カルト被害を考える会 会報 2011年3月・第63号
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<もくじ>
・全国弁連京都集会に5人が参加しました
・弁連が倉敷市と文化振興財団への申入れ、回答届く
・「APTF講演会」(=統一協会修練会)の状況
・弁連と本会が倉敷市文化振興財団と面談
・全国霊感商法対策弁連全国集会(京都)に参加して
・最近の出来事

全国弁連京都集会に5人が参加しました

 全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)京都集会が2月18日にひらかれ、岡山から5人が参加しました。
 最初に河田英正代表世話人の主催者あいさつ、続いて渡辺博弁護士の基調報告、元信者の証言などがありました。
○渡辺弁護士の基調報告
 最近の資料で統一協会は、毎年平均568億円を韓国へ送金している。2010年中に弁連に相談があった600件・約16億円の被害は、氷山の一角だ。
 最近の刑事摘発を受け、訪問販売法適用を逃れるため、勧誘した翌日以降に家系図鑑定・印鑑販売などを行っている。
 横浜西教会では、文の自叙伝(1,800円)を6000冊販売するため、各家庭に30冊購入するよう指示している。全国では100万冊を目標に販売している。
 文鮮明は90歳を超え痴呆が進行し、4男・文国進(クッチン)に跡を継がせるため、人物が優れていると宣伝している。
 「拉致監禁」をでっちあげて有名になった後藤徹氏は、不起訴後の検察審査会でも不起訴相当とされた。2月には家族らに損害賠償を請求する民事裁判を起こしたが、根拠がないので棄却されるだろう。しかし、韓国では統一協会側の主張だけを取り上げたテレビ番組が放送された。
○元信者K子さんの証言
 統一協会に10年間入っていて、北千住の足立青年支部にいました。
 手相見で勧誘され、健康講演会、ビデオセンター、2デイズ、4デイズ、新生トレーニング、マイクロ隊などと進みました。
 伝道機動隊(学生と青年が30人)のマザーを務めました。伝道以外のときも、朝から晩まで電話報告をさせられ、時間が管理されていました。マザーはお金の管理も担当し、勤労青年に給料の明細を提出させ、隊長と相談して献金可能額を決め、献金させていました。トーカー(姓名判断の霊能師役)も務めました。
 マイクロ隊では、集めた寄付金の4割がリベートとして入り、隊員に人件費を渡していました。「難民支援」などには、ほとんど使われていません。その時は当然のことと思っていましたが、説得を受け、人の善意を裏切っていたことが分かってきました。
 万物展でも、リベートが入り、「リベートは神からのご褒美」と言われ、そのまま信じていました。ゲストに全財産を出させることが神的だと言われ、タワー長と相談して高額の商品を買わせていました。全財産を出させることには抵抗がありました。
 「これが最後の摂理」と、摂理が何回も来ましたが、「ほんとに最後かもしれない」と思い、必至でお金を作り、出していました。
 韓国で、統一協会を批判した新聞社を襲撃したことを誇らしげに話すのを聞いて、矛盾を感じていました。
 説得を受け、統一協会の活動のすべてがお金目的だと知りました。
 自分の感情が出てこない状態がつづき、気持ちの整理に1年以上かかりました。
 脱会後、合同結婚の相手や信者からストーカー行為が長く続きました。移動先が分かるのでおかしいと思い、車の下を見ると、携帯電話とバッテリーが張り付けてありました。先日、相手を刑事告訴しました。こちらが弱気になると付け上がる団体です。
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 それから、「日本人の宗教観について」と題して日野英宣住職が、「科学とニセ科学」と題して菊池誠・大阪大学教授が講演しました。
 翌19日には、弁護士中心の会合がありました。
 その中で、米子市の弁護士から、統一協会だけでなく国も相手にした損害賠償裁判について、これから証人調べに移るとの報告がありました。


弁連が倉敷市と財団へ申入れ、回答届く

 統一協会が倉敷市のマービーふれあいセンターを使って、2月22日に「APTF講演会」という名目で、テモニム(文教組の義母=大母様)の霊が信者に献金や伝道などを指示する内容の集会を開くという情報がありました。
 全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)は、2月8日付けで倉敷市と同センターを管理する倉敷市文化振興財団に対して申入書を送りました。
 その申入書では、統一協会が違法な伝道や資金獲得活動を行い多くの被害を生んでいて、今回の行事はその違法な活動の一翼を担うもので、この講演会を許可していることは同市と同財団が統一協会の活動に賛同しているかのような誤解を生んで悪用されかねず、許可によって多くの一般市民がAPTFを信用して霊感商法と詐欺的勧誘の被害者になる恐れがあるとして、次の3点について回答を求めました。
1.貴市および貴財団では、このようなAPTFについての事実を認識したうえで会場使用を許可したのでしょうか。
2.貴市および貴財団では、いかなる経緯でAPTFを認められたのでしょうか。その審査ではどのような資料と基準で許可されたのでしょうか。
3.貴市および貴財団では、本申入れにかかる事実が判っても、今後もAPTFによる使用を許可し続けるのですか。今後の取り扱いはどのようにするつもりでしょうか。
○倉敷市からの回答
 この申入れに対し倉敷市から、2月18日付けで次のような回答がありました。
(回答)マービーふれあいセンターの使用許可権限は、指定管理者である財団法人倉敷市文化振興財団にあります。今回の事務手続きについて、財団法人倉敷市文化振興財団に確認したところ、倉敷市文化施設条例及び同条例施行規則に基づき適正に処理されているものと考えています。
○倉敷市文化振興財団からの回答
 倉敷市文化振興財団から、2月18日付けで次のような回答がありました。
 平成23年2月8日付け申入書によりお尋ねのあったことについて、次のように回答いたします。

1 当財団では、平成22年12月27日付けでAPTFから講演会の開催を目的とするマービーふれあいセンターの利用許可申請書を受付し、申請書の記載事項を確認した後、同日付けで利用を許可いたしました。
 その際、APTFが平成21年5月9日に同ホールで講演会を開催し、管理上の問題となる事項が起きていなかったことを確認いたしました。
2 当財団では、倉敷市文化施設条例及び同条例施行規則並びに当財団文化施設使用許可基準に基づき、施設の利用を許可しています。
 その際、申請者に同条例第10条の許可制限について書面により通知しています。
3 同財団では、倉敷市文化施設の指定管理者として、倉敷市文化施設条例等の基準に基づき、今後とも適正に管理してまいります。

○“事実認識”について答えず形式的処理
 この財団からの回答は、弁連が尋ねた“事実認識”についてはまったく答えていません。したがって、事実認識がないまま、書類上の形式のみで許可し、「今後とも適正に管理」すると述べ、今後も形式的に処理することをうかがわせています。
 倉敷市の回答は、財団の“事実認識”がないまま行った許可を「適正に処理されているものと考え」ていると述べています。


「APTF講演会」(=統一協会修練会)の状況

 今回の「APTF講演会」について、次のような状況であったことが、参加者の証言などから分かりました。
 2011年2月22日午前10時半から14時まで、マービーふれあいセンター(倉敷市真備町箭田40)で「天運相続新しい出発特別恩赦修練会」が恩赦修練会岡山・鳥取実行委員会の主催で開かれました。これは、2〜3月に全国を巡回して開いる修練会の1つで、鳥取からは暗いうちからバスで参加しました。
 受付でチケットをチェックしてプログラムをもらい、当日に祈願書を出す人もいました。
 メインのホールは満席(約1000席)で、ホールの状況を映写して見るモニター室も岡山と鳥取に分かれて2つありました。主催者は1800人が参加していると言っていました。
 開会宣言の後、メシアの賛美があり、「信じますか?」と問われ、みんなで「はい」と答えました。
 役事では、前もって着てきた白のシャツになり、音楽に乗って、最初は女性の指示で、手拍子、隣人の背中、自分の頭、顔、腹、脚、腕を順に100回ずつくらい叩き、次に男性の指示で順に50回ずつくらい叩き、霊界の力で体から悪霊を追い出しました。
 清平講義では、「天運相続の道、伝道」というお話で、食口は月に1人(年に12人)、あるいは年に6人をめざして伝道するようにと言われていました。
 総会長御言では、チョンヨンスク総会長ご夫妻が真の御父母様の写真に花束を捧げました。最初に「あけましておめでとうございます」と言われ、あれっと思いましたが、同時通訳になったので、日本語がよくわからなかったのかなと思いました。神様を信じないと2011年はうまくいかない。空気や電波が目に見えないように、先祖霊や神様も目に見えないのですと言われました。
 新しい出発特別恩赦聖酒式では、3組の代表家庭の方が聖酒を飲まれ、祝祷しました。
 休憩が20分だったので、持参したサンドイッチを急いで食べました。
 第二部の最初は映像上映で、清平修練会の様子や、伝道成績優秀者の名前などが映されました。
 主催者挨拶では、キムヨンチョル実行委員長があいさつしました。
 大母様に花束が贈呈されました。
 大母様御言では、大母様(=金孝南)のお話がハングルでありましたが、同時通訳の声が小さくてよく聴き取れませんでした。
 介添え人がずらっと2列で入場し、その列の間を祈願書などの入った箱を持って数人が進んで来ました。
 副実行委員長が告天感謝・新しい出発決意文を朗読しました。
 祈願書及び新しい出発決意文奉献では、食口たちが書いた祈願書を収めた四角い箱を差し出し、大母様が受け取って霊界の恩赦と祈願の成就が約束されました。
 祈祷の後、女性ソプラノの祝歌がありました。
 億万歳では、両手を挙げていっせいに「マンセイ」をして、閉会宣言で閉会しました。


弁連と本会が倉敷市文化振興財団と面談

 全国弁連とカルト被害を考える会は3月7日、マービーふれあいセンターを管理する倉敷市文化振興財団(理事長・松田英毅)と、財団の会議室で面談しました。
 全国弁連代表世話人(兼カルト被害を考える会代表)の河田英正弁護士が、APTFは統一協会の宗教活動を担っている組織の1つであること、今回の集会は「講演会」ではなく信者に(事前に)“祈願料”を出させたり詐欺的伝道を指示するための“修練会”という宗教行事であったこと、統一協会は霊感商法や詐欺的勧誘など違法で反社会的活動を続けている団体であり、刑事裁判や民事裁判でその反社会性が認定されていることなどを説明し、このような事実を認識したうえで、今後の統一協会の偽装団体への施設の貸し出しを考えてほしいと求めました。
 また、カルト被害を考える会の葛原健志事務局長ら3人は、統一協会による霊感商法などの財産被害や詐欺的伝道による人格破壊などの表面化しにくい被害が深刻な問題であり、消費生活センターや大学などでも被害の予防や被害相談に応じていることを説明し、市民の安全を守るべき自治体(の施設)が市民に被害を与える活動に協力するような場を提供することのないようにと求めました。
 同財団の総務課長補佐は、市の条例や許可基準に基づいて使用許可申請がされれば、統一協会の団体でも貸します、と述べました。それに対して河田弁護士らは、統一協会の活動や「講演会」の内容は、その条例などの「使用を許可しない」項目にいくつも該当するではないかと問いただしました。それに対して財団の上田幹人参事は、今回の指摘を考慮し、今後の申請があったときは慎重に判断します、と述べました。


全国霊感商法対策弁連全国集会(京都)に参加して

カルト被害を考える会幹事 柚木 薫
 今回初めて参加させて頂き幾つか感じた事を書かせていただきたいと思います。
 まず統一教会元信者とそのご家族の体験談を聞かせて頂き、改めて統一教会が信者、家族に与えるダメージの大きさに深いため息をつかざるを得ない思いでした。私自身キリスト教信仰者であり、確かに信仰の筋を通す時に未信者である家族とある種の距離を置かざるを得ない場面があることは理解できます。しかしもう一方の真実として、あらん限りの力で家族との調和を図ってゆく努力を続けることも聖書の教えの本質であり、いわばその二つの事は信仰の両輪であり、どちらが欠けてもイエスの教えから離れてしまうものと考えます。その点において統一教会は大きく間違えていると感じました。
 次に住職の日野英宣先生の講演も興味深く聞かせて頂きました。「医者の治療により病気が治ることの難しさを一番よく知っているのは医者であり、人の心など判るものではないことを一番知っているのは心理学者であり、修行によって悟りなど開けるものではないことを一番よく知っているのが宗教者である。」という言葉には妙な説得力がありました。そして「宗教は自らの心を顧みる、すなわち内観から始まる。」という趣旨の事を言われたと記憶していますが、住職とは信仰的立場は全く違いますが、その点においては同感しました。活動に救いを求める統一教会は、そこにおいてもやはり間違えていると感じます。
 また菊池誠教授による「科学とニセ科学」の講演も大変興味深いものでした。昨今、科学的知識の浅い一般消費者に分子レベルの話を持ち出し、このままの生活では重大な病気になるという不安を抱かせ、安心と引き換えに高額な商品を買わせる商売をよく見かけます。やっかいな事にそのことに取り組むことが環境を保護し、ひいては世界平和に繋がり次世代を守るとうたわれれば社会的な問題に関心のある真面目な人は心動かされます。そしてそれがマルチ商法と言われるネットワークビジネスとなる時に色々と問題が起こるようです。商業カルトと言われる明確な被害を出しているものとまでは行かないにしても、一種のマインドコントロールの働くカルト的な商法は案外沢山あるのではないでしょうか。
 最後に、統一教会が「家の教会」として一般家庭を開放し布教し始めているという話を聞きました。知らない人は正統的なキリスト教と思い、集う内に統一教会員となってしまうという訳です。福音的なキリスト教会も家庭集会というものをよく用いますが、それと見分けをつけることは未信者の方にとっては困難なことであると思われ、キリスト者としては大変問題を感じています。
 現在できることがあるとするならば、統一教会等カルト集団の反道徳性、違法性をできる限り社会に向けて発信し、不幸にも被害者となった方々のケアを物心両面においてしてゆくことだと思います。
 そのことについて、「この問題に関わることは持ち出しも多く決して収入的には見合う仕事ではない。」と話しておられた弁護士先生、身を削るようにして脱会活動をされている牧師先生達のお働きに心からの敬意を表したいと思います。また自分自身も微力ながら関わり続けたいと感じさせられ、とても有意義な2日間となりました。ありがとうございました。


最近の出来事

(2010年)
11月25日 東京地裁は、東京と神奈川に住む主婦5人訴えを認め、統一協会信者8人に、先祖供養の名目で支払わせた約1億円を賠償するよう命じました。
12月3日 統一協会員百数十人が、倉敷市茶屋町の駅前に集まり、「拉致監禁許すな」などと牧師の名誉を傷つける表現をしながら、倉敷めぐみキリスト教会の前を経由して茶屋町駅までデモ行進しました。
12月15日 東京地裁は、秋田と神奈川の元信者の訴えを認め、統一協会と信者1人に、霊感商法で支払わせた献金や印鑑購入代金など3300万円の賠償を命じました。多額の現金を引き出された1人の原告の夫については、「直接的な権利侵害を受けていない」として訴えを退けました。
(2011年)
1月18日 福井地裁は、福井市の女性の訴えを一部認め、統一協会と同市の信者に、先祖供養のためとして支払わせた資金など550万円の賠償を命じました。訴えが認められなかった置物や壷代金の賠償については、控訴する意向です。
1月21日 福岡高裁は、福岡県内の女性の遺族の訴えを認め、統一協会に、壷や多宝塔購入、献金などで支払わせた1億1500万円の賠償を命じました。1審で認められなかった献金についても違法として賠償金を380万円増額しました。
2月7日 警視庁公安部は、ストーカー規制法違反容疑で、統一協会を脱会した女性に付きまとった埼玉県越谷市の合同結婚相手だった男性信者を逮捕し、自宅を家宅捜索しました。同容疑者は、他の信者らとともに、GPS機能がある携帯電話とバッテリーを女性の父親の車底部に貼り付け、居場所を確認して付きまとっていました。
2月28日 福岡地裁は、福岡県内の元信者女性の訴えを一部認め、統一協会に、献金などで支払わせた8160万円の賠償を命じました。元信者の女性は、壷の購入や献金などで4億4400万円余り支払っており、控訴する意向です。
3月10日 神奈川県警は、有限会社「神世界」グループ傘下のヒーリングサロン元役員や社員の女性4人を、「子ギツネの霊が取りついている」などと言って祈願料などをだまし取ったという詐欺容疑で逮捕しました。
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