カルト被害を考える会 会報 2015年9月・第78号
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<もくじ>
・2015年度総会のご案内―――――1ぺーじ
・統一協会が「家庭連合」に名称変更―1ぺーじ
・東京で全国弁連集会ひらく―――――2ページ
・その他の出来事――――――――――7ページ
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2015年度総会のご案内

 次のとおり、カルト被害を考える会2015年度総会をひらきますのでご出席ください。

日時:10月3日(土)午後1時から

場所:倉敷めぐみキリスト教会(倉敷市茶屋町1586-1)

※記念講演会を午後2時から開き、全国弁連の久保内浩嗣弁護士(第二東京弁護士会)にお話して頂きます。


統一協会が「家庭連合」に名称変更

 世界基督教統一神霊協会(統一協会)は、「世界平和統一家庭連合」(家庭連合)に名称変更しました。今後1年間は旧名称も併記するそうです。
 統一教会のホームページによると、今から18年前の1997年4月から5月にかけて、各国の統一協会は「世界平和統一家庭連合」に名称変更していました。ところが日本では、霊感商法や偽造勧誘などの反社会的活動が問題視され、宗教法人を管轄する文化庁が名称変更の申請を認証していませんでした。これは、全国弁連を初めとする統一協会問題にとりくんできた私たちの活動の反映でもありました。
 18年も経った今年8月、文化庁が名称変更申請を認証したのは、世間の風当たりの強い安倍政権が、味方としての統一協会の活動に期待してのことだと思われます。
 統一協会は、立候補者の選挙活動を手伝うなどして、保守系の議員や首長と関係を築いてきました。2年前の参院選では、統一協会が信者に指示して、安倍首相と同郷の北村経夫氏に投票させ、同氏を比例で当選させた実績もあります。
 私たちは今後、統一協会による安倍政権を支える活動や、霊感商法などの反社会的な活動を活発化させることに警戒する必要がありそうです。


東京で全国弁連集会ひらく

 9月11日、全国霊感商法被害対策弁護士連絡会(全国弁連)の第62回全国集会が東京都内でひらかれ、カルト被害を考える会からは葛原健志事務局長が参加しました。
 開会あいさつで河田英正代表委員は、次から次へと新しい問題が起こっており、カルト問題は尽きることのないことだと感じている等と述べました。

渡辺弁護士が基調報告

 基調報告で、渡辺博弁護士は次のように述べました(全国弁連通信No.164の記事を一部加筆しました)。
統一協会の現状
 統一協会は、8月27日に「世界平和家庭統一連合」に名称を変更しました。統一協会は10数年前から文化庁に名称変更を申請していましたが、霊感商法や違法な献金集め、正体を隠した伝道などでたくさんの訴訟を抱えています。かつて文化庁宗務課は、私たちに「名称変更を認めることはあり得ません」と回答していました。今回、名称変更を認めたということは、統一協会が政治家に圧力をかけたのだろうと思います。2009年に全国で多くの統一協会員が特商法違反で逮捕されました。ここで統一協会が行った反省は“政治家対策がおろそかになっていた”ということでした。その後の努力のおかげで名称変更ができたのだろうと思います。これから統一協会は、このような宗教団体と思えないような名称で、正体を隠した伝道や霊感商法をくりかえすと思われます。
 昨年、統一協会の元会長で名誉会長だった神山威氏が統一協会を脱会して、三男(文顕進)派かそれに近いところに鞍替えしましたが、それに続いて7月28日、元会長の江利川安栄氏が脱会届を出しました。江利川氏は、文鮮明の死後、韓鶴子が文鮮明の教えを捨ててしまい、文鮮明の取り巻きだった幹部の多くが公金を横領し、男女問題も犯しているとして、七男(文亨進)の教会に鞍替えしました。
 神山氏は、アメリカでの活動が長いにもかかわらず、英語力が乏しく、会計処理能力も乏しい。文鮮明が脱税でダンベリーの刑務所に入ったのも神山の無能力にあると言われていて、神山氏には人望がありません。
 一方、江利川氏は、韓国に渡った日本人女性を長年束ねてきました。その多くは大卒で、日本で経済実績も上げた精鋭部隊です。彼女たちは、農村部に送り込まれ、結婚のチャンスがなかった韓国人男性と結婚させられても、それでも信仰をもち続けている人たちです。この女性たちは、現在でも、日本の統一協会で中心になっているベテラン信者と太い人脈を持っています。渡韓した女性信者が江利川氏の影響で七男派に流れ、その女性人脈で日本の中枢を担う信者が七男派に流れるということは十分予想されることです。江利川氏が会長だった1990年代、日本の統一協会の女性信者の精鋭が世界宣教として大量に海外に送り出されました。この宣教師たちも、日本の統一協会の中枢を担うベテラン信者との太い人脈を持っています。江利川氏の影響で元宣教師たちが七男派に流れると、その人脈でも日本の中枢を担う信者が七男派に流れるという事態も考えられます。
 いま統一協会は、韓国に渡った日本人女性たち、あるいは元宣教師たち、江利川氏の影響力の強い信者たちに呼びかけて集会をひらいて、離反しないよう七男派に行かないよう説得をしています。
 統一協会にとって頭が痛いのは、駒場久美子氏が率いる駒場派もあります。駒場氏は、文鮮明の弟子たちは皆失敗した、文鮮明のみ言に帰れ、原理に帰れ、と言って、多くの信者を獲得しています。この駒場一派を支えているのが、元東大原研の信者たちと言われています。
 韓鶴子は今、自分は女王様だと宣言し、文鮮明は原罪を負って生まれたけれど、自分は生まれながらにして原罪は負っていない、文鮮明よりも自分の方が上なんだと言い出しているので、これに付いていけない古参信者や二世信者が統一協会を離れるという事態もあり得ると思われます。
 残った信者に対する献金の強要も苛烈なものになっています。9月1日、統一協会は韓国の清平で真の父母経出版記念式を開催して、天聖経、平和経、合わせて三大経典が完成したとしています。この販売価格は、韓国で1冊8万ウォン(8千円)、3冊買って2万4千円です。もちろん、こんな高い本を買う韓国人はいませんから、渡韓した日本人信者以外にはほとんどタダで配られていると言われていますが、この同じ3冊の本を日本の信者には、天聖経と平和経の2冊で140万円、今回の真の父母経が140万円、3冊280万円で売りつけています。
 また日本人信者に対しては、文鮮明の三周忌のため、今年の5月から8月までを93日特別精誠期間として、1家庭21万円、独身者12万円の献金、伝道して祝福参加させ祝福献金140万円(夫婦で280万円)をするよう指示が出されました。これ以外にも、ラスベガスで建てたピースパレスの献金が1家庭25万円というのもあります。残った信者のお尻をたたいて、今でも月30億円、年360億円を集めて、その多くを韓国に送っていると言われています。
 今年2月4日、韓国人・日本人の統一協会信者14名が、平清の霊能師・金孝南一派の300億円に上る背任横領の責任を追及するため検察庁に告発しました。被告発人は、金孝南の長男ら4名です。14名の告発者は、表向きはひら信者ということになっていますが、実際には、すでに文鮮明を悪魔と考えている信者たちです。弁連としては、清平で被害を受けた元信者の方々に協力してもらって、検事あての上申書を提出しています。
今後の課題
 私たちの課題ですが、いまだに先祖因縁を用いた脅しによって毎日のように献金要請を受けている中高年婦人を中心とする信者たち、身も心もボロボロになっている中高年の婦人たちを何としても救済したいと思っています。そのためにも、全国で統一協会を被告とした訴訟をしていますが、いい判決を積み重ねていきたいと思います。
 もう一つは、韓国に渡った7000人の日本人女性信者の問題です。3年前に殺人事件を起こした女性信者がいます。あるいは病気で、破産して、アル中で働けないという夫を抱えて悲惨な生活を送っている女性信者がいます。あるいは、文鮮明の「子どもに日本語なんか教えるな」という指示を守った結果、韓国語がしゃべれない母親が、子どもと会話できないで発達障害にしてしまったという家庭も多くあると聞いています。このような渡韓した日本人女性の救済も、みなさんと知恵を合わせて努力していきたいと思います。
 2009年の統一協会信者の刑事摘発以降、統一協会は必死に政治家・国会議員渉外をおこなっています。そのおかげで、統一協会信者の国会議員、統一協会の支援を受けていることを公にして恥じないような国会議員や政治家がたくさん出てきています。それらに対する問題提起も私たちの課題だろうと思います。
 大学内、あるいは高校生に対する、統一協会あるいはそれ以外のカルトによる勧誘活動に対する取り組みも、私たちの課題だろうともいます。統一協会でも摂理でも、たくさんの信者が教師として学校に送り込まれています。医師、弁護士、国家公務員などにも隠れ信者が多数配置されています。私たちは、新たな被害者を作らないための今後の対策もしっかり取り組んでいきたいと思います。
 私たちのこうした活動は、みなさんのご協力なしには進んでいきません。今日の集会でのみなさんのご意見をもとにして、今後も統一協会による数々の違法行為による被害者の救済、被害の根絶に向けて努力したいと思います。
その他の報告など
 その後、韓国人男性との合同結婚後に共に統一協会を脱会して韓国で暮らしている女性の報告、スラップ訴訟(口封じ裁判)についてのシンポジウム、講演「因果論を考える」、講演「フランスのカルト問題への取り組みの実像」(後掲)、ICSA(国際カルト研究協会)の報告、日本基督教団挨拶および日韓牧師交流の報告、各地弁護団の報告、開運商法への取組みと状況報告などが行われました。
 そして、次回の全国集会を来年3月18日、名古屋でひらくことになりました。

国際ジャーナリスト 広岡裕児さんの講演

フランスのカルト問題への取り組みの実像

 カルト(セクト)は、宗教か否か、大きいか小さいか、伝統的か新しいかではなくて、人権を侵害しているかいないか、その手段としてマインドコントロールを使っているかいないかで見極めます。そうすると、既成宗教の原理主義、ネオナチ、テロリスト、マフィアなどに加えて、カルト団体(自己啓発やマルチ商法を含む)が問題となります。フランスでは、カルトが多いけれど取り締まる法律がなかったので、アブー・ピカール法(人権及び基本的権利の侵害をもたらすセクト的団体の抑止及び取締の強化に関する2001年6月12日の2001-504号法)を作りました。
 この法律で定義したカルト的団体とは、「法的形態や目的のいかんを問わず、その活動に参加する者に対して心理的もしくは身体的な隷属を醸成し、維持しもしくは利用することを目的または効果とする」集団(=マインドコントロールする集団)です。
 マインドコントロール(精神的支配)の定義は、「重大または反復した圧力や判断を歪めうる技術の結果、心理的または身体的服従状態」にすることです。
 そして「無知または脆弱な状態の悪用罪」に、マインドコントロールの定義が加えられ、「未成年、年齢(=高齢者)・病気・身体障碍、身体ないし心理的欠如、妊娠状態のために脆弱さが明白な者または行為者にそれが認識される者に対して、もしくは重大または反復した圧力や判断を歪めうる技術の結果、心理的または身体的な服従の状態にある者に対して、その者に重大な損害を与えうる行為または不作為に導くために、その者の無知または脆弱状態を不法に利用することは、3年(以下)の禁固および37万5千ユーロ(以下)の罰金に処する」としました。
フランスのカルト対策の歴史
 1974年に統一協会の問題で、家族と個人を守る会(ADFI)ができ、後に全国組織になりました。これは警察管轄の問題ではなくて厚生省管轄の問題です。
 1978年にはサイエントロジーに対して詐欺罪の判決が出されました。また人民寺院事件がありました。
 1980年にADFIが国際会議を開き、14か国から60人が集まりました。日本からは本間テル子さんが参加しました。厚生省も少し支援を始めました。
 1981年には別のカルト被害問題で、反マインドコントロール資料教育行動センター(CCMM)がつくられます。今もADFIとCCMMがフランスの2大市民団体です。
 1982年にはヴィヴィアン議員が報告書「フランスにおけるセクト、精神的自由の表現か悪質なかつぎ屋か」を提出しました。
 1993年には、首相がセクト取締特別法の準備のため全国人権諮問委員会に諮問し、1995年に国会報告がなされ、2001年にこの法律ができました。
 宗教学者、社会学者は「カルト対策は罪なき者への魔女狩りである」と激しい抵抗をつづけます。
 1996年に首相直属のセクト対策関係省間本部(MILS)ができ、2002年にはセクト的逸脱対策警戒関係省庁本部(MIVILUDES)に代わりました。代わった結果、大宗教でも「逸脱行為」を問題にすることはできますが、フランス国内で問題を起こさないカルトは警戒されないようになりました。
現状と課題
 予防と脱会後のケアーには公的機関も手伝ってできていますが、脱会させることについては苦労しています。
 フランスが住みにくくなったので、大きなカルトの多くは国外に出ていって、国内では静かにしています。統一協会は国外に出て、創価学会やサイエントロジーは静かにしています。また、長く信者でいることを求めないで、3カ月ぐらいでドンとお金を取って逃げればいいという考えになっています。その代り、小さなカルト(セラピーなど)の問題が多くなっています。また、カルト信者はまともな給料なしで一生けんめい働くので、利潤追求の世の中では理想的な社員として利用される問題があります。


その他の出来事

●5月7日、占いや鑑定などの会社の役員松崎榮男容疑者(72)ら男女3人は、訪問販売した客に「お宅の先祖の導きで来た」「何かに取りつかれている」「断ろうとした人が脳梗塞で倒れた」と不安をあおり、先祖供養の祈とうや塔婆設置に関する契約を結び、代金を受け取ったが、契約内容が記された書類を渡さなかった疑いで、岐阜県警などに逮捕されました。

●6月16日、「お金を浄化すれば大金が入る」とうたい高額な祈とう料をだまし取ったとして、大阪市北区の開運グッズ販売会社「幸来屋」社長、水野増満容疑者(39)ら3人が詐欺の疑いで大阪府警に逮捕されました。府警によると、水野容疑者らは「あなたは当選した」などとうたったチラシを郵送。電話があった相手に「素晴らしい運命の持ち主だ」と話し、開運グッズと称して約3000円のブレスレットの購入や電話による千寿院への開運相談を勧めていました。そして、ブレスレットの購入者に祈とうを行い、「あなたには幸せが待っている。お金を浄化するから預けなさい」などと言って大金を詐取したとされています。

●7月17日、霊感商法で得た計約1億6500万円を隠して所得税を免れたとして、所得税法違反罪に問われた会社員、田中了緒雅(りょおが)被告(35)は、東京地裁で懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円(求刑懲役1年、罰金1800万円)が言い渡されました。田中被告は平成26年秋ごろまで東京・日本橋を清掃するキャラクター「満月マン」として活動していました。

●7月21日、幸福の科学元信者の4人が、植福(布施)や教団の納骨壇での永代供養料など計6825万円の返還を求めていた訴訟で、最高裁判所が幸福の科学の上告を受理しないことを決定。教団に2312万円の支払いを命じた一審判決が確定しました。一審判決は、植福の返還は認めなかったものの、納骨壇使用料と永代供養料については返金を認めていました。

●8月29日、日本脱カルト協会創立20周年公開講座で、フランスの元国会議員で無知脆弱性不法利用罪の制定に尽力したカトリーヌ・ピカール氏が講演し、フランスでは国がカルト問題に積極的に関わり経済的な面を含め支援している、カルト問題は人権問題であると話しました。

●8月30日、北朝鮮の金正恩第1書記は30日、統一教会の創始者、文鮮明の死去から9月3日で3年となるのを前に、遺族に弔電を送りました。文教祖は1991年に北朝鮮を訪問し、故金日成主席と会談しました。

※この号に使った写真は、福木京子氏提供によるものです。

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