カルト被害を考える会 会報 2009年11月・第58号
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<もくじ>
2009年度総会ひらく――――――――――1
「岡山大学におけるカルト対策について」2〜6
第50回全国弁連集会(東京)に参加して―6〜8

2009年度総会ひらく−河田弁護士が新代表に

 カルト被害を考える会は10月24日、岡山国際交流センターで2009年度総会をひらきました。
 須藤幹事の司会で開会し、高山代表があいさつ、葛原幹事が活動のまとめ、赤松幹事が会計決算、丹下監査が監査結果をそれぞれ報告しました。
 引き続いて、活動方針、予算、新役員が提案され、すべての報告と提案が満場の拍手で採択されました。

 新役員は次のとおりです(敬称略)。
○代表…河田英正
○幹事…5人(氏名省略)
○監査…2人(氏名省略)
前代表の高山牧師は、出エジプト会の救出・カウンセリング活動などが多忙となったため当会では幹事として活動することになり、かつて「青春を返せ裁判」の弁護団長として活動し、今は全国霊感商法被害対策弁護士連絡会の代表委員などを務める河田弁護士が新代表に選出されました。


「岡山大学におけるカルト対策について」
松岡洋一岡大学生支援センター長が記念講演

 10月24日の総会終了後、岡山大学学生支援センター長の松岡洋一教授による記念講演「岡山大学におけるカルト対策について」がありました。要旨は次のとおりです。

 ただいまご紹介いただきました岡山大学の松岡です。本日は、「岡山大学におけるカルト対策について」という題で、話をさせていただきます。

1.はじめに
 全国の大学で、学生のカルト被害が問題になっていますが、岡山大学も例外ではありません。カルト側は学生を上手に勧誘し引き込んでいますので、学生は被害を受けているという認識することはほとんどありません。したがって、学生の方から被害を訴えて相談に来ることはほとんどありません。
 岡山大学でもカルト対策に取り組んでいますが、大学におけるカルト対策はなかなか難しい面があります。
 私の専門は、臨床心理学という分野ですが、いわゆるカルト問題の専門家ではありません。岡山大学でカルト問題に取り組み始めたのは、2006年7月に学生支援センターが設置され、センター長を引き受けてからです。したがって、「岡山大学におけるカルト対策」といっても、ここ数年の対策が中心ということになります。

2.これまでの岡山大学のカルト対応について
 学生支援センター設置以前のカルト対応は、問題が生じたとき一部の熱心な教員が学外の支援組織と連携しながら、ケースバイケースで行なっていました。大学側が組織として動いてくれないので、教員の負担はかなり大きかったようです。

3.「摂理」に関する新聞記事
 朝日新聞2006年7月30日付に「摂理」の新聞記事が出て、その中に「岡山大」と大学名がありました。学生支援センターが設置されたばかりでした。事務職員に彼らがいそうなところを見回ってもらいました。しかしその時点では何も見つけることはできませんでした。とりあえず「岡山大学では宗教活動は禁止されています」という掲示物を貼り、注意喚起をするしかありませんでした。
 2007年夏に、岡山大学の学生で「摂理」に関わっている学生がいるという外部からの情報を得て、岡山大学としても本格的な対応を迫られることになりました。

4.学生支援センター設置以後に行なってきたカルト対策
 そこで、学生支援センター設置以後に、これまでおこなってきた具体的なカルト対策をまとめてみましたので、説明したいと思います。

@在学生に対するカルト勧誘の注意(勧誘の情報があればチラシを作って出す)
A新入生オリエンテーションの配付用冊子の中に掲載して注意喚起
B新入生勧誘のサークル活動学生用の腕章作成、サークル活動リーダー研修会で「サークル活動とカルト」講演
C新入生の保護者向け冊子に「カルトについてのお願い」を掲載して注意喚起
D「学生相談室だより」にカルト脱会者の手記を掲載し、学生や教職員に配布
E教職員向けの「カルト問題に関する講演会」の開催(県内12の大学から参加)
F大学HPに「NO!カルト」のページを作成(注意文や相談連絡先等を掲載
G大学間のネットワーク構築(現在、全国ネットワークにも登録)
H他大学のカルト対策に関する情報収集(愛媛大学や大阪大学等)
I岡山大学としてのカルト対策の基本方針を決定(後述)
J被害学生支援のため学外の支援組織と連携(場合によっては警察にも連絡)

5.岡山大学としてのカルト対策の基本方針
 学生をカルトから守るために、大学組織としてカルト対策を進める必要があると考え、岡山大学としてのカルト対策の基本方針を決定していただきました。内容は以下の通りですが、これは愛媛大学の基本方針を参考にしました。
 1.大学は学生の思想・信条については関与しない
 2.学生がカルト集団に関わることで人権侵害や、人格破壊につながる恐れがあると認められる場合は、学生に対する安全配慮義務により、保護者に情報を提供する。
 3.カルト集団から勧誘被害にあった学生が、脱会のための援助を求めてきた場合や、脱会後に学生生活を過ごす上で援助を必要とする場合は、大学としてできる限りの支援を行なう。

6.まとめにかえて
 最後になりましたが、学生を対象にしたカルトに関するアンケート調査の結果をお示ししたいと思います。
<カルトに関するアンケート調査結果(2009年、回答学生数479名)>
@ 岡山県内の大学でもカルトによる勧誘が行なわれている事を知っていますか?

A 大学で、スポーツ、音楽、踊り、ボランティア、○○を考える会、料理、ゲームなどのサークルに誘うことで、カルトに勧誘する事を知っていますか?

A−2 実際にそのような勧誘をされた事がありますか?
 ※「ある’」…カルトの勧誘かどうか不明
B 街中でカルトが声をかけたり、部屋を訪ねてきてアンケート、ボランティア、手相、お祈り、○○についての勉強などを口実に、勧誘する事を知っていますか?
B−2 実際にそのような勧誘をされた事がありますか?
 ※「ある’」…カルトの勧誘かどうか不明
C 友達や知り合いからカルトの勧誘を受けたと聞かされたり、相談された事がありますか?
D 宗教かどうかに関わらず、今までに変な勧誘、怪しい勧誘、しつこい勧誘、不快な勧誘を受けた事がありますか?

 学生が自由記述欄に書いた内容のうち、宗教やカルトに関すると思われるものを抜き出して見ました。
 「2人組のおばさんがアパートに来て友人の事を聞き出そうとしたり、よくわからない宗教の話を聞かされた」、「家に2人連れで来て聖書を押しつけられた」、「岡山駅でバーベキューをするので行きませんかとキリスト教っぽい人たちに誘われた」、「宗教関係の話で早朝に祈りがあるので教会に来るように勧誘された」、「運動公園で変な宗教団体が迫ってきた」
 このように、学生は学内だけでなく学外でも様々な勧誘を受けています。だから、大学だけでなくて、学外のいろいろな組織との連携は必要だろうと思っています。

 今の段階では岡山大学のカルト対策はまだ十分だとは思っていません。しかし大学におけるカルト対策にはおのずと限界があります。
 カルト宗教では、しばしば多額な金銭的被害が問題になりますけれども、学生を勧誘するカルトサークルでは、学生の間はあまり金銭的な被害を与えないことが多いものですから、学生自身がカルト被害を訴えて大学に相談するということはほとんどありません。そのため、学生に関するカルト情報というのは、学内よりも学外から貴重な情報が寄せられることが少なくありません。学生をカルトから守るために、今後とも保護者や支援団体と連携をとりながら対策を進めていく必要があると考えています。
 岡山大学の学生のことで何か情報がありましたら、ぜひご連絡をお願いしたいと思います。
<カルト情報の連絡先>・学生相談室(086-251-7169)・何でも相談窓口(086-251-7180)
 ご清聴ありがとうございました。

[質疑応答]
 松岡さんの講演に対し、おもに次のような質疑応答や意見がありました(カギ括弧内が松岡さんの応答です)。
@岡山県内のネットワークは、民間・公立含めてですか?「そうです」。温度差がありますか?「あります」。
Aうちの息子は摂理という組織にいて、ゴールデンウイーク時に勧誘されたので、夏休み後にも啓発したらどうですか?「その意味で『学生相談室だより』を6、7月ごろ出しています」。大学に入る前、高校の先生にも認識を持ってもらいたい。
B学生間のアドバイスがあったらいい−「校友会には言っているが、そこに入っていない半分の学生に対する周知が課題です」。
C高校の教員ですが、県内全体の高校への情報伝達のアプローチも大切だと思います−「県の教育委員会には、こういう活動を伝えていけばいいと思います」。
D高校2年の時に街角で誘われ、1年くらい摂理にいました。
E親鸞会が主催した脳神経学者の講演会を岡山県と岡山市の教育委員会が後援していました。
F自治体の後援や、公共施設の使用があれば、いっしょにその自治体や施設に申し入れましょう。


第50回全国霊感商法対策弁連(東京)集会に参加して

高山正治

 第50回弁連集会に参加しました。今回も多くの参加者があり、会場はいつものように満席でした。いつまでもカルト問題の関心は衰えていないことを改めて痛感しました。
 今回は午前の集会に参加するため早起きして、新幹線に乗りました。
 午前の部は「大学におけるカルト問題」ということで、集会に出席された人の大半は、大学の教職者や学生課の人たちでした。
 最初の講演は、恵泉女子大の川島堅二教授で、摂理・カープ・それに加えヨハンキリスト教会の問題を取り上げられました。
 摂理とカープがカルトであることは異存のないところですが、ヨハンがなぜカルトなのか?川島先生が問題にしていることは三位一体などの教義の問題ではなく、名称を隠して伝道したり、勧誘の方法において既成教会ではしていないような強引なやり方をしているということのようであります。

 二人目の講演は、元摂理の信者の男性で、大学時代に関わった御自分の体験談と、最近の摂理情勢について話をされました。
 摂理の信者は、長年鄭明析教祖をメシヤ・現代のキリストと教えられていたのに、教祖が逮捕され懲役10年の刑に服すると、教祖自身が「私はメシヤではない」とメシヤ宣言を取り下げてしまった。教祖のこんないい加減な発言にも信者は疑うことなく、「私たちは間違を冒しました。イエス様こそが真のメシヤです」と言って、組織を挙げて悔い改めの祈りをしているということです。どこかおかしいのではないでしょうか? そのおかしいところがまさにカルトなのですが、中にいる人たちは気付かないのですね。

 午後からは通常の弁連集会で、1時から6時まで、充実した内容の集会でした。
 まずはじめに、主催者挨拶と渡辺博弁護士による基調報告。渡辺博弁護士は最近の統一協会情報を話され、興味深いものがありました。
 まず全国各地でおこなわれている特定商取引法に関する法律違反事件の報告。
 先日、東京の「新生」第一回公判の報告がありました(この件については弁連通信NO128号に詳しく載っています)が、東京に続き大阪でも「共栄」と統一協会の霊感商法の繋がりが調査されています。
 次に政治家と統一協会との繋がりについてですが、政権交代した民主党と統一協会はどんな繋がりがあるのか具体的な政治家の名前もあがりました。

 文鮮明の指令による「ラスベガス特別教育ツアー」は、食口たちもカジノで賭博をしたとのことです。カジノに入り浸りの文鮮明が使うお金はどこから出ているのか。まさか自分が働いて得た金だとはいえないでしょう。

 講演の2番目は、元信者の青年男子と二世の女性でした。
 二世信者の女性は、統一協会の信者である母親からひどい仕打ちをされたのに、そのことを努めて明るい口調で話していました。幼いころは母親に抵抗しても勝てないので耐えてきた。「壺を買ったので家にはお金がないよ。あなたの学費なんかないからね。あんたは金食い虫だ。憎たらしい子だね・・・」拒食症で寝込んでいても母親からの優しい言葉はなく、「いつまで怠けているのよ」と信じられないような言葉を浴びせられてということですが、これは酷い虐待ですね。

 その次は、「月刊印章」の編集次長という方のお話で、一言で言うなら、良い印鑑・悪い印鑑というものはなく、明治になって印章業者が商売のためにつくりだしたものだということでした。

 休憩を挟んで後半は、まず「テレビと宗教」という題で国学院大学の石井研士教授が話をされました。この話も興味深いもので、スピリチャル・ブームの危険性について警告されました。血液型・心霊写真・スプーン曲げ・・・など。その後には1990年代になると視聴者が求めるからという理由で、テレビ業界では霊の話をする人たちを用いるようになります。
 「オーラの泉」という番組は当初、三輪明宏と国分太一の対談番組にする予定だったが、そこに江原啓之を加えたところ高い視聴率をとった。
 三輪・江原・細木の3人が、婦人層にどれ程大きな影響を与えたか計り知れないものがあります。言ってみるなら国民総洗脳ですよ。スピリチャル・ブームを軽いノリで考えている人が多いが、これがカルトの温床になっていることを多くの人たちが自覚すべきことだと思います。

 ここで、有田芳生氏が登場し、選挙結果についてお礼とお詫びを述べられた後、短く統一協会情勢を話されました。週刊新潮の10月15日号に、過去15年前まで遡って統一協会について書くということでした。
 その他、文国進が日本統一協会の危機的状況を食口たちに訴えているとのことでした。
 これらのことから、日本人食口はさらなる献金要求をされることは必至でしょう。

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