カルト被害を考える会 会報 2006年5月・第50号
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「カルト教団からの妻の救出体験」を聞く
講師:木村捷二郎氏、敦子氏

 平成17年10月15日(土)岡山国際交流センター会議室において、大学教授であるとともに統一教会から妻を救出した夫の立場である木村捷二郎氏と元統一教会員である奥様の敦子氏の講演を聞きました。
 今回の講演は奥様自身の生々しい体験談、心の苦しみを聞かせていただき、より鮮明な分かりやすい講演内容となりました。
 また、元統一教会員である私にとっては、改めて年代を問わず統一教会のマインド・コントロールの手法が同じであったことを知りました。
 会場には全国から33名(県外約6割)が訪れました。会場の中には1週間前に娘がカルトに入っていることを知ったばかりで困惑している家族、大学で20数名が統一教会に入り、大学としてどのように対応すべきか聞きに来た先生が参加しており、木村先生や奥様の話は今後の対応に役立つものと思われました。
 さらに木村先生の講演後は、木村ご夫妻、高山牧師(救出の立場)、元統一協会員(社会人、学生の立場)計5名が壇上において、会場からの質問に対応しました。
 以下はその講演概要です。

1 はじめに(木村 捷二郎)
 12年前統一教会の訪問により妻が統一教会に入った。昔はカルトは異端と言っていた。日本ではカルトは悪いイメージがある。一部の書籍では破壊的カルトと言っている。共通して言えるのは1人の教祖により家族が破壊されること。指導者は一人、ピラミットに組織が成り立っている。北海道のパスカルさんが書いた「カルトに傷ついたあなたへ」は非常に読みやすい。カルトから救出するには家族が検証すること。入っている本人では検証できない。組織が検証させない。だから家族がやらなければならない。
 1993年妻は統一教会員の訪問から入った。訪問から半年間家族は何も気付かなかった。最初娘が気付きキリスト教会に相談し、1年半後に苦しみの末救出することができた。

2 入信に至る経緯(木村 敦子)
 1992年3月、子育てがほぼ終わり週3回はテニスをし、友人とおしゃべりの日々を送っていた。そういう人生でいいのだろうか。人には優しく、死んだらどうなるのだろうか。宗教を信じても良くをならないと思っていた。
 ある日、さわやかな青年が家に訪ねてきた。「アンケートにお願いします」、「奥さん良い顔相をしていますね」と言われ喜んだ。「心配事はありますか」と聞かれ、息子は高校受験に失敗、この子は将来どうなるのだろうかと心配していた。息子の姓名判断で「中年期が危ないですね」と言われた。常日頃から主人から騙されやすい性格と言われていたため警戒はしていた。でも家のことをしゃべってしまった。
 開運講演会に行った。当時は山崎浩子が朝から晩まで放送され、変なところだったら逃げてくればよいと思っていた。ワイドショーを見ていたので「ここは統一教会ではないですか」と訪ねた。きっぱり「統一教会ではない」と言われた。統一教会はどうしてもイヤだった。
 姓名判断で「貴方の姉妹は女ばかりですね。家系は途絶えます」と言われた。「どうすればよいか」と訪ねると「木村さんがビデオセンターで勉強すれば良い」と言われた。
 最初は老後のことなどが中心で、週4日通った。夫婦仲が良いことを言われ、心の底からもっと仲良くなりたいと思った。「夫も誘いたい」と言ったら、「言ったら駄目」と言われた。家系図を取られ因縁話を聞かされた。家族のために私が頑張らなければと思った。当時はマインド・ コントロールを受けていると夢にも思わなかった。
 その後メシアが生きていると聞かされ、「貴方は5%だけ努力すれば良い」と言われた。そして、ここが統一教会であると初めて知った。貴方が最初に訪ねたとき、正直に統一教会と言ったなら貴方はここには居なかったでしょうと言われ、納得してしまった。
 統一教会は神、恐怖心を植え付けた。その後、「300万円を献金しなさい」と言われた。「祖先を救いなさい、私は1千万円だった」「少なくてすんだ」と思った。これで終わりと思った。
 「木村さんは小メシア、先祖を引っ張らなければならない」さらに「300万円を超える金額が必要」と言われた。「子供の貯金を解約しなさい」と言われ献金した。これで子供の命が救われると思った。8月末私の出せる全てのお金が無くなった。
 「メシアに会わないと罪は減らないと」言われた。「韓国に行くために1万ドル献金が必要」と言われた。約110万円支度金が必要だった。
 11月末家族に高校時代の友人と旅行に行くと嘘を言い韓国へ行こうとした時、家族の反対にあった。その前に娘の誕生日に水晶を贈ったりしていたので、娘がお母さんがおかしいと気付いた。当時、主人は何も知らなかった。あまりの家族の反対により韓国へ行かなかった。
 しかし、統一教会は1日5〜6回報連相を徹底している。韓国に行けないことをすぐに電話した。「行かせなかった主人や娘にサタンが打つ」と言われた。子供のため、主人のため、翌年5月、主人の出張の時、置き手紙をし韓国に行った。

  3 救出(木村 敦子)
 私が韓国へ行ったと言い出してから家族として努力をした。主人はそれまで仕事人間だった。仕事を休み北海道10日間の家族旅行をした。しかし、原理が頭から離れなかった。浅見先生、有田さんの本も読んだ。それでも何も変わらなかった。
 家族はキリスト教会へ相談に行った。京都の聖徒教会に行き9月24日保護されるまでマンションで勉強した。
 私は2日間統一教会の原理講論をしゃべりまくっていた。そして、元統一協会員や牧師が来た。やさしく間違いを正してくれたが、泣いたり、わめいたりした。しかし、一緒にマンションに入った息子の姿に感心した。もともと息子のために統一教会に入ったことを思い出した。
 統一教会は肉体的に失敗したため文が新たなメシアとして必要としているが、ある聖書の御言葉を教えられ、新たなメシアは必要ないことを知った。
 家族から誰しも失敗はあると言われた。心の傷を癒すためすぐに家に帰らず教会で生活した。奉仕をして苦しんでいる人の手助けをしたい。元気な姿を見せることが私のできることと思っている。

4 家族の役割(木村 捷二郎)
 家族としてどういう対応をすべきか。93年11月妻は韓国へ行くと言い出した。韓国へ行く前に長女からお母さんがおかしいと言われたが、私は妻を信じてしまった。
 妻が韓国へ行き家族全員で家族会議を開いた。個人的に本を買ってきて妻に聞かせたが駄目だった。
 保護しないと救出出来ないと言われた。
 準備で子供達と喧嘩した。私は既成概念を捨てれず一番遅れていた。
 救出にはマンションが必要。静かなところと言われた。勉強の出来る雰囲気づくり、家族が一緒、保護してから妻は1週間で気付き、マンションで2週間暮らした。その後、妻とリハビリのため1ヶ月間教会で暮らした。心の中がようやく整理ができた。
 その後8年間妻とともに救出活動に参加している。

5 統一教会のマインド・コントロール(木村 捷二郎)  カルトの目的はお金。マインド・コントロールし自由を奪い、家族と切り離し、上の命令で動くロボット化する。家族をぐちゃぐちゃにする。
 統一教会は隠してやってくる。決して統一教会と言わない。本人に選ばれた存在、小メシアと言い、失敗すると家族に不幸が起きると脅す。本人は自ら選んだようで、あらかじめ逃げ道をふさいだ上で本人に選択をさせる。当然、1つの道しか無く、本人が自ら選んだように錯覚をする。
 被害者から加害者になる。
 入信のきっかけは駅前のアンケート、アンケートは話のきっかけづくり。ビデオセンターでは最初は社会、人生、国際関係等一般的な話を行い、その後、神、霊界の罪意識を植え付ける。訪問や街頭アンケートからビデオセンターにつなぎ、その後、2DAY、3DAYの修練会を行い、アベル、カイン関係の上下関係を徹底する。そして上司であるアベルに報告、連絡、相談を通じて、金銭的な自由、家族、社会とのつながりを切り動けなくする。

6 救出するための家族の役割(木村 捷二郎)
 脱会は、組織から使えない人間と判断され捨てられたり、おかしいと思い辞める人がたまにいるが、ほとんどが家族で取り組まなければ救出は難しい。まず家族にとってやるべきことは、本人に知られないようにカルトやマインド・コントロール、本人の考え、本人の行動を理解する。家族の愛が必要。
 マンションへの保護は他人がすれば法律的には監禁となる。家族であれば家族同士の相談となり罪にはならない。昔の警察は理解してくれなかったが最近は理解がある。あくまで家族が取り組まなければならない。
 まず家族そろって勉強。子供だけでは駄目、妻が入っている場合、夫は絶対。保護しても本人が考えようとしない。忍耐が必要。パスカルさんの本が分かりやすい。本を読むことにより自分勝手に思いこみしてしまうことにも注意する。思いこみだけで行動すると直接本人に伝え説得しようとする。また、理解のない大学も本人に直接話してしまう。
 原理講論は聖書をいい加減に曲げて作っている。しかし、統一教会の中ではちゃんとした勉強はさせないし、本人もしようとしない。
 救出は人によって違う。1週間、1ヶ月、2年、でも、救出後が大切。リハビリは必ず行うこと。間違いに気付いたときから本人の苦しみが始まる。嘘だった、騙された、家族が仕事を辞めた。本人が一番苦しむ。
 リハビリでは何をすべきか。一番良いのは統一教会に入っている人の心が分かるので証をする。しゃべることにより乗り越えれる。救出のお手伝いをする。少なくとも5年はすべき。また、そうすることにより家族もリハビリが出来る。

質疑応答

質問
 お父さんの仕事が忙しい。子供達も就職したばかり、仕事を辞めたくない。仕事を辞めることは救出の絶対条件ですか。
回答(木村 捷二郎)
 人によってマンションに入って6ヶ月でも駄目だった人がいた。それは夫が救出に理解していなかったため、もし、家族全員で取り組んでいたら、もっと早く救出できたと思うし、救出できたとしてもその後のリハビリにおいて本人が傷つく。
 仕事を辞めるか辞めないかは救出を行う牧師やカウンセラーとよく相談してほしい。ケースバイケース。

質問
 大学の対応として親への連絡をどのようにすべきか、中には2世もいるため、連絡したために大学が訴えられることがある。
回答(木村 捷二郎)
 大学ではまず勧誘の実態を把握してほしい。
 まず、不用意に行動しないため先生同士の勉強会を行ってほしい。
 さらに、入っていない学生からも情報を得てほしい。学生との日頃からのコミュニケーションが大切。
 最初に親と接触する場合は、統一教会と名指しすると問題が出るので、最初は「カルトに入っているようです」とやんわりと接する。
 大学で何とかしようと思わないこと。大学は伝達すること、最終的に判断し行動するのは家族。
回答(高山牧師)
 昔芋づる式に辞めさせたことがあった。一人を救出すると割り出しが可能となる。そうすると親が入っているか入っていないかが分かる。一本釣りも一つの方法。
回答(元統一教会員)
救出よりも救出後が大切、脱会後、家族から一番傷ついた言葉は「もう統一教会へは行かないでくれ」だった。家族に迷惑をかけたからぐっとこらえたが辛かった。この言葉は普通はごく当たり前の言葉であるが、本人からすると寝る間を惜しみ、命がけで家族のために行動してきたこと。それも否定されてしまうことになる。統一教会では犯罪をしたくて取り組んでいたのではなく、人への優しさ、家族へのやさしさから取り組んでいた。それを完全否定されると、お前は犯罪者だ、家族を苦しめたのはお前だと言われているようなもの、救出の時、思いを理解し涙してくれた、あれは嘘泣きだったのかと思ってしまう。 よって、「お前の家族に対する気持ちは有り難かった。悪いのは統一教会だ」と言ってほしい。救出には、そのことが家族が心の底から理解できるまで失敗する。本人を傷つけることになる。
参加者M


第43回弁連集会に参加しました

 第43回全国霊感商法対策弁連集会が、2006年3月17日(金)〜18日(土)大阪で開かれた。今回は多くの参加者があり、夜の懇親会も盛況で、閉会時間が大幅に延長になった。17日午後1時から6時迄のシンポジュウムでは幾つもの講演があり、内容も充実していた。
 集会は、始めに主催者側挨拶として、伊藤弁護士の挨拶と、渡辺弁護士の基調報告があった。
 次に、最初の講演として、元原理研究会信者の活動体験の報告があった。
 二番目は、日韓教会フォーラム報告として、去る1月18日〜19日の2日間訪韓した人たちの韓国における統一協会の現状報告があった。日韓教会フォーラム報告については、最近発行された全国弁連通信第107号に詳しく載っているので、ここでその記事の一部を紹介してみたいと思う。
 日韓教会フォーラムというのは、日本と韓国のキリスト教関係者が一同に集い、統一協会問題について協議するというもので、過去に何度か開かれている。
 今回は両国の主立った教団の統一協会問題担当者たちが集まって、有意義な話し合いがされたということである。日本側からはキリスト教連絡協議会を構成する6教派の28名が参加した。(残念ながら福音派は入っていない)韓国側からも主立った教派の代表21名が参加している。
 協議内容について詳細なことは載せることは出来ないが、特筆すべきことは、韓国側から提起された問題として、統一協会が全羅南道麗水市の開発に深く関与しているということである。麗水市は2012年の世界万国博覧会の開催地として名乗りを上げ、誘致活動を展開している。その麗水市で統一協会は土地を買収し、36、585坪の土地にホテル・コンベンションセンター・観光団地・などのリゾート地を開発しようとしている。
 朝鮮日報の報道によると、最近文鮮明は麗水市をグループのメッカとして育成すると表明し、麗水市に40階建てのグループビルを新築し、金融機関と企業を誘致し、麗水市の発展に寄与すると述べ、これを受けて麗水市の市長は「文総裁がこの地域に対する積極的な投資意志を明らかにしてくれたことに感謝している」と答えている。
 韓国訪問調査の報告では、麗水市の問題以外にも清平の問題、韓国における統一協会員日本人女性の問題の提起があった。 清平問題は、今回訪韓したキリスト教協議会の28名が、清平の「天城旺臨宮殿」や、清心病院・大学・建設中の中学校・高等学校・さらには文鮮明が住むと言う本殿聖地の近くまで行ったそうだが、一行の中に統一協会に顔の知られている弁護士がいて抗議されたと言うことである。
 麗水市と清平の問題も重大なことではあるが、今回衝撃的事実としてわかったことは、在韓邦人21、000人の内半数が統一協会信者とその子供たちだというである。
 フライデー2006年2月24日号にその記事が載っているが、統一協会はこの記事は事実無根であるとして、出版社に取り消しと謝罪を要求していると言われる。
 その様なわけで、韓国訪問調査団の報告は大変興味深いものであったが、一方ではこれは大変衝撃的なことでもある。ある弁護士は「我々が19年間も闘ってきたこの活動は何であったのか。虚しさを感じる」と言われていた。同感である。
 シンポジューム第3番目の講演は、村上牧師による「聖神中央教会の問題点について」でした。
 被害者家族の会会長として、この問題やキリスト教会内における「カルト化する教会」について問題を分析し、信者の救済について語られた。久々の登場の村上師には、弁護士から統一協会問題も忘れないでくださいとの声があった。
 午後からは、山口貴士弁護士の「ポリガミー(一夫多妻)」の問題点。小泉洋一教授の「フランスにおけるセクト対策の10年間」などの講演があり、最後に各地の弁護団報告があったが、その中でも北海道の郷路弁護士の話は納得でき、何時も感心する。今回は不可能を可能にする話しとして、どうしたら船が山に登ることが出来るかを運河の例を使って話され、新しい形の霊感商法裁判が勝訴する可能性について語られた。是非頑張って頂いて、勝訴判決を勝ち取ることを期待したい。
2006年3月  高山正治


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 次回総会・講演会は、10月21日(土)に開きます。予定をしておいてください。


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