牙狼之介

1966年 東映

キャスト:夏八木勲(牙狼之介)内田良平(秋月左内)遠藤辰雄(仁左衛門)宮園純子(お千世)田原久子(お秀)富永美沙子(お竜)織本順吉(鈴木源内)

監督:五社英雄

浪人牙狼之介は飯代を払う代わりに峠の飯屋で働いていたが、二人の問屋場人足が三人の浪人者に殺されるのを目撃して、その人足の死体を馬に担いで、紀州藩七里役所に行くが、役人は縄張りじゃないと死体を無視する。「調べる気はねえのか」「ねえな」荒井宿の問屋場に死体を運んだ狼之介は、人足たちに力を貸してくれと頼まれる。「殺ったのは仁左衛門の用心棒だ」

そこに現れる盲目の問屋場の女主人のお千世は、七里の仁左衛門がこの宿場の病だと狼之介に訴える。「七里とは将軍家の手紙を紀州へ運ぶために七里ごとに設置してある御用飛脚。紀州家の御支配ゆえ、土地の役人には手が出せません。仁左衛門はそれをよいことにこの問屋場の権利を譲れと、人足の命まで奪うのです」狼之介は仁左衛門の三人の用心棒と対峙するが、代官の鈴木源内が現われたために痛み分けに終わる。

今川宿まで江戸の勘定奉行に送る三万両を運搬しろとお千世に命令する源内。「お前にできるか」「確かにお受けします」女郎屋で仁左衛門と密談する源内を横目で見る女郎屋の女将で仁左衛門の女であるお秀。狼之介は女郎屋にいたところを三人の用心棒に襲われるが、見事に返り討ちにする。

仁左衛門は狼之介は魔物だと呟く。「奴に勝てるのは死神しかねえ」風呂に入る狼之介の背中を流すお千世。「牙様。今川宿まで三万両を運ぶにはどうしても牙様のお力が」「俺は割にあわないことはイヤだ」「割にあうだけのお礼は差し上げましょう。百両で足りなければ、私の体でも」背中にすがりつくお千世に、おいおいと驚く狼之介。

仁左衛門の元に現れる浪人の秋月左内。「岩蔵親分から手紙をもらって来た」「秋月先生の噂は岩蔵からしょっちゅう。これでももう百人力と言うわけで」狼之介を斬ってくれと左内に頼む仁左衛門。「牙狼之介。聞いたことがある。いい相手だ」

狼之介はこそこそ運搬するとかえって危ないと三万両は馬車に乗せていくと主張する。同意するお千世。左内は狼之介に果たし状を送り、お秀に言い寄る。「七里役所は色気がなくていけねえ。俺は人を斬る前は女が欲しくなる」お千世の制止を振り切り、左内との果し合いに向かう狼之介。二人は凄まじい斬り合いを演じるが、お千世の弾く琴の音に気合を乱された左内は決闘を中止する。

あんたは武家の生まれでは、とお千世に聞く狼之介。「なんでこんな問屋場にいるんだい」「問屋場の先代に命を助けられたからでございます。七年前、ある人を訪ねてこの宿場に来たとき、目を患ってごらんの有様となりました。それを先代に助けられたのでございます」「そのある人はどうなったんだい」「お聞きくださいますな。過ぎたことでございます」六年前の岩蔵との出入りで親分を左内に殺された鬼神のお竜一味が、左内の命を狙うが、左内は相手にしないで立ち去って行く。

お前の狙いは三万両だろうとお秀に言う左内。「わかりがはやいね」「だから俺に抱かれた」「お前さんがさらう三万両は問屋場の落ち度ということになって、お代官が猫ババを決め込むはずの金なんだ。旦那、五十や百のはした金でいつまでも人を斬ってても始まらないじゃないか」「俺と逃げようってのか」「あたしはあんたみたいな人が来るのを待ってたんだ」「ははは。俺は女というケダモノは信用しないことにしてるんだ。だがお前との騙し合いはなかなか面白えかもしれないな」二人の会話を聞くお竜。

三万両が荒井宿に運ばれてくる。左内は何も気づかずに出かけやがったとお竜に言う仁左衛門。「お前らが知らせてくれなきゃ、あいつの猫ババされるところだったよ。今はお前たちだけが頼りだ」馬車に乗せて三万両は運ばれるが、左内は人足たちを皆殺しにして、馬車を強奪し、お秀とともに逃走しようとするが、お秀はお竜に狙撃される。馬車は谷底に落ちるが積んであったのは石ころであった。

狼之介は農民たちが大八車で三万両を運んでいるのを呼び止める。「誰に頼まれた」「荒井宿のおかみさんだよ。馬力には石ころ運ばせて、三万両運んでいると見せかけてくれと頼まれたんだ」「そうだったのか。くそう」荒井宿に戻った狼之介は仁左衛門がお先世をさらったことを知る。

三万両をどこにやったとお千世を拷問にかける仁左衛門とお竜。左内はお千世を救出に現れる。「牙様」「お千世」「あ。あなたは新次郎様」「違う」「その声は新次郎様。あなた様は生きておいでに」「お千世。お前の前にいるのは秋月左内って言う人殺しさ」「……」「お前はさっき俺のことを牙と呼んだな。お前は牙に」「新次郎様」「俺は間違いなくあの晩あいつを斬れた。お前の弾く琴の音さえ聞こえなかったならな」

狼之介は仁左衛門のところに殴り込みをかけ、仁左衛門やお竜を血祭りにあげる。左内はその隙にお千世を連れて逃げようとするが、狼之介に呼び止められる。「牙様」「お千世さん。人足たちはみな死んだぜ。ただの石ころを三万両だと信じてな」「……」「俺はあんたに騙されたのを恨んじゃいねえ。みんなもそうだっただろう。あんたはそれほど問屋場が大事だったんだろう。だがみんなを斬ったのはその男だぜ」

お千世は連れて行くと狼之介に言う左内。「亭主が女房を連れて行くのに何の不思議があろう」「女房?」「この女は千石とりの家に生まれながら足軽の俺に惚れよってな。手に手をとって駆け落ちした。お前の親父が俺を取り戻しに来なかったら、俺もこんな男にまで堕ちなかったはずだ」私の探していた方はあなたではありませんと左内に言うお千世。「白石新次郎という方です」「なに」お千世に掴みかかる左内にやめろと言う狼之介。「牙。お前もこの女に惚れているのか」「……」「やるか」

二人は壮絶な斬り合いを演じ、狼之介が勝利する。牙様と抱きつくお千世にあんたの行く方はあっちだぜ、と言う狼之介。「問屋場の方だぜ。俺か?俺は向こうだ。いいか。ついてきちゃいけねえぞ。あんたの行くところはあっちなんだ」「……」「ついてきちゃいけねえ。ついてきちゃいけねえ」向こうの方に歩いていく狼之介を見えない目で見送るお千世なのであった。

★ロロモ映画評

浪人牙狼之介(夏八木勲)は、二人の問屋場人足が三人の浪人者に殺されるのを目撃して、その人足の死体を馬に担いで、紀州藩七里役所に行くが、役人は縄張りじゃないと死体を無視する。荒井宿の問屋場に死体を運んだ狼之介に、盲目の問屋場の女主人のお千世(宮園純子)は、七里の仁左衛門(遠藤辰雄)がこの宿場の病だと狼之介に訴える。「七里とは将軍家の手紙を紀州へ運ぶために七里ごとに設置してある御用飛脚。紀州家の御支配ゆえ、土地の役人には手が出せません」狼之介は仁左衛門の三人の用心棒と対峙するが、代官の鈴木源内(織本順吉)が現われたために痛み分けに終わる。

今川宿まで江戸の勘定奉行に送る三万両を運搬しろとお千世に命令する源内。狼之介は女郎屋にいたところを三人の用心棒に襲われるが、見事に返り討ちにする。仁左衛門は狼之介は魔物だと呟く。「奴に勝てるのは死神しかねえ」風呂に入る狼之介の背中を流すお千世。「牙様。今川宿まで三万両を運ぶにはどうしても牙様のお力が。割にあうだけのお礼は差し上げましょう。百両で足りなければ、私の体でも」背中にすがりつくお千世に、おいおいと驚く狼之介。そして仁左衛門の元に現れる浪人の秋月左内(内田良平)が現われるのであった。

牙狼之介は謎の浪人ということで、黒澤明監督「用心棒」の三船敏郎と同じ性格ですが、あそこまでもカリスマ性はなく、なんださわやかさを感じるくらいで、どうもカリスマ性に欠けるので、カッコいい用心棒とはならず、むしろ内田良平の方がカッコよく見えますが、70分ちょこっとのこの映画を「用心棒」と比較するのが土台無理のある話であり、映画というよりもテレビの単発物の時代劇を見たような実感がし、スタイリッシュな映像やスローモーションや残酷描写などが駆使されますが、やはりどうにも物足りなず、三人組の用心棒の親玉で唖の男の飼っていた猿はちょこちょこ画面に出てきますが、どうもそれも印象に残るような残らないような趣がするわけです。

牙狼之介が人足たちを殺したお千世を許して立ち去るラストはこれでいいのかと思ったりもしますが、お千世を演じた宮園純子の名前からロロモは花園を思い出し、近鉄花園ラグビー場を連想するわけです。

近鉄花園ラグビー場は、大阪府東大阪市の花園中央公園に隣接する日本初のラグビー専用スタジアムであり、国内有数のラグビー専用球技場であり、全国高校ラグビーの会場として有名である。また高校ラグビー界では、「花園」は同大会を意味する言葉として用いられているわけです。

ロロモが高校ラグビーに興味を持ち始めたのは小学6年生くらいからでありますが、そのころからの決勝戦のスコアを列記すると、1972年度は目黒が27対0で花園に勝利。1973年度は目黒が19対8で大分舞鶴に勝利。1974年度は大分舞鶴が14対8で花園に勝利。1975年度は国学院久我山が25対9で目黒に勝利。1976年度は目黒が29対9で花園に勝利。1977年度は大阪工大高が20対12で秋田工に勝利。1978年度は国学院久我山が40対6で黒沢尻工に勝利。1979年度は目黒が16対14で国学院久我山に勝利。1980年度は伏見工が7対3で大阪工大高に勝利。

1981年度は大阪工大高が13対4で秋田工に勝利。1982年度は国学院久我山が31対0で目黒に勝利。1983年度は天理が18対16で大分舞鶴に勝利。1984年度は秋田工が9対4で相模台工に勝利。1985年度は大東大一が8対0で本郷に勝利。1986年度は国学院久我山が22対6で熊谷工に勝利。1987年度は秋田工が9対4で相模台工に勝利。1988年度は天皇崩御のため茗溪学園と大阪工大高が両校優勝。19989年度は天理が14対4で啓光学園に勝利。1990年度は熊谷工が19対9で天理に勝利。

1991年度は啓光学園が28対8で国学院久我山に勝利。1992年度は伏見工が15対10で啓光学園に勝利。1993年度は相模台工が19対6で東農大二に勝利。1994年度は相模台工が27対12で長崎北陽台に勝利。1995年度は大阪工大高が50対10で秋田工に勝利。1996年度は西陵商が26対25で啓光学園に勝利。1997年度は国学院久我山が33対29で伏見工に勝利。1998年度は啓光学園が15対12で大阪工大高に勝利。1999年度は東海大仰星が31対7で埼工大深谷に勝利。2000年度は伏見工が21対3で佐賀工に勝利。

2001年度は啓光学園が50対17で東福岡に勝利。2002年度は啓光学園が26対20で東福岡に勝利。2003年度は啓光学園が15対0大分舞鶴に勝利。2004年度は啓光学園が31対14で天理に勝利。2005年度は伏見工が36対12で桐蔭学園に勝利。2006年度は東海大仰星が19対5で東福岡に勝利。2007年度は東福岡が12対7で伏見工に勝利。2008年度は常翔啓光学園が24対15で御所工・実に勝利。2009年度は東福岡が31対5で桐蔭学園に勝利。2010年度は31対31で東福岡と桐蔭学園が両校優勝。

2011年度は東福岡が36対24で東海大仰星に勝利。2012年度は常翔学園が17対14で御所実に勝利となっていますが、高校ラグビーは昔は準決勝くらいから正月番組として全国ネットで中継されていましたが、今は高校サッカーの人気に押されてか、決勝戦しか全国ネット中継がなくなってしまったようですが、ロロモが一番高校ラグビーを熱心に見ていたのは、西陵商が優勝したころかなと思うのでありました。(2013年1月)

得点 14点

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