カルト被害を考える会 会報 2005年10月・第49号
発行=カルト被害を考える会 TEL.086-231-2885 FAX.086-231-2886
〒700-0816岡山市富田町2-7-8 石橋ビル3F 河田英正法律事務所気付
Eメール=my@i.email.ne.jp HP=http://www.asahi-net.or.jp/~am6k-kzhr/

総会および講演会にご参加下さい

◆日程=10月15日(土)
◆会場=岡山国際交流センター五階会議室
    (岡山市奉還町2-2-1 086-256-2000 JR岡山駅西口から歩いて5分)
◆講演会=14:00〜15:45
  講師:木村捷二郎さん(大阪薬科大学教授)
  内容:カルト教団からの妻の救出体験
◆総会=16:00〜17:00
  議題:2004年度活動報告・決算報告および2005年度の活動方針、他
◆参加=無料(お誘い合わせてご参加下さい)


全国霊感商法対策弁連東京集会の報告

 私事ですが。9月4日(日)の夜、自宅で倒れ、川崎医大病院に入院しました。9月4日から15日まで、12日間入院して、様々な検査を受けました。脳のMRIから、心臓、耳鼻科、胃内視鏡・・幸いなことに心配したような大きな問題はないようで、一時退院させて貰いましたが、もう一つ、心臓のカテーテル検査をしなければいけないとのことでした。
 それを何故、担当医に無理なお願いまでして退院を早めて貰ったのかと言いますと、16日〜17日に東京で行われる弁連集会に参加したかったからです。
 さて、今回の弁連集会の報告でありますが、16日午後1時から6時までの5時間、いつものように内容の濃い集会でした。
 最初に渡辺弁護士の基調報告。次に3人の元信者であった方の証言。その後休憩を挟んで二人の特別講師の講演がありました。二人の講師は、元朝日新聞「こころ」編集長の菅原伸郎先生と、淑徳大学教授の松岡秀明教授でした。
 二人の講師も良い話をしてくださったのですが、今回はそれ以上に3人の元食口の証言は凄まじいものでした。多くの人たちが涙を拭きながら食い入るように話を聞いていました。証言者は、男性が2名、女性が1名。いずれの人たちも信仰歴が長く、統一協会で合同結婚をして家庭を持った人たちですが、今は愛する妻子と別れ、統一協会を脱会されています。
「決して諦めないでください」
 Aさん(男)は二人目の子供が産まれる前に、家族と話し合って統一協会を脱会する決心をしたのですが、妻は夫との話し合いに同意せず、離婚となります。統一協会側は妻から夫に訴訟を起こさせるのですが、最終的には三回の調停で長女は父親が引き取り、次女は母親が引き取る形で家族は統一協会によってまっぷたつに引き裂かれてしまうのです。
 2番目の証言者Bさん(男)は信仰歴も長く、本部協会のスタッフになり、修練所の講師をしていた強者です。統一協会の奥の院を垣間見たであろうと思われるこの方の証言は、聞く者たちを驚かせました。Bさんも妻子と別れることになってしまうのですが、海外宣教のため母親が幼子を置いて出ていくという、空港での別れの話には私も目頭が熱くなりました。済州島セミナーで1600名の女性たちが文教祖によって宣教地を決められたのですが、Bさんの相対者(妻)は「子供と別れたくない。行きたくない」と泣いたのですが、上からの命令には従わなければならない。空港の売店で子供に玩具を買い与え、子供が玩具に夢中になっている隙に、逃げるようにして飛行機に乗ったというのです。その妻も、夫が統一協会を離れると、統一協会の指示で家族を相手取り裁判を起こしました。そして、裁判の一年後離婚調停が成立しました。Bさんは話の終わりにこの様に言われました「皆さん、けして諦めないでください。本当の親は皆様です」。
 3番目に立たれたCさんは女性です。韓日祝福で韓国人の男性と結婚し、子供も生まれます。彼女はある時から、この子が大きくなったとき、私は母としてこの子にどのような説明が出来るだろうかと悩み始めます。ある日、彼女の父と姉が韓国に会いに来てくれた。家族は彼女を叱るのではなくそのまま受け止めてくれて、ロッテワールドに連れて行ってお土産を買ってくれた。お寿司も食べさせてくれた。彼女はこのことをきっかけに日本に帰りたいと思うようになり、一時帰国をしたとき家族と話し合って統一協会を脱会したのです。離婚の決心をするには時間がかかったが、今は愛する家族の元に帰ってきましたと言う報告でした。彼女も先の二人と同じように、「私は自分の居場所を家族の中に見いだしました。」という言葉で話を締めくくりました。
 今回の集会は、特別講師の講演以上に3人の元信者の話は多くの人の心を捕らえ、改めて統一協会の恐ろしさを知らされた思いがしました。
牧師  高山正治


「対話の必要性」(投稿)

 私は現在、働きながら弁護士になることを目指して、岡山大学法学部二部に通っている40歳の男性です。また、脱会経験者ではないのですが、クリスチャンです。
 そのような、法律を学ぶ者であり、またキリスト教信仰者であるという立場から、カルト被害について自分なりに思うところを述べてみたいと思います。
 大学一年の時、基礎ゼミにおいて私は少年法の担当となりました。2001年に少年法は厳罰化を伴う改正が行われたのですが、私自身は厳罰化に反対する立場からの発表をしました。しかし、私の意に反し、真面目なタイプの若い学生達はそろって厳罰化容認の立場だったようです。今回はそのことについては深く立ち入りませんが、とにかく
私は「愛された」という自覚を持てないままに罪を犯した少年の立ち直り、そのための教育の充実こそが大切だと思っています。だから、処罰、ひいては排除・抹殺といった方向への改正に反対したのです。
 それはともかく、その他にも法学の世界には、ご存じのように様々な学説、判例また世論の対立が存在します。それは、法律論は価値判断を伴う「べき論」の世界であるからであり、具体的な問題としては、靖国・9条問題、君が代・日の丸問題、死刑廃止論など様々です。
 またキリスト教の世界においても、聖書解説、教会運営等についての意見の相違があり、必ずしもそのせいばかりではないのでしょうが、多くの教団・教派が存在します。その顕著な例としての異端問題が存在するのは周知の事実です。そこまで至らないとしても、価値観の違いを感じて、クリスチャン個人が教会を替わってしまうことが時々あります。
 それらのことを踏まえて、私自身がいつも感じるのは、対話の必要性ということです。
 そのことを避ける時に、意見、立場は独善的となり、周囲との人間関係は希薄なものとなってゆきます。あるいは、表面的な一致でお茶を濁す方法を選択したとしても、やがては水面下の歪みが表面化することになるでしょう。
 先述のように触法少年と大人達が対話をすることを避け、処罰主義をとることは間違いであるし、靖国参拝に対し「外国からとやかく言われる筋合いではない」とはねつける時に争いが起こります。教会の問題も、またしかりであると思います。
 「原理主義」などという物騒な言葉はあまり使いたくありませんが、自分ないし自分達と、考え方・やり方の違う人達の存在価値を認めないときに悲劇が起こります。それは世界の歴史を見ても、カルト被害を含む社会問題を考えてみても、否定できないことでしょう。完全に一致することは不可能です。
 しかし、一致を目指して対話をするというスタンスを持ち続けることができるならば、カルト集団との一定の距離を保つことができるのではないか、また周囲の人との豊かな人間関係を創り上げていくことができるのではないか、そう思えてなりません。
柚木 薫


新刊の紹介
『自立への苦悶−統一協会を脱会して−』
全国統一協会被害者家族の会編 教文館 1575円


TOP  会報・資料  ホームページ