安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪” 12・14総選挙!
2014.12.05 週刊朝日 158頁 写図有 (全3,124字)

 集票力に陰りが見える企業団体に代わり、注目されるのが、宗教票の行方だ。そんな時勢もあってか、統一教会、その友好団体と接近する自民党議員の姿が目立つようになった。安倍首相の懐刀、萩生田光一総裁特別補佐、稲田朋美政調会長、中川雅治参院議院運営委員長、衛藤晟一首相補佐官らだ。

 東京・八王子市芸術文化会館大ホールで「祝福原理大復興会」なる催しが開催されたのは、10月11日。

 この聞き慣れない奇妙な名のイベントを主催したのは世界基督教統一神霊協会(以下、統一教会)多摩東京教区だ。

 今回のイベントでは、信者による“証し”と呼ばれる信仰告白などが行われたが、メインは日本統一教会の徳野英治会長の特別講演会、「世界の平和は祝福結婚から」だ。

 「祝福」は「国際合同祝福結婚式」の略称で、歌手の桜田淳子らが1992年、参加して物議をかもした統一教会の重要な宗教行事の一つだ。

 徳野会長は合同結婚式について「家庭は愛の学校」「祝福結婚から世界平和が実現する」などと熱弁を振るったが、このイベントになんと、安倍首相側近である自民党の現職国会議員らが来賓として出席したというのだ。

 今までに統一教会の友好団体とされる「国際勝共連合」や「世界平和連合」の集会に参加した国会議員がいたことが何度か判明しているが、統一教会主催のイベントに国会議員が出席するのは極めてまれだ。

 本誌が入手した資料によると、来賓挨拶の欄には、自民党総裁特別補佐の萩生田光一衆院議員(東京24区)、参議院議院運営委員長の中川雅治参院議員(東京)の名前が記されていた。

 萩生田衆院議員は安倍首相の懐刀として従軍慰安婦問題に関し河野談話の「骨抜き」発言でも注目を集めた。一方、中川議員は昨年の参院国家安全保障特別委で特定秘密保護法案を強行採決した委員長だ。元大蔵官僚で憲法改正推進本部副本部長、税制調査会幹事などを務める知恵袋的存在だ。会場にいた信者が語る。

 「会場には国会議員だけでなく、自民党の近藤充都議なども来賓として出席。信者800人以上が参加していたので超満員でした。国会議員が『今日はこんなにたくさんの方が集まっていただきありがとうございます』『家庭の教育が大事』などと壇上から統一教会に気を使った内容の挨拶をすると、大きな拍手がわき起こりました」

 ちなみに、中川参院議員は昨年10月、さいたまスーパーアリーナで2万人の信者を集めて開催された統一教会創始者の文鮮明師(2012年に死去)の妻、韓鶴子氏の講演会にも大阪選出の自民党参院議員と招待されていたという。

 統一教会は文鮮明師が死去して以降も、妻である韓鶴子氏が第2教主として君臨し、日本にも数十万人の信者がいるとされる。

 さらに9月23日にも統一教会は千葉県の幕張メッセで「国際貢献」をテーマにした青年イベント「グローバル・ユース・フェスティバル2014」を開催。ここにも自民党の国会議員が来賓として招待されていた。

 1万人が参加したこのイベントの屋外企画「わくわく地球村」には統一教会系団体の活動を紹介するブースが設置され、屋外ステージでは大道芸などが披露された。屋内のイベントホールでは、徳野会長、宋龍天・全国祝福家庭総連合会総会長、そして文鮮明師の五女が青年統一運動の推進を奨励する講演を行ったが、そこでも自民党青年局次長の東郷哲也衆院議員(愛知2区)が壇上から挨拶し、元法相の鳩山邦夫衆院議員(自民党、福岡6区)からの祝電も読み上げられたというのだ。鳩山事務所は事実関係を認め、経緯を説明した。

 「向こうから出してほしいということだったので、『いいですよ』ということになった。統一教会は支援をいただいている団体です。統一教会というより、勝共連合の人たちという認識。福岡には日韓トンネルの話もあって、地元にけっこう関係者の方がいるんです。支持をいただいているのは東京時代からで、お付き合いは古いです。そもそもあの方々には現政権を支持していただいていますよね」

 統一協会の友好団体とされる「国際勝共連合」「世界平和連合」は、ホームページ(HP)によると、文鮮明師が提唱した共産主義への対抗運動の一環として設立され、「今こそ戦後レジームから脱却し、日本人自らが新たな国家像を求め自主憲法を制定すべき」「集団的自衛権の確立」「スパイ防止法(特定秘密保護法の前身)の制定」などを訴え、安倍政権の主張と考え方がきわめて近い。教団と関係が深い日刊紙「世界日報」も安倍政権をたびたび礼賛している。

 そんな関係から安倍首相側近の政調会長、稲田朋美衆院議員(福井1区)も09年11月に世界平和連合福井県大会、10年4月には世界平和女性連合福井連合会の「春のつどい」などに出席し、講演を行っている(写真右)。

 「夫婦別姓の問題点についての講演依頼等に応えたものです。また、世界基督教統一神霊協会とは関係を持っておりません」(稲田事務所の回答)

 さらに調べると、選挙の際、教団に支援を受け、当選した1年生議員もいた。

 ●後援会の壇上に文鮮明夫妻写真

 世界平和連合が12年に後援会「愛和会」を結成した白石徹衆院議員(愛媛3区)だ。昨年3月に開催された愛和会総会で文鮮明師夫妻の写真が飾られた壇上から「皆さんのおかげで当選できました。なんなりとお申し付けください」と述べていたのだ。

 「白石議員は世界平和連合事務総長の講演会で世話人を務めたほか、世界平和連合のメンバーと韓国麗水万博旅行にも出かけています」(愛和会関係者)

 白石議員と同じ愛媛の井原巧参院議員も昨夏の参院選前の5月、世界平和連合が開いた「井原巧先生を励ます会」に出席。白石議員、世界平和連合メンバーとシュプレヒコールを上げた。

 「参院選前に県内の国会議員の方からご自身の後援会の一つとしてご案内頂き出席し激励を頂きました」(井原事務所の回答)

 本誌4月11日号で既報したが、世界平和連合は昨年の参院選で元産経新聞政治部長で安倍首相の盟友とされる北村経夫参院議員(比例)も支援した。

 「選挙事務所では世界平和連合の名刺を持つ女性事務員が働き、北村議員は選挙運動期間中、統一教会の複数の地区教会で講演。教団が7万〜8万票の組織票をまわしたと聞いている」(北村選挙事務所元スタッフ)

 首相補佐官の衛藤晟一参院議員(比例)も1月22日、「世界戦略総合研究所(以下、世界総研)」なる団体が参院議員会館内で行った定例会で講演を行っていた。

 この世界総研の所長を務める阿部正寿氏は、著書によると、「昭和44年5月、文鮮明先生御夫妻による祝福(合同結婚)を受ける」という経歴。世界総研は統一教会との関連について「全く関係ございません」と回答したが、阿部氏は「世界平和統一家庭連合・北福岡地区の地区長として活動」(著書から)とあり、統一教会と関わりのある人物だ。

 世界総研のHPには、10年2月、首相に返り咲く前の安倍氏が参加した会合写真も掲載されていた。

 本誌は誌面で名前を挙げた国会議員(既報した議員は除く)に取材を申し込んだが、萩生田氏、中川氏、東郷氏、白石氏からは期限までに回答がなかった。

 一方、統一教会広報局は文書でこう回答した。

 「思想信条等の自由の観点から、コメントを差し控えます。当法人が選挙で特定の議員を応援するということはありません」

 今回の衆院選で宗教票はどう動くのだろうか。

(ジャーナリスト・鈴木エイト 本誌・小泉耕平)

 【写真説明】
 左から、10月11日に行われた統一教会のイベントパンフレット。参加した安倍首相側近たち。特定秘密保護法を強行採決した中川議運委員長と、靖国神社を参拝する萩生田総裁特別補佐。世界平和連合の会合に参加した稲田政調会長

朝日新聞社