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 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会 会 報 1998年5月・第25号  ┃
 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行〒700-0024岡山市駅元町9-26 ┃ 
 ┃ 国民救援会内 TEL086-254-2799 FAX256-2589 郵便振替「01260-9-33457」┃ 
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   ┌──────────────────────────────┐
も │ 6月3日の判決傍聴を−幹事会−・・・・・・・・・・・・P.1  │
く │ 名古屋「青春を返せ」訴訟の不当判決を乗り越えよう!!・P.1  │
じ │ 最終準備書面(A男さん弁護団)・・・・・・・・・・・・P.3  │
   └──────────────────────────────┘


    6    月    3    日    の    判    決    傍    聴    を-幹事会-

  4月6日、支援する会幹事会が開かれ、これまでの活動と今後の活動について
次のように話し合われました。
  昨年は、詐欺的署名で水増しした合同結婚式がワシントンで開かれましたが、
それから半年ほどしか経たないうちに、日本をメイン会場にした合同結婚式を画
策しているとか。全国からの批判の中で、長野市のエムウエーブはあきらめたよ
うですが、ニューヨークとか横浜とかでの開催を狙っているようです。韓国・文
鮮明機関の財政危機を「祝福献金」で乗り切ろうとしているようです。
  3月12日、裁判所に証拠採用と公正審理を求める署名を提出。提出署名の累
計は20,505人分になりました。ご協力たいへんありがとうございます。不
当判決をさせないために、さらに署名を集めたいと思います(5月末まで)。
  延期されていたA男さんの判決は、6月3日10時から、岡山地裁34号法廷
で言い渡されます。一人でも多くの方の傍聴をお願いします。判決のあと、裁判
所西の「こどもの家」で判決報告集会を開きますのでご参加下さい。


          名古屋「青春を返せ」訴訟の不当判決を乗り越えよう!!
                                                      弁護団  近藤幸夫

  去る3月26日、名古屋地裁において名古屋「青春を返せ」訴訟に対する判決
言渡がなされました。判決は、私たちの期待に反し、原告敗訴という不当なもの
でした。
  この事態をふまえ、先日、東京において、全国の支える会と弁連の検討会がも
たれましたので、その内容の一部を簡単に報告します。
  この判決に対する全国の評価は、「あと一歩、統一協会の実態に立ち入ること
を避けた結果としての極めて不当な判決である」とのものでした。裁判所は「教
義の当否等に立ち入らない」(判決書P451)との立場から、「原罪意識」による
恐怖構造(心理的、精神的強制)という被告統一協会の実態に対する認識と客観
的評価を欠落させてしまったといえます。判決は「宗教的な言説以上に物理的、
身体的な強制力が介在したことを窺わせる証拠もない」として自由意思による選
択だと評価しています。しかし脱会者の方々の証言等により「マインドコントロ
ール」、「恐怖心による心理的強制」のすさまじい実態を知る私たちにとって、
この判決の論理にどれほどの説得力があるでしょうか。
  また、判決はビデオセンターに誘い込まれた者の内、献身に至る者は少なく、
多くは離れていくのだから自由意思だとも評価しています。しかし、札幌地裁で
なされた協会の「もと教育部長」の証言が紹介され、評価の誤りが明確にされま
した。即ち、その証言内容によれば、協会側の認識として、「離れて行くのは初
期の段階が圧倒的であり、教義が頭に浸透してしまえば、あとはやめる者はほと
んどない」というのが実態であるというのです。統一協会の自由意思を奪った違
法な活動を白日のもとにさらす証言です。
  ともかく、「名古屋判決はあまりに不当なだけに控訴審での逆転の闘いは大き
な可能性を秘めている」といえます。そのためには、確実な逆転勝訴に向けて全
国の力を集中し、「システム化された恐怖構造」という統一協会の実態と「物理
的、身体的強制を伴わない心理的強制の違法実態」の立証に全力を注ぐべきこと
が提起されました。
  「文鮮明の来日」、長野オリンピック会場での「合同祝福式」などが画策され
ている状況下、統一協会はこの判決を最大限宣伝に利用するでしょうし、すでに
その動きは全国的に出ています。しかし、反面、霊感商法、献金訴訟等における
原告勝訴判決等を通じ統一協会への世論の批判の高まりも紛れもない事実です。
そうした大局をふまえたうえで、今こそ私どもの奮闘が求められるところです。
6月3日午前10時には、岡山「青春を返せ裁判」の判決も予定されています。
公正判決を求める運動の輪をもう一回り拡げて行きましょう。


         最  終  準  備  書  面

平成元年(ワ)第七九八号    
               原告       A         男
               被告       世界基督教統一神霊協会
                               外一名
 平成九年一一月二八日
              原告代理人     嘉  松  喜 佐 夫 
              同         河  田  英  正 
              同         近  藤  幸  夫 
              同         清  水  善  朗 
              同         山    本    勝    敏 
  岡山地方裁判所     御  中

          準 備 書 面

第一、 当事者
 一、 被告らの概要
  1、 被告統一協会は一九六四年東京都知事の認証を得て、同年七月一六日
付で宗教法人として設立登記をしている。被告久保木修己は同年に会長に就任し、
一九九一年九月までその会長職にあり、統一協会の業務全般を指揮監督してきて
いたものである。なお、被告統一協会への霊感商法批判が高まるなか以後次々と
代表がほぼ一年ごとに交替してきている状況にある。
  2、 被告統一協会の違法な霊感商法の実態(甲第九九号証・同一〇一号証)
については日本弁護士連合会の意見書(甲第一五号証)にも明確に指摘されてい
る。そして、その被害は一九九一年には一年間で九二億円余の被害が発生してい
る(甲第三〇号証の一)などその大きさと深刻さは甚大なものである。さらに、
これらの被害回復を求める訴訟は全国各地で提起され、被告統一協会の責任を認
容する判決(福岡地裁・高松地裁・奈良地裁・東京地裁)が次々となされていて、
一九九七年九月一八日には最高裁も被告統一協会の責任を認める判決(甲第一一
九号証)をだしている。
  3、 一方、資金稼ぎの重要な位置を占める合同結婚式が被告統一協会のサ
タンと情交を持ったエバの原罪から救われるのは教祖との性交によってであると
する被告統一協会の教理との関わりをもってなされている。これらの婚姻は両性
の合意を持って婚姻とする日本の法秩序に明白に反し、これらの婚姻を無効とす
る判決、審判が既に多数なされている。
 さらに、脱会をめぐる様々なトラブルを発生させ、日常的なインチキ募金、珍
味売り、欺瞞的署名等々社会に対して害悪を及ぼしていることは社会的に明白な
事実である。これらの事実は、被告らの活動が反社会的なものであって、法的に
も許容される限界を超えている存在であることを明確に示している。
 二、 原告A男の概要
  1、 原告A男は、一九六五年二月に香川県の農村地帯に生まれ、高校卒業
後公務員として就職して働いていた。高校時代は三年間テニス部に在籍していた
スポーツマンであり、キャプテンも務めるなど誠実な人柄に他人からの信用を集
めていて人望もあった。実家の宗教は仏教であったが特に宗教に興味を持ったこ
とはなく、むしろ、宗教については嫌悪感を持っていた。
  2、 原告A男が被告統一協会と最初に関わりを持つようになったのは一九
八七年九月であった。そのころ原告A男は前記のとおり公務員の職にあり、独身
寮の個室に居住していた。勤務時間は午前八時三〇分から午後五時までであり、
予算の編成期には午前零時ごろになることもあった。しかし、ゴルフ、釣り、麻
雀、囲碁等テニス以外にも興味を持つごく普通の若者であった。
  3、 一九八九年一月末に公務員を辞して献身しようとする直前に原告の両
親らによって保護され、冷静に自らの活動の経過をふりかえり、被告統一協会の
実態を認識するところとなった。被告統一協会に所属して貴重な青春の一時期を
被告の反社会的活動を担い、取り返しのつかない精神的損害を被り、経済的にも
多額の献金等を強いられるなど深刻な損害を被った。原告A男が被告統一協会の
一員として他の人を被告統一協会へと誘い、いまなお被告らと関わって反社会的
行動を一心に行っているかもしれない重荷を感じながら生活をしている。
第二、 原告A男と被告らとの関わり
 一、 姿を隠し、偽りの接近 
  1、 一九八七年九月一五日の休日に被告統一協会に所属する木下慶一、小
野直美が原告の独身寮に訪れた。真の目的はビデオセンターに通わせるようにし
てこれを契機に統一協会の信者にし、献金・物品購入を迫り、やがては献身させ
て統一協会のために全てを投げうって働ける人をつくることであるにも関わらず、
アンケート(甲第九号証)への協力を依頼し、続いて「自分達が行っている文化
サークルへ来てみませんか」と単なる若者のまじめな集まりであるかのごとく装
ってサークル活動への参加を勧誘した。単に宗教団体が最初の接触をもちやすく
するためにあえて宗教団体を名乗らなかったという程度を超えた欺瞞的・反社会
的なものであった。
  2、 原告は、単純に職場以外の友人ができるのもおもしろいかと考え軽い
気持ちでこの誘いに応じて被告統一協会の勧誘の最前線であったビデオセンター
である「クリエイト」(甲第六号証の一、二、甲第二号証の一ないし一五、甲第
八号証)に行くことになった。ここでも統一協会であるとか、その後に用意され
ているプログラムについては全く知らされないままアンケート調査、運勢判断、
原告の財産状態等のチェックがなされた。原告にとってはこれらが後日原告を統
一協会に引きこみさらには全ての財産を献金してしまうことになる資料に使用さ
れることになるなどとは夢にも思っていなかった。この場において約四時間程説
得を受け、結局ビデオ会員として三万五、〇〇〇円の入会金を支払うこととなっ
た。
  3、 原告は入会金として納付した費用分だけはビデオを見ることによって
元をとることができると考えていたが、ビデオセンターに行っても自由に選択し
てビデオを見ることはできず、さらに青年サークルと行ってもビデオセンターの
スタッフとしか接触がなく、広く友人関係を築きたいと考えていた原告にとって
はあまり興味を持てなかった。しかし、被告統一協会からの接触は前記小野を通
じ執拗になされてきていた。
 二、 ニセ占いによる霊界への恐怖
  1、 一九八八年四月一〇日、小野の誘いにより「占いの会」に誘われる。
これもあらかじめ原告らを信者に仕立てるために被告統一協会によって仕組まれ
ていた催し物である。被告統一協会の霊感商法を遂行してきていた当時の統一協
会岡山県青年部団長鈴木光が原告に対して「あなたは今、転換期に来ている。人
生について真剣に考えないといけない」と再びこの機会を通じてクリエイトに通
うよう勧誘した。
  2、 これがきっかけでビデオセンターに毎日のように通うことになり、あ
らかじめ一定の目的のためにつくられたプログラム通りにビデオを鑑賞した。こ
のビデオ鑑賞プログラムには統一協会の教えである原理講論が組み込まれていて
順次見ていけば自然と罪の意識にさいなまされるようになり、そしてその罪意識
から逃れるためには文鮮明に帰依して霊感商法に邁進するしかないという精神状
態に陥っていった。原告は、霊界の恐怖に脅えるようになり、被告らの意のまま
に心を操作される状況になってきていた。
  3、 原告の家庭環境、財産状況、親族の状況、原告の関心事、原告の現段
階の心理状況(不安感・恐怖感等々)は被告ら側にアンケート調査、家系図調査、
担当スタッフによる綿密な観察によって正確に把握されていた。これらの情報を
完全につかみながら被告側は占い師を原告の前に登場させ、前述の鈴木光に続い
て四月一七日には「吉田」という占いの先生にビデオセンターで会わされた。吉
田は「あなたの母方の家系は女性ばかりですね、こういう家系は途絶えてしまう
んです」「あなたがしっかりしないといけません」「あなたの祖先があなたの家
族に霊界から何かを訴えているのでしょう」等々と述べて、原告を、このままの
状態が続けば原告の家族に不幸がくるのではないかとの恐怖感に陥れた。
  4、 五月二二日、ビデオセンターで「全国でも五本の指に入る偉い先生に
占ってもらえる」といわれて花田雅弘の占いを受けることになった。この占いも
決して原告の生きる道筋を占い、原告が人として意義ある人生を送ることができ
るようアドバイスをするという目的ではなく、原告を霊界の恐怖に完全に陥れ、
被告統一協会に全資産を献金させて統一協会員として霊感商法を遂行していく人
格をつくりあげることに目的があった。花田雅弘は、真実は占い師などではなく
当時統一協会岡山教会の岡山県本部長をしていたものであり、壺・多宝塔を先祖
の因縁を説いて恐怖に陥れて売るといういわゆる霊感商法の最前線にあった岡一
商会の社員であったもので、これに関してトラブルが発生した場合は弁護士とも
示談交渉などを担当していた者である。
 花田は「君の祖先は武士だった。それも相当偉い位にいた」「殿様だったら多
くの人を殺し、多くの女性も泣かしてきただろう」「祖先が犯した女の恨みによ
って君を堕落させようとしている」「よく、生きていられるな。こらあかん、こ
らあかん」などと原告を完全に霊界の恐怖に陥れた。これから原告はこれの恐怖
感・不安感からまぬがれようとクリエイトに熱心に通うようになった。つまり、
統一協会への接着度が一段と高まった出来事であった。
 三、 脅しと恐怖の献金
  1、 五月二七日、原告は前記のとおり不安感を追い払うために寄るように
なっていたビデオセンターに夕食もとらないまま寄った。原告としてはいつもの
とおりという以上に特に変わった意味をもって寄ったわけではなかった。しかし、
被告統一協会側では、この日に原告から全財産の献金を迫るべく準備されていた
のであった。そのためのビデオが準備され、そのためにビデオセンターの久野所
長が直接一対一の講義を設定し、深夜になっても原告に対応するスタッフだけが
ビデオセンターに残ることになっていた。こうして翌日の午前三時まで原告はビ
デオセンターに留まることとなった。
  2、 このようにして被告側にとっては用意万端整っている場所に原告が全
く無防備に何らの説明なくおかれたのであった。
 そして、「今日はビデオではなく久野所長がA男さんのために特別講義をして
くださるので楽しみにして下さい」と他の部屋とは仕切られた畳の部屋で一対一
で話すこととなった。
  3、 「この講義内容は、「今まさにこの時代にメシアが現れている。戦争
等人と人が憎しみあわない世界が実現できるんだ。しかし、この時を逃せば世界
は滅びてしまう。」「A男君の肩に世界の平和・歴史がかかっている。世界を救
う使命があるんだよ。」「A男君は、ここへ偶然に来たと思っているかもしれな
いが、神様に選ばれ、A男君の徳を積んだ祖先によって導かれてここへ来ること
ができたんだよ。」というものであった。
 講義が終わり、スタッフから神についてどう思っているかを聞かれ、「神様は
全知全能の神でありますが、悲しみの神様です。」と答えた。これまでのビデオ
講座・スタッフとの会話などからこのように答えられるようになっていた。この
言葉を確認しスタッフは奥の部屋へ行き、しばらくして、一本のビデオを持って
きて、九時過ぎからこのビデオを見ることになった。食事をとっていなかったこ
ともあり、緊張感と共にかなりの疲労感もあった。このビデオは「主の路程」の
巻であり、これによって統一協会及びメシアとしての文鮮明が初めて原告に明か
された。「文鮮明ほど他人のために苦労し、無実の罪にもかかわらず弾圧された
人はいない。」という内容で、原告は「この人が「メシア」なら納得できる。」
と思うようになった。  さらに、統一協会の活動を紹介した内容もあり、世界中
で貧困で苦しむ人々を食糧・医療援助等をして、多くの人々を助けている姿が紹
介されていた。
  4、 ビデオが終わったときは既に午後一〇時近くになっていた。周りには
久野、窪田、田辺以外は誰もいなくなっていた。そして、ついに全財産を献金す
るという総献金の話になっていった。久野から「世界中の人々が幸せになるため
に統一協会へ献金してほしい。」と言われ、原告は「一〇万円位ならしてもいい。
」と答えた。この金額は当時原告の出し得る最大のものであった。入会時のアン
ケートでは一〇〇〜二〇〇万円の所に印を付けていたが、その時点では全ての財
産(保険を含む)は七〇万円になっていた。原告にとっては一〇万円でも非常に
大きな金額であった。しかし、「全ての財産・資産でなければだめだ。」と迫ら
れ原告は霊界の恐怖もあって非常に苦しんだ。ところが、スタッフ達は「A男君
は口先だけの人間ではないよね。」「A男君のお金でアジア・アフリカで飢餓で
苦しむ子ども達が何万人も助かるんだよ。」「A男君の場合たかが七〇万円だろ、
僕なんか二〇〇万円も出したよ。」「このことはみんな乗り越えてきていること
なんだよ。」「A男君の背後には神様が常についているんだよ。」「交通事故で
も起きたら七〇万円なんてすぐに無くなってしまうよ。」「後は神様がみてくれ
るから保険もいらないよ。」といってさらなる献金を迫ってきた。原告が決意し
なければどうしても帰さないという意思が強く原告に感じられた。
 続いて、こもごも「金持ちが天国に入るには、ラクダが針の穴を通るよりも難
しい。今は、神様がA男君に試練を与え、神様のことをどれだけ受け入れている
か試されているんだよ、」「一億円持っている人が七〇万円出しても神様は喜ば
ないよ、でもA男君が神様のために全てを捧げたら神様は「この子こそ我が子」
と言って泣いて喜ぶよ。」「神様や霊界の祖先はA男君が今心の中で考えている
ことが分かっているんだよ。」「A男君の背後には霊界で苦しむ祖先が見守って
いるんだよ。」「A男君の決意の大きさによって地獄で苦しむA男君の祖先が助
かるんだよ。」「A男君が霊界へ行ったときは、何百何万の祖先や家族が出迎え
てくれ、よくやったと手を取り喜んでくれるよ。」「でもね決意しなければ何万
の祖先からボコボコに殴られるよ。」「地上で生きているのは、たかが後五〇年
そこそこだよ、でもね霊界は永遠だよ。地上で生きていた時に何をやったかによ
って、霊界の位置が決まるんだよ。僕なんか相当高い位置にいるけど、A男君は
まだまだ低く、このままだと地獄へ行ってしまうよ。今は崖っぷちに立たされて
いるんだよ。そのまま進むと海に落ちるだけ、それが、今、天からはしごが降り
てきた。乗るか乗らないかはA男君自身で決めることだが、天国へ入るためには、
サタン世界の汚れきった物を捨てないと入れないんだよ。僕を信じてついてくれ
ばいいから。」「A男君は今日真理を知ってしまったんだよ、神様は今までは真
理を知らなかったから大目に見てくれたけど、これからはそうはいかなくなるよ。
法を知って破る人と、つい知らずに破ってしまった人とでは、罪の大きさは天と
地ほどあるよ。」などと全ての財産を提供するよう迫ってきた。しかし、今後の
生活を考えると原告はどうしても「全てを献金します。」とは言えなかった。
 時間は既に午前零時を過ぎていた。もうタクシー以外では原告は寮に帰る手段
もない時間となっていた。既にビデオセンターに来てから五時間が過ぎており原
告は疲労困ぱいであった。それでもなお決心のつかない原告は頭を机に引っ付け
悩み苦しんだ。しかし、一〇万円で許して帰らせてくれる雰囲気では無く、七〇
万円を出すことをついに了承した。原告が決心を伝えるとスタッフから原告に「
お金は魔が入りやすい(気持ちが変わりやすい)ので必ず明日納めて下さい。」
と言われ、その日会社を早退して保険の解約手続をしてビデオセンターにお金を
届けた。結局全財産を換価しても六〇万円にしかならなかった。なお、献金を決
意して寮に帰ったのは,午前三時であった。
 四、 マインドコントロールの深化
  1、 一九八八年六月一五日から「スリーディズ」に原告は参加した。「ス
リーディズ」とは、広島県可部にある統一協会の施設に泊まりこんで行われる修
練会である。睡眠時間までコントロールされる厳しいスケジュールで行われ、二
日目の夜は明かりを全て消されて、講師の朗読がはじまるなど組織的に演出され
たなかで(甲第三九号証)統一協会員として献身を決断するようになる。全てを
献金し、スリーディズのプログラムを経て、宗教を否定していた原告はいつのま
にか統一協会員として生きていくことを決断するに至っていた。しかし、常に霊
界からの恐怖におびえていたのであった。
  2、 スリーディズが終わるとすぐ間をおかないで新生トレーニング(甲第
二〇号証)が始まった。新生トレーニングの段階にはいると教会に寝泊まりする
ようになり、職場から帰って午後七時から始まる二時間の講義を受けるように午
前六時には起床し、体操等きびしい日課がはじまり参加者は慢性的睡眠不足とな
る。この段階から直属の班長に対し、定刻に報告・連絡・相談をしなければなら
なくなり、生活そのものが完全に被告側によってコントロールされるようになる。
原告が被告から脱落しないためのシステムの一つである。
  3、 一〇月からは実践トレーニングが始まった。これまでは統一協会員と
して献金をしたり、一方的に講義を受けるだけであったが、この段階で統一協会
の伝道活動を行う実践的訓練に入る。原告は騙されるようにして被告統一協会と
接触を持つようになったが、逆に原告が騙す立場になるのである。新生トレーニ
ングで六時間位の睡眠時間であったものがさらに短くなりこの段階に入ると一日
平均五時間位しかなくなる。いよいよ献身に向けて最後の段階を迎えることにな
る。
 原告は指示に従い、岡山中央郵便局の前とかビデオセンターの周辺で通行人に
対してアンケート用紙を持って声をかけ、戸別訪問をした。統一協会の定着経済
部門としての絵画展示販売会についてはできるだけ大勢の人を動員するのも実践
トレーニングの内容の一つである。事前に動員目標の設定がなされ、セールスト
ークについてもあらかじめ指示を受け、会場に配置された「トーカー」「マネキ
ン」「担当者」「タワー長」の組織的な役割をそれぞれが果たすなかで買わせる
ようにする。原告も何度かこの動員をする役割を担った。これらの活動はいずれ
も原告がより深く統一協会と関わりをもつようにプログラムされたシステムの一
つである。
  4、 実践トレーニングが始まってからは教会での寝泊まりが始まったが、
やがて、一〇月の終わりごろから原告は統一協会の青年部と学生部の人が集団生
活をしているいわゆるホームといわれていた「津倉荘」で他の人と一緒に過ごす
ようになった。こうして全生活が統一協会にとりこまれた状態となり、欺瞞的な
方法による物品の販売、姿をかくした伝道等の反社会的行動を何ら疑問を持たな
いで遂行するようになった。
  5、 前述したとおり、原告には毎日報告・連絡・相談が義務づけられてい
ていわば全生活を被告統一協会によって支配されている状況であり、外部である
両親らとの接触もきびしく制限されていた。部内では「対策」と称し、統一協会
の被害者を救出し、被害救済活動を行っている人達をサタンとして外部からの情
報に接することを困難にし、自らの意思で考え、思考する能力を奪い、統一協会
からの脱会を決断することを著しく困難な状況にした。その結果、脱会するまで
に多大な精神的苦痛を味わうこととなった。
  6、 原告は、セミナー参加費として合計一二万五、〇〇〇円を支払った。
前記六〇万円の献金の他に一四万七、〇〇〇円を別途献金している。
第三、 マインドコントロールの違法性
 一、 原告は第二の項目で述べたとおり、姿を隠した接近からニセ占い師の登
場、ビデオセンターでの組織的にプログラムされたビデオ講座の受講、これを支
えるスタッフの手紙・訪問、スリーディズ・新生トレーニング・実践トレーニン
グ、右の中でなされる総献金等は、一連の原告への働きかけとして最終的には文
鮮明の指示であればそのまま受けいれ、たとえ反社会的行動でも何らの疑問を持
たないで遂行することのできる人間をつくるためのマインドコントロールの手段
である。これは原告の宗教を選ぶ権利を不当に侵害するのみならず、人格権を侵
害し、反社会的集団にこころならずも所属し、その一員として活動させられたも
ので、脱会に至るまでの精神的苦痛などその精神的損害は一〇〇万円を下ること
はない。
 二、 被告統一協会のマインドコントロール
  1、 これらのマインドコントロールのシステムの意味は「統一協会のマイ
ンド・コントロール」(甲第四〇号証)にまとめられている。原告A男の場合は
右表のうち「VC」「2ディズ」「新生トレ」「実践トレ」の項目がこれに該当
する。この仕組みについてはこれまでの準備書面でも詳しく述べた。
  2、 「ビリーフの形成と変化の機制についての研究」(甲第四五号証)は
統一協会を脱会した人を対象に研究者が直接面接するなどして質問用紙を回収し
て分析したものである。ビデオセンター・セミナーでの心理状況を分析し、被告
統一協会マインドコントロールのシステムを解明している。被告らの前記一連の
欺瞞的システムが勧誘を受ける者の「ビリーフ」を変容させていくことを明らか
にしたものである。
  3、 右二つの事実から(1)被告統一協会のマインドコントロールシステムは
全国共通的に行われていること(2)マインドコントロールの結果の原告の献金及び
統一協会への入会等であるとすれば表面的には原告の意思に基づくものであると
見えても実際は自らの意思でなされたものではなく、右システム自体の妥当性の
有無が問われなくてはならない。
 被告統一協会の前記一連の行為によるマインドコントロールは積極的に三項以
下記載のとおり原告に虚偽の事実を告げ、騙し、恐怖に陥れ、畏怖困惑させてビ
リーフの変容をきたらしたもので、その手法において法的に許容されないもので
あって、原告の意思決定を不当に阻害した違法なものである(本件の場合、献金を
迫った明らかに違法な行為をみるとき、被告らの行為は入会勧誘から脱会を決断
するまでの一連の連続的違法行為と評価することもできる)。
 三、 被告らの勧誘等における嘘の数々
  1、 原告に対する最初の被告からの接触は、アンケートに協力して下さい
というものであった。真実は最終的には統一協会員にして献金をさせ、新たに統
一協会の伝道活動にあたるように勧誘する目的であったにも関わらず、それらの
目的を全く隠していた。積極的に隠すよう指示を受けて接近していた。最初に接
触した小野直美は「ホ−ム」に暮らしていた統一協会の献身者であり、統一協会
のビデオセンターのスタッフであるとともに統一協会の経済活動(霊感商法)を
担っていた美光のスタッフでもあった。
  2、 アンケート調査は青年意識調査を装いながら(甲第九号証、甲第一二
号証、甲第一三号証)実は統一協会に勧誘しやすい人を選別していた(平成六年
二月二〇日小野直美調書一三ページ〜二一ページ)
  3、 統一協会であるか否かを問われても宗教とは関係ないことを言うよう
に指示をされていた。あくまでも若者の文化サークルといっていた。原告がビデ
オセンターに通うようになって疑問に思ってただした時も宗教とは関係ないと答
えていた。しかし、あくまでもビデオセンターは統一協会の伝道の場所であった
(同調書二五ページ)。
  4、 ビデオセンターは甲第二五号証のような配置になっていて、外部者に
は見えないところにスタッフルームがあり、タワー長がいて原告らが決断をにぶ
っていると即座に指示がでるようになっている。しかも、その対応の仕方はマニ
ュアル化され(甲第一〇号証・甲第三二号証・同第三一号証・同第三八号証・甲
第九〇号証)、統一協会であることを気付かれないままビデオセンターに入会を
迫ることができるようにシステム化されている。これらのマニュアルは、被告統
一協会において全国的に作成され、組織的に運用されてきてきていた(甲第九八
号証の一〇など)。
  5、 ビデオセンターでの亀甲アンケート(甲第二一号証)は、真に原告ら
のためになされるのではなく、原告の財産状況をあらかじめ把握し、どこまで献
金を迫れるかの目安とし、家系図づくりはその後の恐怖に陥れる占い師らの因縁
トークに利用するための材料を得るためのものである。そして、この因縁トーク
などは占い師ではなくても誰でもが対象者に対して確実に霊界の恐怖を抱かせて
それを利用するなどその役割を果たすことができるようにマニュアル化(甲第三
六号証、同三七号証、同三三号証)されている。
  6、 占い師による嘘と脅迫
   (一) 目的の嘘
       統一協会との関わりに一歩ふみだせないでいる原告を先祖の因縁
を説くなどして霊界の恐怖に陥れ、最終的には文鮮明に対する帰依を迫って献金
をさせる目的であったにも関わらずこれを秘して、偉い先生による占いであるな
どといって、単なる人生相談の機会であるかのごとく目的を偽っている。
   (二) 占い師の嘘
       「偉い先生」であるとか「日本で五本の指に入る先生」というの
は嘘である。一九八八年四月一〇日に小野直美から誘われて会った「占いの先生」
と称していた鈴木光は、実は被告統一協会岡山教会青年部団長の地位にいた者で
(甲第九四号証七ページ)、一九八六年一月三〇日には島根県松江市で人参液や
絵画などを売って霊感商法の最前線にいた有限会社光和商会の取締役をしていた
者であった(甲第四四号証)。霊感商法の正に責任者であった者である。なお、
霊感商法批判の高まるなか一九八八年一月にこの会社は解散されている。
「日本で五本の指に入る先生」と紹介された花田雅弘は当時被告統一協会岡山県
本部長の役職にあった者である。そして、壺や多宝塔を先祖の因縁を説くなどし
て霊感商法を推進していた有限会社岡一商会(甲第一〇八号証)の営業部長の職
責にいた(甲第一〇七号証)。また、同人は霊感商法をめぐるトラブルに関して
直接原告代理人ら弁護士と交渉してきていた者であって、霊感商法を中心的に推
進してきた最前線の人であったといえる(甲第二四号証、甲第九三号証の一ない
し三)。本件訴訟において右事実関係を立証すべく証人申請をし、採用されたが、
同人は正当な理由なく出廷を拒否した。直接交渉をしてきた弁護士の尋問を受け、
事実が明らかになることをおそれたためである。このように占い師として登場し
た者は、いずれもいかにして対象者を先祖の因縁を説くなどして霊界の恐怖にお
びえる人間をつくって献金を迫るという目的をもって「占い」をしている。常に
恐怖心をあおって不安に陥れることをしてきているものである。
   (三) 占いの嘘
       既に右に述べたように、その占いの内容はマニュアルに基づき対
象者(原告ら)が恐怖を抱くようになされる。信仰もしくは独自のインスピレー
ションや信念によってなされるものではない。従ってその内容は「祖先が犯した
女の恨みによって君を堕落させようとしている」などという画一的な内容となっ
ている。
  7、 絵画展・着物の展示販売の嘘
     統一協会員としての活動の一つとして右のような販売会への動員指示
がなされる。この会場には誰でもが自由に入れるのではない。単なる資金稼ぎで
しかない催し物について指示された数の動員を達成することが信仰の証しとされ、
何らの罪悪感を感じさせない。この展示会においては「トーカー」「マネキン」
「担当者」「タワー長」などの役割を持った者が配置され、この場においても事
前のアンケート調査などの資料が活用され、単なる物品の販売の場所ではなく霊
感商法実践の場となる。
 原告もこのようななかからシャルムを販売店とする時計を高額で購入させられ
ている(平成四年三月一八日原告本人調書一二〇項等)
  8、 「万物復帰」との関わり
     被告統一協会による霊感商法等の経済活動は「万物復帰」と言われ、
サタン側にある万物を神の下へ取り戻すという教えに基づくものである。ここに
いう万物とはお金をはじめ地上にある全ての財物とされ、再臨のメシアである文
鮮明にこれを全て捧げるということである。この統一協会の教えを実践すること
は「天法は地法に勝る」と教えられ、詐欺的・脅迫的な霊感商法は、地上天国実
現のために「復帰した金」を用いるのであるから人を騙して売ってもむしろその
人のためにもなるのでかまわないという違法行為を正当行為としてすすめられる
べきこととされている(甲第四六号証ないし甲第六五号証)。こうして統一協会
員は違法な販売活動に何ら疑問を抱かず推進するようになるのである。原告が統
一協会員として絵画の販売活動等について罪悪感を感じなくなっていたのはこの
ような統一協会の教えと深い関わりがある。シャルムから時計を購入したのもこ
の考えに基づくものであった。また、余裕がある限り献金をしていくのも右考え
によるものである。右に引用した統一協会の機関紙「ファミリー」には繰り返し
この万物復帰のことが説かれている。例えば「この世界にみれば、先生のやり方
は最悪ですが、天的に見ればそれは最善のことなのです」(甲第六〇号証)「刑
務所が悪いところではありません。もしも天命によってそういう罪を犯したとす
るならば地獄に行きません。そこに国が加担し、天が加担する」(甲第六四号証)
等々万物復帰のため違法行為を犯すことに何ら躊躇しないように価値観を転換さ
せている。こうして、統一協会員たちは、展示販売会への動員、壺・多宝塔・人
参液等の販売、献金の強要へとかりたてられていくのである。この万物復帰と霊
感商法との関わりは既に他の判決等で認められているところである(甲第四三号証)。
 四、 アンケートから献身に至るまでの一連の不法行為
    原告が宗教には何らの興味を持たない青年から霊界への恐怖感を抱くよ
うになり、全財産を投げだす献金をしたうえで、被告統一協会に献身を決意する
に至ったのは第二記載の経過であり、それぞれは一連の一体化した目的行為であ
り、前述のとおり原告の自由な意思形成を不当に妨げる不法なものであり、人格
権を侵害する不法行為である。
 これらの一連の行為が合目的的になされていることは被告らの内部資料(甲第
一一二号証)、全国的に共通のプログラムが実践されていること等から明白であ
る。甲第一一二号証にはビデオ受講に至るまでの手法と以後どのようにして献金
を迫り、「実践」という段階に至らせるかというチャート図が記載され、家系図
のとり方、その利用の仕方、因縁トークから献金(SK)の迫り方など細かく内
容が指示されている。また、恐怖を抱かせて信者献金を迫る手法について被告統
一協会内部において組織的に詳しく講義がなされている(甲第八九号証の一、二
)。霊感商法への被告統一協会としての組織的関わりについてはその幹部も認め
ているところである(甲第四一号証)。
第四、 献金(一九八八年五月二七日)の違法性
 一、 原告は、一九八八年五月二七日にビデオセンターの一室において原告の
全資産を被告に献金することを決断させられ、翌日六〇万円の現金を被告統一協
会に渡した。これは、それまでのビデオセンターに通いビデオ講座を受講しニセ
占い師によって霊界の恐怖にとりつかれている原告の状況を利用し、全ての財産
の献金を迫るべくビデオの題材を選択して見せ、特別講義と称して献金を迫り、
深夜数時間に渡ってビデオセンターのスタッフが取り囲み献金を決断しなければ
帰宅できない状況に追い込んで、恐怖のうちに献金を決断させた。そして、その
決断後はすかさずスリーディズ、新生トレーニング、実践トレーニングが始まり、
統一協会から脱会させないためのフォローがあり、献身へと誘導していった。
 二、 献金の勧誘行為が例え布教活動の一環として行われたものであったとし
ても、その目的・方法・結果において社会的に相当でないと判断される場合は違
法となり、民法七〇九条の不法行為に該当する(平成六年五月二七日福岡地裁判
決等々)。本件の場合、直接本件勧誘のなされる前に原告に恐怖感を持たせる一
連の行為が存在し、そのようにして霊界に対する原告の恐怖心を利用して計画的
に深夜の長時間にわたる原告を取り囲む複数の人による献金強要は目的手段にお
いて社会的相当性を欠き、その結果全資産を提供することを決断させたことは結
果においても相当ではなく、右献金勧誘行為は不法行為を構成し、被告統一協会
はこのような勧誘行為を組織的にした直接の責任を負う。少なくともこのような
勧誘行為をした信者を統轄している立場として民法七一五条に基づく損害賠償責
任を負う。
第五、 被告らの一体性と違法性
 一、 被告の献金勧誘システムは(1)全国及び各地区において献金目標額が定め
られ、目標達成に向けて献金勧誘が行われていたこと、(2)伝道方法については、
各種マニュアル等により全国的に共通の方法がとられていたこと、(3)伝道方法は、
対象者の悩みを聞き出し、様々な悪い現象は先祖の因縁によるものであるなどの
因縁話や霊界の話をした上、被告の教義ビデオ等を見せて教育するというもので
あったこと、(4)献金前に予め対象者の財産を把握することに重点が置かれていた
こと、(5)献金直前まで被告及び文鮮明のことを明かさずに勧誘行為をしていたこ
と、(6)執拗な勧誘行為が行われていた。そして、被告の献金勧誘のシステムの特
徴として、(1)万物復帰の教えの下、個々の対象者からその保有財産の大部分を供
出させ、被告全体としても多額の資金を集めることを目的とするものであること、
(2)象者がある一定レベルに達するまで、被告の万物復帰の教えはもちろんのこ
と、被告や文鮮明のことを秘匿あるいは明確に否定したまま、対象者の悩みに応
じた因縁話等をして不安感を生じさせあるいは助長させる方法をとっていること、
(3)各種マニュアル等により勧誘方法が全国的に共通していて、組織的に行われて
いることが挙げられる。このうち、(2)の点は、被告への入会ないしは献金等を勧
誘するに際し、入会ないしは献金等をしようとする者の判断に影響を及ぼすこと
となる重要なものにつき、不実のことを告げ、恐怖に陥れ、また、被告への入会
ないしは献金等をさせるため、対象者を威迫して困惑させるものであり、方法と
して不公正なものである(甲第一一三号証奈良地裁判決)。
 二1、 右に述べたとおり、被告統一協会の献金等勧誘システムは全国的組織
的に遂行されているものであって、これが違法と評価される場合は直接不法行為
責任を負うというべきである(前記奈良地裁判決)
  2、 非営利団体である宗教法人の信者が第三者に損害を与えた場合に、そ
の信者が右宗教法人との間に被用者の地位にあると認められ、かつ、その加害行
為が宗教法人の宗教的活動などの事業の執行につきなされたものであるときは、
右信者の加害行為につき民法七一五条に定める使用者責任を負う(甲第四三号証
福岡地裁判決)。
 よって、被告統一協会は原告の被った財産的損害・精神的損害について、直接
不法行為責任を負うとともに、信者のなした違法行為についても賠償責任を負う。
  3、 被告久保木修己は、被告統一協会の設立当初から同協会の組織活動に
中心的に深く関わってきた者であり、前記組織的な違法な献金をはじめとする伝
道活動、霊感商法を指揮・監督してきたものであって、本件原告の被害に対して
不法行為責任(民法七〇九条)が存する。
 同被告が被告統一協会の責任者として指揮をとっていた時期にビデオによる原
理講論の普及を直接指示し(甲第一六号証の一ないし七)、ビデオセンターによ
る伝道をつくりあげている。そして、これらビデオセンターが中心的役割を果し
ながら霊感商法をめぐる深刻な被害が多発した(甲第八〇号証ないし甲第八八号
証)。
 三1、 被告側はビデオセンターが宗教団体の名を秘した統一協会の伝道の場
所であることを認めながら、これは「信者を中心につくられたもの」(平成六年
二月一〇日小野直美証人調書二五ページ)としてビデオセンターでの献金・伝道
については統一協会は一切責任がないかのような主張している。しかし、前述の
とおりビデオによる伝道が統一協会の方針として全国的組織的になされているこ
と、信者団体という法人とか特別の団体があるわけではなく単なるグループであ
ること(同調書五八ページ)、これらの団体が存在したかのような被告側からの
主張は、本件訴訟が提起されてはじめて主張されたこと、被告側の認識でも「も
しかしたら、ある組織一定レベル以上の人しか知らない組織」(甲第一二〇号証
の二)というものであって、あえて被告統一協会の責任を免れさせるための詭弁
である。
  2、 原告の本件献金は信者組織に対してなされたものではない。原告は統
一協会の他に信者組織、信徒団体の存在など全く知らされていなかった(これら
の組織が存在するはずはなかったことは前述のとおり)。宗教上の理由により寄
付する者は、自ら帰依しようとする宗教団体またはその教祖を信じ、当該団体ま
たは教祖が有すると誇示する力を頼み、それから御利益を得、またはそれによっ
て降りかかると告知された災難から逃れる意図の下に寄付するのであって、自己
に利益をもたらすか、または降りかかる災難を防ぐについての力を有するかどう
か判然としない信徒の団体に対して寄付することはありえないのは当然である(
甲第一二一号証)。


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