「青春を返せ裁判」を支援する会 会報 2000年4月・第33号

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控訴審が結審、判決は6月9日…………P.1
全国弁連東京集会でMC論深める………P.3
ライフスペースに勝訴……………………P.5
「青春を返せ裁判」を支援するのは……P.5
合同結婚式に反対する記者会見…………P.6
 

控訴審が結審、判決は6月9日

 3月3日、広島地裁岡山支部で「青春を返せ裁判」控訴審(控訴人A男さん)が開かれ、準備書面等で双方の主張が行われ、結審しました。
 A男さんの主張は −統一協会が控訴人の宗教の選択権を侵害し、人格権と財産権を侵害した。浅見証人はカルト被害の実態を直接に知りマインドコントロール論を論じている著名な学者である。浅見証人は、マインドコントロールを、原審のように「一定の行為を繰り返すことによって思想を植えつける」と定義づけることは誤りであると断言している。フランス国民議会やベルギー議会のセクト対策報告書でマインドコントロールの危険性が強調され、フランスではマインドコントロールの存在を認めた判決がいくつか出ている。西田公昭氏のマインドコントロール論は日本心理学会などで高く評価されている。島薗進氏の論文は、統一協会の法的問題点を「マインドコントロール」という言葉を使用しないで明らかにすればよいと言っているのであって、その実質はマインドコントロール論を容認している。原判決が認定している統一協会からの勧誘から脱会に至るまでの経過は、マインドコントロールのプロセスそのものである。魚谷証人は、統一協会の欺瞞的勧誘の最前線にいた者であり、マインドコントロール論について論じられる能力も立場もない。マーガレットシンガーのマインドコントロール論は、SSSRで否定されたのではなく、学会として一つの見解を出すことができないという当たり前の決議をしているだけである。マーガレットシンガーの理論を否定する法廷助言書は、米国心理学会のものではなく、一学者のものであることを、魚谷証人が名古屋高裁で認めている。 統一協会の実態は「万物復帰」の教義のもと、新会員の獲得と会員からの財物の獲得を究極の目的とし、霊感商法など系統的・組織的な資金獲得活動をしてきている。
控訴人は、統一協会の正体を隠しての接近、ビデオセンター、修練会、各種トレーニングといった一連の入教プロセスに誘導され、献金・献身へと至った。この統一協会の行為は、宗教的自由権などの人格権・財産権などを侵害する違法な行為である。
 統一協会側の主張は −原判決の「いわゆるマインドコントロールはそれ自体多義的な概念であるのみならず、一定の行為を繰り返し積み重ねることにより、相手に一定の思想を植えつけること」と捉えることは間違っていない。控訴人がマインドコントロールの専門家と主張する人物も、原判決の定義を認めている。控訴人は当初、信者らの勧誘、教化行為を「洗脳」と主張していたが、「マインドコントロール」との主張に代えた理由が明らかではない。浅見証人は信者の隔離や面会強要をしているが、それを否定する偽証をしている。浅見証人は、「統一協会が消滅するまで活動する」と宣言する日本基督教団で教師検定委員などを務めていて、偏派性が強い。また、「偽装脱会」を見破る方法を指導するなど人権感覚が欠如している。島薗進教授の論文は、マインドコントロール理論を否定している。スティーブ・ハッサンのマインドコントロールの主張は、米国では評価を受けるに値しないものとして扱われてきた。米国の心理学者マーガレット・シンガーらの「強制的説得理論」は、米国心理学会がカリフォルニア州最高裁に提出した法廷助言書において、科学的価値のないものとして否定されている、同氏が米国心理学会に提出した報告書も否定されている、米国の科学的宗教研究学会もマインドコントロールが科学的に確立した理論でないと述べている、浅見証人の考えは米国のコンセンサスとかけ離れている、と魚谷証人は証言している。北海道大学の櫻井義秀助教授も、マインドコントロール理論の科学的欠陥を指摘している。教理の内容に触れることは、信教の自由に抵触し許されない。控訴人は自らの意思で信仰生活を送っていたにもかかわらず、拉致・監禁による棄教強要で心変わりした後での「マインドコントロールされていた」などという主張は信憑性がない。ビデオセンターへの勧誘やセミナーなどの活動には統一協会は一切関与していない。統一協会の伝道方法は、統一協会の名前を名乗って行う。合同結婚式に参加するのもしないのも自由である。ビデオセンターで、被控訴人の信者が控訴人に自らの信仰を明かさないことも自由である。控訴人は、献金やトレーニングへの参加などを自らの自由な意思で行っている。 献金勧誘行為において「先祖の因縁やたたり」を語ることは宗教者も許容範囲と認めている。
 また、統一協会側が浅見証言が「偽証」だと主張していましたが、A男さん側の反論で「偽証」とする主張を撤回しました。そして、6月9日午後1時15分から判決をすることになりました。
 閉廷後の集会でA男さんは、勧誘された者にも問題はあると思うが、一番悪いのは統一協会で、責任をとるべきと思う。僕の場合は、親とか友人とか、周りの条件が整っていたから脱会できた。他のみんなは救われていないまま、犯罪行為もさせられている。このような犯罪をくい止めたい−と語りました。

全国弁連東京集会でMC論深める

 3月17日、全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の東京集会が都内でひらかれ、弁護士や宗教者、元信者など統一協会問題に関心のある百数十人の市民が参加しました。
 基調報告として渡辺博弁護士は、2月にソウルで4億組の合同結婚式(の第1次・ 45万組)が行われたと言われるが、韓国では「参加すれば冷蔵庫が当たる」などの宣伝で苦労して人を集めたが、マスコミはほとんど取り上げなかった。最近では信者に求められる献金ノルマが異常に激しくなり、精神が異常となる信者も増えている。教義で禁止されている「自殺」を文教祖の息子がした。福岡では霊感商法の責任を統一協会に認める判決が出た。統一協会は、マスコミを利用して「マインドコントロール」を否定する主張を展開しようとしている−などと述べ、1999年の統一協会による被害金額が2,845,905,348円(全国の消費者センターと弁護団への相談額)に達したと発表しました。また、各地の弁護士から裁判の状況が報告されました。
 北海道大学の櫻井義秀さんは、脱会者から聞き取りをしたと語り、集団を「カルト」として批判するよりも個々の集団の反社会性、違法性を批判するのがよいのでは、入信の問題としてマインド・コントロールを主張するよりも脱会阻止の過程、信者の搾取の問題を主張するのがよいのでは、などと述べました。
 静岡県立大学の西田公昭さんは、「マインド・コントロール論再考」と題して、次のように述べました。「マインド・コントロール」は、広い概念として通俗的に使われすぎた。アメリカの法廷で、マインドコントロールを否定するアメリカ心理学会(APA)の法廷助言書が提出されたと言うが、それはAPA会員有志たちの意見にすぎない。日本の心理学会では、学術論文(西田,1994)となってから6年が経過し、学会の大会やシンポジウムで何度も取り上げられているが、心理学的な異論は主張されていない。アイリーン・バーカー氏は、ロンドンとロサンゼルスで、 統一協会の修練会で選抜されていく過程を調査し、その入信率が10%未満だからとマインドコントロール論を否定するが、数パーセントの入信率が低いとする科学的根拠はない。セミナーに出た人の5%が犯罪に関与するとしたら、それは異常である。イギリス、アメリカと日本の事情はまったく異なる。日本では犯罪として認知された霊感商法と無宗教的土壌が存在するのに対し、欧米では霊感商法をやっていないし、キリスト教文化で聖書的な物語に親和性が高い。マインドコントロールの問題は、入信過程だけでなく、依存性の高まった人を反社会的活動に従事させることや、意図的な情報制限やストレスの高い生活などにもある。社会心理学で合意のある諸原理のシステム的応用がマインドコントロール論なのだから、アメリカでも社会心理学会では肯定的だと 判断できる。私の研究(1993,1995)は、脱会カウンセリング対象者のみの調査ではあるが、調査対象者を明示し、等質性を仮定した科学的推論をしている。彼らは脱会後、情報や行動を統制されている様子はなく、教団に対して特に都合の悪い反応をしているとは思われない。批判者は、反証可能な実証データを示した批判をすべきであるし、古く事情の異なるアメリカやイギリスの研究を安易に持ち出すべきではない。マインドコントロールは、自己決定力の剥奪性が高く、かつ本人の望まない結果性が高いレベルで行われるにつれて、組織の責任性のレベルが高まる(図)。
 その後、ジャーナリストの藤田庄市氏や有田芳生氏、中村敦夫参議院議員らが発言しました。

ライフスペースに勝訴

 3月24日、東京地裁(成田喜達裁判長)は、ライフスペースが「青春を返せ裁判」を支援する会やジャーナリストなど18者に対し謝罪広告を請求した裁判で、請求をすべて棄却する判決を下しました。
 原告のライフスペースは、被告らが原告を「カルト」などと評価したことを、原告の社会的評価を低下させたとして全国紙5紙の全国版に謝罪広告を3回掲載するよう求めていました。支援する会は、ホームページに「他のカルトの相談先」として、「ライフスペースを考える会」を挙げ、「ライフスペース(=自己啓発セミナー・高橋弘二代表)」と掲載していました。
 判決文では、支援する会の表現が原告の社会的評価を低下させるものと認めましたが、「支援する会の表現行為については、その意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について事実であることの証明があったということができ、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものとは認められないから、違法性を欠くものといわなければならない」としました。そして主文で、原告の請求を棄却し、訴訟費用は原告の負担としました。

「青春を返せ裁判」を支援するのは

今井完治(西日本福音ルーテル 加古川教会 執事)

 A男さんの「青春を返せ裁判裁判も弁論終結を迎え,判決を待つだけの段階となった。これまでの裁判所の態度からすれば,依然として不当に不利な判決が予想されるが,ここまで戦い続けた経験がA男さんの今後の人生に役立つものとなることを願っている。
 ところで,元エホバの証人として気がかりなことに,「創」3月号に「知られざる『強制改宗』めぐる攻防」と題して登場した連載記事が4月号で連載二回目としてエホバの証人(ものみの塔)専門の脱会カウンセラーK師に対する訴訟を取り上げている。
 記事をお読みになった方はお気づきと思うが,件の記事の筆者「宗教ジャーナリスト室生忠」なる人物は全くカルト側の視点に立って論じているものの,反ものみの塔勢力の系譜さえ正しく把握してはいない。記事で名指しされた別の牧師と親しい某氏によると,その牧師のところには一切の取材が無かったそうで,「以前はまともな記事を書く人物だったのに…」と嘆いておられた。一方,私は約一年前からK師に対する訴訟がテーマとなっているインターネットの掲示板で立ち入った内容の書き込みや意見表明を重ねていて,しかもメールアドレスを公開しているのであるが,私も掲示板の常連も同様に,何の取材も問い合わせも受けてはいない。
 杜撰な取材で「福音派」と「バプテスト」を混同するような素人レベルの記事を書いて何が「宗教ジャーナリスト」だ,と苦情を言いたくなる内容の煽動記事に過ぎないのであるが,キリスト教界の内部事情に疎い一般読者大多数には妙に真実味を帯びた正義感に訴えるものになっている事実を嘆いてばかりはいられない。
 たとえそれが反骨を気取るジャーナリストの売名行為であっても「堕落した既成宗教が誠実な少数者を迫害している」という論調の記事が氾濫するようになると世論はカルトに同情的になる。特にものみの塔は「少数者の信教の自由」を標榜してアメリカ合衆国における訴訟上の勝利を勝ち取ってきた実績がある。日本においては特に,判官贔屓の気質をくすぐらせることの危険性を軽視してはならない。
 さて私たちが「青春を返せ裁判」を支援するのは,統一協会が信者個々人の権利を不当に侵害する団体だからである。訴訟資金も豊富で平気で偽証する大カルト組織と,財産を吸い尽くされた脱会信者との対決という図式を配慮すれば,元信者の側を物心両面で応援することは公正の見地からも正しい。つまり,カルトによる組織的な権利侵害に対する不利な戦いを強いられる,弱い立場にある元信者を支援しているのであり,真の意味で少数者の権利擁護を実践しているのである。
 それはまた飽くまでも是々非々の見地からの支援なのであって,「カルトが悪で反カルトは正義」という逆カルト的善悪二元論でもない。
 法廷でのカルト側証人の厚顔な偽証や,正義の味方を気取る煽動記事に対する義憤から,ついつい「カルト憎し!」の言動に陥り易いこの頃,くれぐれも「カルト組織の個々人への権利侵害」から「既成宗教の少数者迫害」に争点をすり替えられることのないよう,「青春を返せ裁判」の意義を改めて意識しておきたい。


合同結婚式に反対する記者会見

 2月7日(月)、霞ヶ関の弁護士会館で「4億双」合同結婚式に反対する記者会見が、霊感商法被害対策弁護士連絡会・日本基督教団原理問題対策連絡会・父母の会の3者によって開かれました。そこで「共同声明(2000年2月の合同結婚式に反対)」が発表されました。
 そこで明らかになった金あつめの実態は、すさまじいの一語に尽きます。1月29日から30日までに2教区に対して各5,000万円の献金ノルマを課すとか、一人30,000円の献金強要がなされています。
 その理由は今回の「合同結婚式」にアメリカから4,000人を参加させるための費用の3分の2を献金せよ。そうすれば参加したゲストを霊の子にカウントする。日本の信者はまさに集金マシーンとして酷使されている実態が浮き彫りになりました。 なお、サンフランシスコでは、本来は950ドルかかるところを、日本の婦人がスポンサーになって300ドルで韓国旅行ができると宣伝しているといいます。
 また、新手の人集めとして「おめでたブライダルNET」なるインターネット上でカップリングするホームページを開設し、統一協会員男女30人の写真と経歴を掲載しています。ここでは直接申し込みは受け付けず、面接して統一協会に取り込むのが狙いのようで、詐欺的な結婚紹介活動による信者の獲得が行われていることも紹介されました。
 会場から「最近の合同結婚式への参加条件が緩和されているのは何故か」の質問が出されました。これに対して元信者の方から「お父様の勝利圏が拡大したので、少ない条件を満たすだけで参加できるようになったと内部では説明されている。お父様のみ言だといわれればそれで納得してしまう。しかし、古参の幹部のなかには疑問を感じている者もいる」と話され、会場からため息が漏れるひと幕もありました。
 さらに、キャンディをもらっただけで、なぜ合同結婚式に参加したこととしてカウントするのかの問には、「キャンディには聖酒が入っているので……」の答えに、「舐めなくてよかった」という人もいました。
 その後、合同結婚体験者からそれぞれ発言がありました。相対者が知らされる(写真だけ)のは早くても3ヶ月から1ヵ月前であること。親が反対している場合は、1〜3年行方をくらまし、合同結婚式に参加する出発直前に空港から連絡するケースが多いこ。160万円の献金をさせられたこと。相手が気に入らない場合でも「信仰」で乗り越えるること。日本人だけが拒否できない教えであることなどが話されました。
 また、京都から参加した船田牧師は、信仰心もなく、教義も、教祖も知らない韓国人のにわか信者と結婚させられた日本人女性信者は、協会のノートに「お酒は飲むし、いかがわしいビデオは見るし、どうしようもない相手です。お父さん(自分の)、すみません……」と記していることを紹介し、女性信者の心身共に悲惨な結婚生活を報告しました。
 ちなみに、今回の「合同結婚式」には、日本から5,000人〜10,000人が参加させられるだろうとのことでした。
 最後に、紀藤弁護士は『最近のカルト被害を見れば、もはや「自己責任原則」だけでは防ぎきれないことに気付くべきだ』と述べて、記者会見を終了しました。

その他の出来事

2月8日.会報32号発行
2月13日.統一協会がソウルで合同結婚式
3月2日.証人採用と公正な裁判を求める署名523人分(累計5,856人分)提出。
3月17日.ウガンダで「神の十戒復古運動」の集団死事件が発覚。
※岡山では(有)宝翔が「姓名鑑定」などの葉書を盛んに配っています。
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