「青春を返せ裁判」を支援する会 会報 1999年4月・第29号

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A裁判・次回(5/21)に証人の採否を決定

 2月26日午後、統一協会の詐欺的な勧誘・強化の被害者が統一協会を訴えた「青春を返せ裁判」(原告A男)の二審での初公判が広島高裁岡山支部でひらかれました。
 裁判の中で、A男さん側の控訴理由書と、統一協会側の抗弁書が提出されていることが確認されました。河田弁護士は今後の進行について、社会心理学者の西田公昭さんと宗教学者の浅見定雄さんの証人調べが必要不可欠で、統一協会の実態に詳しい有田芳生さんの証人調べも必要だと意見を陳述しましたが、統一協会側の鐘築弁護士は、その3名とも偏見をもっている、本日での結審を求めました。そして、次回(5月21日10時)までにA男側が抗弁書に対する反論と証人尋問事項の整理をして提出し、それに統一協会側が反論を出し、次回裁判で証人の採否などを決めることになりました。

新しい署名と傍聴を−幹事会ひらく

 4月12日、支援する会の幹事会がひらかれました。
 次回裁判(5月21日)での証人の採否が、この裁判の勝敗を左右することになることを話し合いました。
 そして、新しい署名を作って、次の取り組みをすることを決めました。
 5月21日までに、証人採用と公正裁判をもとめる署名を5,000人分を目標に集めます。
 多くの市民に呼びかけて裁判を傍聴します。

岡山地裁・原告B子さんの訴えを退ける

 3月24日、倉敷市のB子さんが原告となった「青春を返せ裁判」の判決が岡山地裁(小沢一郎裁判長)で出され、原告の訴えが退けられました。
 原告は、1990年1月、「青年サークル」と名乗るアンケートに答えたことから、ビデオセンターに連れ込まれ、感動的なビデオを見せられてから、「宗教」であることを隠したまま、理想と恐怖を植え込まれ、心理的に逆らえなくなった状態で統一協会に入会させられ、全財産を献金させられました。そして、「しんぜん会」と名乗っての募金集め、珍味売り、保守系議員の選挙応援などに従事させたれました。
 1992年7月に家族に保護されて脱会し、93年7月にリハビリ中でしたが提訴しました。
 判決では、統一協会の「信者組織がビデオセンターなどを運営していた。統一協会は信者組織の活動に責任はない」という主張に対しては、「被告においても信者組織に対する実質的な指揮監督関係がある」としました。しかし、「当初被告の名称や被告の伝道活動(勧誘)であることが秘匿されていた点は、一般的に見れば問題がないわけではないが、本件における原告への勧誘の態様としては、これをもって違法とまでいうことはできない」と述べ、各種セミナー等における勧誘、教化についても同様に「教団名や文鮮明の名前を明かさなかった点では道義上の問題を残すけれども」、「いまだ社会的相当性を逸脱したものであるとまではいうことができない」としました。献金の勧誘については、「多少なりとも吉凶禍福や先祖の因縁話、霊界の話等が説かれる場合が多く、そのような言を用いて献金を求める行為一般を違法であると断じることは宗教に対する過度の干渉となるので許されないと解すべきであり、本件のそれが特に社会常識を逸脱したものとまではいえない」、「献金額等その態様についてみても、原告の年齢や収入等に比して社会常識に反するものとまでは認められない」と述べています。
 判決をうけてひらかれた報告集会で河田弁護士は、「到底納得できない内容だ」などと批判。支援する会の高山代表は、「今後ともご支援下さい」と述べました。原告のB子さんは、「A男さんと同じ裁判官なので、ある程度予想はしていましたが、人が人を裁けるのか、疑問を感じています。控訴については、じっくり考えたい」と話しました。
 昨年控訴したA男さんは、一審で採用されなかったマインドコントロール研究者の証人採用を要求しています。研究者の西田公昭証人が採用された札幌地裁などで行われている「青春を返せ裁判」では、人権侵害の実態に迫った判決が期待されています。

青春を返せB裁判を終えて

                            弁護士 河田 英正

 私達は、判決の一瞬を固唾を飲みながら待った。原告の生涯をかけた思いを裁判所にぶつけてきた。訴えを提起してから5年を経過している。いや、裁判所に対してだけでなく、私達の社会に対してどのような社会でなければならないのか答えて欲しいと真正面から問いかけたものであった。人は自らの自由な意思決定に基づいて充実した人生をおくる権利のあることの確認を求めて。  しかし、判決は無味乾燥な原告の訴えを棄却するとの一言が法廷に響いただけであった。本当に裁判官は原告の訴えに真剣に耳をかたむけようとしたのだろうか。本当に悩みながら判決をかいたのであろうか。しかし、今の司法だけに本件のような問題にきちんと答えてくれる機能を期待するのは無理なのかもしれない。長期未済事件となっている本件は転勤前に片づておかなければならない事件の1つであったのである。おそらく裁判官にとってはその程度の軽いものだったのかもしれない。
 裁判の結果は残念なものであった。しかし、裁判の結果が全てではない。これは負け惜しみでいっているのではない。私達が裁判所を裁いた結果でもある。社会を試した結果でもある。このことで、これから私達がなにをしていかなければならないかをきちんと明らかにしてくれたではないか。そして、これまでの裁判を中心とした運動のなかで、多くのことが得られたではないか。私達の社会が公正で一人一人の人権が大切にされる社会であるためにはどうあるべきか多くの人々に伝えてきた。このことの成果を考えるべきである。このための活動は今後も変わりなく一緒になって力強く続けられるであろう。
 原告の方は本当にご苦労さまでした。あなたの全身全霊をかけて主張してきたことは、多くの人の心をとらえました。多くの人があなたの戦いに勇気づけられました。何人かの脱会の決断の支えにもなりました。マインドコントロールの問題提起とその問題点の議論の深まりにも寄与しました。十分に役割を果たしたといえるでしょう。何よりも、自分自身とつらいながらもきちん向き合い、生きていることの意味を誰よりも深く考えてきたことでしょう。どうぞ、本当の自分の人生をこれから楽しんで下さい。
 世紀末を迎え、不安感に満ちあふれた社会で、これからも人の心を弄ぶカルトの被害は決してなくなることはないでしょう。これらの被害を未然に防止し、被害救済のための活動の重要性を互いに確認して、今後とも共に戦っていきましょう。私もこの統一協会の訴訟に象徴される破壊的カルトとの戦いは、生涯をかけて追求していきたいと思っています。


B子さんからの手紙

                      支援する会事務局長 葛原健志

 判決の翌日(3月25日)に書かれた手紙がB子さんから届きました。

 B子さんは、1990年1月に正体を偽った「アンケート」で勧誘されました。社会の矛盾を解決する道があるという内容のビデオに興味をもって通いはじめたのですが、しだいに“理想”と“恐怖”を植え付けられてマインドコントロールされ、財産も生活も奪われました。そして、2年半後の92年7月に家族に保護されて脱会しました。
 よく「リハビリには、統一協会にいた期間と同じぐらいかかる」と言われますが、B子さんは1年後の93年7月に原告となりました。心身ともに、まだ不安定な時期だったと思います。
 手紙に書かれた「わたしはこの5年間で全てを語りつくし、自分自身の役割を全うしたと思っています」という言葉のとおり、B子さんの陳述は、傍聴者に原告の主張の正しさを確信させました。その陳述書は、冊子『アンケートに答え、青年サークルに誘われ・・・』として出版されました。
 B子さんは、「今は、統一協会の活動で痛めた左足が悪化の状態で、仕事にも就けない状態の中にいますので、これ以上の裁判の続行は、体力的にも無理なところに」いるということで、「ぎりぎりまで考えて出させていただいた結論は、今回の結果をもって裁判を終了したいということ」でした。
 社会の矛盾を解決したいと思ったB子さん。しかし、だまされていたことを知り、新たな被害者をなくしたいを思ったB子さん。多くの脱会者は統一協会のことを忘れることで自分の生活を取り戻していますが、苦しい原告の席についたB子さん。あなたの勇気ある行動が、統一協会の被害を減らすために役立ちました。
 市民を代表して、「B子さん、ありがとうございます。ご苦労様でした」。

その他の出来事

3月3日−東京の青春を返せ裁判で、統一協会幹部が解決金3900万円を支払い、原告39人が和解しました。
  5日−全国弁連の東京集会がひらかれました。
  6日−宗教と人権弁護団ネットワーク集会がひらかれました。
  11日−東京の献金被害事件で、最高裁が統一協会の上告を棄却しました。
  23日−公正審理と証拠採用を求める署名211人分を岡山地裁に提出しました。提出署名の累計は22,470人分でした。
  23日−仙台の献金被害事件で、仙台地裁が統一協会に賠償を命じました。
  26日−日弁連が「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」を発表しました。

これからの予定

5月21日10時〜A裁判(広島高裁岡山支部)
  21日13時30分〜ライフスペース裁判(東京地裁)
6月13〜14日−裁判勝利をめざす全国交流集会(熱海)
9月10日−全国弁連集会(札幌)

                          1999年4月
各 位
                     「青春を返せ裁判」を支援する会
                      代表 高山正治

控訴審の署名にご協力ください

 皆様にはますますご清栄のこととお喜びもうしあげます。
 岡山地裁のたたかいでは、ひとかたならぬご支援をいただきまして、まことにありがとうございました。お陰をもちまして、9年間にわたる裁判の中で、統一協会の詐欺的な勧誘と反社会的な活動、マインドコントロールの実態などをかなり明らかにすることができました。このことは、霊感商法や詐欺的な勧誘などの新たな被害をくい止めるうえで、多少なりとも役立ったことと思います。
 しかしながら裁判所は、勧誘・教化について「教団名や文鮮明の名前を明かさなかった点では道義上の問題を残すけれども」、「いまだ社会的相当性を逸脱したものであるとまではいうことができない」、マインドコントロールについて「効果があったものとはにわかに認められず」、因縁話による献金強要について「そのような言を用いて献金を求める行為一般を違法であると断じることは宗教に対する過度の干渉となるので許されない」などととして、賠償請求を棄却しました。原告が請求したマインドコントロール研究者などを証人採用しないままの、予断と偏見に満ちた判決でした。
 このような判断が許されるなら、正体を偽った勧誘などによる人権侵害から市民の安全が守られず、詐欺や恐喝でも「宗教」をかたれば許される、ということに成りかねません。
 控訴審で、マインドコントロール研究者や宗教学者らの証言をもとにした公正な裁判が行われるよう求める署名にご協力ください。

 5月21日(10時から)の裁判で証人の採否が決まる予定です。5月10日をメドに、できるだけ多くの署名をお届けいただきますようお願いいたします。(送り先は、署名用紙の下部に記載しています)

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