ナニワ金融道4

1998年 フジテレビ

キャスト:中居正弘(灰原)小林薫(桑田)緒方拳(金子)藤木孝(悪徳)瀬戸朝香(しのぶ)宇崎竜童(末期)国村隼(浦切)いしだあゆみ(落振)芦屋小雁(栗尾)大杉漣(金箔)花紀京(善本)酒井敏也(本橋)笹野高史(山川)

監督:河毛俊作

むち打ちで入院した浦切に娘が大変ご迷惑をかけてと詫びる山川。昼までに入院費と車の修理金200万欲しいと言う浦切。「200万?」「でも保険はおりますやろ」「できることは何でもします」「ほなら念書だけでも書いてもらおうかな」

帝国金融の灰原は山川から200万貸してくれと言われて、たちばな台病院に行く。娘のしのぶが今朝追突事故を起こしたと灰原に言う山川。あの事故は私のせいやないと言うしのぶ。「向こうが急に止まったんです」「でもケガさせたんやから」とにかく審査にかけると言う灰原。

山川を連帯保証人にしてしのぶに200万を貸す灰原。200万の入った封筒を浦切に渡す山川。そこに現れる根切保険の渋井。「浦切さん。私のできる範囲で精一杯の努力をします」

営業時間を過ぎて金を貸してくれと帝国金融に来た落振に帰ってくれと言う桑田。「5万でええから」「あんた、ほかのサラ金に200万つまんどるやろ」社長の金子に金を貸してと言う落振。「うち、法律家なんよ。日本でも一番数の少ない海事代理士や。船のことならなんでも知ってるんよ」「何に金使うんや」「家賃」「桑田。つまみだせ」

4000万貸してくれと灰原に頼む末期観光の社長の末期。「今度、2億のクルーザー買おうと思うんや。そのクルーザーを担保に4000万貸してくれんか」「なんでクルーザーを?」「クルージング事業を始めようかなと。どないや」「船は初めてなもんで」「船も車も同じや。動産や」「じゃあ船も車と同じ車検証みたいなものがあるんですか」「あるで。船舶検査証や」「とにかく審査にかけます」

個室に移ってメロンを食う浦切は、大部屋は耳鳴りがかなわんとしのぶに言う。「ここは一日4万だそうです」「あのう、昨日お渡しした200万の領収証を」「200万?何のことでしょう」「紙袋渡したでしょう」「あれ。あれならさっき見舞いに来た友達に渡しましたで」「そんな。あれは200万の現金ですよ」「そうやったらそう言うてもらわんと。わてはてっきり見舞いに板チョコもろうたんやと」「あれは現金です。領収証を書いてください」

反対の立場ならどうですと山川に聞く浦切。「私があんたに饅頭の袋を渡して、あとからそれが1億円や言うたら、あんた1億円の領収証を書きますか」「書きまへん」「ですわな」

その200万は取られ損ですなとしのぶに言う渋井。「なら保険でお願いします」「領収証があるなら、うちも見舞金として面倒見ますけど、無理ですなあ」「でも、うちの保険は無制限の契約やったから」「何言うてはりまんのん。無制限の保険契約はなんでも無制限に払うのとは違いまっせ。うちが事故の状況に応じて適正と認めた範囲内なら、いくらでも払うちゅうことです。まあ1日4万のベッド代もうちとしては正当な治療費としては認められまへんなあ」でも念書を書いてしもうたんですと言う山川。「被害は全額賠償します言うて」「そんな男に全額賠償の念書を書いたら、とんでもないことになりまっせ」

船の担保は初めてやなと灰原に言う金子。「船にどないして抵当つけるんや」「船は車と同じように船舶検査証があります。ですから所有権留保と言う形で、所有者は帝国金融、使用者は松葉社長ということで、車のローンと同じ方法にすれば」「そのクルーザーはどこにあるんや」「それはまだ聞いてないです」「そらあかんな。貸すか貸さんか別にして、所在確認が先決やろ」

末期とともにクルーザーを見に行く灰原。「でかいですねえ」「そやろ」灰原にクルーザーのオーナーの栗尾を紹介する末期。中も凄いですねえと感心する灰原。「それで船舶検査証は?」「こちらにどうぞ」額に入れて飾ってある船舶検査証を灰原に見せる栗尾。「車検証と同じで船の中に掲示しないとあかんのですわ」「これで船の所有者が確認できるわけですね」「ええ。わての名前の栗尾って入ってるでしょう。ところで船の名義の書き替えはわての知り合いの海事代理士でええですか」「いえ。うちの顧問弁護士がいますから」契約の時にはブローカーを呼んだほうがいいかと栗尾に聞く末期。「ブローカー?」うちらの間に仲介人がいると言う栗尾。

栗尾と直の取引でないと灰原に説明する末期。「ブローカーが持ち込んだ話なんです。今から紹介します」ブローカーの浦切を灰原に紹介する末期。実はクルージング事業などしないと灰原に言う末期。「いきなり転売する言うたら土地ころがしみたいに思われますからなあ」「買ったらすぐ売るんですか。申し込みの時と違う話ならすぐに引き上げると言うのが会社の決まりなんです」「まあ、話を聞いてください」

わしは2億で買って3億で売ると言う末期。「右から左で1億の儲けなんですわ」「そんな都合のいい話はないでしょう」「そんな滅多にない話を、この浦切はんが持ってきてくれたんですわ」クルーザーの買い付け申し込み書を灰原に見せる浦切。「申し込み人はニシキヘビファイナンスの代表取締役社長の善本さん。ノンバンク最大手の善本社長が買うと言ってるんです」「これは本物ですか」「当たり前です。これがニシキヘビファイナンスの印鑑証明」

金子に説明する灰原。「うちの4000万と末期の降り出した1億6千万の手形。その2億円で栗尾から船を買って、すぐに善本に3億で売りつけるんです。最初から儲けが約束されてる転売ビジネスです」「この転売の話に問題はないんやな」「問題ありません。末期さんは信用できる男です」

しのぶに修理工場に電話かけてくれと頼む浦切。「事故の時に、親父の形見の腕時計を落としましたんや。あれなあ、海外の舶来物でなあ。何百万するかどうかわからんのや」「確認してきます」

4000万を準備して灰原は桑田は出かけようとするが、そこに山川としのぶが現れる。「返済日はまだ先ですけど」「あと500万貸してもらえないやろうか。200万は受け取ってないと言うし、腕時計代やら個室の入院費やら出前の食事代やら」「お気の毒ですけど、先日お貸しした200万。あれが限度なんです」ほかに頼める人がいないと言うしのぶに僕は忙しいんですと言う灰原。「失礼します。お引き取りください」

帝国金融の顧問弁護士の悪徳の立ち合いの元で、船の名義変更を行う灰原たち。「では2億円の方を」1億6000万の手形を浦切に渡す末期。「満期日は約束通り、7日後となってます」4000万を栗尾と浦切に渡す灰原と桑田。これから手数料の相談をしましょうと栗尾に言う浦切。「では、わてら、これで失礼します」

クルーザーをチェックにいった灰原と末期はそこに船舶国籍証書が飾られているのに驚く。「この前、こんなものなかったですな」「所有者は金箔になっている」君たちは誰やと聞く金箔。「この船は僕のものです。私が栗尾さんから買いました」「でも僕たちには船舶検査証を見ました。それには所有者が栗尾と書いてました」「ズバリ言います。船舶検査証とはあくまで船の検査証で所有権を定めるものではないんです」「え」

「船の名義変更は船の大きさによってやり方が違うんです。自動車みたいに船舶検査証で名義変更できるのは5トン未満の船だけや。こういう20トン以上の船は不動産と同じ扱いだから、法務局が管轄なんです。ここに登記簿謄本はあります。所有権が栗尾から金箔に移ったと認めています」「でもおかしいじゃないですか。船舶検査証に所有者の名前が書いてあったら、誰だってそう思うじゃないですか」「文句があるなら運輸省か法務省に行ってください。悪いのは二度売りした栗尾です」

灰原と末期は浦切のアパートに行くが、浦切は事故で三日前から入院しているとアパートの住人から言われる。「そんなことないはずです。ピンピンしてました」「郵便物持ってきてくれと言われて病院に行きましたけど、首にギプスしてましたわ」「どこの病院ですか」「たちばな台病院です」

退院するんですかと浦切に聞くしのぶ。「ちょっと病院替わるだけや。あとで連絡するから必ず500万用意せえよ。できてなかったら、あんたの体で払ってもらうで。風呂に沈める覚悟しとけや」浦切は退院したと灰原に言う末期。しのぶにあなたの事故の相手は浦切だったんですかと確認する灰原。

栗尾も雲隠れしたと言う桑田。あの弁護士にも責任あると桑田に言う末期。「船のことを何も知らんかったんだから」「無駄や。悪徳のことだから、自分の責任をうやむやにするために民事から刑事事件に切り替えると言いだしかねん」「それはあかん。金が回収できん」「それだけやない。悪徳はうちの古くからの顧問弁護士や。うちの商売の裏の裏まで知ってる。おいそれと敵に回すわけにいかんのや」

浦切と栗尾を僕に追わせてくださいと金子に頼む灰原。「4000万、回収するんか」「末期さんの1億6000万も」「7日かしかないで」「やらしてください」「桑田。追い込みを手伝え。灰原、事故を起こした娘のところに行き、手がかりをつかんで来い」

今朝はちゃんと相手できなくてすいませんでしたと言う灰原に融資してくれるんですねと言うしのぶ。「お父さんに電話しなきゃ」「……」「500万貸してくれるんでしょう」「しのぶさん。違うんです。浦切と言う男は詐欺師でした」「え」「むち打ちなんかなってません。僕も2億円だましとられたんです。これから桑田さんと一緒にあいつを探します。それであいつについて何か知ってることを」「あなたは私があんなにお願いしたのに何もしてくれなかった。それで今度は自分が困ったら、私に頼むんか」「……」「あの時、私がどれだけあなたのことを」「帰ります」「待って。私も一緒に探しに行く」

これからどこに行くと灰原に聞かれ、落振のことを思い出す桑田。「あのおばさん、海事代理士や言うとったなあ。船の世界は狭い。浦切は船のブローカーや。どこぞに接点あるやろ。こっちに船の専門家がおらんかったのが今度の失敗の原因や。わしはあのおばさんに賭けてみるで」

金を貸してくれるのかと言う落振に別の用で来たと言う桑田。ブローカーの浦切を知ってますかと聞かれ、まあ有名な男やと答える落振。「ほうか。あんたら、金貸して逃げられたんか」「浦切の居場所を知ってますか」「まあ、うまいもんでも食って話そうや」

浦切と栗尾がグルになったんかと笑う落振。「栗尾のやってる釣り具店。危ないちゅう噂でしたからな。それで船舶検査証で騙されたんやな」「ええ。金箔って男が船舶国籍証書を見せて、所有者が自分だと」「そうか。あの金箔って男は霊感商法で大儲けしとるんや。にかく問題は浦切や。あいつの立ち回りそうなとこ、しらみつぶしに探すんや」

浦切が霊感商法にカモを誘い込み、カモは金箔から高額の壺を買わされ、その金を作るためにニシキヘビファイナンスをカモに紹介していたことが判明する。これでからくりがわかったと言う桑田。「浦切と栗尾と金箔と善本はグルなんや」こっちから罠を張って浦切と栗尾を炙り出すと言う落振。「あんたらなあ、0号不渡りちゅうのを知ってるか」「……」

この船の売り買いの当事者である栗尾は自分の取引銀行で手形を現金化すると言うのは考えられんと言う落振。「手形を現金にできないとなるとただの紙切れ。そやから、あらかじめ手形を現金にする相手を探してるはずや」そうかと言う灰原。「それはニシキヘビファイナンスの善本だ。ファイナンス会社は街金と違って高額の手形も取り扱う。何も知らない善意の第三者になれる」

480万で0号不渡りの芝居を打つと言う落振に、そんなもの聞いたことないと言う桑田。「1号不渡りや2号不渡りなら知ってるけどな」不渡りについてしのぶに説明する灰原。「不渡りの理由が手形の振出人の資金不足だった場合が1号不渡り、契約の不履行や紛失や盗難が原因だった場合が2号」0号不渡りは裁判所の力で手形の支払いが完全にストップする場合やと言う落振。

金子に相談する灰原。「裁判所を騙す?」「裁判所に手形を持ち逃げされたと嘘をついて、銀行に支払いさせないよう仮処分を出させるんです。手形を交換所でなく裁判所に持ち込んで、支払いを停止させるのが0号不渡りなんです。善意の第三者に対抗できるたった一つの必殺技なんです」「裁判所を騙すなんて明らかに犯罪やな」「そうです」「間に合うんか。四日しかないで。地方裁判所は混んでるで」「ニシキヘビファイナンスの善本の出身地が宮福市で、裁判官一人の地方裁判所の支部があるんです。そこに頼み込んで即日処理してもらえばなんとか」「パクられたら前科持ちやで」「覚悟してます」

手形の凍結とはうまいこと考えたなと喜ぶ末期に現金は集まりましたかと聞く灰原。「それがやっとこかき集めて1000万や」手形の供託金は額面の20%いると言う落振。「3200万か。命かげで集めます。それで成功したら金は戻ってくるんでしょうな」「善本はあんたから手形借りたのに返さなかったことにしたらええんや。借りて返すちゅう念書があったら、善本は手形を盗んだちゅうことになるわな」「けどそんな念書ありまへんで」「その念書を作りましょう」

念書を作った落振は、クルーザーの買い付け申し込み書の下にアツアツのたい焼きを置き、善本の印鑑に息を吹きかけ、朱肉を浮き上がらせて、それを念書に押し付け、その上に紅の絵筆を加えて。善本の印鑑を偽造する。

大阪地方裁判所・宮福支部に行く灰原と桑田と落振としのぶ。「末期は来んでええのか。本人が仮処分の申し立てをせなあかんのやろ」「今必死になって供託金の3200万を集めています。明日の朝までに持ってきます」「じゃあ本番は明日か。今日は何もすることはないな」

やることがあると言う落振。「裁判官がどんな男か、品定めや」あの本橋が絶対に裁判官やと言う落振。「あのしょぼくれた顔を見てみ。絶対一生を田舎の裁判官で終わる男や」小料理屋に行く本橋。あの男の趣味趣向を調べるんやと言う落振。「それでちょっとでも裁判官の心情をようするんや。ああいうおっさんが心を開くのは若い娘や」ボクシング中継を見る本橋と一緒に飲んで、本橋がコージ有沢の大ファンであることを知るしのぶ。

明日は金曜日やと桑田に言う落振。「そこで手形を凍結してもろうて、それを知らせる特別配達がニシキヘビファイナンスに届けられるのが土曜。そやけど銀行は閉まっていて、善本らが問い合わせられるのは月曜の朝イチしかない」「よっしゃ。そこで待ち伏せにして、ボコボコにしたる。でもあんたは凄いな。帝国金融に鞍替えせんか」「金貸しはいやや」「なんでや」「何年前やったか、亭主が金貸しに追い込まれて連れていかれてしもうた。今頃生きてるのは死んでいるのか」「ほうか。あんたも苦労しとるんやなあ」

うまく裁判官を騙せるかとしのぶに聞かれ、ここまで来たらやるしかないでしょうと言う灰原。「頼むね。うちもこのままやったら親の土地を売る羽目になるし。念書を取り戻さんと」「そうだね」「灰原さんも大変な仕事やね」「そうだね。こんなにハードなのは初めてかもしれないな」「なあ、解決したら、旅しようか」「え」「灰原さん。ええ人みたいやし」「……」

血まみれになって帝国金融に現れる末期。「3200万できました。でももう歩けません。この金を灰原さんに。頼みます、社長さん」今日はわしが末期やと灰原に言う金子。「金はできた。ほなら行くで」

本橋に泣きつく灰原。「手形を持ち逃げされました。3日後に決済です。至急保全してもらえないでしょうか」「簡単に仮処分言うけどな、相手のニシキヘビファイナンスの言い分も聞かなあかんのや」「向こうは必ず返すと約束したんです。それなのに返してくれないんです。この念書を見てください」「確かに必ず返すと書いてある。けど、仮処分には供託金がいるんやで」「用意しております」

ケースをあける灰原。3200万とともにコージ有沢のKO勝ちの記事の出ているスポーツ新聞を見て喜ぶ本橋。「金策に今朝まで駆け回ってたんやな」「よくわかりますね」「今日のスポーツ新聞やないか。昨日のボクシング。コージ有沢の右フック。凄かったがな。まあ保全の決定は、緊急性の高い時、一方の言い分を聞かんでも、私の言い分でできるけどなあ」うちはクラブをやっててコージ有沢も良く遊びに来ると言う金子。「今度遊びに来たら、サインをもらっておきます」「わかりました。仮処分の申請、認めましょう」

飼犬銀行宮福支店に行く末期と桑田。「わしが降り出した1億6000万の約束手形やけど、大阪地方裁判所の宮福支部から支払い停止命令が出ましたので、不渡りにさせてもらいます」「でも裁判所から何も」「明日、特別送達が来ますから」

手形交換所から送られた末期の手形のコピーをチェックする支店長。「この手形ですな」「裏書人は誰になってますか」「第一裏書人が栗尾で第二裏書人が善本です。うちとしては不渡りになるんやったら、月曜の朝イチに善本さんの取引銀行に行って、店頭返却します」「銀行はどこになってますか」「大蛇信用金庫盗人町支店になってます」

土曜日、裁判所から仮処分通知を受け取る善本は、クルーザーにいる浦切と栗尾と金箔に通知が来たと連絡する。月曜の朝、大蛇信用金庫盗人町支店に現れた浦切と栗尾と金箔と善本は灰原らに取り囲まれ、帝国金融に連れていかれる。

念書をしのぶに返す浦切。これ以上彼女にまとわりついたら本当のむち打ち症になると浦切に警告する灰原。迷惑料2億円払えと4人に言う金子。「一人5000万や。それで水に流したる。念書を書いてもらうで」

貸した200万は追い込みを手伝ったバイト料でタダやとしのぶに言い、あんたに貸した4000万はチャラにしてやると末期に言い。480万に100万上乗せしてやると落振に言う金子。これから汗水流して働くと言って去っていく末期。今度飯でも食いにいきましょうと灰原と桑田としのぶに言って去っていく落振。灰原はしのぶと二人きりで旅行に行こうと言うが、桑田と落振と四人ならいいと言われてしまうのであった。

★ロロモ映画評

この作品の原作は青木雄二の同名漫画でありまして、ロロモはこの作品を愛読していたので、この作品にすんなりと入り込めましたが、原作のどぎつさや下品さはやや薄められていて、ロロモ的には小林薫の桑田がややハンサムすぎるかなと思いますが、原作の持ち味である金の恐ろしさは十分堪能でき、やはりこれは原作が面白いためであろうとロロモは推測するわけです。

ということで4作目となる本作もロロモは楽しめましたが、この作品は3つのパートに分けられまして、第1部は山川親子が保険金詐欺にあうケースですが、ロロモもバス会社にいる当時に保険のことはかなり深くかかわっていたので、この辺のやり取りは興味深く、バス会社にとって理想は無事故でありますが、それはあくまで理想でありまして、毎日のように事故が起こるわけです。

そこで一番まずいのが人身事故となり、具体的に骨を折ったとか明らかな外傷だとその治療費は払いやすいのですが、問題は浦切のようにむち打ちになったとか腰痛になったとか訴えられた場合で、そういう症状はあくまで自己申告ですから本人が痛いと言ったら払わざるを得ず、それで最初の対応を間違えると延々と会社が治療費を払わざるをえないと言うケースになってしまい、事故の時の初期対応がいかに大事であるかと言うことをロロモは経験したわけです。

あとしのぶは無制限の保険に入っていたのでなんでも保険がおりると勘違いしますが、車両保険には「自賠責保険」と「任意保険」と2種類があり、自賠責保険の方は必須の保険なので入るしかありませんが、問題は任意保険のほうになるわけです。

任意保険は「賠償責任保険」である「対人賠償保険」と「対物賠償保険」、「傷害保険」である「搭乗者傷害保険」、「自損事故保険」、「無保険者傷害保険」、「人身傷害補償保険」、そして「車両保険」の7つになりますが、大きく問題となるのは「対人賠償保険」と「対物賠償保険」と「車両保険」の3つになるわけです。

対人賠償保険は他人にケガをさせてしまったり、死亡させてしまった場合を対象とした保険ですが、これはバスの場合は法律で限度額無制限の加入が義務づけられています。対物賠償保険は他人の車や壁、ガードレールなど、物を破損させてしまった場合を対象とする保険で、バスの場合は法律で限度額無制限の加入が義務づけられているかどうかは不明ですが、場合によっては高額の支払いのケースも考えられるので、限度額無制限の加入が多いかと思われます。

問題は自分の車が破損した場合を対象とした保険である車両保険でありまして、バスの場合は1台何千万もするので新車には当然かけておく必要がありますが、古い車だとあまりかける意味がなくなります。またバス会社の場合、前年の保険金の支払いが少ないと成績優秀ということで割引きが多くなりますが、あまり車両保険を使うと割引きが少なくなってしまい、この辺の保険金の支払いと保険料の支払いのバランスがなかなか難しくて、いつも保険更改時期に頭を悩ませていたことをロロモは思い出すわけです。

そして作品の中盤は帝国金融が船舶詐欺に引っかかりますが、ロロモも車の保険のことはかなり詳しくなりましたが、船舶のことは当然知らず、20トン以上の船は不動産と同じ扱いだから、法務局が管轄になるくだりはなかなか興味深く、車といえば運輸省と言うか国土交通省管轄でそれはバスだろうはバイクだろうが変わらず、道路の幅からバカでかい車などありえませんが、戦車などはどういう扱いになるのだろうとふと思ったりするわけです。

そして最後は0号不渡りに対する攻防戦となりますが、ちょっと残念だったのはここで活躍する落振が海事代理士であると言う設定が全然生かされていないと言うことで、海事代理士だからこそ0号不渡りに詳しいと言うことであればよかったのですが、会社にとって手形と言うのは避けて通れないものですが、ロロモのいたバス会社はほとんど手形を使うことがなかったので、ロロモはこの手形の知識がまったくなく、ナニワ金融道では手形をめぐる攻防戦がよく登場しますが、この辺の臨場感があまり伝わってこないのがいつもちょっと残念だなあと思うのでありました。(2015年10月)

得点 74点

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