ナニワ金融道3

1998年 フジテレビ

キャスト:中居正弘(灰原)小林薫(桑田)綿引勝彦(高山)緒方拳(金子)石田ひかり(篠崎みどり)浅野ゆう子(難波銀子)金田明夫(清水)佐藤B作(軽薄)白石ひとみ(川田京子)藤木孝(悪徳)

監督:河毛俊作

帝国金融に勤める灰原はスナック「水心」のママの川田京子からバーの改築資金として500万を貸してくれと頼まれるが、灰原は京子が他のサラ金から借りていたために融資を断る。京子は大淀社会保険事務所に勤務する清水をホテルに連れ込んで借金の保証人になってくれと誘惑する。公務員が保証人だったら美味しいですと部長の高山に言う桑田。灰原に500万融資しろと言う高山。清水を連帯保証人にして京子に500万を貸す灰原。

広告代理店・軽薄企画の社長の軽薄からの電話を受ける灰原。「ティッシュを見て電話したんですけど、今日中に300万貸してほしいんですわ」「こんな時間に?とにかくお伺いします」軽薄がマルチ商法にはまっていることを灰原に教える事務員の篠崎みどり。「社長。あの日焼けマシンを買うために会社の運転資金に手をつけてしまったんです」「それで300万を」「お給料日、明日なんです」軽薄に融資には審査がいると言う灰原。「僕一人では融資の判断がつきません。今日は上の者がいませんので、明日の朝一番に御返事を」

軽薄は高利貸しの難波金融に電話する。すぐに現れる社長の難波銀子。「社長、こんな遅い時間にすいません」「うちは365日24時間営業です。いつでもお届けにあがります」みどりを銀子に紹介する軽薄。「事務をしてます。徳島から出てきて、親代わりで面倒見てます。身内みたいなもんです」

私はこのビルの4階に住んでいると言う軽薄。「じゃ、このビルは社長が所有してるんですか」「ええ」うちは無審査で貸しますと言う銀子。「その代り利子はトイチで」「わかりました」利息込みで330万借りる軽薄。10日後に来ると言う銀子。「330万一括返済でも結構ですし、利子の30万だけでも結構です」

翌朝、電話してきた灰原に難波金融から借りたと言う軽薄。バカたれと灰原を怒鳴る高山。「うちに一番に電話かけた客をよそにとられるとはどないことや」「すいません。まさか夜中に他の業者から借りるとは」桑田に灰原にどういう教育をしていると怒る社長の金子。「二人でこの仕事を取り返してこい」軽薄がトイチから借りたと聞いて驚く桑田と灰原。「それは無茶や。自殺行為でっせ」「無茶は承知や。灰原さんに明日にしてくれ言われて、万策尽きたんや」

トイチの高利貸しから軽薄が金を借りたことを知った営業マンの中津海は集金した500万を退職金代わりと言って、そのまま失踪してしまう。500万を貸してくれと言う軽薄に保証人か担保がいると言う桑田。「そやけど、難波はんは無担保でしたで」「トイチの高利貸しは高い金利取ってるから無担保なんや」「でも急に言われても」「なら短期賃借権をつけるちゅうのはどうですか。このビルはお宅のビルですね」

そこにかかってきた銀子からの電話を出る軽薄。「えっ。帝国金融が来てる?」「難波さん。短期賃借権って何ですか」「やめときなはれ。そんなもん打たれたら、みんなから倒産寸前思われて、おたくのビル、ガタガタになりますよ」「ほんまでっか。そならどうしたらええんでっか」「帝国に借りんでもええ。うちが無担保であと500万貸してあげます」「そうですか」

「それにお宅のビル、2階と3階、空いてますやら。そこにテナント入れたらよろしいんや。そしたら保証金が入ってきます」「そやけど、テナントはもう1年も入ってませんのや」「あたしが腕利きの不動産屋に探させます。今日中に借り手を見つけますわ。うちは伊達に高い金利はもらってません。アイデア料や相談料込みです」「ありがとございます」難波金融から500万借りたと言う軽薄。「帝国はん、帰っておくんなはれ」「軽薄さん。トイチは非合法のヤミ金融なんです」「難波さんは面倒見がいい。あんたらは事務的や」「……」

京子が失踪したと清水に言う灰原。「これは典型的な夜逃げのパターンです。それであなたは彼女の連帯保証人ですから、代わりに借りたお金を返していただきます」「え」桑田は清水の自宅を売却して一気に返済させようと考えるが、灰原は6年間で毎月分割返済させる案を提案する。

どういうつもりやと灰原に聞く金子。「100万は定期預金を解約させました。残りの400万を6年で」「ほんまに回収できるんか」「仕事が終わったあと、毎月3時間バイトさせます」「6年もか?無理やで、きっと女房子供捨てて逃げるで」「僕が責任を持って管理します」「お前、甘いんとちゃうか。そんなかったるい追い込みやって、どないするねん」

「人の人生を無茶苦茶にするのが街金ですか。僕は簡単に家を売ったり、簡単に家庭を壊したりするより、ほかに返済があるなら、僕は僕なりのやり方で」「まあええわ。清水をつぶすんが目的ではない。回収するのが目的や。その代り、きっちり回収してこいよ」「ありがとうございます」「ところで川田京子が店始める時の保証金はどうなってるんや」「え」「夜逃げしたんなら、まだ残ってるのとちゃうか」

80万を貸してくれと桑田に頼む軽薄。「今日が800万の利子の返却日なんです」「トイチのこわさは10日でわかるんです」「ビルのテナントが見つかればええんですが」「決まらんのですか」「それが難波さんの紹介でいろんな人が来ますけど、難癖つけて断りますのや」「そうでっか。もうマルチはやめたんですか」「ええ」「ならお貸ししてもええです」「じゃあ運転資金含めて500万ほど」「それじゃ手形で600万。決済は半年後。利息は半年で100万。安いもんでしょう」「そうですな」「その代り、保証人が必要です」

弁護士の悪徳に相談する灰原と清水。「なるほど。保証金で借金の回収しようと思うて大家のところに行ったら、家賃滞納してるとか原状回復工事とか言われて、追い出されたんか」「先生、見込みありますか」「ほんまはこんな小さな事件を扱わんが、おたくの社長に世話になっとるから引き受ける」「ありがとうございます」「わしが工事の業者を見つけて、なるべく安く工事するように取り計らったる。でもわしの成功報酬を含めると、そっちに戻るのはせいぜい50万やろ」「よろしくお願いします」

帝国金融にやってきたみどりの応対をする桑田。「社長に言われて、500万を取りに」「お待ちしてました。ではこれにサインを」「サイン?」「ええ。お渡しをした記録です。名前と住所を」テナントが見つからないと言う軽薄にそのうち見つかりますと言う銀子。「今日は一括返済するか、それとも利子の80万を」そこに帝国金融から500万借りて戻ってくるみどり。みどりを食事に行かして、80万を銀子に渡す軽薄。「帝国さんから借りたんですか」「ええ、あの子を保証人にして」「そうですか」

灰原に電話する悪徳。「保証金の回収の目途がたったで。140万や。弁護士や言うたら、大家の奴びびりよった。わしの成功報酬ぬいて100万やな」レストランでバイトする清水に100万回収できましたと言う灰原。「残り300万ですね」「女房が戻ってきました」「そうですか」「子供がやっぱし、お父ちゃんと一緒がええと。明日から女房もわしの浮気を許して、パートに出てくれるそうです」「清水さん、逃げずに頑張ってください」「死ぬ気でやります。灰原はんが家を残してくれたんですから。でもどうして私のためにそこまで」「あなたのためじゃありません。僕は2年前に帝国金融に入り、桑田さんに金融のことを一から学びました。でも僕には僕なりのやり方があるはず。それを見つけたいんです」

灰原はみどりをデートに誘いだすが、軽薄が帝国金融から500万借りたと聞いて驚く。「私がお金を借りに行ったの」「その時に何か言われなかった」「私は受け取りのサインをしただけ」「受け取りのサイン?」

桑田にみどりに手書きの裏書きをさせましたねと聞く灰原。「みどりさんを騙してサインさせましたね」「軽薄が飛んだ時の保険やがな。多少あこぎやけど、軽薄さんがそれでやってくれ言うからな」「……」「お前も悪いんやで。清水の回収に夢中になって、軽薄のことほったらかしにしたから、こんなことになったんや」

みどりに軽薄の借りた600万の保証人になったと言う灰原。「手形が飛んだら、君が600万全額を返済しなければならない。それが手形の裏書きだ」「そんなこと誰も話してくれなかった」「それが僕らのやり方なんだ」「そしたら、私はみんなに騙されたのね」「みどりさん。僕は君を見捨てないから」「さよなら」みどりに帝国金融に騙されたそうねと聞く銀子。「あんたの気持ち、うちにはようわかるんや。人は金のことになると悪魔になる」「うちはお金に操られるのはいやや。どうしたら、あんたみたいにお金を扱えるようになれるの」

80万の利息を回収しに来たと言う銀子にこのままでは倒産ですと言う軽薄。「すいません。あと500万貸してください」「でも返済の目途があるんですか」「それは」「私だったら一般債権者を泣かしても、財産をガッチリ守る方法を知ってますけど」「どんな方法です」「今からカラ手形出して、借りるだけ借りまくりなはれ。外車やコピー機など手形でバンバン買うたらよろしい。やがて返済の期日が来て、不渡りになります」「ほなら、その時点で倒産です」「そうです。債権者が押し寄せてきます。そこでひたすら謝りなはれ。そしたら私の秘策がありますんや」

軽薄が外車やコピー機を手形で購入して取り込み詐欺を始めたことに気づく灰原。「社長。みどりさんは?」「ここのところ、体調崩して休んどる」難波は軽薄と組んで計画倒産させる気ですと高山に報告する灰原。「あの難波銀子。帝国金融と戦うつもりやな。売られた喧嘩は買うしかないやろな」3億の借用契約書を軽薄と取り交わす銀子。「これで社長が買いつけた1億とあわせて負債は4億。残っている資産4000万に対し、負債が3億なら、全債権者への配当は4000万の4分の1の1000万。残りは私と社長の山分けや」

軽薄企画は計画倒産し、債権者集会を開くと通知する。灰原と桑田に銀子と勝負してこいと言う金子。「正規の金融屋が潜りの金融屋に負けたら話にならんで」殺気だつ債権者に土下座して謝る軽薄。「万策尽きました。お許しください」早く債権者集会を始めろと言う銀子。会社の残った財産を公平に分配する私的整理を行いたいと言う軽薄。私の債権は3億と言う銀子にそんなに突出した債権はおかしいと言う灰原。「帝国金融はん。ここに公正証書があります。ここに私が軽薄はんに3億貸したと謳うとります」「え?公正証書」

残っている資産は4000万と軽薄に言われて、ざわめく債権者たち。「難波さんとわしらの債権あわせて4億」「ちゅうことは4000万のうち4分の3を難波さんが持って行く」「なんや。わしらは1000万を奪い合うちゅうことか」これは不自然すぎると言う灰原。「社長。3億をもらったなら預金通帳を見せてください」「現金でもらったんです」「ということは二人しか知らないと言うことですね」そこに現れたみどりは確かに3億円を現金で軽薄が受け取ったと言う。「社長はそれをマルチ商法に注ぎ込んでしまいました」「みどりさん。どうしたんです」「灰原さん。猿芝居はやめてください」

債権者たちに言う桑田。「みなさんの債権を額面の1割5分で買い取らせていただきます。難波銀子の言うことを聞いとったら、額面の1割。私やったら1割5分でっせ」ほかの債権は1億やと言う銀子。「1500万の現金を用意できるんか」「帝国金融をなめるんやないで」1500万を手配して債権を買い取る桑田。その隙に公正証書のコピーを取る灰原。これでうちも1億の大口債権者やと銀子に言う桑田。「もうお前の好き勝手は許さんぞ」「……」「みどりはん。ちょっと顔貸してくれ。あんたが裏書きした手形のことで話したいんや」

私の一存で債券を買い取ったと高山に言う桑田。「おい。勝算はあるんか」「明日から軽薄の売上金と未収金の回収に当たります。1500万やったらどうにか」「ほな、軽薄に貸した600万が赤字になるやないか」公正証書のコピーを取ったと言う灰原。「これには必ず裏があるはずです。これを崩せば」冷笑するみどり。「ほんまに社長は借りたと言うてるでしょう」「みどりさん。何があったんだ。難波に何か言われたのか」「眠たいことを言わんといて」

600万の手形が不渡りになったとみどりに言う高山。「あんたが支払う義務があるで」「知ってるわ。灰原さんに聞いた」私は何も知らずにサインしたと言うみどり。「それで払えと言うんなら詐欺と恐喝や。認可取り消しになるで」「どこでそんな知恵をつけられたんじゃ」

銀子の経営する高級クラブに行く金子は告発状を銀子に見せる。「偽の公正証書作成に対するものや。検察に出そう思うとる」「あの公正証書に何の不備もないわ」「じゃあ国税当局に通報しよう。億の金の動きに興味を持つやろうな」「……」「債権を放棄すると一筆入れるんや」

銀子は3億円の債権を放棄したと高山に言う金子。「なら4000万は全額うちが回収できる。純益2500万。大成功です」手形の裏に書かれた灰原とみどりの名前にバツ印をつける金子。「みどりさん。難波銀子はわしを恨んどったか」「……」「昔、わしはあの女を騙して保証人にしたんや」「そう言ってた。それで必死に這い上がって、金貸しになったって」「もうあの女とは会うなよ」灰原に私のことを許してくれないでしょうねと言うみどり。「そんなこと」「さよなら」

軽薄は一文無しになって町を出る。それから1か月後。帝国金融にクラブ「水心」の新規開店の案内状が届く。これはきっと銀子の店ですと金子に言う高山。「社長に頭を下げて、手打ちをしたいのと違いまっか」クラブに行った金子と桑田と灰原を迎えるママのみどりは、酔っぱらった客に水増し請求した領収書にサインさせる。「サインする方がアホなんよね、灰原さん」灰原は何か言おうとするが、高山から追い込みをしろと電話を受けて、クラブを飛び出すのであった。

★ロロモ映画評

この作品の原作は青木雄二の同名漫画でありまして、ロロモはこの作品を愛読していたので、この作品にすんなりと入り込めましたが、原作のどぎつさや下品さはやや薄められていて、ロロモ的には小林薫の桑田がややハンサムすぎるかなと思いますが、原作の持ち味である金の恐ろしさは十分堪能でき、やはりこれは原作が面白いためであろうとロロモは推測するわけです。

今回は帝国金融と難波金融の対決が描かれていますが、金貸しの頂点が銀行なら底辺が闇金となりますが、どうしても金を借りなくてはならない人と言うのはいつの時代にもいますから、闇金は必要悪として存在せざるを得ませんが、そういう所から金を借りる人は返済能力の疑わしい人になるので、必然的に金利が高くなり、この作品で語られるような10日で1割と言ういわゆる「トイチ」と言う高金利になってしまうわけです。

この金利で金貸しは食っているわけで、銀行は預金者から金を集めて利息を払い、企業に金を貸して利息を稼ぎ、その利ザヤで儲けると言う構造になっており、基本的に銀行は損をしない仕組みとなっているわけです。

ロロモは会社にいたころは経理に長くいたので、この利息に関してはかなり専門的な知識を有しているので、ここで自慢しようと思いますが、企業において銀行に預金して得る利息を受取利息として収入計上し、銀行に借金して支払う利息を支払利息として費用計上しますが、これらは本業による儲けではないので営業収入や営業費用として計上するのではなく、受取利息は営業外収入、支払利息は営業外費用として計上するわけです。

あと借入金には長期借入金と短期借入金がありまして、返済期日が貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に到来するものが短期借入金に該当し、返済期日が貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に到来しないものが短期借入金に該当し、貸借対照表では短期借入金が流動負債、長期借入金が固定負債となるわけです。

通常、賞与資金のための借入金は1年以内に返済するので短期借入金に、設備投資のための借入金は1年以上にわたって返済するので長期借入金になりますが、長期借入金の中でも1年以内に返済するものは短期借入金勘定となるので、ちょっと面倒くさくなるわけです。

そして借入金には当然利息が発生しますが、短期借入金に支払われる利息は短期借入金利息、長期借入金に支払われる利息は長期借入金利息と言う経費項目となるわけです。あとややこしいのは支払う利息の額でありまして。これは複利計算であるとか、利息の支払いが前払いなのか後払いなのかでかなり変動し、これを経費計上するのはかなりややこしいものがあるわけです。

利息を前払いする場合には支払われた額はまず前払費用と言う資産科目として計上され、それを会計期間に応じて、支払利息として経費化していますが、この辺のプロセスはかなりややこしいので、コンピューターに借入金システムと言う項目を導入して、借入金支払の仕訳や利息の経費計上の仕訳を自動計算化している企業が多いと想像されますが、借入する時には長期プライムレートとか短期プライムレートという目安となる基準レートがあったりとか、金利には固定金利と変動金利があったりとか借入金の世界はあれこれ面倒くさいものがありますが、企業としてはやはり借入金が限りなくゼロに近い状態が理想なのだろうとロロモは振り返って思うのでありました。(2015年9月)

得点 71点

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