれ」浜崎に直美をやると言う布施。「けどロハってわけにいかない。一度は女房にしようと思った女だ。ゼニを出せ」「お前の愛情ってそんなものだったのかい」

「ゼニが惜しくなったのか」「バカ野郎。直美のためなら俺はありったけのゼニをはたいても惜しくはねえ。だが、てめえみてえな汚い奴にはびた一文渡せねえな」「そうか。じゃあ直美は渡せねえな」「待て」布施を殴り倒す浜崎。「腕ずくでも直美は奪ってみせるぜ」

直美にアイスクリームを食べさせる浜崎。「美味しい。あなたって怖い人ね」「悪党だからな」「そうよ」「直美。泣くなよ」「嬉しいんですもの」浜崎は布施の部下の菊池に腹を刺されて重傷を負う。救急車で運ばれる浜崎に寄り添う直美。「あなた、大丈夫?」「直美」

菊池を殴り飛ばす布施。「でも、奴が直美さんを」「取返しのつかないことをしやがって。誰がそんな出過ぎた真似をしろと言った」俺と夫婦になってくれるかと直美に聞く浜崎。「うん」「ありがとよ。こんなうれしいことはない」「……」「殺されそこなった男と死にそこなった女が一緒になるんだ。似合いだな」布施は婚約指輪を川の中に捨てるのであった。

★ロロモ映画評

ホストの浜崎(松方弘樹)は長崎から上京したタレント志望の清志(谷隼人)に目をつけ、クラブ「エリート」の支配人の古垣(藤村有弘)に紹介する。古垣は有閑マダム相手の競りに清志を賭けて、清志は土地成金の夫人に10万円で買われる。清志に京子(大原麗子)を紹介した浜崎は京子は遺産相続した凄い金持ち娘だと言う。「俺はあいつと結婚するつもりだ」「財産目当てですか」「あったりまえよ」

清志は浜崎のコーチもあって、次第に洗練されたホストになっていく。そんな清志の前に現れる姉の直美(宮園純子)。「姉さんは水商売させるために、あんたの面倒を見て来たんじゃないの。清志。姉さんと一緒に長崎に帰って」僕は両親を亡くして姉に育てられたと浜崎に言う清志。「だから姉さんに弱いんです」

直美にあなたのことは弟さんから聞きましたと言う浜崎。「あなたはホストという商売を誤解しているようです。確かに水商売ではありますが、誰にでもできるものではありません。ホストになるには様々な才能がいる。これは一種のタレントですよ。彼は一流のホストになります」「あなたはタレントとおっしゃったけど、結局は金で買われる男。女から見て最低だわ」直美を殴り飛ばす浜崎。「いいか。最低の男の味を教えてやる」浜崎に抱かれる直美。

直美は清志のことをあきらめて長崎に戻る。姉さんから手紙が来ましたと浜崎に言う清志。「結婚するそうです」500万の小切手をあげると浜崎に言う京子。「これで直美さんのことを忘れて。その代わり、あなたは永久に私のもの」「お嬢さん。私はもう金じゃあ買えませんよ」長崎に行った浜崎は歌手の銀子(青江三奈)から直美の婚約者が貿易会社の社長の布施であることを聞き、布施(梅宮辰夫)に直美を抱いたことを話すのであった。

この映画は新宿編と長崎編に別れますが、ロロモ的には軽いタッチの新宿編の方が好きで、長崎編は松方弘樹と梅宮辰夫と宮園純子のただのメロドラマになってしまって残念ですが、ロロモにはよく理解できなかったのが梅宮辰夫で、表面上は尻軽女の宮園純子が許せず松方弘樹で金で売ってしまおうと言うゲス野郎ですが、その内実は香港でトラブルに巻き込まれた自分と別れさすためにわざとゲスぶってると言うナイスガイのようなのですが、どうもその辺がはっきりしないので、困ってしまうわけです。

そして梅宮辰夫は宮園純子を渡すのに「ロハではいかない」と松方弘樹に言いますが、この「ロハ」とは「無料」と言うことでありまして、なぜそうなるかと言うと、漢字で「タダ」を書くと「只」になり、分解すると「ロハ」になるからでありますが、漢字分解と言えば、「私は朝に生まれましたが、生年月日はいつでしょう」と言うクイズがありまして、正解は十月十日になりますが、有名な所では「女の又に力で「努力」の「努」になる」と言うやつもありますが、「努力」と言う熟語は力が二度も出て来て、相当頑張らなくてはいけないと言うことを否が応でも盛り上げるわけです。

あと「女の又の心で「怒」になる」となり、「女の又で「奴隷」の「奴」になる」となりますが、女の又って男の又と違って何か怨念めいたものがあるなと思わせ、女とは昔から悲しい生き物だったんだなあとロロモをしみじみさせ、ジョン・レノンの「女は世界の奴隷か?」と言うナンバーがロロモの頭の中で鳴りますが、彼がシャウトした時代から比べると確実に女性の地位は向上していますが、どこか女性蔑視の風潮は21世紀も残っており、かく言うロロモも女性蔑視というほどではありませんが、やはり男と女は違うと言うか、男に生まれてよかったと、この映画で松方弘樹や梅宮辰夫に思い切り殴られる宮園純子を見て思ったりするのでありました。(2015年11月)

得点 57点

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