ナック

1965年 イギリス

キャスト:リタ・トゥシンハム (ナンシー)レイ・ブルックス(トーレン)マイケル・クロフォード(コリン)ドナル・ドネリー(トム)

監督:リチャード・レスター

ロンドンでアパートに住む教師のコリンは冴えない独身男で、三階に住むドラマーのトーレンが女にモテモテなのをいつも羨ましく思っていた。トーレンは女は支配されることを望んでいるとコリンにうそぶく。「どうすれば彼女ができるんだ」「ナンパの仕方を知りたいのか」「そうだ」「まず、食事に気をつけろ。食事は全てのエネルギー源だ。性交渉の多い人間ほど高タンパクが必要になる」「君がいい例だな」

「チーズと卵と牛乳。俺は牛乳を毎日一リットル飲む。肉も食え。安いのでいい。栄養は変わらん」「チーズと卵と牛乳と肉だね。それから」「経験も大事だが、一番モノを言うのは、直観力だ。これは天性のものだ。だが、ある程度までは訓練で習得できる。コツをつかむことが重要だ。さて、そのコツだが」「教えてくれ」「まず第一に接触を図る。触るのとは違う。肉体的接触は後だ。二人の間にある種の感情が芽生える。そして意識して、電流が走るんだ」

なんとかコツをつかもうと考えたコリンは、トーレンの持っているような大きなベッドを手に入れようと決心する。コリンは一階に住むトムと一緒に鉄屑置き場に行き、特大のベッドを見つける。そんな二人の前にナンシーという娘が現われる。「YWCAに行きたいの」「そうかい。とにかくベッドを運ぶんだ」ナンシーをベッドに乗せるコリンとトム。そして三人は小さな冒険を重ねながらアパートに向かう。

アパートに三人は着くが、トーレンはさっそくナンシーに目をつける。なぜ大きなベッドにした、とコリンに聞くトーレン。「それは、今のが小さいからだ。大きい方がいろいろ便利だ。快適だし、いとこ夫婦が泊まる時に便利だ」そしてトーレンはナンシーをバイクに乗せる。後を走って追うコリンとトム。トーレンはナンシーを公園に連れて行き、おでこにキスをして、人気のない草むらに導く。「やめて、触らないで」黒い皮手袋をした指でナンシーの全身を撫でまわすトーレン。

じわじわとトーレンから離れるナンシー。「やめて、聞こえないの。わかった。そう、それでいいわ。何よ、何をするつもり。どうするつもりなの。キザね。キザだわ。キザもいいところだわ。自分が最高だと思っているのね。そうでしょう。あなたの思い通りにはならないわ。これ以上近づかないで。ダメよ、それ以上、来ないで。ねえ、早く来て」そしてナンシーは気絶する。そこにやってくるコリンとトム。

予想通りだ、というコリンに、俺は何もしていない、と答えるトーレン。「彼女は死んでいるのか」「失神さ」「お前はモテすぎだ」「よくあることだ」「体に傷がないかどうか調べろ」「脈を測れ」「人工呼吸を」「お前がやれ。襲ったのは君だ」「俺は襲ってない」「僕も襲ってない」「誰も襲ってない」「女の脈はどこで測るんだ」「また温かい」「まだ死んでない」

意識を回復するナンシー。「私は犯されたのよ」俺は犯してないと反論するトーレン。「コリン、考えてみろ、俺の回りにはいい女が吐き捨てるほどいる」みんなで熱いお茶を飲もうと提案するコリン。「そうすれば何かコツを思い出すさ」

犯された、と歌いながら街中を歩くナンシーは、アパートに戻って、トーレンの部屋に行き、トーレンのレコードを窓から投げ捨てる。冷静に対処しようと提案するコリン。「暑いお茶を飲もう。ナンシー、一緒に熱いお茶でもどう」「また襲う気ね。誤魔化されないわ」「よくお聞き」「犯されたのよ」「これは全て幻想だ」「犯されたのよ」

素っ裸になるナンシー。「禁固十年の刑よ」「トーレン。ちょうどいい。犯しちまえ。彼女は裸だ。犯されたいんだ。そうに違いない。人助けだ。彼女の夢をかなえてやれ」「何故俺が」「達人なんだろう。彼女も望んでいるんだ。犯してやれ」

ドラムを叩きながら、絶対に許せない、これは犯罪よ、と叫ぶナンシー。「そう犯罪なのだ。ロンドン警視庁に電話しないと。そしてはっきり言おう。お・か・さ・れ・た、と」トムは早く行け、とトーレンを促す。「お前が行け」「僕は膝を痛めた」

やっと服を着たナンシーを説得するコリン。「僕が保証する。君は犯されていない」「そう言うと思った。犯したのはあなたね」「ひどい誤解だ」「十年の刑よ。認めなさい。その誠実そうな顔の陰に、欲望が潜んでいる」「そんな」「生徒に信頼される立派で端正な教師。だが彼にはもう一つの顔がああった。処女の生血を求めて夜ごとに」「本当に端正だと思うかい」「手がね」

トーレンは今夜アルバートホールでパーティーがある、とナンシーに言う。「気楽な集まりだ。女友達が何人かやってくる。僕が今までつきあった女たちだ。ナンシー、気分はどうだい。君は誰にも犯されていない」トムはコリンがナンシーを犯したという。「冗談だろ。彼は不能だ」

ナンシーはコリンは素敵だったと反論する。「野性的で優しいの」喜ぶコリン。動揺するトーレン。「とにかく気が向いたらパーティーに来い。一緒に酒でも飲もう。コリンもトムも来てくれ」「彼の綺麗な手で犯されたのよ」「やめろ。もう沢山だ」アパートから出ていくトーレンに勝ち誇るコリン。「僕だってできるんだ」

トーレンはアルバートホールに行くが、女たちは誰もトーレンのことを相手にしない。「そんなはずはない。これは幻想だ。俺の女だって少しいるはずだ」熱いお茶を飲むコリンとナンシー。「疲れたかい?」「どうして」「ほら。あれの後だから」「そうね。少し変な感じ」「楽しいな」「私も」

アパートに帰ったトーレンはコリンとナンシーは同棲するのか、とトムに聞く。「多分ね」「そうか。不謹慎だな」君の笑顔が好きだ、とナンシーに囁くコリン。そして二人は夜道を手をつないで一緒に歩く。まるで夫婦みたいだな、とつぶやくトーレン。

★ロロモ映画評

ロンドンでアパートに住む教師のコリンは冴えない独身男で、三階に住むドラマーのトーレンが女にモテモテなのをいつも羨ましく思っていた。なんとか女にもてるコツをつかもうと考えたコリンは、トーレンの持っているような大きなベッドを手に入れようと決心する。コリンは一階に住むトムと一緒に鉄屑置き場に行き、特大のベッドを見つける。そんな二人の前にナンシーという娘が現われる。ナンシーをベッドに乗せるコリンとトム。そして三人は小さな冒険を重ねながらアパートに向かうのであった。

こういうのを洒落た映画というのかもしれませんが、ロロモにはもうお手上げという内容の映画でありまして、これは1960年代にロンドンで青春時代を過ごした若者のために作られた映画というべきもので、それ以外の人が見ても面白くなく、1970年代に広島市で青春時代を過ごしたロロモには残念ながら無用の映画であると言わざるを得ないわけです。

「ナック」とは「女の子をひっかけるコツ」という意味でありまして、この映画ではそれがテーマになっていますが、ロロモ世代で「ザ・ナック」で思い出すのが、「マイ・シャローナ」の大ヒットを放ったロックバンドの「ザ・ナック」でありまして、彼等は1970年代後期にロサンゼルスで結成。かつてイギリスでスージー・クアトロやスウィートを手掛け、後にはブロンディにも関わることになるマイク・チャップマンがプロデューサーを務めたアルバム「ゲット・ザ・ナック」で、1979年にデビュー。このアルバムはビルボード6週連続1位を記録し、シングルカットされた「マイ・シャローナ」はビルボード5週連続1位となり、同年の年間チャート1位を記録。彼等は「ビートルズの再来」としてプロモーションされましたが、その後はヒットに恵まれず、1982年に解散したわけです。

またこの「ザ・ナック」が全盛時代に、「ナッキーはつむじ風」という学園ドラマが放映され、当時人気アイドルだった榊原郁恵のドラマ初主演作であり、長崎から東京へ転校してきた星野夏樹がバドミントン部に入り、部員やクラスメイトなどを巻き込んで色々と騒動を起こすというもので、詳しい内容をは見ていないのでわかりませんが、どうやら映画「ザ・ナック」とは似ても似つかぬ天真爛漫としたドラマのようなのでありました。(2013年3月)

得点 2点

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