カルト被害を考える会 会報 2011年7月・第64号
発行=カルト被害を考える会 TEL.086-231-2885 FAX.086-231-2886
〒700-0817 岡山市北区弓之町2-15-301 河田英正法律事務所気付
Eメール=my@i.email.ne.jp HP=http://www.asahi-net.or.jp/~am6k-kzhr/

カルト被害を考える会結成20周年記念集会ひらく

 カルト被害を考える会は、5月14日に岡山弁護士会館で、結成20周年・裁判勝訴10周年記念の講演会「カルト被害の実態、その予防と救済」を開きました。
 河田英正代表は開会あいさつで、A男さんが原告になる決意をしたことなど当時を振り返り、前代表の高山正治牧師は、被害者救出のとりくみを紹介しました。
 つづいて山口広弁護士・全国弁連事務局長が次のように講演しました。

「統一協会の現状と対策」―山口広弁護士が講演

山口広弁護士

【講演のもくじ】
 どうもこんにちは。弁護士の山口です。
 今お話になりました高山牧師、それから河田弁護士、それから先ほど名前が出ました葛原さんですね、まあこの方々と私は1987年にこの活動が始まって以来、もう24・5年の付き合いをしているんですよ。だからお互い、私も今61なんですが、まだ30代だった。遠い夢のようですけれども、その時おそらく河田さんもまだ30代だったんじゃないかと思うんですが、それから20何年、この問題でよ〜く飽きもせずに付き合って下さいましてありがとうございます。この3方の岡山における活動に敬意を表して、この活動がもっと広がって効果を発揮して、一人でもカルトの被害者がいなくなるように期待して伺った次第です。
 そのためには、今日どんな話をしたらいいのかということで考えたんですが、結局は芸のない話ですけども、どんな活動をやってきて、今どういう状況になっているのかと、それから最近裁判で関心を持っていますことなどをお話してですね、ご質問があればそれを受けたいと思います。
 まず概略なんですが、去年、統一協会についてですね、どんなことが焦点になって、大きな流れになっているかといいますと、大きく3つあります。

昨年の特徴@−霊感商法の摘発つづく next
 1つは、2007年の末ごろから、警察がようやく統一協会の霊感商法といいますか物品販売行為を摘発してくれるようになりました。沖縄、松本、新潟、福岡、東京などと相次いで、もう10件以上摘発してくれています。ほとんどは特定商取引法(以前の訪問販売法)違反ということです。要するに、街頭で声をかけて、そして契約をさせるに当たっては、脅したり困らせたりしてはならないという条文がありまして、これに反すると刑罰があるわけですが、それに違反しているということで各地で摘発をしてくれました。それから大阪では、薬事法違反ということで、大阪の人参販売の会社の信者が摘発されました。そんなことが繰り返されまして、統一協会の方もさすがに、表向きはですね、物品販売活動については今のところ撃ち方やめということで中止はしております。そんなことからたいへん幸いなことですが、毎年30億円以上の被害相談があったのが、去年は17億円程度でとどまったと。それでもやっぱり年間数百人の相談が弁連にきているんですけれども、そういう状態になっております。
 その代わり統一協会の方は、狭い範囲の信者をチョンピョン(清平)に動員して、チャンピョンで先祖解怨ということで献金させる。これまでは広い人を対象に高額を取ってたのが、狭くより深く取るようになったんで、信者の悲惨さは以前に増して見るに忍びないような状態になっているかと思います。

昨年の特徴A−後継者間の内紛つづく next
 2番目はですね、内紛でありまして、文鮮明は1920年生まれですから、もう91なわけです。まあ好き放題なことやってきて、贅沢してきた割には長生きしているとは思いますが、さすがに耄碌しておりまして、たいぶ事理弁別能力が落ちているようです。
 そういう中で、従前3男の顕進(ヒョンジン)が後継者と目されて、2007年ごろから世界原研の会長をやったり、さまざまな会のイベントのトップにいたりしたわけですが、2008年、7男の亨進(ヒョンジン)という、まだ30代の人なんですけれども、これが後継者として正式に指名されて、顕進はさまざまな立場を更迭されるということになりました。しかも4男の国進(クッチン)が、これがなかなかの策士でありまして、この人が、韓国に統一教維持財団という財団があるんですが、そこのトップになりまして、いろんないきさつがあって、日本の組織はこの国進の指導下に入ったというんですね。
 2009年1月に東京の警視庁公安部が統一協会渋谷教会その他を強制捜査しました。われわれとしてはなぜ本部を捜査しないんだと思うんですが、さすがにそこはいろんな理由があって、統一協会本部は強制捜査しなかったんですが、その周辺の強制捜査に入ったんですね。それでまあ統一協会もさすがにビビって、どうしましょうということで文鮮明の元に相談に行ったんです。それを契機に、国進が日本の組織に入りこみまして、文鮮明も一番信用できる自分の息子にですね、お前日本に指導して来いということで、それまでのトップだったイムドスンを更迭して、国進とツーカーの幹部をトップに置きまして、その上に国進が座るという形で、日本の組織は国進が牛耳っている。
 しかしながら、3男の顕進は、アメリカや南米ではなかなかの力を持っているようでありますし、韓国にもそれなりの支持者がいるようでありまして、ブログを立ち上げて、4男や7男の言動を批判するという活動をやったりしています。
 ワシントンタイムズの経営を、顕進が担当してたんですが、資金が送られて来ないということで売りに出すとか、さまざまな動きがありました。結局ワシントンタイムズは、これが無くなれば歴史的にも大きな成果だなあと密に思っていたんですが、さすがにそこまでは手放せないということで、1ドルで顕進から経営権を文鮮明が引き取るという形で一応経営は維持される形にはなっています。幸いといっていいと思うんですが、日本の世界日報もほとんど知っている人もいないぐらいにマイナーな新聞になっていますが、ワシントンタイムズもそういう運命に行くのかなあと思っています。
 あと、汝矣(ヨイド)島というのがソウルのど真ん中にあるんですね。日本でいえば丸の内と言われているそうです。そこに広大な土地を統一教維持財団が持っておりまして、そこに前から130階のビルを建てて各フロアに世界中の各国の統一協会の本部を置くんだなんてなことを文鮮明はほざいていたわけです。韓国政府はさすがに、ソウルのど真ん中にそんな施設を作ることについては許可しませんで、これまで止まっていたわけですが、数年前、顕進が中心になってジョイントベンチャーを組んで、統一協会色をかなり消した形で現代グループの現代建設がメインに付いてですね、ビルの建築工事を始めたわけです。これが昨年末、国進によって止められました。いま裁判沙汰になっておりまして、ソウルのど真ん中のビルがですね、工事が途中まで進んで、今は止まっている。どうなるんだろうということでソウルの市民の注目も集めているというような、そんな事態に内紛が発展しているという問題があります。
 これを7男の亨進は内憂外患と言いまして、7男と3男、4男のこの争い=内憂。それから日本の警察、それから被害弁連を含めた反対の動きがやはり峻烈を極めているということで外患。内憂外患があると、しかし頑張らんといかんということで、あちこちで7男は後継者として演説をしまくっているという実態がございます。

昨年の特徴B−拉致監禁キャンペーンで内部固め next
 3番目にはですね、脱会カウンセリングの問題で、統一協会は一昨年あたりから「新世」の刑事事件があって以降ですね、やられっぱなしじゃしょうがないということで、拉致監禁反対キャンペーンを一生懸命やって、これで内部固めをしてきております。その象徴として、「12年間荻窪のマンションに閉じ込められていた」ということを主張している後藤徹という背の高い180センチくらいの男が、反対派の犠牲者として表舞台に出て、今しきりにキャンペーンをやっております。これに対する関係をどうするのか、あるいは脱会カウンセリングの在り方に関して、もう一回われわれもそれを契機に問い直すということがいま議論を呼んでいるところです。
 大きく言って、去年の動きはまあこの3つに集約されるかと思います。そんなこんないろんなことがございまして、相変わらず気の抜けない状態が続いているというのが実情です。

全国弁連のスタートと活動 next
 われわれの活動は1987年の2月に東京でスタートしました。最初は30人ぐらいの個人的な知り合いなどのつてを頼って始まったわけです。相談会を企画して、新聞に載っかったところ、当時はまだ携帯電話もなければインターネットもなかったんで、新聞とかテレビだったんですが、大きく報道されました。弁護士会で3回相談会をやったんですが、いずれも200人ぐらいの女性が、ほとんど女性ですね、壷買った、多宝塔買った、人参液買った、それも金額がウン千万とかいう人もぞろぞろいる。そういう相談が殺到いたしまして、急に忙しくなったという事態がありました。その動きが全国に、それこそ河田先生も岡山で、あるいは大阪で、仙台で、北海道で、九州でということで、全国各地で相談会がもたれるようになりまして、これはじゃあ全国で弁護士連絡会を作ろうということで、87年5月、今からもう24年前なんですが、全国弁連をスタートさせました。
 それから常設の相談窓口も作ろうということになりまして、当時は、毎日、月曜日から金曜日まで、10時から5時まで相談電話を受け付けて、ずっと来ました。ほんとにずっと、よくここまで来られたなと思うぐらいに、20年以上、相談電話の受付をしてきたわけです。
 その後92年に桜田淳子さんと山崎浩子さんが合同結婚式に参加するという報道がありまして、最初は合同結婚式にスターが参加するというゴシップめいた報道だったんですが、元信者が合同結婚式っていったい何なのかということを生々しく、顔を出してテレビでインタビューに応じてくれました。それ以来、やはり統一協会の合同結婚式は問題がある、さらには霊感商法は問題があるということで、92年の8月中旬以降はもう統一協会に対する批判の嵐になりました。
 その翌年、山ア浩子さんの行方が分からなくなったんですが、5月に脱会の記者会見をしたわけなんですね。今でも覚えていますが、黄色い上下のスーツを着てですね、「私はマインドコントロールされていました」ということで、なぜ合同結婚式に参加したのか、そしてなぜ脱会したのかということについて、生々しく語っていただきました。これがきっかけとなって、マインドコントロールという言葉がその年の流行語大賞を獲るほどに知られるようになりました。
 それがあったんで、95年3月のオウム真理教の騒動のとき、多少はましだったのかなあ、これがなかったら、もっとマスコミのオウム真理教の報道はひどかったと思うんですが、まあ騒動がございました。ちょうど95年の1月は阪神大震災があったわけですが、それから、今回の3月11日の東日本大震災まで、いろんなことがあったなあとほんとに思います。その間、霊感商法だけでなく、霊視商法とか、法の華三法行など、カルトがらみのお金を取られたという被害が多発し、その被害弁護団も立ち上げられまして、霊視商法(明覚寺)は宗教法人の解散、法の華三法行はトップの福永法源が詐欺で実刑になり、法の華三法行は解散するという事態になりました。2000年にはハルマゲドンを巡る騒動もありました。
 2005年ころから、まあ好きな方もいるかもしれませんが、江原さんや細木さんがテレビにやたら出て、スピリチャルカウンセラーということで「あなたのお父さんが霊界からあなたを見守ってますよ」とか、「泣いてますよ」、「喜んでますよ」などと霊界が見えるようなことを言って、これが統一協会にたっぷり使われました。スピリチュアルブームということで、今もパワースポットにたくさんの人が、若者が押しかけるというような形に残ってますけれども、霊感商法がなくならない大きな素因になっているかと思います。
 そういう動きの中で、今も我々の活動は続いています。今は、金銭的な相談の電話が多少は減ったということもあってですね、昨年までは、火、木、金だったかな、週3回やってましたけど、今は火曜日と木曜日の週2回、午前10時から夕方5時までの電話相談、それからメール相談、郵便の相談を受け付け、また事務局的なさまざまな活動をしています。電話よりも今はメールの相談の方が多いです。携帯から匿名で相談できるということもあって、メールでの相談が非常に増えています。ただ、メールは回答も後に残るもんですから、どこまでいちいち書いていいかというのは難しいところなんですが、事務局あるいは渡辺博弁護士などが中心でメールに対する対応をしています。

最近の相談内容 next
 統一協会の相談は、それでも毎年400件から600件ぐらいコンスタントにあります。相談もあれば問い合わせもあります。今は、街中で引っかかったとか、新宿の駅で声かけられて印鑑買った、数珠買ったという相談は減っています。その代わり、うちの妻がどうも統一協会にずーと関わってきているらしいとか、うちの娘が急にいなくなったとか、あるいはうちの息子が合同結婚式に参加すると言ってるけどどうしたらいいんだろうとかいう、そういう入信がらみの相談が圧倒的な数を占めるようになっております。
 それから、統一協会以外の宗教トラブルの相談が非常に増えてまいりまして、これが非常に頭の痛いところです。日蓮宗の原理主義派の顕正会の相談だとか、あるいは浄土真宗の原理主義派の親鸞会とかいう、仏教系のカルトといっていいと思いますが、そういう相談があると思えば、ほんとに聞いたことのないようなミニ集団ですね。あるいは霊能師の、ご存じのとおり女性週刊誌をみると、1分300円とか、30分5000円とかで、スピリチュアルカウンセラーとか占い師とかの窓口がたくさん紹介されていますが、そういうところに相談して、お金を取られたとか、お金を請求されているけどどうしたらいいんだろうという相談が非常に増えてます。1分300円というと安いようですけども、だらだらだらだら話を引っ張られますと、10分で3000円、30分で9000円になるわけですね。これを3時間話して何十万請求されてる、どうしましょうという相談も今は来ております。
 統一協会の問題だけではなくて、従前の宗教の生老病死ではなくて、個人的な生き方とかですね、自分を変えるためにどうしたらいいんだろうとかですね、その種の自分の人生をどうするかという相談、あるいは、そういう中でどう生きたらいいのかということでの相談が圧倒的ですね。

被害に遭わないために気をつけるポイント next
 昔から「ギン、カン、ポ、アパ、キン、ジョ」という言葉がございます。「銀行員、看護婦、保母、アパートに住んでる勤労女性」、この属性を持った女性がやはり狙われますし、入りやすい状況があります。つまり、銀行員、看護婦、保母、いずれも仕事がしっかりしているし、給料もそこそこなんですが、とにかく忙しい。朝から晩までこき使われて、ほんとに大変な思いをするわけですし、仕事自体は充実しているわけですが、まあなかなか素敵な男性とめぐり会う機会がない。そういう中で、仕事に疲れて駅を歩いていると、目をキラキラ輝かせた女性が、ちょっといいですかと声をかけて、いろいろ話しあっているうちに、人生を考える、あるいはほんとの幸せは何かと考えるということで誘われると、ついつい応じてしまう。それはほんとに解らんでもない気がしますけれども、その種の相談、あるいはその種の属性を持った方々が、統一協会だけではなくていろんなところに誘われて被害を受けているという現実があります。
 それから、家族の中でのいろんな葛藤を抱えた個人がカルトに関わっていくという問題があります。私は20年も前から「必要とされていない症候群」といっていますけども、家庭で「お母さん、お母さん」と、生まれて間もない子どもからこびりつかれて、たいへんな思いをしている時期のお母さん。そのお母さんが、子どもが小学校に入り、中学生になると、だんだんお母さん、お母さんと言われなくなる、必要とされてない。夫は夫で仕事に忙しくて構ってくれない。ということで一日家にいても、あるいはパートの仕事に出ていても、私は一体何なのかというところで、自分の生き方なり存在感をもう一回とらえ直さなければいけなくなる。そういうところから主婦が、あなたの活躍が世界平和、あるいは日本の沈没を防ぐことになるんだとか、あなたこそ○○家の氏族のメシアなんだから頑張らなけりゃいけない、使命があるんだということを言われて、それを生きがいに感じてハマっていくという、そういう構造があるかと思います。もちろん、超能力などのオカルト的な要素も統一協会にありますし、さまざまなミニカルトの問題もあります。
 そういうことで、私はこの24年間活動してまして、統一協会的なカルトは無くならないなと思っています。先ほど高山さんもおっしゃったように、さまざまな形で顔を変えて形を変えて、カルト問題は続くと思います。自由な世の中であれば、副作用として、その自由を悪用して、人の人権を、あるいは人の人生を破壊するという、そういうグループは無くならないと思うので、それを捉え直して考え直して警戒を呼びかけていくここのグループの活動は、やっぱりぜひ続けていただきたいし、拡げていただきたいという思いでいっぱいです。
 統一協会の特徴はというと、ことさら不安をあおること、自由や自主性がなくなる、自立性がなくなることです。それから、教祖あるいは文鮮明ファミリーはとことん贅沢をしていること。韓鶴子の側近だった人から聞くと、韓鶴子は買い物症候群だそうで、とにかくやたら買い物を、贅沢な洋服やその他を買うそうですね。それが、お母様が着た洋服、特別にそれを下賜するということで、信者がそれをウン万円あるいはウン百万円払って有難がって授かるというような構造がいま出ております。このあいだ脱会した信者も、お母様が着たことがあるガウンというのを買わされていました。
 あと、二元的な思考ですね。要するに、雄か雌か、正しいか間違ってるか、あるいは正か邪か、赤か黒かだとかですね。世の中そんな二元的な単純なものじゃないと思うんですが、統一協会の特徴、あるいはカルトの特徴は、ほんとにそういう形で、ある意味じゃあ分かりやすいんですけど、二元論的に考えるというところがあるかと思います。

典型的な相談例(A)next  カット(遊園地)
父(75才) 
母(70才) 
 長男(45才・独身)
 長女(43才・夫・子供2人)
 次女A(41才・離婚・子供2人) 
 われわれ、特に私の方で抱えている相談は、どんな相談が多いのかってことを簡単にご説明します。典型的なところで、A、B、Cと3つ出してみました。
 Aの場合には、お父さん、お母さんが相談に来られます。長男は独身、長女は普通に家庭を持っている。次女Aさんがどこかのいい人と結婚して家庭を持った。ところがAさんが結婚して間もなく、統一協会に入ってしまった。それを知ったAさんの夫、あるいは夫の両親が、かさにかかってAさんを責め立て、結局Aさんはその家にいられなくなって離婚する。いまこのAさんの場合には、両親の元にも戻れず、信者といっしょにホームに住んで、もう41才なんですが、活動している、という実情があります。この場合、お年を召したお爺さん、お婆さんが事務所に来られても、なかなか方法がない。でも、お父さんお母さんを信者にするのが統一協会員の使命ですから、Aさんは必ず家に来るからあきらめずに待っていて下さいねと。それまで、できればご長男ご長女の方といっしょに、統一協会の元信者さんの話を聞いたりして、どんな心情でAさんが活動しているかを勉強して、Aさんが来たときに、頭から反対しないで、普通に対話をして、Aさんが疲れたときには統一協会から離れて、普通にこの家に戻って来れるように、環境を整える、あるいは自分たちの心を整える、そういう努力をしたらどうですかということでお話しするしかないという事案でございます。
 また逆にですね、この場合のお父さんが亡くなって、お母さんが一人住まいの家庭で、お母さんが統一協会の信者に、霊感商法のターゲットになって、韓国・チョンピョンに連れて行かれたり、あるいは霊感商法で何千万も献金をしてるということで、この長男や長女や次女が事務所に相談に来るということも、これもまたよくあることです。そのときに私どもはどう助言をしているかというと、例えばこの43才の長女の方が相談にみえた場合は、あなたはお母さんのことが心配なのか、それともお母さんがお金を使ってしまうことが心配なのかどっちなんですかと聞きます。お金は、お母さんが戻って来さえすればいつでも取り戻せるから、まずお母さんとの対話を取り戻すこと。お母さんはお父さんが亡くなって寂しかったんでしょう。そこに統一協会が入り込んで、何千万も献金をさせるとか、あるいは家を担保に借金をさせられるとか、そういうことになるわけです。それはやはり、お母さんとの対話を取り戻すというところから始めたらどうですか、と助言をします。それを聞いていただいて、例えば43才の長女と41才の次女がいっしょになって、お母さんを温泉に連れて行って、温泉にゆっくりつかりながら話しているうちに、お母さんがぽろっと「私の貯金もう無くなっちゃったのよ」と、あるいは「家に担保付けられて大丈夫かしらねえ」と、これまでは「言っちゃいけません」と信者に言われて、子どもたちにも内緒にしてた話をぽろっと打ち明ける。それをきっかけにして、「それは何なの?」と聞いて、統一協会にとんでもない金額を払わされていた、あるいはどうせ子どもたちは解ってくれないだろうと覚悟して、あの世で解ってくれればいいやと思って70才のお母さんは1人で悩んでいたと、そういうことをお母さんが話してくれるようになる。それをきっかけに、お母さんと長女、次女との対話が戻ってきて、お母さんの住まいをどうするかとか、あるいは長女、次女とのかかわり方をどうするかということで、絆をもう一回取り戻すきっかけにもなる。もちろんお金も取り戻せます。そういうことで相談をして、良かったなと思うようなケース、これは結構あります。この場合には、子どもさんたちが何とかきちんと理解して行動してくれれば、割と解決も早いというか、可能性も見えるんですが、この次女のAさんがハマってしまって、離婚をして家出して居場所が分からないという場合、これはなかなか難しいです。

典型的な相談例(B)next      カット(家)
 母    夫(36才)
  妻B(33才・子供2人)
 それからBさんの場合。これはまた難しい例なんですが、Bさんがこの家の氏族のメシアとして使命を感じて、ハマってしまって、夫に隠れて、あるいは夫が反対しても開き直って、統一協会の活動を続けるというケースがたくさんあります。この場合、夫は反対をする、でも、いっしょに住んでいる夫の母親は、奥さんに誘われてビデオセンターに行って献金をしてしまうというような例もあります。あるいは、9才と7才の子どもさんが統一協会にしょっちゅう通わされて、信者になったご婦人は、自分の子どもや夫を信者にすることがまず使命ですから、この子どもたちを統一協会のビデオセンターに連れて行って通わせる。あるいは託児所がありましてね、これは無認可です。もっと小さい子の場合には、お母さんはその子どもを、統一協会の信者が保母をやっている施設に預けちゃうんですね。それで昼間活動をする、ということになるわけです。そうすると、だんだんだんだん統一協会の思考パターンを子どもたちは植え付けられます。最初は奥さんが家庭内孤立でやってたのが、逆に今度は夫の方が家庭内孤立で、後はみんな信者になっちゃったというような悲惨な例もあります。
 この場合には、33才の奥さんは、サラリーマンの36才の忙しい旦那の立場からみれば、自分の母親のことをしっかり面倒みてくれ、かつ子どもたちの面倒も見てくれる、ただ統一協会の信者として、どうもわけのわからない献金をたくさんしているらしいということぐらいわかったところで、「まあしばらく様子を見てますわ」ということになりがちです。しかし、様子を見てるだけじゃしょうがないんじゃないのと、多少は仕事を犠牲にしてでも、どういう気持ちで奥さんがやっているかよく勉強しながら、対策を講じないとえらいことになるよ、ということを助言したりするわけです。仕事の方がとりあえず大事ということで、こう着状態になっているケースも結構あります。これもまた非常に難しいです。

典型的相談例(C)next    カット(コーヒーカップ)
 父(54才) 
 母(52才) 
 兄(24才・会社員)
 長女C(22才・献身)
 それから、いちばん典型的なパターンは、Cさんの例でありまして、ご両親がいて、子どもさん2人がいて、まあ、できのいい素直なCさんは、短大を卒業して、普通に就職して、元気でアパートで生活していると思いきや、ある日突然、アパートにいないことが分かる。アパートに行ってみたら、文鮮明の本が置いてあったとかで、家族がびっくりして相談にみえる。これが典型パターンですね。両親はびっくりして、Cさんを呼びつけて、頭から、何ちゅうことをやってんだと反対したりすると、Cさんは家出状態で連絡が取れなくなってしまうということになりますね。その状態になって相談にみえるということが結構多いんですね。「ああ、やっちゃったか」と思うわけですね。
 私ども弁連に相談があって、自分の娘が統一協会にハマってるということが分かったという場合に、まず何をいちばん最初に言うかというと、頭から反対して、何ちゅうことをやってんだということを言わないようにしましょうね、それを言うとお終いよと、お終いではないんですが、まずいですよと。とにかく、そういうことは絶対に言わないで、今何が素晴らしくて、何に感動して、仕事を辞めてアパートを出て、住み込むぐらいまでに夢中になってやってんのか、それを、心を白紙にして聞いてやってほしいと。とにかく、娘がどういう心境で、どういうところに通ってて、どの程度ハマってるのか、これが分からなきゃ対策の講じようがないわけです。ほとんどのうまくいってないケースの場合には、頭から反対して、それで娘がどこに通っているかも分からんとか、あるいは自分の妻が何をやってるのか皆目見当もつかないまま、どうも統一協会に行ってるらしい、自分の通帳から訳の分かんないお金がどんどん落ちてる。で、妻を殴ったとか、娘をぶっ飛ばしたとかですね。それで、許せません、どうしたらいいんでしょうと。どうしたらいいも何も、何ちゅうことをしたんだというところから話をする。そんなケースがたくさんあります。ただ、賢明にもそこで対応を考えて、自分の娘や自分の妻がどんな心境で統一協会にハマってやっているのかを聞いてもらい考えてもらう、そういう中から娘との対話を取り戻して、それで取り組んでいくというケースがたくさんあります。
 ついおとといも、仙台の震災がらみの方だったんですが、奥さんが霊界のことに非常に関心があるらしくて、統一協会じゃないある霊能師から水子がついててこのまま家に住んでるとロクなことがないということで、子どもを連れて実家に帰ってしまった、どうしたらいいんだろう、その霊能師を訴えたいんですけど、という相談がありました。その場合、私どもがどういう助言をするかといいますと、霊能師を訴えるなんてことはやめなさい、まずは奥さんがその霊能師からどんな話を聞いてそういう気持ちになったのか、それこそあなたが直接霊能師と会ってみるぐらいに、まず心を白紙にして、奥さんがどんな心情でどんなふうにハマってるのかを聞くところからしか始まりませんよと。夫婦関係がそもそもうまくいってないところもあるかもしれませんし、やはり奥さんがどういう心情で、どういう素晴らしい霊能師と語り合ってるのか分からなければ、話し合いの糸口がないじゃないのと。反対反対で、なんちゅうバカなことをしているんだ、何で家出したんだ、戻って来いと言ったって、それはだめですよと。まず話し合いの糸口を作るところから始めて下さいということで、電話で10分ちょっと話したところで、心の整理がついたと。じゃあもう一回、女房をぶん殴るとか、霊能師を訴えるとか、そういうことを考えずに、妻が帰ってしまった実家にもう一回行って、話をしてみますということで、電話を切ってくれました。とにかく、カルトの問題の原点は、相手の話を聞くところからやってもらうという助言につとめています。

寄り添ってくれるだけでどんなに・・・ next
 「寄り添ってくれるだけでどんなに・・・」と書いたのはですね、何を言いたいかというと、専門家の高山さんじゃなくてもいいんです。今日おいでになってる皆さんでいいんです。うちの娘が、うちの妻が、とんでもないことになったということで悩んでる場合、その話を聞いてあげて、それでいっしょに考えてあげること。ぶん殴ったり、何ちゅうバカなことをとか、精神病扱いにしたとか、そういったことは絶対にやめさせて、本人の話を聞いてあげる。ここをやるだけで、どんなに信者の家族が支えられるか、どんなに励まされるかということを協調したいわけです。ですから、今日おいでになっている皆さんが家族や本人をサポートしてくれるだけで、おそらく信者の半分ぐらい辞められるんじゃないかなと思うぐらいに、寄り添うことの大切さをほんとに痛感しております。
 実は今年1月早々に大変うれしいことがありました。ある41才の独身の県庁職員です。その女性が統一協会にハマってたんですね。そろそろ献身したらということで、上司には3月で辞めますと言ってたそうです。その現役でバリバリの信仰歴5年の信者が辞めました。辞めた理由は、妹さんと12月31日から家に閉じこもって3日間ほど、とことん話したそうです。最後に41歳の女性が、「私だってときどき疑問に思うことあるわよ」ということを言った。で妹さんが「疑問に思うなら、脱会者がいるらしいから、その人に会ってみたら」と言われたんで、元信者だったらあってもいいかということで、信者自ら車を運転して元信者と会いに行った。そしたら60才前後の元信者の女性なんですが、淡々と自分の経験を話して、いかに統一協会がおかしな団体と思うかと。その方は5年程前に辞めて元気で家庭生活やってらっしゃるわけですね。辞めたって平気なんだという生きた見本、かつ自分の体験で、どこがおかしかったかということをとつとつとしゃべっていた。それを聞いて、やっぱり私もおかしいと思ってたんだと、ただ辞めるきっかけがなかったというか、辞めるのが怖かったと。じゃあ辞めるしかないということで、ほんとに辞める気になって、心の整理のためにということで、ある牧師のところに相談に行って心の整理ができた。翌日には私のところに電話があって、被害回復をしたいということだったんですね。ただ、相談に見えて、聞いてみると、その方は活発な方なもんだから、2人統一協会に誘い込んでたんですね。で、どうしましょうって話だったんですよ。それで会ってみた。そしたら、「やっぱりね。変だとは思ったのよ」ってことで、その2人も辞めることになりました。その2人も県庁の職員なんです。実は職場の、間接的に知ってるあの子もやってたわよ、あの人もいたわよねっということで、すぐまたその人たちにも話をして、それで6人が辞めたということがありました。
 私どもとしては、もちろんベテランの信者、あるいは高山牧師のところで教義をきちっと説明してもらって心の整理をするってのはこれは不可欠だと思うんです。ですがその前に、それほどの専門家じゃなくても、じっくり話を聞いて、そうなんだよ、そうなんだよ、そうだよねと言って受け入れて、隣で話を聞いてあげるだけで、だいぶ違います。もちろん、いろんな要素があってそんなに単純じゃないんですが、でもそういうところから少しやっていただいたらどうなのかなということが、今日いちばん申し上げたかったことです。

新世の刑事事件について next
 東京の新世の刑事事件。それまでは同種事犯は罰金50万円だとかいうことで終わってたわけですが、この新世だけはほんとに警視庁の方もやる気になってくれました。新世に強制捜査を入れて、顧客名簿といいますか販売実績の表を警察は押収したわけです。警察だってこんなことができるんだなと私は感心したんですが、警察がお客さんと分かっている人たちに電話をしたわけです。あなたはどういうふうに声を掛けられてこの商品を買ったんですかってことで。確か250人ぐらいいたと思うんですが、軒並み電話をして、その中で、しっかりしている被害者で、かつ、特定商取引法違反になるもの。特定商取引法というのはいろんな限定がありまして、声をかけてその場でマンションか喫茶店に連れて行ってその場で契約させた場合には特商法違反になるんですね。だけど、3日、4日目にじっくり話をして買わせると、これは特商法では摘発できないんですよ。そんなことで、特商法の摘発に相応しい事案が5件だけ確保されまして、その5件で立件したんです。で、5件に直接関与した女性たち、これを逮捕したわけです。これまでだと警察はこの5人の逮捕で終わっちゃうんですが、この5人を指導、指揮した新世の社長の田中尚樹という人物と営業部長取締役の古沢という男を逮捕した。田中尚樹は、統一協会の南東京教区の運営部長という経済の責任者だった男でした。私どもとしては、その上に教区長がいるんで、これも逮捕すべきだと思っていたんですが、そこまでは行きませんでした。いろんな政治的圧力があったようなんです。有力政治家が警察に圧力をかけたという話もあるんですが、結局松濤本部への捜索は無しで終わりました。しかしながら、警察も検察も頑張ってくれまして、罰金で終わらせることなく、5人の女性勧誘員は100万の罰金で終わらせたんですが、田中尚樹と古沢の2人は公判請求しまして、正式な裁判ですからみんなが傍聴する中で、統一協会の犯情が明らかになったので、大きな成果があったかと思います。
 刑事事件の記録というのは外に出しにくいものですから、ほんとに全部本にでもして「こんな実態ですよ」と言いたいところですが、そういう訳にもいかないんで、これからどういうふうにその実情を知っていただくようにするかということは工夫しながら考えていきたいと思っているところです。もし詳しい実態が必要であれば、全国弁連で出している年報がございまして、去年の年報は新世の特集号でして、第1回公判から何があったかというのをかなり詳しく報告していますので、入手して読んでいただければと思っております。

信者はなぜ大金をくり返し出すようになるか next
 その次のポイントなんですが、信者や信者になりかかった人はなぜ大金をくり返し出すようになってしまうのか。札幌の郷路弁護士に言わせれば、パナマ運河の原理で、低いところにいる船がいろんなステップで結局何メートルか上って海の反対側に行くわけです。なぜそういうふうにごく普通のまじめな主婦が、夫のお金を夫に内緒で統一協会に持ち込むことが正しいことだと思うようになるのか。あるいは次々と正体を隠して人を統一協会のビデオセンターに誘い込んで、それをきっかけにして何百万、何千万と献金させるようにすることが、なぜ本人の救いになるし、お金を出す人の救いにもなると思いこんでしまうようになるのか。あるいは大事な200万、500万、1000万円の貯えを吐き出すようになってしまうのか。ここのところを考えなきゃいかん。その理解をどうしたらいただけるのかがむつかしいんですね。それで、2つの資料を準備させていただきましたので、ちょっと付き合い切れないなと思うかもしれませんが、お付き合いいただいて、ご説明したいと思います。

霊能師が献金トークに使う図 next
 これはどんな資料かと言うと、15年ぐらい前だったと思いますが、横浜教会を辞めた霊能師役をやってた信者がいたんですね。この霊能師役をやっていた女性に、あなたはどういうふうにゲストに説明をして、献金をさせるようにしてたか説明してくんないかなあとお願いしたところ、紙にすらすらっと書きながら説明してくれたものが、この4枚なんです。で、驚くことにといいますか、いやなことにですね、この4枚のペーパーは、今もほとんど同じように使われて、献金強要のためのトークに使われています。むしろ、統一協会の正式機関誌でこれを開き直って掲載するような、そういう実態になっています。ちょっとお付き合いいただきまして、私が霊能師にある程度なりきった形で、ちょっとどんな話をするのかをお話しさせていただきます。
図1(人生=運勢+努力) (1枚目)
 あなたは生まれたわけですが、お父さんとお母さんがいますね。そのお父さんとお母さんにも、お父さんお母さんがいる。この図の左にあるように、あなたは、たくさんの先祖があったからこそ、いま生を受けているわけですね。この先祖が、善霊=つまり為に生きた人生を歩んだご先祖がおられたら、多くの場合、健康や愛情や財産に恵まれた幸福な人生を歩むことになるんです。ところが、自己中心的でいろいろな問題を抱えたご先祖がいた場合には、多くの場合、病気や事故や離婚や死別や破財やあるいは失業などの不幸にめぐり合わされることになるんです。因果応報という言葉があります。つまりご先祖がどんな生き方をしたかということが、今のあなたの人生のこれからに大きな影響を及ぼすということをぜひ分かってほしいんです。
図2(人生⇒目的(幸福)) (2枚目)
 あなたは生まれてきましたけれども、あなたが生まれるまでの十月十日のお母さんのおなかの中の胎中生活は、地上の生活の準備期間なんですね。そして地上に生まれたら、心と体ができます。あなたが持っている心と体は、これを肉体と霊人体という言い方もできます。そして、この80年の地上の生活は、永遠に続く霊界の準備期間なんです。死んだら、肉体は土に還りますが、心は霊人体として霊界で生活をすることになるんです。つまり、いまの地上の生活は、霊界での生活の準備期間なんですよ。だから今、どういう地上生活を過ごすかということが、霊界でどんな生活をするかという準備期間となるということをよく考えてほしいんです。
図3 (3枚目)
 体は幼年期、少年期、青年期と、食べ物や水、空気や光を入れて成長していきますね。それと同じように、私たちの心も、子の愛=与えられる愛から、夫婦の愛=与え合う愛、そして父母の愛=与える愛へ、犠牲の愛、無償の愛へと成長していかなければならないんですね。このように心が成長していくことが、霊界で幸せな生活をするための条件になるんです。図の右は、夫と妻がいて、その下に子がいる。そしてその上に親(神様)がいる。この4つがお互いにうまく働きかけ合って四位基台ということで理想の家庭ができるんですが、この夫婦の愛、あるいは親子の愛、子への愛に、魔が入って切れたりすると、四に非ずということで罪になり、暴力や非行の原因になる。ですから何よりも夫婦の愛、親子の愛、子への愛を育んでいかなければ、家庭も崩壊し、人生でも様々な問題を抱えることになるんです。
図4 (4枚目)
 霊界が実在することはもうご存じだと思いますが、多くの先祖はいま霊界のどこかにいて、細木さんや江原さんの話にもありますが、ご先祖は霊界から地上の私たちを見守っています。しかも、殺傷とか色情とか財欲とか自殺などの問題を抱えて亡くなった先祖は、天国や天上界や中間霊界ではなくて、地獄の蓋の下で、苦しみながら永遠に生活しなきゃいけないんです。この地獄の下の暗いところで、永遠に恨みを残しながら苦しんで生活しているご先祖の霊人体が、地上のあなたに救いを求めているんですよ。そのことに気がついて欲しくて、地獄の下で苦しんでいるご先祖たちが、地上の子孫に、病気やその他のさまざまな不幸をもたらすんです。気付いてほしいということで不幸をもたらす霊を悪霊と言います。あなたのご先祖は、牢獄に入っているようなもので、子孫の私たちは、これを救い上げてあげなければいけません。つまり、地獄の蓋の下で苦しんでいるご先祖を中間霊界まで引き上げる、それがあなたの氏族のメシアとしての使命なんです。先祖供養で慰めてあげるということができますが、慰めてあげるだけでは何の解決にもなりません。恨みから解放し、地獄の霊界から解放してあげなければいけません。そのためには、牢獄のカギを使って牢獄から解放してあげなければいけない、これを霊界解放と言うんです。この霊界解放のためにどうしたらいいかというと、ほんとは出家しなければいけません。出家するぐらいの覚悟で、自分の身を捨てて、ご先祖を中間霊界に救い上げてあげなければいけません。そのためにどうすればいいかというと、血と汗と涙の結晶のあなたの財産を浄財として天にささげ、天に富を積むということをやられたらいいと思いますよ。
 てなことで、「お祈りしてきます」ってことで、実は上司のところに報告に行って、財産や自由にできる預貯金がどれくらいあるかを把握してますので、「お祈りした結果ご先祖が1000万と言ってますよ」とか、「40と70と200と言ってますが、あなたはどの数字を選びますか」ってなことを言ってですね、献金を迫るということになるわけです。しかも、これをやらないと、地上界の子孫であるあなたの息子に霊界の先祖が災いをもたらすとか、サタンが働くとかで、いまの悩みが解決しないといって責められるもんですから、200万円のお金とあなたの息子の命とどっちが大事なの!ご主人の命とどっちが大事なの!ということになるもんですから、なかなか拒否できない状態になるわけです。いま、清平(チョンピョン)で同じようなことがやられているわけです。清平はどういう場所かというと、この地獄界で苦しむご先祖を解怨して中間霊界に上げるための唯一の先祖解怨できる場所だということになっているわけです。7代前の先祖を解怨するために70万を出せと言われています。ところが、夫婦のそれぞれの実家の両親は4人になりますので、4家、4氏族の先祖解怨となり、70万の4倍の280万円がノルマだということになっています。しかも、そうやって先祖解怨で地獄界から救い出されたご先祖は、何をしなきゃいけないかと言うと、文鮮明の次男坊に興進(フンジン)という、交通事故で死んだ人がいるんですが、これがいま霊界でお釈迦さんやマホメットや孔子やブッタなどを従えて、霊界の一番高いところで指導者になっているということなんです。この興進が、霊界で修練所を運営していまして、地獄界から引き揚げられたわれわれの先祖は興進さんが主宰している修練所で100日間の特別修練を受けなきゃいけないんですね。特別修練を受けたうえで、霊界でやっている合同結婚式(祝福式)に参加しなきゃいけない。これに参加させるために、140万円の祝福感謝献金を出さなきゃいけないんですよ。そこらへんになると、大概いい加減なもんで、お金をたくさん持っている人は、この4つの先祖のために140万の4倍を出すことになるんですが、お金のない人は140万円だけ出して終わりのようなんです。いずれにしても、ご先祖を霊界の興進さんがやっている修練会で100日間勉強させて、それからまた霊界の合同結婚式に参加させる、これによって初めて絶対善霊になって、地上界のわれわれに悪さをしない善霊になって幸せをもたらしてくれるようになるそうなんです。ただ、ご先祖は、扇の要から先に広がるように山ほどいますからね。これを全部解怨して興進の主宰する修練所で勉強させて、それで合同結婚式に参加させてたら、これきりがないわけですね。ところが特別指令が出て、2013年の1月13日がXデーだそうで、それまでに210代前の先祖まで解怨しなきゃいけないそうです。信者はたいへんだろうと思います。
山口弁護士  いずれにしても、先ほど来お話しした霊界の地獄話が、完全にひとつの教義としてハマってしまってる。原理講論というのが統一協会の一応基本の教義解説書なんですが、その他に“聖本”、これが3000万円献金した人に与えられる本なんです。その後に天聖経という、これまた分厚い本がありまして、430万円献金した人に与えられる本で、家宝になると言われているわけです。その他にまた430万円出してチョンポッカンとかいう5冊ぐらいが箱に入っている分厚い御言葉集がある。これを授かれと指示されてます。わたしどもバカバカしんで、聖本とか天聖経なんかさらっとめくって、なんてバカなことが書いてあるなと思って読みもしないんですが、北海道大学の宗教社会学の櫻井先生は、ていねいにこれを読んでいただいて、『統一教会』という分厚い本に、何が書いてあるかご紹介になっていますが、まさに今私が話したような霊界の話がそのまま文鮮明が話したこととして出ているようです。統一教会は、原理講論の教義から、この因縁解放の教義に変わったというか、それにプラスしてシャーマニズムの要素がより強くなったということだと思います。私はシャーマニズム自体を否定するものではなくて、大きな木に霊が宿っているというのは僕が実際にそう感じるようなタイプでありまして、しめ縄を張りたくなるようなタイプでありまして、シャーマニズムをちっとも否定するものじゃありませんが、その要素を使って金を出させることをやってるのが、実情でありまして、統一協会の教義も変容を遂げつつあるということを申し述べておきたいと思います。

原理講論要約チャートから
 その上で、ますます訳がわかんなくなるかもしれませんが、しかしながら、統一協会の教義とされる原理講論の中にも、明らかに、これを悪用すれば、ことさら不安をあおって、献金をせざるをえなくなるような、そういう教義が入っているということをご理解いただきたいと思います。原理講論要約訓読チャートというものがございまして、原理講論を分かりやすく、字が下手くそな原理講師がこれを見ながら講義できるようにという目的で作ったようでけども、前編と後編とがありまして、それぞれ100ページずつくらいの冊子があります。この中に、引用して少しお話しするものを16項目だけ選び出して、ハサミで切ってコピーしたものをお配りしました。「原理講論 赤色・青色部分 要約訓読チャート」というものです。これは要するに、最近は分かりやすく読んでもらうためにということで、重要な部分を赤色や青色で塗った原理講論があるんですね。その部分のポイントを図示しながら分かりやすく書いたというのがこのチャートでありまして、その中から私が予断と偏見で16枚選んでハサミで切ってのりで貼ったのがこれです。原理講論でどんなことを言っているかをかいつまんで、これ原理講論の全容ではなくて、脅しや不安をあおる要素があるところを選んで編集してみたというのがこれです。
chart01  まず、左下に番号がありますが、1番は、人間の心には本心と邪心があって、本心は幸福の基になり、邪心は不幸の基になるわけですが、人間には善の欲望を成就しようとする本心の指向性と、悪の欲望を達成させようとする邪心の指向性があります。したがって矛盾性を持つようになった人間は、正に破滅状態に陥っているといえます。ここで統一教会ではどういうことを言うかといいますと、献金しなさいと言われてお金が惜しいなと思う、印鑑を買わなきゃいけないと言われてお金が惜しいなあと思うのは邪心であって、感謝してささげるのが本心だということを散々に教え込みます。
chart02  2番目なんですが、堕落人間をして、悪への道を遮り、善の目的を成就せしめることによって、人間の矛盾性を克服できるものでなければならない。つまり、人間は堕落の本性を持っている。われわれは何をしなきゃいけないかというと、この堕落性の本性をもって悪へ行く道を遮って、それを克服していくということをしなきゃいけないということです。
chart03  3番目ですが、それができるのは、文鮮明先生なんだってことです。しかるに神は、すでにこの地上に、人生と宇宙の根本問題を解決されるために、一人のお方を遣わし給うたのであるが、そのお方こそ、すなわち、(真のメシア、再臨のメシア)文鮮明先生である。イエスキリストは人類を救いそこなったわけですが、そこで神様が悲しんで、2000年後に文鮮明を地上に遣わしたという訳です。
chart04  4番目ですが、霊界や人間の体はどうなっているかというと、神様は人間を創ったんだけれども、霊人体と肉身とを創った。霊人体は無形世界、肉親は有形世界と分けられるわけですが、有形世界を主管できる肉身と、無形世界を主管できる霊人体とから構成された人間は、有形、無形の二つの世界をみな主管することが(本来は)できるんだ。この話は、先ほどの霊感商法のトークにもろに使われていることがご理解いただけるかと思います。
chart05  5番目ですが、これは先ほどの霊感因縁トークとパラレル(並行)なものでありまして、肉身の善行と悪行に従って、霊人体も善化あるいは悪化する。肉身つまり生きているわれわれが善行を施せば霊人体も善くなるけれども、欲望のままに生きていると霊人体も悪化して、将来地獄に行かないといけないことになる、こういう教えが原理講論に出ているということです。
chart06  6番目なんですが、ここが恐ろしいんですけれども、霊人は肉身を土台にしてのみ成長する。それゆえに、霊人体と肉身との関係は実と木の関係と同じである。つまり、死んで地獄にいる霊人体がどんなに悔やんでも、もう成長できないんです。いま生きているわれわれが善行を施して、善いことをたくさんやって、統一協会の真の道を歩んで初めて、霊人体も成長して善いようになるんだけれども、死んだあと「生きてたときにやっとけばよかったなあ」とどんなに後悔しても、もう遅いんですよ。だから生きているこの80年間に、ぼろは着てても心は錦じゃないけれども、信じて滅びよじゃないけれども、どんだけ善行を施すかがいかに重要かってことをここで感じて下さいよってなことで強調するわけですよね。
chart07  7番目ですが、サタンの拘束を受けている生心と肉心が授受作用をして合性一体化すれば、人間をして悪を指向させる。また一つの作用体をつくるが、これを邪心という。わけわかんないですが、まあ、サタンの影響を受けて、邪心が働くとロクなことありませんよということです。
chart08  8番目ですが、罪の根は、人間始祖が蛇に表示された天使(ルーシェル)と不倫なる血縁関係を結んだところにあった。したがって、彼らは神の善の血統を繁殖することができず、サタンの悪の血統を繁殖するようになったのである。これがお得意の、アダムとエバが神様に創られて、神様はアダムとエバを可愛く思ってたんだけれども、それを嫉妬したルーシェルがエバと時ならぬときに性関係をもってしまい、血が汚れたエバがアダムと時ならぬときにセックスをして、そのために子孫のわれわれが原罪を抱えているんだという例の話に直結する話かと思います。
chart09  そして9番目なんですが、天使とエバとの血縁関係による堕落が霊的堕落であり、エバとアダムとの血縁関係による堕落が肉的堕落である。いずれにしても、さきほど私が言ったような、天使とエバの時ならぬときのセックスで汚れたエバがアダムと性関係を持っちゃったもんだから、それで子どもができちゃったもんだから、子孫がわれわれだもんだから、肉的堕落で原罪を持つに至っちゃった。だからわれわれ原罪を持っているということで。
chart10  10番目なんですが、原罪を、罪の根というならば、遺伝的罪は罪の幹、連帯罪は罪の枝、自犯罪は罪の葉に該当する。すべての罪は、その根に該当する原罪から生ずる。それゆえに、原罪を清算しない限りは、他の罪を根本的に清算することはできない。自犯罪というのは読んで字のごとく、自分で悪いことをした罪、連帯罪というのは、これは日本人が悪いことをすればそれが全体に及ぶ、それから家族が悪いことをすればそれが及ぶ、遺伝罪というのは、日本軍が犯した罪はわれわれが遺伝的な罪として引き継がなくてはならない、さらに原罪はその根っこにある、こういう訳ですね。この間も、先ほど言った某県の職員の献金を返せという交渉をしているときに、あんたらの目的は一体何なのよと言ったら、やっぱり原罪を払拭することですと言ってましたね。まじめな信者であればあるほど、原罪をどう払拭したらいいのかと考える。いま、地上天国実現のためだとして頑張っている信者がいるのか疑問です。いまの統一協会の現役信者の原点は、この原罪をどうやって払しょくして真の道を歩むか、氏族メシアとしての使命を果たすかということが中心になっています。
chart11  11番目の「自由の原理的意義」というところに3つ重要なことが出ているわけです。第一に、原理を離れた自由はない。つまり自由とか何とか言っているけども、統一原理があってこその自由であって、それ以外の自由ってのは自由でなく、サタンの世界の罪だらけのものであって、そんなものは自由とは言わないんだ。
chart12  第二に、責任のない自由はない。つまり原理によって、創造された私たちは、その責任分担を完遂することによってのみ自由が得られるんで、責任があるんだ。第三に、実績のない自由はない。人間が、自由をもって、自身の責任分担を完遂しようとする目的は、神を喜ばせるような実績を上げようとすところにある、ということで、統一協会の信者の皆さんは、実績は追及されるし、責任はもたされるし、原理を離れられない。この3つをわきまえないと、これは罪だということになって、サタンに讒訴されるということになるわけです。
chart13  13番ですけれども、だから私たちは、サタン主管圏でいくのか、それとも神の主管圏でいくのか、いま際どいところにいるわけですけれども、その肉身が活動しているといっても、神の主管圏を離れてサタンの主管圏内にとどまっているならば、彼は死んだ人といわなければならない。つまり、われわれがサタンと仲よくしている、あるいはサタンに支配されているわれわれは、統一協会から見ると死んだ人といっしょだ。だから現役信者の方から見ると、それを受け入れないお父さんやお母さんや、あるいは兄弟や、あるいは高山牧師も山口弁護士も、みんなサタンに支配されて、死んでいるのといっしょだと、彼らはそう受け止めているということです。
chart14  しかも14番目ですが、神は本来、人間が堕落しなくても、老衰すれば肉身は土に帰るように創造されたんだ。ただ、肉身は老衰すればそれを脱いで、その霊人体だけが無形世界で永遠に生きるようになってるっちゅうんですね。つまり、肉体が滅びても、われわれの心は永遠に生きるんですよ。どこで生きるかというと、地獄で生きるっていうことになるんです。これ、ほんとに統一協会の信者たちはこれを信じてます。霊人体になって永遠に霊界で苦しむことになるんだから、それよりはいま80年間苦しんで、あるいは10年間、20年間これから苦しんで、そして永遠の霊界で家族といっしょに、善霊になった先祖といっしょに霊界で楽しく暮らせればそれがいいと、本気でそう思ってるようです。
chart15  15番目なんですが、そのとき、すべての霊通者は、より高次元的で、全体的な真理のみ言の前に出て、自分自身の摂理的な使命と位置を正しく悟ることにより、横的な衝突から起こった過去のすべての混乱を克服することができるし、またそれと同時に、各自が歩いてきた信仰路程に対する有終の美を結ぶこともできるのである。訳わかんないですけども、この冊子をずーと読んで、ここに唯一霊通者という霊界と通じている者という言葉が出てきます。だから原理講論の中にも霊に通じているという言葉が出ているということで、反対尋問のときこれを使って「あんたら霊に通じているんでしょ」ってなこと言うんですが、そうしたら、いやどうのこうのと、そうしたら、「ほらこれ見てごらん、書いてあるじゃないの」と反対尋問するわけです。いずれにしても、どうも霊通者というのがいて、いろいろやってるようです。
chart16  最後の16番なんですけども、種族的な恵沢圏に移ることができない」、その罪を清算しないと一族全員が地獄界で永遠に苦しむことになる。逆に、天は悪霊人をして、その罪に対する罰として、この地上人に苦痛を与える業をなさしめる。つまり先ほど私が霊能師として言いましたけども、地獄界で苦しんでいる先祖は、地上の子孫に苦痛を与える業をなさしめるってことが、原理講論の講義の中で正式に言われています。逆に、地上人がこの苦痛を甘受すれば、これを蕩減条件として、その悪霊人も共に恵沢を受けるようになる。つまり、地上界のわれわれが、献金をたっぷりして、統一協会の指示通りに真のみむねを歩んでいれば、先祖も悪さをしなくなって、先ほど言ったような、天上界で、あるいは中間霊界で恵沢を受けるようになり得るんですよ、だから頑張りましょうってことですね。だけど逆に、頑張らないとえらいことになるわけですよ。この恐怖の教えが、原理講論の原点にあるということをわれわれは意識しながら、統一協会を訴え、ことさら不安をあおって献金を余儀なくさせる、あるいはことさら不安をあおって統一協会の指示通りに活動せざるを得なくさせているんだということになるかと思うんですね。
 私どもとしては、現実にいま東京高裁に控訴している裁判では、ここら辺を訴えて、何十件と献金をしている女性なんかの場合に、金額のでかいのについては裁判所は違法性を認めるわけですが、金額が小さい1万円とか5万円だとなかなか違法性を認めてくれない傾向があります。だからいま申し上げたことを裁判所に説明して、こういう心理状態のもとで、1回1回「出さなきゃ息子が死ぬぞ」と言われなくても、信者としての使命なんですよと、いま摂理としてお母様が来月おいでになってイベントがあるから1万円のチケットを買ってちょうだいねと言われると、もう買わざるを得ない心境になってしまうのはなぜなのか、ここなんだというところを強調して、裁判官に1万円だ2万円だの献金であっても違法なんだと認めるべきじゃないですかと説得をこころみているところです。なかなか裁判所の壁は厚くて、今年の1月、福岡の事件で、3億円献金させられてもそれに違法性が認められないという判断が下ってしまいました。特殊な事案なんでいろんな事情があるんですけども、それでも裁判官としては、ことさら不安をあおって、このお金を出さないとあんたの息子が死ぬよとか、あんたは幸せな結婚ができないよとか、具体的に不安をあおられないと、あるいは、えらいことになるよと抽象的でもいいから脅しの要素がないと、どうも違法性が認められにくい。そこら辺にとらわれていることがあるんで、そうじゃない、先ほど来言ってるような因縁の恐怖、あるいは永遠の地獄で永遠にわれわれは苦しまなきゃいけないという、普通に死ぬより怖いという、そこら辺の不安をがっちりはめ込められているからこそ、この壷を授かりましょうねと言うと、特別脅されなくても140万円死ぬ気で出さなきゃいけなくなる。ここら辺の心理を分かってほしいということで今訴えたりしているところです。その意味では、これから脱会する人たちは、長年やってきた人たちが多かったりするもんですから、簡単じゃなかったりするんですけども、こういう議論をしながら、裁判所に違法性を認めてもらうようにしたいと思ってます。こういう教義で信者の心を縛りつけて組織活動にまい進させるという統一協会の活動が許されていいのかというところを訴え続けていきたいと思っているところです。


※脱会者M子さんの体験談等は、次号に掲載する予定です。
TOP  会報など  ホームページ  PDF