なみだ恋

1973年 東映

キャスト:中島ゆたか(三枝子)奈良あけみ(キク江)谷隼人(五郎)佐々木功(ジョージ)殿山泰司(肥田野)須賀不二男(松本)片山由美子(ヘギー)小林千枝(洋子)田辺一鶴(岡部)八代亜紀(亜紀)

監督:斎藤武市

新宿でスナック「ダニー」を経営するキク江は、娘の三枝子にお前は鬼っ子だねと言う。「昔から親に似ない子を鬼っ子と言うんだよ」ハゲ社長の肥田野は三枝子の話はどうなったとキク江に聞く。「この子ったら未熟児じゃないかしら」「こんなケツのでっかい未熟児があるか。おっぱいだってプリプリ」お断りしますと言う三枝子。「母さん、私、断りに来たのよ。お母さんがお世話になったらいいでしょう」

店を出た三枝子のハンドバッグに強引に拳銃を入れる五郎。「何をするの」「預かってほしいんだ」「どうしたの、その傷」「狼に噛まれたんだよ」「狼?」「ああ。東京にはいっぱい狼がいるんだよ」岡部犬猫病院に五郎を連れていく三枝子。

五郎の腕から麻酔抜きで弾丸を摘出する岡部は一か月は入院じゃと三枝子に言う。「そんなに」「高くはつくが犬小屋の方が豚箱よりましじゃろ」入院費を五郎から受け取る三枝子。「俺はピンと来たんだ」「何が」「お前の目を見た時ガタガタしない、サツにも届けねえって」

ホステスの洋子をキク江の部屋で抱く肥田野。あっぷっぷと悶える洋子にしらける肥田野は洋子に2500円渡す。(畜生、三枝子を抱きたいな。こいつは代用品だ)助平代議士の松本にヘギーを紹介するキク江。「ほう、ハーフかいな。なかなか別嬪やな。ところで三枝子はどうした」「知りませんよ。どこほっつき歩いているか」病院を出て五郎のことを思い出す三枝子。ヘギーとのアクロバティックなセックスで首を痛める松本。「こら、かなわんな」

どうして私の言うことをきかないんだと三枝子に言うキク江。「ヘギーや洋子を見てごらん。一円でも高く売ろうと努力する。それを母ちゃんが手伝ってやる」「そんなこと、私にはできないわ」「お前ももう二十歳だろ。母ちゃんの世話にならないで、自立したらどうだい」「体なんかどうでもいいのよ」「じゃあお売りよ。買い手はついてるんだよ」「冗談じゃないわ」

キク江は色男のジョージをバーテンに雇って自分の愛人にする。拳銃を返してくれと言う五郎に捨てちゃったと言う三枝子。「え」「だって、あんなもん持ってるとまたよくないことに使うわ。だからドブに捨てたわ」「あれは俺の命なんだ」「捨てるのに困って私に渡したくせに」「まあ、そうだけどよ」

お前はバージンかと三枝子に聞く五郎。「え」「いや、恋人はいるのか」「さあ。いても狼に噛まれるようじゃ困るし」「男、知ってる目じゃないな。馬鹿だよ、いまどき」「みんな言うわ。捨てちゃえ、捨てちゃえって」「ドブに捨てるか」「今にあげるわ、誰かに。狼じゃない人に」「馬鹿野郎。狼にも毛並があるんだ。俺はその中でもいい方の毛並なんだ」

三枝子は五郎のことを思いながら眠るが、ジョージにバージンを奪われてしまう。そのことを知ってショック死するキク江。ショックを受ける三枝子は売春幇助と拳銃不法所持の罪で逮捕される。ジョージは泥を吐いたと三枝子に言う刑事。「こっちの聞かないことまで吐いた。おふくろさんと親子丼だそうだな」「母がやってたんです。私は何の関係もありません」「だが死人に口なしだな」「……」「この拳銃は誰のものだ」「ジョージから渡されました」

拳銃のことなど知らないと主張するジョージ。拳銃から出た指紋はジョージの指紋ではないと言う刑事。「暴力団山村組組員海老原五郎。25歳。淀橋で兄貴分をばらした。目下指名手配中だ」

三枝子とジョージは釈放される。お前のためにひどいめにあったよと三枝子に言うジョージ。「お前にハジキを渡したのは指名手配中のヤー公だって」「……」「そんな奴のこと忘れて、俺のかーちゃんになれよ」「やめて」「三枝子にとって初めての男は俺だ。あの時は痛いばっかりでわかんなかったんだろう。数を重ねれば好きになるさ」「死んでしまいたい」「馬鹿なこと言うな。酒を売るのは表向き。フーテン娘を売ったのはママだ。その思いつきには頭が下がる。俺たちでそれを引き継ぐんだ。仏の意志を立派に受け継いでこそ、ママも浮かばれる」「……」「三枝子。大人しく言うことを聞くんだ」

強引に抱こうとするジョージの背中をナイフで刺した三枝子は気を失う。そこに現れた五郎は三枝子を抱きしめる。「あいつを殺したのは俺だ」「信じられない」「俺はお前に会えると思って、ダニーに行ったんだ。扉を開けた時、お前は気を失っていた」「……」「俺は夢中で刺した」「私にはわからない。でも幸せ。ねえ、私を好き?愛してると言って」「馬鹿野郎」「私は好きよ。離さないで」「と言っても、いつか迎えに来るんだ。じゃあ行くぜ。元気でな」

新宿でスナック「日日草」のママになった三枝子は「なみだ恋」を熱唱する亜紀を見つめる。洋子を連れて歩く松本は、ヘギーを連れて歩く肥田野に声をかけられる。「おお、これは」「パパ、首大丈夫?」「首、大丈夫や」「あっぷっぷか」「ははは」差し入れに行ってきたのと亜紀に言う三枝子。「いつまでも待つと言ってくれたわ。いつかは出られるって」「じゃあ、おしまいね」「え」「な・み・だ・ご・い」

★ロロモ映画評

新宿でスナック「ダニー」を経営するキク江(奈良あけみ)は、娘の三枝子(中島ゆたか)にお前は鬼っ子だねと言う。「昔から親に似ない子を鬼っ子と言うんだよ」ハゲ社長の肥田野(殿山泰司)は三枝子の話はどうなったとキク江に聞く。「この子ったら未熟児じゃないかしら」「こんなケツのでっかい未熟児があるか。おっぱいだってプリプリ」お断りしますと言う三枝子。「母さん、私、断りに来たのよ。お母さんがお世話になったらいいでしょう」店を出た三枝子のハンドバッグに強引に拳銃を入れる五郎(谷隼人)。「何をするの」「預かってほしいんだ」「どうしたの、その傷」「狼に噛まれたんだよ」岡部犬猫病院に五郎を連れていく三枝子。五郎の腕から麻酔抜きで弾丸を摘出する岡部(田辺一鶴)は一か月は入院じゃと三枝子に言う。「そんなに」「高くはつくが犬小屋の方が豚箱よりましじゃろ」

ホステスの洋子(小林千枝)を抱く肥田野。あっぷっぷと悶える洋子にしらける肥田野は洋子に2500円渡す。助平代議士の松本(須賀不二男)にヘギー(片山由美子)を紹介するキク江。「ほう、ハーフかいな。なかなか別嬪やな。ところで三枝子はどうした」「知りませんよ」どうして私の言うことをきかないんだと三枝子に言うキク江。「ヘギーや洋子を見てごらん。一円でも高く売ろうと努力する。それを母ちゃんが手伝ってやる」「そんなこと、私にはできないわ」「お前ももう二十歳だろ。母ちゃんの世話にならないで、自立したらどうだい」「体なんかどうでもいいのよ」「じゃあお売りよ。買い手はついてるんだよ」「冗談じゃないわ」

夜の歌謡シリーズ最終作は、前作「おんなの道」でヒロインを演じた中島ゆたかがここでも夜の世界に翻弄される女を演じており、彼女のクールな美貌が堪能できますが、お話の方はかなり手抜きと言うか粗雑な構造となっておりまして、この安っぽい世界観が夜の歌謡シリーズの醍醐味なのだと言われればそれまでですが、その安っぽさを輝かせるのが言うまでもなく殿山泰司のハゲ頭となるわけです。

「夜の新宿、裏通り」で始まる八代亜紀の「なみだ恋」がこの映画の主題歌となり、彼女は重要か重要でないかよくわからない役で出演しますが、彼女は1971年に「愛は死んでも」でデビュー。読売テレビの「全日本歌謡選手権」に出場し、10週連続勝ち抜きでグランドチャンピオンに輝き、1973年に発売した「なみだ恋」が大ヒット。彼女の代表曲としては「舟唄」や「雨の慕情」があげられることが多いのですが、ロロモ的にはこの「なみだ恋」が一番いいのではと思うわけです。

またプロ野球ファンとしては王貞治から846号を打ったバットが彼女にプレゼントされたエピソードが印象的で、846が「やしろ」と言う語呂合わせからそうなったのですが、その芸名からもわかるように彼女は熊本県八代市出身ですが、その八代市にある八代東高校から阪神にプロ入りして活躍したのが池田純一でありまして、1964年の夏の甲子園に投手として出場し、開幕戦での掛川西戦で延長18回を投げ抜き0対0の引き分け試合に立役者となりますが、八代東は再戦では初回に2点をあげたものの2対7で敗戦。阪神タイガースに入団した彼は外野手として活躍し、1978年に引退します。

彼は通算80本塁打を放ちますが、そのうちサヨナラ本塁打が5本。勝負強い打撃で阪神ファンを喜ばせましたが、彼の印象で一番阪神ファンの記憶に残っているのは1973年8月5日の彼の守備であり、阪神はこの年に8連覇中の巨人と激しく優勝争いをしており、この日の試合は阪神が2対1とリードして9回を迎え、9回表に巨人は2死一、三塁のチャンスを掴みますが、黒江透修はセンターに飛球を打ち上げます。これで試合は終わったかと思われましたが、センターを守っていた池田は芝に足をとられて転倒し、打球は三塁打となり、巨人が3対2で逆転勝ち。この年は最後まで巨人と阪神は優勝争いをし、シーズン最終戦に巨人が阪神に9対0で勝って、0,5ゲーム差をつけて巨人が優勝して9連覇達成。ということは8月5日の試合で池田がセンターフライを捕っていれば阪神は優勝できたという計算が成り立ち、この池田のプレーは後に「世紀の落球」と言われるようになってしまったわけです。

落球と言っても池田は別にボールをグラブに当てて落しでおらず、本来ならば「世紀の転倒」が正しいのですが、それではフィギュアスケートっぽいので野球らしく落球となったのかもしれませんが、どうしても池田となるとこのプレーがクローズアップされるのはやむを得ないところなのでありますが、それ以外のプレーでも阪神ファンに語り継がれる選手になってほしかったとロロモは思うわけです。

この「世紀の落球」の一打を放った黒江の打球は三塁打となりましたが、外野に上がったフライを外野手が目測を誤って取り損なった場合、たいがいヒットにしてしまいますが、内野手がフライを取り損なえばたいがいエラーになるので、このジャッジは外野手に甘いかと思ってしまいますが、外野守備は打球に対するカンと言うのが必要で、同じフライでも名手は簡単にキャッチしますが、凡手はファインプレーに見せてキャッチしますので、玄人はその辺のところを見極めて野球観戦する気構えが必要となるのでありました。(2014年4月)

得点 25点

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