ナバロンの要塞

1961年 アメリカ

キャスト:グレゴリー・ペック(マロニー)デイヴィッド・ニーヴン(ミラー)アンソニー・クイン(アンドレア)スタンリー・ベイカー(ブラウン)アンソニー・クェイル(フランクリン)イレーネ・パパス (マリア)ジア・スカラ(アンナ)ジェームズ・ダーレン(パパディアス)ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス(ジェンセン)

監督:J・リー・トンプソン

「1943年、二千人の英国軍兵士がエーゲ海のケロスという小島に取り残された。攻撃を受ければ全滅は免れない。枢軸側は中立国トルコを味方につけるため、エーゲ海で武力誇示を始めた。舞台となったケロス島はトルコの海岸から数キロの距離にある。独軍は最高兵器による攻撃を準備し、英軍兵士の運命は風前の灯となった。ケロス島への唯一の海路はナバロン島にある二門の新型大砲で守られていた。強力かつ正確なため海から攻撃できない。連合軍は敵の総攻撃を一週間前に察知した。その後の六日間は後の伝説となる」

一日目、2時。中東にある連合国基地に呼ばれたマロニー大尉は、ジェンセン准将とフランクリン少佐と会う。ナバロン要塞は難攻不落だと語る兵士たち。「空からも攻撃は無理だ。絶壁の上に要塞がある。険しい岸壁で大砲どころか洞穴も見えない。それにあの岩を吹っ飛ばせる爆弾もない」「飛行機に火薬を積んで、洞穴の中に突っ込めばいい。問題は誰が突っ込むかだ」

私をなぜ呼んだと聞くマロニーに、君は特技があると答えるフランクリン。「ギリシャ語と独語を話す。そして戦前の君は世界最高の登山家だった」「……」「ナバロン島のドイツ軍が見張っていない海岸が一か所ある。南の絶壁だ。獣でも登れないが、俺たちを絶壁の上に連れて行ってほしい。誰かが登らないと、二千の兵は水曜日には死ぬ」ナバロン島行きを同意するマロリー。

ナバロン島行きのスタッフを説明するジェンセン。「まず当然フランクリン少佐。次にミラー伍長。爆発物にかけては天才だが、将校への昇進は断っている。フランクリンとは旧知の中だ。機械の専門家ブラウン。ナイフの名人でもあり、バルセロナの殺し屋とも呼ばれている。パパディモス二等兵。彼の父親はナバロンのレジスタンスの連絡係。あとは優秀なるギリシャ軍大佐のアンドレア。これがチームだ」「天才ぞろいなら成功できるだろう」「そうだ。火曜の深夜、6隻の駆逐艦を送り、兵を救出する。大砲を封じなければ、その6隻は海に沈む」

一日目、18時。マロニー、フランクリン、アンドレア、ミラー、ブラウン、パパディモスは顔合わせをする。説明するフランクリン。「マロニーとアンドレアは我々をナバロン島に連れて行く。海岸を避け、山を越えて、セント・アレクシスへ行く。マンドラコスからレジスタンスが何人か連れて行く」

二日目、7時30分。マロニーたちは漁船でナバロン島に向かう。途中でドイツ軍の巡視船に出くわすが、マロニーたちはドイツ兵を皆殺しにし、巡視船を破壊する。ただ一人生き残ったドイツ兵をブラウンは殺すことをためらうが、パパディモスがドイツ兵を射殺する。

二日目、19時。船は嵐に見舞われる。アンドレアとは長い付き合いだ、とフランクリンに話すマロニー。「終戦後、奴は俺を殺す」「なぜだ」「一年前、俺は敵兵に通行権を与えた。負傷兵の移送だ。市民戦争のころの感傷が残っていた。友軍の負傷兵が撃たれ、アンドレアの家は破壊され、彼の妻と子供は殺された。埋葬の後、彼は家族が死んだのは俺の愚かさのせいだと言った。殺すと予告した」「今でも本気か」「クレタ人は無益な脅しはしない。彼の今の目的は敵を殺すこと。俺がその役に立つうちは俺を生かしておくだろう。そう願いたい」

三日目、2時。船は座礁し、マロニーたちはなんとかナバロン島に上陸する。一同はマロニーに従って絶壁を登って行くが、フランクリンは大怪我を負ってしまう。マロニーはミラーとパパディモスに担架を担いでフランクリンを運べと命令する。あなたが指揮官になったんですか、とマロニーに聞くミラー。「そうだが、何か」「いや。聞いただけです」

なぜ船の上で敵を殺さなかった、とブラウンに聞くマロニー。「ためらった」「百戦錬磨のバルセロナの殺し屋がためらったのか」「1937年から敵を殺し続けているがキリがない。敵は動く標的を撃つだけだが、ナイフだと血が臭う。仕事はするがそれ以上はやらない」「一人で平和ごっこするな。お前の仕事は敵兵を殺すことだ」

フランクリンを敵に渡そうというミラー。「重傷だ。治療しなければ助からない」選択肢は二つだ、というマロニー。「連れて行かなければ命が危ない。置いていったら作戦を話す」「彼が?話すわけないだろう」「自白剤を打たれれば何もかも喋る」三つ目もあるというアンドレア。「一発撃てば皆が助かる」「その手もあるが、それは最後の手段だ。今は違う。少佐を連れて行くぞ」

三日目、9時半。ブラウンは無線連絡でドイツ軍のケロス島攻撃が一日早まったことをマロニーたちに知る。足手まといになるのを嫌がったフランクリンは拳銃自殺しようとするが、ミラーに止められる。司令部から任務は解除された、とフランクリンに囁くマロニー。「中止だ」「本当か」「連合軍はあさって上陸作戦を行う。東の海岸に。俺たちは騒ぎを起こせばいい。君はレジスタンスに渡して治療してもらう」

三日目、20時。山を越えて、セント・アレクシスに着いたマロニーたちはレジスタンスのパパディモスの姉であるマリアとアンナと合流する。父は二日前に捕まったと話すマリア。「捕まった?」「心配ないわ。敵に話すより死を選ぶわ」マリアと抱き合うパパディモス。アンナは口がきけないと説明するマリア。「独軍が来る前は教師だった。奴らは彼女から情報を得ようと背中を鞭打った。要塞に半年閉じ込められて、解放後は口もきけない。背中の傷も決して見せない。でも立派な戦士よ」

四日目、8時。一行はマンドラコス近辺に到着するが、ドイツ軍の攻撃を受けて、からくも命拾いする。四日目、15時。一行は二手に分かれ、マリアとブラウンとアンドレアはフランクリンを病院に運ぼうとするが、ドイツ兵に囲まれる。マロニーとミラーとパパディモスはアンナの家に行くが、そこを襲われて非常口から逃げ出し、結婚式の披露宴に紛れ込むが、結局ドイツ兵に見つかってしまう。

四日目、21時。ドイツ軍の将校は、爆薬のありかを教えれば命は助けてやるとマロニーたちに言う。アンドレアは私はキプロスの漁民で無理矢理仲間にされたと訴えて、相手の隙を作る、その隙にマロニーたちはドイツ兵に襲いかかり、彼らの自由を奪う。将校にフランクリンは置いていくと話すマロニー。「負傷している。手当してくれ」「我々にも慈悲はある、殺さない。安心しろ」

四日目、23時。マロニーたちは爆薬を積んだジープで要塞近くの教会に潜伏する。明日の夜10時には要塞の中に入る、というマロニー。「命令が変わったと少佐に話した。連合軍は明日東の海岸で上陸作戦を行う。我々の任務は陽動作戦だと。奴らは少佐の手術の前に、自白剤でそれを聞きだすはずだ。従って海岸の守りを固め、要塞は手薄になる。だが要塞には守備隊がいる。アンドレアとパパディモスとブラウンは、敵を引きつける。混乱に生じて、俺とミラーが要塞に忍び込む。女性二人はできるだけ速い船を盗め。仕事が済んだらみんなで脱出だ」

最初から少佐を囮にするつもりだったんですね、とマロニーに聞くミラー。「だから死にかけた男をずっと運ばせた。あなたは彼を利用したんだ。血も涙もない人だ」「最初は考えなかった。でも任務のためにはこうするしかなかった」「任務など知るか。人間は絶滅するまで戦争を続けるだろう。私には少佐が必要だ」「トルコが敵についたらどうする」「世界中が戦えばいい」

「ケロスの二千人の捕虜はどうする」「捕虜は知らんが少佐は知っている」「とにかくほかに手段がなかった。みんな早く寝てくれ。明日は存分に働いてもらう。私は見張りをする」見張りをするマロニーに近づくアンナ。「教えてくれ。道徳の観点からだ。我々が善と文明の代表として、俺の行為は正しかったのか?」涙してマロニーの胸に顔を埋めるアンナ。

最終日。21時。自白剤を投入されたフランクリンは、攻撃目標は東の海岸だと自白する。それを受けて、ドイツ軍は主力を東の海岸に向ける。行動だ、とマロニーは言うが、ミラーはパーティーは終わったといい、爆薬が使い物にならなくなっていると話す。「この中に裏切り者がいる。俺が目を離したのは一度だけ。その時はアンナが見張っていた」「何を言うの」

「ちょっと待て。島に来てから危機の連続だった。マンドラコスの近くで襲われたり、医者の家で敵が待ってたり、彼女の家も囲まれた」「でも逃してくれた」「家が荒らされるのがイヤだったんだ。そして家にメモを残し、結婚式の披露宴にいる我々を捕まえさせた」「冗談言わないで」「冗談かどうかは彼女の背中を見ればいい。傷跡があるかどうかを」

アンドレアはアンナの背中に傷などないことを皆に見せる。私は苦痛に耐えられなかった、と話し出すアンナ。「敵の中で一人ぼっち。売春宿に入れられるとか、拷問すると脅された。実際に拷問も見たの。あなたたちにチャンスはないと昨夜言いたかった」爆発させる方法はあるか、と聞かれ、ないこともないと答えたミラーは、アンナに対する選択肢は三つあると言う。「置いていくと敵に見つかり、作戦がばらされる。連れていけば面倒が増える。三つ目はアンドレアの選択肢だ」

殺したいなら殺せ、というマロニーに、人殺しは英雄の指揮官にお任せします、と答えるミラー。「俺だっていい気はしないが、任務だから我慢してる」「あなたは将校だ。私は責任が嫌いで、昇進を断った」「それで楽をしてるわけだ」「あの女を殺してもらわないと。それがあなたの任務だ。目を閉じ、祖国を思って、引き金を引く」マロニーはアンナに銃を向ける。ミラーがマロニーに駆け寄ろうとしたとき、マリアの放った銃弾がアンナの命を奪う。

行動を開始しろ、と命令するマロニー。「ブラウン、マリアと行け。アンドレアとパパディモスは予定通りだ」ミラーに軍人にとって殺すことは難しくないと話すマロニー。「君は常に見物者でいたが、もう傍観者でいることは許されない。首までつかっている。爆発物の天才の腕を見せろ」

アンドレアとパパディモスはレジスタンスを扇動して騒ぎを引き起こす。ドイツ軍は挑発に乗って、レジスタンスに攻撃を加える。その隙に要塞に入ったマロニーとミラーは、二門の新型大砲付近のエレベーターに爆薬を仕掛ける。マリアとブラウンは船を奪うが、その際にブラウンは命を失う。パパディモスもドイツ兵に狙撃されて命を失う。

爆弾を仕掛け終えた二人は海に飛び込み、マリアの操縦するボートに回収される。アンドレアもボートに逃げ込む。弟は死んだ、とマリアに告げるアンドレア。「ドイツ兵に向かっていった。任務を忘れたんだ」ケロス島に向かう駆逐艦に向かい、新型大砲は攻撃を開始するが、その砲撃のショックで爆薬は作動し、ナバロンの要塞は大爆発を起こす。フランクリンは大爆発の音を聞いて何が起こったのかを悟り、満足の笑みを浮かべる。

クレタ島に帰るの、とアンドレアに聞くマリア。「ああ。俺と一緒に行くか」「ナバロン島に戻らないと。独軍は街を焼いた。あなたたちの任務の代償にね」俺もナバロン島に行く、とマロニーに告げるアンドレア。「任務は終わった」「あんたの任務はな」握手するマロニーとアンドレア。捕虜も解放されるでしょう、とマロニーに言うミラー。「不可能だと思った」「実は俺もだ」二人は燃え上がるナバロンの要塞を見つめるのであった。

★ロロモ映画評

1943年、二千人の英国軍兵士がエーゲ海のケロスという小島に取り残され、独軍は最高兵器による攻撃を準備し、英軍兵士の運命は風前の灯となる。ケロス島への唯一の海路はナバロン島にある二門の新型大砲で守られていた。中東にある連合国基地に呼ばれたマロニー大尉は、難攻不落だと呼ばれるナバロン要塞を攻略してくれと頼まれる。「君はギリシャ語と独語を話す。そして戦前の君は世界最高の登山家だった」。

そしてナバロンにフランクリン少佐、爆発物にかけては天才のミラー、機械の専門家でナイフの名人でもあり、バルセロナの殺し屋とも呼ばれているブラウン、パパディモス二等兵。父親がナバロンのレジスタンスの連絡係であるパパディモス二等兵、優秀なるギリシャ軍大佐のアンドレア、そしてマロニーの六人が向かうことになり、あまり時間が残されていない中で、六人はナバロン要塞破壊を目指すわけです。

この映画はちょっと納得しないところが多く、フランクリンを恨みに思っているアンドレアは結局フランクリンを殺す気がまだ残っているのかどうかよくわからず、ミラーの存在意義もなんだか中途半端で、あまりやる気のないミラーにマロニーはお前は優秀な殺人技能を持っているのだからそれを使うのがお前の仕事だと命令し、戦争は相手を沢山殺した方が偉いというのは、どうもしっくりせず、ミラーは裏切り者だったアンナをマロニーに処刑しろと迫り、結局マリアがアンナを殺しますが、あれは何だかずるいなと思ったわけです。

一番残念だったのが、バルセロナの殺し屋とも呼ばれているブラウンがほとんど活躍しなかったことで、これではハッタリ野郎ではないかとガッカリし、「バルセロナの殺し屋」というくらいですから、その片鱗を見せないとタイトルに偽りになってしまうのでありまして、ロロモがこの映画で一番気に入らないのはその過大広告みたいなブラウンの取り扱いで、これなら「バルセロナのナイフ名人」くらいにしてほしかったと思うわけです。

これはいわゆる戦争映画で、ラストのナバロン要塞破壊がクライマックスで、こういう映画は大画面かつ大音響で見ないと本当の価値がわからないのかもしれませんが、名画というものは大画面だろうとテレビの32インチ画面だろうと名画なのだとロロモは思いますが、「ナバロン」と聞いて思い出すのが、1982年のロキシー・ミュージックの8枚目のアルバム「アバロン」でありまして、これだけ聞いていて心落ち着くとアルバムはないと思われ、これが大人のロックなのだという完成されたサウンドが今でもロロモの胸に響いておりますが、7枚目のアルバムの「フレッシュ・アンド・ブラッド」もなかなか素晴らしく、そこに収められている「セイム・オールド・シーン」と言うナンバーはロロモが彼らのナンバーの中で一番好きなナンバーなのでありました。(2012年12月)

得点 16点

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