ナイル殺人事件

1978年 アメリカ

キャスト:ピーター・ユスティノフ(エルキュール・ポワロ)ロイス・チャイルズ(リネット・リッジウェイ)サイモン・マッコーキンデル(サイモン・ドイル)ミア・ファロー(ジャッキー)ジェーン・バーキン(ルイーズ)ジョン・フィンチ(ファーガソン)アンジェラ・ランズベリー(サロメ・オッターボーン)ジャック・ウォーデン(ベスナー)

監督:ジョン・ギラーミン

莫大な遺産を相続して一躍大富豪になり、豪邸を買ったリネットのところに友人のジャッキーが訪ねてくる。「話を聞いて。頼みがあるの。私婚約したの」「素敵じゃないの、ジャッキー」「彼をこの屋敷で雇って。名前はサイモン・ドイル。私の理想の男性なの。彼も私の文無しなの」「で、私にどうしろと」「広い屋敷だからサイモンを管理人に。ケンブリッジで経営学専攻よ」「いいわ。とにかく連れて来て」

リネット邸に向かう車で話し合うサイモンとジャッキー。「気おくれしそうだな」「大丈夫。気に入られるわ」「印象よくするよ」「サイモン、愛しているわ。ハネムーンはエジプトよ」「前から言ってたね」屋敷にやってきハンサムなサイモンをしげしげと見つめるリネット。「任せられそうね」

それからしばらくして、リネットはサイモンと結婚し、新婚旅行に出かける。エジプトのピラミッドの上で愛を語るサイモンとリネット。そこでピラミッドの構造について話し始めるジャッキー。「何してるの」「ご両人同様に見物よ」「ベニスでもアテネでもであった。わざとつきまわしているのか」「私がどこに行こうと私の自由よ」カイロのホテルで優雅にダンスを踊るリネットとサイモン。そのロビーにはバカンスを楽しむ名探偵ポワロの姿があった。

チューリッヒのベスナー医師はアメリカのファーガソン青年と話し合う。「君も休暇旅行かね」「資本主義衰退の検分です」「いい見本がいる。若き女相続人だ」「寄生虫だ」「むかつくかね」「社会の敵だ」「かもしれん。あまりに力を持ちすぎている」作家のサロメ・オッターボーンがポワロに話しかける。「新しい本をお書きですか。エジプトを題材に」「さすがは名探偵ポワロさん。今度の大作「スフィンクスの雪」の現地取材に。主人公の若き英国女性が砂漠の王子の冷酷な心を溶かす一大ロマンです」

サイモンはジャッキーにつとまわれて困っているのでなんとかしてくれ、とポワロに頼む。ポワロは過去を忘れなさいとジャッキーに忠告するが、ジャッキーは私は楽しんでいるだけ、とカバンから拳銃を見せる。「これをあの女の頭に押し付けて引き金をひいてやりたいわ。私は射撃の名手なのよ」「気持ちはわかるがおやめなさい。いったん悪を心に住みつけると離れなくなるものです」「それでもいいわ」

一同はナイル河を就航するカルナーク号に乗り込む。デッキで話をするサロメとリネット。「お話なら弁護士同士で」「そのことでお願いがあるの。「柿の木の下の欲情」では若い女性の心が愛のリズムに高鳴るのを書きたかっただけなの。好意的に書いたつもりよ」「人のことを淫乱症のヒヒみたいに書いて好意的もないものだわ。悪趣味な戯言に報いがどれほどが思い知らせてやるわ」「あばずれめ。思い知るがいい」二人の会話をうたたねしながら聞くポワロ。

大事な話があるんです、とリネットに言うリネットの小間使いのルイーズ。「婚約者から女は帰したという電報が来ました。私が行くのを待っています。五年も仕えたのです。約束の金を」「論外ね」「マダム。あなたはお金をくれると約束しました」「まだ離婚していないわ」「お願いです。持参金がいるんです」「当分今のままね」「あんまりですわ」「ダメよ」「あなたは人でなしだわ」二人の会話を興味深そうに聞くポワロ。

バーで話をするリネットとベスナー。「あなたは有力者の間で私を中傷しているだろう」「あなたは偽医者よ。親友のマイラに何をしたの。変な注射を打って」「あれはアルマジロの尿だ。何人もの患者に効果抜群だった」「マイラは精神異常になったわ」「治療のことで無責任な中傷はやめろ」「訴えたらいいでしょう」「できん。スキャンダルは病院の命取りなんだ」カウンターからベスナーに語りかけるポワロ。「コニャックでもいかかですか。ベスナー博士」

展望室で、私のストールがなくなったと騒ぐサロメは、うたたねするポワロに話しかける。「そのうち事件の話などをお聞かせを」「そうですな」「眠そうですね」「どういうわけか。もう眼も開けていられないほどで」「そう。おやすみなさい」船室に戻って大いびきをかいて寝るポワロ。客室にはリネットとサイモンとサロメがいた。そこに現れ酒を飲みながらリネットとサイモンに絡むジャッキー。もう寝るわ、とサイモンに言うリネット。「あなたも来る?」「先に行ってて」サロメも客室を出ようとするが、私の話を聞いて、とジャッキーが引き留める。

ジャッキーはサイモンがひどい男だとサロメに話し始める。やめろ、と怒鳴るサイモン。「君は自分を傷つけてるだけだ」「何よ。偉そうに」「やめないか」「いっそ殺してやる」バッグから拳銃を取り出してサイモンめがけて発砲するジャッキー。右脚を抑えて苦悶の表情を浮かべるサイモン。呆然として拳銃を放り出すジャッキー。ハンカチで足を抑えるサイモン。

展望室に現れたファーガソンに、早く助けて、と訴えるサロメ。ベスナー博士を呼ばないと、というファーガソンに、それよりジャッキーを頼むと言うサイモン。ああああ、とヒステリー状態になって叫ぶジャッキー。ジャッキーを抱えて展望室を出ていくファーガソンとサロメ。それから医者を早く、と叫ぶサイモン。ヒステリー状態のジャッキーをジャッキーの船室に連れて行くファーガソンとサロメ。ファーガソンはベスナーを呼びに行く。

サイモンの傷を手当てするベスナー。「これはひどいな。骨を折れとるし、出血も多い。私の船室に運ぼう」ベスナーとファーガソンはサイモンをベスナーの船室に抱え込む。銃を放り出したままではまずい、と展望室に戻るファーガソン。ジャッキー一人にしてはいけない、と言うサイモンに、サロメがついている、と答えるベスナー。「僕のせいだ。彼女に冷たくしたから、それに酔っていたし」「奥さんに言ったほうがいいかね」「いや。寝かせておこう。話は朝になってからだ」銃はなかった、とベスナーに告げるファーガソン。「何も起こらなければいいが」

朝になり、船室で死体となって発見されるリネット。壁に書かれたJの血文字を見つめるポワロ。ベスナーはリネットの頭部の弾痕を見ながら言う。「弾は小さい。凶器は二十二口径の拳銃だろう。至近距離で撃っている。焦げ跡がある」リネットの右手の人差し指に血の跡があるのを見つけるポワロ。「死に際に犯人を教えようと書き残したんだ。ジャッキーのJを」何を馬鹿な、と言うベスナー。「この人は即死だよ。血文字など書く暇はない」「だが事実Jの字がある。なぜか」死亡時刻は午前〇時から二時の間だと言うベスナー。それは面白いと言うポワロ。「その時刻ならジャッキーは殺せない」

リネットは十一時四十五分に客室を出たというポワロ。「その後ジャッキーはサイモンやサロメといた。ファーガソンもいたし、一晩中サロメがそばについていたし、サロメはジャッキーに睡眠薬を飲ませたそうだから」「サイモンもシロだな。あの傷では遠くに行けん。一歩も動けん」

ベスナーに殺害のチャンスがあったというポワロ。「サイモンが撃たれた時、あんたはデッキにいた。そして手当てに言った時に銃を拾い、騒ぎが納まってリネットの部屋に行き、彼女を撃つ」「……」「あなたには立派な動機もある。病院の経営のことだ。死人に口なしですからな」ポワロはリネットのマニキュア液をあけて、その匂いを嗅ぐ。

ファーガソンに聞くポワロ。「君は先生とサイモンを運んで銃を取りに戻ったが、その間の時間は?」「三、四分です」「事件の際、君は客室の外にいた。すると銃の位置が見れたわけだ。では展望室が無人になるのを待って、銃を取るが「なかった」と言うこともできる。そして先生の部屋に戻る前に、リネットを撃つこともできる」「動機は何ですか」「あなたは彼女のことを社会の寄生虫と罵ってましたな」「……」

サロメもリネットを撃つことができた、と話すポワロ。「あなたはヒステリーになったジャッキーをファーガソンがなだめているときに、銃を拾うことができた。そしてジャッキーが寝静まってから、リネットを撃つ」「……」「動機は言うまでもありませんな」

目覚めたジャッキーはリネットは死んだのとポワロに聞く。「本当です」「私じゃないわ。疑うでしょうけど」「あなたでないことはわかっています」「よかった。でもサイモンは。あの人は大丈夫?」「ベスナー先生は心配ないと言ってます」「正気じゃなかったのよ。許してくれるかしら」ベスナーの部屋で横たわるサイモンのところに行くポワロ。「先生からリネットが殺されたことを聞きました」「さぞショックでしょう」「ええ。でもジャッキーが犯人ではないです」「ご安心を。彼女でないことは確かだから」

そこにルイーズが入ってきて、ポワロを見てうろたえる。「失礼。サイモン様に何か御用はないかと思って」「今のところ別に」君は死体の発見者だね、とルイーズに聞くポワロ。「奥様を最後に見たのはいつだね」「昨夜です。就寝前の着替えを手伝いました」「それから」「自分の船室に」「何か見聞きしてないかね」「無理ですわ。部屋は反対側です。でも、もしも私が眠れなくて、デッキに出てたら、忍び込む犯人を見られたのに」

サイモンに詫びるルイーズ。「申し訳ありません。お役に立てなくて」「心配しなくていい、ルイーズ。君の面倒は見る」君がすぐ船室に戻らなかったとしたら、とルイーズに言うポワロ。「旦那様が撃たれるのを目撃したはずだ。デッキで様子を見ていて人がいなくなったら銃を取る。そして奥様を撃つ」「ひどいこじつけ。なぜ私がそんなことを」「君の色恋沙汰走は知っている。奥様が退職に反対だったことも」「……」

川底から拳銃が発見される。「まさにジャッキーのピストルだ。デリンジャー二十二口径。四連発だ。二発発射している。男物ハンカチに赤い染み。重りにした大理石の灰皿。そしてサロメのストール。ストールには焦げた跡がある」ジャッキーはサイモンに会わせてとポワロに頼む。「五分でいいわ。あの人に詫びたいの」「先生に聞いてみましょう」ベスナーは五分くらいなら問題ない、と言う。サイモンに許してと詫びるジャッキー。「あなたを殺すところだった。歩けるようになるの」「当たり前だ」「本当に悪かった」「謝ることはない」五分間だけですぞ、と船室を出るベスナーとポワロ。

右手に千フラン紙幣の切れ端を握りしめるルイーズが自分の船室で死体となって発見される。殺しの関係で誰かを強請っていたとベスナーに語るポワロ。「馬鹿だった。読めていたのに。彼女は言っていた。「もしも私が眠れなくて、デッキに出てたら、忍び込む犯人を見られたのに」と。だが本当は殺人犯を見た。それで欲心を起こした」ルイーズは咽喉を斬り裂かれているというベスナー。「死後一時間といったところですな」「私には犯人がわかっている。皆さんを展望室に呼んでください」

展望室で一同を前に語り始めるポワロ。「ゲームは終わりました。私はリネット、ルイーズ殺しの犯人を知っている。愚かにも私はサイモンが撃たれた時、目撃者がいたと言う先入観で調査を始めた。そして目撃者は拳銃を拾い、リネットを殺し、ジャッキーを犯人に仕立てようとした。そう推理できる状況でした。己の信用を守るための殺人か、莫大な遺産相続に反感を抱いたか、自分の名誉を守るためか、色恋沙汰に決着をつけるためか」「……」

「そこで私はある重要なことを思い出した。事件当夜、私は常になく熟睡していた。何故か。酒に薬を盛られたのです。私に現場にいられてはまずかったのでしょう。食堂のワインに細工することは実に簡単です。この一件でも計画的犯行とわかります」「……」

「そこで不思議に思ったのはジャッキーを犯人に仕立てたいなら、なぜ兇器を隠したか、です。それは犯人が隠さざるを得なかった。そう思えるのです」「……」「ベスナー博士。先生はリネットの死体を調べましたな」「ああ」「傷口の周囲は焼け焦げていましたな。頭にうんと近づけて撃ったからだ」「その通りだ」

「だが川からあげた銃はストールに包まれていた。包んで撃った形跡もあった。銃声を消すためです。ベスナー博士、ストールに包んで撃ったら、傷口は焦げなかったでしょう」「ええ」「つまりリネットの時は包んでいなかった。ではジャッキーがサイモンを撃った時が。違う。サロメが見ている。従って三度目がある、我々の知らない時が」「……」

「しかし、あの銃で発射されたのは二発だけ」「……」「さて、リネットの部屋でおかしなことがありました。マニキュア液でした。残った少量の中身は真っ赤でした。しかも甘い香りではなく酢っぱかった。つまり赤インクだったのです。それは銃と一緒に包んであったこのハンカチ。薄いピンクの染みがインクの跡です。やがて決定的な事件が起きました。ルイーズが犯人を脅迫して殺されたのです」「……」

「彼女は「もしも私が眠れなくて、デッキに出てたら、忍び込む犯人を見られたのに」と言いました。なぜ仮定法で言ったのか。つまり本心をほのめかしたのです。あの時あの場にいた殺人犯人に対して」でもそこにはあなたと僕しかいなかったというサイモン。「左様。あなただけです。あなたは先生とずっと一緒にいたので、あの時しか話す機会はないのです」

実にくだらん、というサイモンに、君は要求に答えた、と話すポワロ。「君の面倒は見る、と。これこそ彼女が願った保証だったのだ」サイモンがリネットを殺し、それをルイーズが見た、と断言するポワロ。骨折した足で走り回れるわけがない、というベスナーに、実際の状況を考えてみましょう、と言うポワロ。

「ジャッキーが撃ってサイモンが倒れるのをサロメが見ていました。サロメが助けを求めるところにファーガソンが来た。見るとサイモンが赤く染まったハンカチを脚に苦悶の表情を浮かべている。当然サイモンが撃たれたと思うがこれは違う。弾はよそに飛んでいた。サイモンはジャッキーを部屋へ連れていけと言い張る。ジャッキーは二人に付き添われて去っていきます」「……」

「一人になったサイモンは拳銃を掴んで、妻の船室に入り、妻を殺すと、彼女の指に血をつけ、壁にJの文字を書いて、マニキュア液を置いて、展望室に戻る。そしてサロメのストールで消音と焼け焦げを残さぬため銃を包み、自分の脚に撃ちこむ。そして拳銃から空薬莢を抜き取り、そのあとに新しい弾を装填する。銃が発見されても撃ったのは二発と見せるためです。銃を包みなおして、染みのハンカチを入れて、大理石の灰皿を重りにして、窓からナイル川に投げ込む。そしてソファーに倒れ込んで新しいハンカチを脚にあてる。今度は本当の苦痛です」「……」

これは初めから仕組まれた犯行だ、というポワロ。「サイモンは与えられた役割を果たしたに過ぎない。主犯はジャッキーです。彼女は撃つことでサイモンのアリバイを作った。彼女のアリバイはサイモンが作った。彼は誰かついてろと言い張った」嘘よ、というジャッキーにこれが真実だ、というポワロ。「君とサイモンは今も愛し合っていた。彼が妻を殺して遺産を相続。あとで昔の恋人と結婚。そういう筋書きだった」「……」「それにしても馬鹿なことをした。船室の壁にJの文字を書いたことだ。君を容疑の圏外に出す効果はあるが、そうしたがるのは誰だ。共犯者だ」

しかし計画に狂いが生じた、と語るポワロ。「ルイーズが起きてて、サイモンがリネットの部屋に入って、出ていくのを見た。そこで欲をかき、口止め料をせびって死を招いた」サイモンには殺せんぞ、というベスナー。「彼は身動きできないのだから」「その通り。やったのはジャッキーです。ジャッキーはサイモンに会わせてくれと言った。私は迂闊にも彼らを二人きりにした。女は自責の念に涙し、男は慰めるに見えた。だが私たちが出るとガラッと変わった」

『上々よ。あと一息だわ』『それがルイーズに見られたんだよ。強請られたんだ』『口封じをしないと』『金を払えば』『一生払うの』『……』『お金を。見せて油断させるの』『戸棚の上着にある』金を抜き取り、サイモンとキスするジャッキー。『愛しているよ』『いいわね』『今さら引けない』金を数えるルイーズの咽喉をナイフで斬り裂くジャッキー。

焦りのためかルイーズの手に千フラン紙幣の切れ端を残してしまった、と語るポワロ。ジャッキーが撃った第一弾はどこにあると聞くサイモン。窓は開いていたと答えるポワロ。「弾はナイル河でしょう。ジャッキーは自分で射撃の名手と言っていた」サイモンが撃った証拠がないわ、というジャッキー。そうだ、と言うサイモン。「証拠は何ひとつないんだ」証拠はあると言うポワロ。「ムラージテストと言うが、銃を発射した場合、火薬の細かい粉が皮膚に付着する。そこへロウを塗ると取れる。それが証拠だ」「……」「テストを受けてくれるね」

ジャッキー、と呼びかけるサイモン。もうおしまいね、と呟くジャッキーはサイモンに近づく。ポワロはテーブルに置いてあった拳銃がないのに気づく。サイモンの頭を撃つジャッキーは、続いて自分の頭を撃つ。何たる悲劇、と呟くポワロ。ナイル就航の旅は終わり、ムラージテストは無理だ、とポワロに言うベスナー。「ここにはロウがない」「そもそもそんなテストはあるのかね」

★ロロモ映画評

莫大な遺産を相続して一躍大富豪になったリネットのところに友人のジャッキーが訪ねてきて、婚約者のサイモンを管理人にしてくれと頼む。しばらくして、リネットはサイモンと結婚し、エジプトに新婚旅行に出かける。二人はナイル河を就航するカルナーク号に乗る。

その船にはジャッキー、金持ちを寄生虫と憎むファーガソン、リネットに自分をモデルにした作品を勝手に書いたと訴えられる作家のサロメ、リネットに邪魔されて仕事をやめることができない小間使いのルイーズ、親友を精神異常にしたとリネットに責められる医師のベスナーと、リネットに恨みを持つ者ばかりが乗り合わせ、名探偵ポワロ(ピーター・ユスティノフ)の姿もあった。

夜になり、ポワロは激しい眠気に襲われ寝てしまう。その間にジャッキーがサイモンを撃つ騒ぎが発生し、朝になるとリネットが自分の寝室で射殺体となって発見される。早速捜査を開始するポワロであったが、今度はルイーズがナイフで喉を切られた姿で発見されるのであった。

アカザ・クリスティの生み出した名探偵エルキュール・ポワロものの映画化は数多くありますが、その中でもこの作品は出色の出来と言えるのではとロロモは思い、意外な犯人に意外な犯行の手口というのが優れたミステリーの必要条件となりますが、この作品はその両方を満たしており、しかもそれがきっちり整合性が取れているため見る者を納得させるわけです。

ポワロ役を演じたピーター・ユスティノフはほかにも「死海殺人事件」、「地中海殺人事件」など六本のポワロものの映画に出ていますが、肥満体でユーモラスな彼はポワロのイメージとよく合っていますが、彼は「オリエンタル殺人事件」という映画にも出ていますが、ここでは中国人探偵のチャーリー・チャンに扮しているわけです。

このチャーリー・チャンはアメリカ人作家アール・デア・ピガーズが生みだしたハワイのホノルル警察に勤務する名警部で、かたことの英語で小太りで背は低く、一件ダメ警部に見えますが、昔の中国の言葉をやたらに引用して容疑者を煙に巻きつつ真相を解明していくという、ちょっとコロンボに似た雰囲気の警部でありまして、ロロモは昔からこのチャーリー・チャンの活躍する小説を読みたいと思っているのですが、どうやら読むことなくこの世を終えるのかと考えるわけです。

この映画が公開された1978年に卓球選手の四元奈生美が生まれています。卓球の地味なイメージを変えたいと、カラフルなユニフォームを着用して試合に出場し、デザイナーやファッションプロデューサーも勤め「卓球界のジャンヌ・ダルク」とも呼ばれた彼女は、2007年1月18日、全日本選手権に「誕生をイメージした」という左肩を露出したユニフォームで出場。その際着用していたマーガレットの髪飾りについて1回戦終了後に審判委員長から「髪を結ぶためのものではなくで装飾品じゃ」と注意を受け、2回戦は髪型を変えてもらい出場したわけです。

彼女は実力的には日本のトップクラスではあったものの五輪代表に選ばれるほどではなく卓球界の広報部長的ポジションでありましたすが、黙々とボールを打つ卓球はどう見ても華やかさのかけるスポーツであり、彼女の革命的行動は高く評価されるべきですが、彼女に続く選手がどうやら生まれていないのがロロモは残念でありまして、基本的に女は男では体力では勝てないのだからファッションで勝ってやろうという試みは正しく、基本的に男性は女性のスポーツに力強さなどを求めているのではなく、優雅さを求めているのでありますが、女性は女性のスポーツに何を求めているのか少しだけ気になるのでありました。(2012年12月)

点数 87点

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