夏の遊び

1951年 スウェーデン       

キャスト:マイ・ブリット・ニルソン(マリー)ヒルイェル・マルムステーン(ヘンリック)アルフ・チェリン(ダービッド)ゲオルグ・フンキエスト(エルランド)

監督:イングマール・ベルイマン

稽古中のバレリーナのマリーに小包が届く。中を開けたマリーは「そんな」と呟く絶句する。マリーに新しいトゥーシューズは馴染むまで大変と話しかける同僚のカイ。「踊れないわ」「……」「どうしたの。不機嫌ね。小さい子におばさんとでも呼ばれたの。私もよ。去年まではお姉さんだったのに。28歳でおばさんなんて」「カイ。切ない夢から目覚めると泣きたくならない?」「切ない夢なんか見たことないわ」タバコを吸いながら足を冷やすカイ。「つらい仕事だわ。つま先がボロボロになる、心もね」届いてきたヘンリックの日記をめくるマリー。

新聞記者のダービッドとデートするマリー。「今夜会おう」「リハーサルがあるの」「せっかく上司に頼んで、夜をあけたのに」「別の子と」「……」「怒ったの」「いつもバレエ第一だ」結局ダービッドと喧嘩別れするマリーは、船に乗ってブロクローカン島に行く。(もう13年になる。バレエ学校の春の舞台。発表会で力不足を思い知らされた)

船の中で、ヘンリックに話しかけられるマリー。『君はダンサーだろ』『なぜわかるの』『舞台を見た』『……』『実は君に言いたいことがある』『何』『君のような美しい人は初めて見た』『夏の予定は?』『カルヴォーメン島』『私はブロクローカン島よ』『あの家か』『知ってるの』『ああ、昔リンゴを拝借した』『お隣の島なのね。会えるかも。リンゴを盗みに来る?』

海でボートに乗って遊ぶマリーはヘンリックと再会する。『おなか減った?』『どうして』『苺は好き?いいところがあるの。一緒に行きましょう』秘密の苺畑にヘンリックを連れて行くマリー。僕は離婚して伯母と一緒にカルヴォーメン島の別荘にいると話すヘンリック。『母の顔は覚えてない。父は再婚して僕に金だけを送ってくれる。どうせ僕なんか誰も必要としない』『私は必要だわ』『僕のこと好きかい?』『だから苺畑を教えたのよ』『真面目な質問だよ』『ねえ、もっと食べて』『そうだね』『ヘンリック。友達になれそう』『なれるさ』

ブロクローカン島の別荘でマリーは叔母のエリザベートと過ごしていた。そこに遊びに来たエルランドは若い娘におじさん呼ばわりされるのは嫌だとマリーに言う。『しかも美女にだ』『若い美女って私のこと?』『君はママに似てる』『ママに恋してたの?』『憧れの大女優だった。マリー、君が古い友人の娘でなかったら』『なあに』『駆け落ちしたい。遠いところで人生を満喫したい』『でも、おじさん』『おじさんと呼ばないでくれ。バレエ学校では若い男も沢山いるんだろう。君に言い寄ったりしないのかい』『いつも忙しいし、興味ないわ』

君はあのおじさんのことが好きなのかとマリーに聞くヘンリック。『おじさん?何を言ってるの』『彼は君に惚れている。見ればわかる』『あなた、焼きもちを妬いているのね。正直に言いなさいよ』海にヘンリックを突き落とすマリー。

君のことを愛してるんだというヘンリックに、愛の告白ってどんな気持ちと聞くマリー。『胃が締め付けられる。足が震えて胸が苦しい。君はどう?』『恋してない』『なるほど』『でも、あなたの手で優しく撫でてほしい』

酔ったエルランドは月の夜は君のお母さんとよく踊ったものだとマリーに話す。『彼女の顔を見つめ夢か幻想か迷った。月光と音楽だけが現実なのではないかと。今では窓辺の花もしおれて枯れた。だがあの頃は違った。赤い花が咲き、時計は時を刻んでいた』

初めてキスをするマリーとヘンリック。恋に落ちた二人は夏の島を駆け回って青春を謳歌する。(宝石のような日々が過ぎていった。陽光を浴びて抱き合い、夜は眠ることを忘れて夢中で語り合った)

ブロクローカン島に着いたマリーは別荘でエルランドと会う。「顔を見ても驚かんよ」「予想してたの」「君のことを考えていた」「狩りをしてたの」「ああ、ライチョウをね」「相変わらず仕事より趣味に熱心ね」「君は?」「暇つぶしに来ただけよ」「届いたかい?」「え」「……」「日記の送り主はおじさんだったのね。どこで見つけたの。なぜ今ごろ送ったの」「あの時、病院で見つけた。今まで保管していた」「……」「どうした、怒ったのか」「もう行かなくちゃ。船の時間だわ」「一緒に泊まっていかないかい」「いいえ。私は帰るわ」

バレエの練習をするマリーに、一緒に出掛ける約束だったろうと文句を言うヘンリック。『練習中なのよ』『最近、待ちぼうけばかり』『バレエは大切なの。わかってよ』『僕は?』『勿論大切よ』『バレエよりか』『馬鹿な質問しないで』『答えろ』『わからない』『喧嘩は初めてだ』『やめてよ』『嫌いになったら、そう言え』『そんなにすねないで。来週稽古が始まるから、ピリピリしているだけ。二か月も一緒に過ごしたじゃない。もう怒らないで。あなたが好き』『……』『好きよ。抱きしめて。誰よりも愛しているわ』

秋の風だわとヘンリックに言うマリー。『君はバレエの稽古に戻り、僕は大学に戻る。いつ会える?』『あと三日あるわ。今夜はうちで食事を』『その前に飛び込みを』『もう寒いわ』『おいで、手本をみせてやる』

しかしヘンリックは足を滑らせて頭を強打し、病院に運ばれるが、そこで息絶えてしまう。なぜヘンリックだけがとエルランドに言うマリー。『さっきまで二人で笑ってた。抱き合ったのよ。キスもした』『それが人生さ』『全て無意味なの』『そうさ。人生に意味などない』『神様はいない。いたとしても大嫌いよ。死ぬまでずっと恨んでやる』『私たちにできることは壁を作ることだけさ。身を守るためにね。壁の作り方を教えてあげよう』

(冬の間はバレエに打ち込み、春にはおじさんと旅に出た。そしてヘンリックを忘れた。自分の回りに壁を築き、外の世界に心を閉ざして、彼を忘れた)明日は初日よ、とマリーに言うカイ。「帰って寝なさいな。それともうちに来る?」「一人で帰って。疲れてるの」「あんた、なんだか変だよ」「大声で泣き出してしまいそう。私たちは操り人形よ」「じゃあ、お先に」

メーキャップを落すマリーに、君は20年間稽古場に通って来たと話す演出家のコッペリウス。「20年もだ。そしてあと8年もすれば御用済みとなる」「あなたは?」「私はバレエ教師だ。歳をとれば円熟と威厳が増す。君たちは捨てられる。君はメークをするのも落とすのも怖い。踊りをするのもやめるのも怖い」

「馬鹿馬鹿しいわ」「一度だけ真実の時が来る。自分を取り囲む壁が崩れ、裸で震えている本当の自分が見える。一度だけね」「気の滅入る話ね」「生きるのも死ぬのも怖い」「……」「幸せが望みか。<意味のある人生を送りたい><生き直したい>意味は幸せなどただの言葉だよ。ただ踊り続けて老いていくだけ。それが君の運命なんだ」

コッペリウスは去り、ダービッドがマリーの楽屋に入ってくる。私は疲れているのと言うマリーにいつもそればかりだと言うダービッド。「仕事を辞めて僕と結婚しろよ」「愛してもいないくせに」「君は僕を必要としない。心を閉ざして何も話してくれない。どうせつまらない男さ。二流の記者で、君はスターだからね」「そうじゃないわ。誤解よ」

泣こうとするマリーの肩を抱くダービッド。「子ども扱いしないで。あなたより年上なのよ」「年上の女がタイプなんだ。僕は自分勝手な男だけど、君のことが心配なんだ」「私に構わないで」「馬鹿言うな」「明日改めて電話する」「今話せよ」

私たちやっていけないわと言うマリー。「そんなことはない」「こう言いたいんでしょう。ビタミン不足だ、早く寝ろ、初日前の緊張だ、って」「違うのか」「帰って、ヘンリック」「ヘンリック?」「……」「ヘンリックって誰だ」「帰って。本をあげる。明日までに読んでおいて。その後でゆっくり話し合いましょう。いいでしょう」「明日来るよ」

去っていくダービッド。(さっきまでは泣き崩れたかった。遠く切ない思い出を涙で洗い流そうとしたけど、今はもう悲しくない。どうしてなのかわかった。今の幸せが大切なのよ)

ヘンリックの日記を読んでマリーに会いに行くダービッド。マリーはダービッドにキスをすると、初日の舞台に思い切り臨むのであった。

★ロロモ映画評

稽古中のバレリーナのマリーに小包が届く。中を開けたマリーはヘンリックの日記をめくる。(もう13年前になる。バレエ学校の春の舞台。発表会で力不足を思い知らされた)13年前、ブロクローカン島の別荘でマリーは叔母のエリザベートと過ごしていたが、そこでヘンリックという青年と激しい恋に落ちるが、ヘンリックは海に飛び込もうとして、は足を滑らせて頭を強打し死んでしまう。それからマリーはずっと壁を作って生きてきたが、日記を読みなおして、今の幸せを大切にして生きて行こうと誓うのであった。

スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督の第10作目となるこの映画は、青春映画に属するものなのでしょうが、ストーリーはともかく北欧の夏の描写の美しさを堪能できる映画であり、やはりこういうのを見ると無条件に北欧とはいいところなのだと広島生まれのロロモは思ってしまい、この映画は1951年の作品でありますが、21世紀の今もスウェーデンではこうした風景はふんだんに残されているんだろうなとロロモは勝手に想像するわけです。

この映画はバレリーナを主人公にした映画でありますが、ロロモはバレエの世界はほとんど興味がないので同じように優雅に踊る女子フィギュア選手ベスト20を発表。20位八木沼純子、19位佐藤有香、18位カロリーナ・コストナー、17位トーニャ・ハーディング、16位渡部絵美、15位サーシャ・コーエン、14位サラ・ヒューズ、13位村主章枝、12位ナンシー・ケリガン、11位伊藤みどり、10位ジャネット・リン、9位イリーナ・スルツカヤ、8位スルヤ・ボナリー、7位キムヨナ、6位荒川静香、5位安藤美姫、4位浅田真央、3位カタリナ・ヴィット、2位デニス・ビールマン、そして1位はミシェル・クワンとなるわけです。

この映画が公開された1951年にサウスポーの福間納が生まれています。島根の浜田高校時代に1969年春に甲子園出場。卒業後は松下電器に入社し、1970年のドラフトで阪急から7位指名を受けますが入団拒否し、1978年のドラフトでロッテから1位指名を受けて入団。しかしルーキーイヤーの1979年は19試合に登板して0勝1敗、1980年は8試合の登板して0勝0敗と期待を裏切る結果に終わります。

1981年は一軍に上がれない状態でしたが、シーズン途中でアンダーハンドの深沢恵雄との交換トレードで阪神に入団。すると中継ぎで35試合投げる活躍を見せ、1982年は63試合に登板し、プロ初勝利をマーク、1983年は69試合に登板し、規定投球回数に到達し、防御率1位のタイトルを獲得。1984年にもリーグ最多の77試合に登板し、阪神が久々に優勝した1985年にも58試合に登板し、8勝をマークするなど、1980年代の阪神になくてはならない投手となったわけです。

彼のこの活躍はロッテ時代では想像できないものであり、ロッテとしては逃がした魚が大きかったわけですが、彼の代わりにロッテに入った深沢は1976年に阪神に入団しますが、1980年まで69試合に登板して1勝3敗1セーブと冴えない成績に終わり、1981年は一軍に上がれない状態でしたが、シーズン途中で福間との交換トレードでロッテに入団。すると1982年からローテーション投手となり、1983年に12勝、1984年に15勝をマークするなど、ロッテで通算50勝をマークしたわけです。

ということでこのトレードは両チームともウハウハの結果に終わったトレードでありますが、なかなかこうは問屋がおろさないのがトレードの常でありまして、これはまったく稀有な例で、たいていは両方とも期待外れの結果に終わることが多いかと思いますが、福間と深沢のケースは両方ともダメでも、元々の成績がダメなので、ダメでもあきらめがつくのかと思ったりするのでありました。(2012年12月)

得点 18点

 

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