陳述書の小見出しリンク
はじめに
統一協会の勧誘体制
統一教会員養成過程への導入
統一教会の献金体制
統一教会員養成プログラム
祝福に向けて伝道活動と経済活動に邁進させられる統一教会員の生活
統一教会の活動を振り返って
最後に

陳  述  書

は じ め に

 この裁判で明らかにしたいこと

 1、統一教会への入会は、自分自身の意思で決断したことではなく、
   そこには、統一教会の組織としての働きかけがあったということ
 2、統一教会への献金は、自分自身の意思で決断したことではなく、
   統一教会によって恐怖心を植えつけられ、心理的に逃れられない状況にさせられて
   組織ぐるみで奪い取られたということ
 3、統一教会員としての活動は、自分自身が納得の上でやっていたことではなく、

   統一教会の体系的統一教会員養成過程を経さされて、価値観を変えられた上で、

   させられていたということ 
 4、統一教会の活動は、人道的にも社会的にも認められるものではないということ

 第一と第二の内容については、
  もう一度、自分自身の体験において、統一教会へ勧誘された立場と統一教会員として
  勧誘した立場の両面からの事実経過を整理したいと思います。
 第三の内容については、
  統一教会の中で、自分自身が辿らされた養成過程を振り返ってみたいと思います。
 第四点目については、
  自分自身の統一教会員としての二年半における活動内容をまとめたいと思います。

統 一 教 会 の 勧 誘 体 制

 1、タイミング

   統一教会と出会うまでの私は、人並みの悩みこそ持っていましたが、特別に人類の
  救いとか先祖の救いとかを真剣に考えて悩んでいたわけではありませんでした。
   それまでに、聖書や仏典などの書物を通して、宗教だけではなく様々な分野に関心
  を示したことはありましたが、それは、人生そのものをよりよくするための助言を見
  い出したいと考えていたからです。
   人生のその時々に節目があるように、仕事中心に生きてきた今までの自分の生き方
  に終止符を打ち、自分らしく生きたいと模索していたその時に、統一教会のアンケー
  トに出会ったのです。

 2、統一教会という実名を隠し、偽りの名前で接近

   一九九〇年一月二三日の夕方、仕事を終えて帰宅途中のバス亭で、二〇才位の女性
   から声をかけられました。
   彼女は N子 さんといい、「青年サークルの青年意識調査を行なっているので、
   参考までにアンケートに答えてほしい」と言いました。   

   私自身が統一教会員として、路傍アンケートに出た時も、決して「統一教会」の名
   前は出さないという指示を与えられていました。

 3、青年意識調査アンケートは、統一教会員候補者を選別する資料

   私は、N子さんの人懐っこい笑顔に安心して、そのアンケートに全て答えただけで
   なく、自分の名前も住所・電話番号も教えてしまいました。

   統一教会では、こうしてとったアンケートの内容から、
    1)霊的なものに関心のある人
    2)公的意識の高い人
    3)時間に余裕のある人
    4)一人暮らしの人
    5)お金を持っている人
   などの条件を満たす人を選別します。

 4、条件にあった人に対しての徹底した勧誘

   一九九〇年一月二五日から、手紙や電話による勧誘が始まりました。
   一月二五日には、N子さんからの手紙と運勢鑑定チケットが届き、その夜に電話も
   ありました。電話では、N子さんとすっかり意気投合し、N子さんが聞き上手な事
   もあって、ずいぶん色々なことをしゃべりました。
   N子さんから青年サークルへ来てほしいと言われた時、N子さんと話をしたいだけ
   なので青年サークルへは行かないと伝えた上で、二八日の午後二時に、中央郵便局
   のポストの前で待ち合わせをしました。

   二六日、二七日と続けて、N子さんから「二八日を楽しみにしている」との内容の
   手紙が届き、二七日の夜には確認の電話がありました。
   電話では、再び青年サークルへの勧誘を受けましたが、その気のないことを伝え、
   喫茶店で話をしようということになりました。

   統一教会では、対象者が決まると、アベルといわれる組織の直接の上司から、勧誘
   に関しての指示・命令が出されます。
   その内容は、
    1)対象者と十分に心情交流をせよ
     つまり、徹底的に誠意をつくして一番の親友になれ、ということです。
     親友には、親や兄弟に話せないことでも打ち明けます。
    2)対象者には三日以内に手紙を出せ
     つまり、鉄は熱い内に打て、ということです。
     毎日、続けて手紙や電話をすることで、対象者の気持ちを変えていくのです。
    3)対象者は、伝道記録簿で管理し、最低一〇回はアフターケアをせよ
     つまり、対象者全員がすぐに青年サークルへ来るとは限らないので、最低回数
     のプッシュは試みなければならない、ということです。

   何度も何度も、集中的に手紙や電話をもらい、しかも、相手に好意や信頼感を抱い
   てしまったら、相手のお願いが断りにくい心境になってしまいます。
   それが、青年サークルと称する「ビデオセンター」へ対象者を連れ込む、という最
   初の目的をクリアするための手法でした。

 5、対象者は何が何でも「ビデオセンター」へ

   一九九〇年一月二八日の午後二時に、約束の場所で、N子さんに会いました。
   N子さんが、喫茶店に案内してくれるというので、私たちはおしゃべりをしながら
   歩き始めました。
   通りから外れた古びたビルの二階へと上がり、N子さんに連れていかれたのは、
   「岡山カルチャーセンター」と書かれた部屋のドアの前でした。
   私は、N子さんの行動に少し戸惑い、そして、彼女に抗議しました。
   何故なら、そこは、N子さんが私を誘っていた「青年サークル」の入り口だったか
   らです。
   しかし、彼女はにこにこ笑っているだけで、最初からここに来るつもりだったとで
   もいいたげに、ドアを開けると、躊躇している私を中へ押し込んでしまいました。
   受付の女性からの暖かい応対もあり、N子さんがスリッパを用意していてくれて、
   今さら断れないような状況になりました。

   統一教会では、アンケート段階では、とにかく「ビデオセンター」へ連れ込むこと
   を第一の目的としています。
   「ビデオセンター」は、スタッフ全員が統一教会員であり、統一教会員養成過程へ
   送りだす人材の選定および統一教会員の素地教育を行なうところです。
   私自身が統一教会員として、アンケートに出かける時に、アベルからいつも言われ
   ていたことは、「自分で伝道するな、とにかく、ビデオセンターへ連れて行くこと
   だけを考えろ」ということでした。
   つまり、伝道(統一教会員の養成)は、組織として行なうということなのです。

 6、二種類のアンケートで、対象者のニーズと所持金額をチェック

   ビデオセンターの部屋の中は、落ち着いた雰囲気でした。 
   観葉植物や絵画やクラシック音楽のBGMが、居心地のよい空間を作り上げていま
   した。
   私は、幾つかあるテーブルのひとつに案内されました。
   N子さんが用意してくれたお茶やお菓子が出されて、ますます帰りづらい状況にな
   りました。
   N子さんは、もう一度アンケートに協力してほしいと言い、前よりも詳しい内容の
   「青年意識調査アンケート」と「亀甲アンケート」の用紙を持ってきました。
   「亀甲アンケート」は、放射状に八つの線が分かれ書かれてあり、その先に「家庭
   運」「交際運」「仕事運」「結婚運」「健康運」「住居運」「財運」「発展運」が
   明記されていて、今の自分の状態に合う位置に印をつけてから、全部の印を一本の
   線で結び、八つの運勢のバランスを見るというものでした。

   統一教会は、この二つのアンケートで、対象者の生活向上のアドバイスをするかの
   ごとく振る舞いますが、実際は、対象者が統一教会員として養成できる人物である
   かどうかや対象者のニーズ、所持金額を調べるために用いています。
   調査内容は、全てアベルに報告し、指示を受けることになっていました。
   もちろん、ビデオセンターの時点で、統一教会員として養成できないと判断された
   人への深追いはないので、統一教会の魔の手から解放されることになります。
   むしろ、そういう人の方が圧倒的に多いといえるでしょう。
   そのため、統一教会員として養成過程に残った人には、「選ばれた人」といったエ
   リート意識があるのです。

 7、対象者の心を揺さぶって、ビデオセンターへの入会を即決させる

   私は、アンケートを終えた時点では、ビデオセンターへ入会する気持ちは全くあり
   ませんでした。
   アンケートの結果は、それほど深刻なものではなく、参考程度に留めておけばよい
   といったものでした。
   ところが、N子さんは、人生のバランス感覚を高める必要があることや、そのため
   には、ビデオセンターで勉強しなければならないことを強く主張し出したのです。
   私には、N子さんの言っていることが理解しがたく、どう話せば、私がそれを必要
   としていないことをわかってもらえるのか、考えていました。
   そんな状態の中で、N子さんの熱心な説得は続きました。
   「あなたの抱いている疑問に対する答えは全てここにあるので確かめてほしい」
   「私を信じてほしい」
   「時を逃がしてはいけない」
   「きょう入会しないと後悔する」
   「出会いはひとつの縁だから」
   N子さんの真剣で一生懸命な瞳が、私をじっと見つめていました。
   長い長い説得でした。
   何だか、ここまで私のために時間をかけて懸命になってくれてるN子さんに対して
   このまま、この場を去るのが申し訳なくなってきました。
   それで、実際にビデオを見てから考える、と返答をしてしまったのです。

   ビデオは、LL教室のような部屋の一つの仕切りの中で見ることになりました。
   その時、私が見せられたのは、倉原講師の「総序」というビデオでした。
   このビデオの内容から、人類が堕落していることと、その復帰の方法があるという
   ことを知らされました。
   私のニーズの一つに合った内容だったため、提起だけに終わっているこのビデオに
   物足りなさを感じていました。
   解決の方法をすぐにでも知りたいと思いました。
   しかし、そのためには「ビデオ会員」になる以外に方法は見つかりませんでした。

   入会の手続きをとる段階で、私は年会費の二〇〇〇〇円の持ち合わせがなくて、
   その場で手続きができませんでした。  
   そんな私に、N子さんは、自分が立て替えると言ってきました。

   統一教会は、どんな手を使ってでも、全てのことをその場で即決させます。
   特にここでは、ビデオセンターへの入会を即決させることが最大の目的です。
   その目的達成のために、アベルから指示を受けて、私の年会費を立て替えるとN子
   さんは言ってきたのです。
   私は、知り合ったばかりの人にお金を借りるわけにもいかず、それでも、他人の私
   にそこまで言ってくれるN子さんの気持ちに負けて、翌日入金することで、入会を
   することになったのです。
   つまり、そうするしか仕方のない状況へと追い込まれたのです。  
   これが、統一教会のやり方なのです。
   決して「押しつけ」的なやり方ではなく、そうしなければならない状況を作り出し
   た上で、対象者自身にそれを選ばせるやり方です。
   そのため、対象者は自分の意思で決断したと思ってしまうのです。

 8、ビデオセンターへの入会は口外禁止

   こうして、私は、まるで、おいしい餌をおあずけにされた犬にも似た状態のまま、
   ビデオセンターへ入会させられました。
   その上、ビデオセンターで学ぶためには、次の条件を守らねばなりませんでした。
    1)ビデオセンターで学ぶようになったことは、絶対に口外してはならない
    2)ビデオセンターでの学びは、専任のコンサルタントの指示に従わなければなら
     ない
    3)ビデオセンターへは、できるだけ毎日、それも同じ時間帯に来るようにする 
     そして、三日以上、間隔を空けてはならない

   統一教会では、対象者を統一教会員へと変えていくためには、対象者に与える情報
   を統一教会でコントロールしていかなければなりません。
   そんな中で、統一教会が最も恐れるのは、外部から、正確な情報が対象者の耳に入
   ることです。
   また、情報のコントロールは、短い間隔の中で繰り返し行なっていくことで、対象
   者の価値観を変えていく方法がとられていました。

 9、ビデオセンターへ入会後のアフターケア

   こうして、全ての条件を受け入れさせられた上で、やっとビデオセンターで学べる
   ことになりました。
   N子さんは、ビデオ会員になったお祝いにと、メッセージ入りのノートを私にプレ
   ゼントしてくれました。
   N子さんからのメッセージは、
    岡山カルチャーセンターへの入会、おめでとう。
    カルチャーセンターで学ぶことになって、本当によかったですね。
    ここでの学びが全てのことを解決してくれるでしょう。
    新しい人生への第一歩を踏み出しました。
    最後まで一緒に頑張りましょう。
   これからのビデオセンターでの学びに希望が溢れているかのような内容でした。

   また、やっと、ビデオセンターから出られることになって、受付のところへ行った
   時、ここで学んでいるという若者たちが押し寄せてきて、一緒に頑張ろうと、励ま
   しの言葉をかけていきました。

   統一教会員は
    1)明るく、爽やかで清い印象
    2)相手を誉めまくる
    3)確たる信念を持っている
    4)一〇〇%の善意で説得にあたる
   などの特徴を持っています。
   それで、こういう人たちのいる所ならと、つい気を許してしまったのです。
   ここでは、対象者を次回のビデオ受講へとつなげるための演出がなされたのです。

   このような状況(統一教会の勧誘体制)の中で、
   本来ならば、何かを決断する時には、かなりの時間をかけて考えるタイプの私が、
   たったの数時間でビデオセンターへの入会を決断させられていました。
   しかし、これで終わりではありませんでした。
   ビデオセンターは、統一教会員養成過程への導入機関だったからです。

統 一 教 会 員 養 成 過 程 へ の 導 入

 1、対象者の中にある強い我を打ち砕く

   一九九〇年一月二九日
   この日から、私の事実上のビデオセンターでの学びが始まりました。
   コンサルタントの I子 さんから、最初に見るように言われたのは、
    三浦綾子原作の「塩狩峠」のビデオでした。
    ビデオの内容は、一人のクリスチャンが、自分を犠牲にして、暴走する列車を
    停止させて、自分の生命と引き替えに乗客の生命を救うというものでした。
   あまりにリアルで強烈な内容に激しいショックを受けました。
   私の中にある自己中心的な思いや強い我が、音をたてて崩れさっていきました。

   統一教会にとって、対象者の中に強い自分があっては困るのです。
   そのことが、これからの価値観のすり替えの妨げになるからです。

   この日も、N子さんからの手紙が用意されていました。
    自分の口からは、伝えられなけれど、人生の三大目的のことや生きていくための
    大きな力の素が与えられるかもしれない。
    ビデオセンターの人たちを信用して、いろいろ聞いてほしい。
   という内容の手紙でした。
   私が統一教会員として、対象者に接する時もそうでしたが、アベルの指示で、統一
   教会用語や何を教えられるのかは決して対象者に言ってはいけないことになってい
   ました。

 2、徹底したフォロー体制

   それから、しばらくは、N子さんにも会えず、コンサルタントのI子さんの指導の
   下でビデオ学習を続けていましたが、「総序」の続きのビデオをなかなか見せても
   らえないことで、ビデオセンターへの足が遠退きました。
   そんな中、N子さんからの手紙が届きました。
    この頃、じっくり話ができなくて申し訳ない。
    でも、ビデオの感想文を読んで、一本ずつ自分のものにしていっていることを
    感じる。
    私も自分の心を磨いていきたい。
    がんばろう。
   という激励の内容でした。
    そして、「こころの四季」という統一教会が発行している冊子の中から、抜粋文
   が記されていました。

   統一教会は、ビデオセンターで学び始めた頃の対象者を霊的な赤ちゃんと考えてい
   ます。
   それで、統一教会内部では、勧誘した統一教会員を「霊の親」、勧誘された対象者
   を「霊の子」と呼んでいます。
   霊の親は、霊の子が成人(完全な統一教会員への養成が終了)するまでは、その道
   を外さないように見守る義務があります。

   統一教会員への道を外し始めた霊の子である私の軌道修正をするために、霊の親で
   あるN子さんは、熱心な手紙や訪問で、徹底したフォローを行なったのです。

   その結果、私は、再びビデオセンターへ通い出すようなりました。

 3、霊界の存在と霊界への恐怖心の植えつけ

   一九九〇年二月七日
   再び、ビデオセンターへ通い始めたこの日に、「霊界について」のビデオを見せら
   れました。
    霊界は、天国・楽園・中間界・地獄の四つの世界に分かれているが、いまだに、
    誰一人として、天国には行けないこと。
    世界四大聖人たちでさえも天国には行けず、楽園で過ごしていること。
    凡人の私たちがこのまま死ねば、地獄へ行くことになっていること。

   このビデオを見せられた後、霊界の存在を意識し始めていました。
    このまま死んだら、地獄へ行く。
    地獄へ行かなくてもいい方法があるのだろうか。
    このままでいてはいけない。
   と、心は動揺していました。

   この日のN子さんからの手紙には、
    ビデオセンターに戻ってくれて嬉しい。
    どんどん、ビデオを学んで、人生で最も大切な何かを得ていってほしい。
   ということが書かれてありました。

    私は、N子さんに迷惑をかけたことを申し訳なく思い始めていました。

 4、因縁トークで、解決困難な人生の難問を提起

   一九九〇年二月八日
   先日の「霊界」のビデオに続いて、「姓名判断」「家系図」による因縁トークが、
   コンサルタントのI子さんによって行なわれました。

    B子家は武士の家系。
    そのため、殺傷因縁・愛の恨みが強く出ている。
    このままだと、男性運が悪いので絶家の運命をたどる。
    墓守相の出ているあなたが、先祖と家族を救いに導かなければならない。
    それが、あなたの使命である。
    使命を全うするためには、あなた自身が変わらなければならない。
    姓名判断からのあなたの総数は三四数。
    三四歳が変革の最後のチャンス。   
    あなたが変わって、B子家を救わなければ、B子家の男性、特に弟さんの命が危ない
    かもしれない。
   と宣告されたのです。
   先日の「霊界」のことも、じっくり考える暇もないままに、こんなにも大きな問題
   をつきつけられて、
    その時の私には、どうしたら、私自身が変わることができるのだろうということ
   しか考えられませんでした。
    私自身、あと二ヵ月余りで、三四歳を迎えようとしていました。

   最後に、I子さんはこう言いました。
    あなたが、本当に変わりたいと思っているなら、ここでの学びを続けるしかあり
   ません。

   統一教会では、対象者に「恐怖」と「不安」を与えて、
   最終的にあなたの頼れるところは統一教会しかない、と潜在意識に植えつけていく
   のです。

 5、特別な意味を強化するための「四〇日の真理行」

   私は、この日から、特別な学びを始めるということで、「四〇日の真理行」をやる
   ようにと、I子さんから指示を受けました。
   真理行の内容は、
    1)聖書を毎日一ページ読むこと
    2)毎日四〇杯の水行 
   の二つで、一日も欠かさず、四〇日間毎日行なうことが条件でした。
   また、三日以上あけずにビデオセンターへ来ることも約束させられました。
   大切な内容をサタンに奪われないようにするため、と言われましたが、
   実際は、ビデオセンターの学びを続けさせるためと、他への関心事を排除して、
   意識をビデオセンターの学びに集中させるためにさせられたことだったのです。

   そのことを裏付けるかのように、
   翌日からの倉吉への出張も、鳥取の妹に会うことも、I子さんには認められず、断
   わるようにと指示されました。 
   統一教会が恐れていたのは、外部から「統一教会」や「文鮮明」の実体を知らされ
   ることでした。
   情報をコントロールしている途中で、統一教会にとって好ましくない情報を対象者
   に入れられることは致命的なことでした。

   しかし、私はどちらも断ることができませんでした。
   その時はまだ、そこまでの指示を受けるのはおかしいと思ったし、社会人として、
   一度受けた仕事をキャンセルすることも信用にかかわると思ったからです。

   I子さんは、妹にビデオセンターで学んでいることを絶対言わないと約束できるの
   ならと、やっと許可をくれました。

   N子さんからの手紙が用意されていました。
    因縁トークで、人生の転換期を知った今、大きく飛躍していってほしい。
    四〇日の真理行は、一日一日心をこめて頑張るように。
    I子さんは、自分も本当に信頼している人なので、信じて頑張るように。
    先祖の期待にこたえて、前進あるのみ。
   という内容の手紙でした。

   私は、N子さんを親友と思っていたので、N子さんの指導には素直に耳を傾けてい
   きました。

 6、統一教会の教義である「原理講論」(新しい価値観)の植えつけ

   一九九〇年二月一三日
   この日は、コンサルタントのI子さんから「総序」の続きが講義形式で行なわれる
   ことを聞かされました。N子さんからも今日の講師がどれほど「権威のある人」か
   を説明されました。

   そして、講義を聴くための演出も万全でした。
    あなたのために特別に行なわれるマンツーマン講義。
    講師は、とても忙しい人で、あなたのために時間をあけてくれた。
    とても幸運なことなので、心して受講するように。
   皆から事前にいろいろ言われると、何故か講義を聴く前から講義の内容を全て受け
   入れられる心境に変わっていきました。

   この日は、小会議室へと通されました。
    I男 という人が講師でした。
   I男講師は、後で私が統一教会員としての活動に従事させられるようになった時の
   統一教会青年部の団長という職務に就いていた人です。
   しかし、その時、その事実は知らされませんでした。

   この日の講義は、「創造原理」についてでした。
    神様がどのような気持ちで、人間を創られたのか。
    我が子である人間をどんなに慈しみ愛して育てておられたのか。
   神様の深い深い愛情が、ひしひしと伝わってくるような内容で、私は本当に心から
   感動し、暖かい気持ちに包まれていきました。

   私には、どうしても気にかかっていることがありました。
    それは、因縁トークの時に言われた「救い」ということです。
   講義の最後に、I男講師に
    人間は全て救われるのでしょうか。
   と尋ねてみました。
   I男講師は、自信に溢れた声で、
    全ての人が救われるんですよ。
   と言いました。
   確信に満ちた回答でした。  

   私は、どうすれば人は救われるのか、また私の使命が何であるのか、
   その答えが、次の講義の中に用意されているのではと思い始めていました。
   突然、N子さんの手紙にあった「人生の三大目的」のことが頭に浮かびました。
    人間は何処からきて、何処へ行くのか。そして、何のために生きるのか。

   I男講師の講義は魅力的でした。
   講義の後、コンサルタントや霊の親とのトークの時に、I男講師の講義の方がビデ
   オよりも感動が深いと話しました。
   コンサルタントのI子さんは、
    あなたが、毎日ビデオセンターへ来ていれば、機会をみて、また講義をお願いし
    ましょう。
   と言いました。

   私が、人の救いの方法と自分の使命を考え始めて、I男講師の次の講義を聞きたい
   と言ったことが、ビデオセンターへつなぎとめられる絶好の材料となりました。
   この心境の変化こそが、統一教会の待ち望んでいたものだったのです。   

   この日もN子さんからの手紙が用意されていました。
    あなたが、学びを進めて内面的に変わっていくと、先祖も今までの恨みがとけて
    救われていく。
    あなたの使命は大きい。
    愛を受けることのなかったB子家に真の愛を降り注ぐ人になってください。
    そして、心情的に苦しい時も神様がともにその心を味わっている、という言葉が
    「こころの四季」からの抜粋で記されていました。   

   一九九〇年二月一四日
   この日、幸運なことに、I男講師の講義が受けられることになりました。
   それだけに講義の内容に対する期待は大きく、全てを完全に受け入れる心の状況に
   なっていました。

   N子さんからは、講義の前に
    今日の講義は、サタンが嫌がる内容なので、サタンがしかけてくる睡魔に負けな
    いように。
    人間の堕落の本当の原因が証されるので、サタンが邪魔しにくる。
   との忠告がありました。

   この日の講義は「堕落論」についてでした。
    人間の堕落の本当の原因は、
     聖書でいう禁断の木の実を食べたからではなく
     サタンとエバの不倫の愛にある   
    と説明されました。

   あまりに突飛な内容にひどく驚きました。
   頭の中は混乱していました。

   神様が食べてはいけないと忠告したのは、「林檎の実」ではなく「性の問題」だっ
   たのです。
   人間が堕落した原因は、「神様の命令に従わなかった」ことにあり、そのために
   人間は「原罪」を負うことになったのです。

   「原罪」は、決して人間の努力では取り除くことはできない。

   とても悲観的な内容でした。
   自分の中にも「原罪」が存在すると思うと、それだけで恐ろしく、誰かにすがりた
   いような、そんな気持ちになりました。

   人間の救い、先祖や家族の救い。
   私には、その使命があるといわれているのに、
   ここでまた、再び大きな問題をつきつけられて、
   その時の私は、すでに、自分の思考範囲を超えた中にありました。
   それなのに、答えを見つけなければならないのです。

   統一教会では、この「堕落論」を最重要視しています。
   何故ならば、対象者に「原罪」の恐ろしさを植えつけて、自分の中の罪を自覚させ
   る必要があるからです。
   そして、「原罪」は自分の力では取り除けないことも、しっかり自覚させます。
   統一教会員は、この「原罪」を取り除くために、文鮮明を信じて活動に明け暮れる
   ようになります。
   「原罪」を取り除くことのできる人物は、文鮮明だけだと教えられるからです。

   この時の私は、まだ、統一教会も文鮮明の存在も知りませんでしたが、
   この後の講義で、統一教会と文鮮明を受け入れなければならない状況へ追い込まれ
   ていきました。

   一九九〇年二月一六日〜一八日
   この三日間に「復帰原理」についてのビデオを見せられました。
   まず最初に見せられたのは、「先祖の救いと死後の世界」というビデオでした。
   このビデオの内容から、私は「何のために生きるのか」の答えが見えてきたように
   思えました。
   I子さんの「あなたには、先祖と家族を救いに導かなければならない使命がある」
   といった言葉が再び脳裏を横切り、そのことが「弟の命を守る」ことにもなるとい
   う強い確信になっていきました。

   次に、「救いの法則」「アダムの家庭」「ノアの家庭」「アブラハムの家庭」のビ
   デオを見せられました。
   ここで、取り上げられていたのは、神様も介入できない「人間の責任分担」につい
   てでした。
    救いの法則は、
     カインがアベルを愛する。
     つまり、神様により多く愛されているものを無条件で愛する。
    ということなのです。
    それは、家庭の中でできなくては意味がなく、 
     アダムの家庭でも、ノアの家庭でも、アブラハムの家庭でも、
     みごとに失敗してしまうのです。
    人間の中にある「原罪」が救いの法則を全うさせることができないのです。

    「原罪」は「血統転換」でしか、取り除くことができません。
    その「血統転換」ができる人こそ、再臨のメシアであるというのです。

    私の中に、再臨のメシアに会うしか、救いの道はないという思いが強まっていき
    ました。
    しかし、再臨のメシアに会えるという保証はどこにもありません。
    再び、激しい不安が襲ってきました。

    一九九〇年二月二〇日・二一日
    この二日間で「メシア論」「摂理的同時性」のビデオを見せられました。
     再臨のメシアの来る時は今世紀末、つまり現在であるらしい。
    という内容でした。

    私の心の中に、一本の希望の光が差し込んだ瞬間でした。

    この日もN子さんからの手紙が用意されていました。
     毎日、ビデオセンターへ来るということは、サタンに勝っている。 
     神様とサタンが同時に見つめているとき、失敗は許されない。
     何かあれば、すぐに言ってください。
     明日は、大切な内容になるので、水行をしてください。
    という内容でした。

    水行は、対象者の意識をそのことだけに向けさせるのに最適な方法です。
    私の場合も、真冬に四〇杯の水をかぶり、それに耐えることに精一杯で、他には
    何も考えられない状況になりました。
    そして、その夜はそのまま深い眠りに陥ってしまったのです。

  7、再臨のメシア「文鮮明」とビデオセンターが統一教会であることを証す

    一九九〇年二月二二日
    この日は、最初に「イエス・キリスト写真の謎」というTVのドキュメンタリー
    番組の録画を見せられました。
    統一教会は、このビデオによって、イエス・キリストが実在の人物であったこと
    を確認させ、再臨のメシアも実在することを確信させるのです。

    その後、再び、小会議室に通されました。
    いつもと違って、重々しい雰囲気が漂っていました。
    最初に、n子 さんから人間の堕落と復帰についての簡単なペーパー講義を受け
    させられました。
    次に、I男講師が入ってきました。
    そして、こう言いました。
     B子さんに、早く知ってほしいと思っていたことが、今日やっとお話できます。
     N子さんも、この日をどんなに待ち望んでいたことでしょう。

    この日の講義は「再臨主」についてでした。
    再臨のメシアの来られる条件の説明の後、
     再臨のメシアはいつ何処からどんなふうに現われるかわかりません。
     もしかしたら、月光仮面のようにバイクで現われるかもしれません。
    と、I男講師が言いました。
     先日の摂理的同時性のビデオの内容によると、再臨のメシアに会える可能性の
     一番高い時代に、私たちは生きている計算になりました。 
    そう考えている時、I男講師が再び口を開きました。
     実は、もうすでに再臨のメシアは来られているのです 

    この時の感動をどう表現したらよいのでしょう。

    I男講師が、再臨のメシアの名前は、と言って黒板に向かいました。
    そして、
    「 文 鮮 明 」
    と、その名を大きく書きました。
    I男講師は、
     韓国の方ですが、B子さんは、受け入れることができますか。
    と、確認をしてきました。

    私にとっては、再臨のメシアである文鮮明を受け入れるしかない心境でした。
    その時の私は、統一教会によって、心理的窮地に追い込まれていました。
    そんな私の状況を救ってくれるのは、再臨のメシア文鮮明と統一教会しかいない
    のです。
    他に、選択の余地は全くありませんでした。
    統一教会が描いた図式の中に私の思考がはまってしまった結果でした。

    そして、ここで、始めて、
     ビデオセンターが統一教会であること。
     統一教会の教組が文鮮明であること。
    の証しがありました。 

    統一教会では、対象者が完全にこのような状況になり、文鮮明と統一教会を受け
    入れられる心境に変わらない限りは、絶対に本当の名前を証しません。
    その後、I子さんから
     文先生の世間での悪い噂は嘘である。
     本当の姿はここにある。
    と言われて、「文鮮明師その思想と行動」というビデオを見せられました。
    統一運動の数々は、その時の私には崇高な目的のために行なわれているように
    写りました。

    もし、私が統一教会の情報に関心を寄せていて、「原理運動」や「霊感商法」に
    ついての知識があったり、早期に家族や友人から、そういった情報を得ることが
    できていたら、この時のI子さんの言葉がキッカケとなって、自分自身を取り戻
    すことができたかもしれません。
    しかし、実際は、そんな時間さえ与えられないままに、価値観のすり替えは行な
    われていたのです。

    この後は、情報だけでなく、行動もコントロールされるようになっていくのです
    が、これから先のことは全く知らされない状況でした。

    この日もN子さんからの手紙が用意されていました。
     神様が待ち望んでいた日である。
     真の父母を知って、新しい生命が誕生した。
     これからも頑張っていきなさい。
    と言う内容でした。
     Rev.S.M.ムーンの御言の中からの抜粋文が記されていました。
     Rev.S.M.ムーンは、文鮮明の英語名です。

  8、上級ワンディセミナーで、文鮮明像(虚像)を教える

    一九九〇年二月二五日
    この日の「上級ワンディセミナー」の参加に向けて、前日と当日の朝の二回、
    N子さんからの手紙が届けられました。  
     神様が、あなたに与えたいと思っている内容を全て吸収してほしい。
     それには、求める心情と素直な心情が必要。
     神様に委ねて、幼子のような心情で聞いてほしい。
    と記されてありました。
     さらに「無条件に天の前に捧げ、み意のままに任せる心が必要」とのこころの
     四季からの抜粋文がありました。

    この日のセミナーは、岡山農業会館で、午前九時〜午後五時位までの間に集中し
    て行なわれました。
    参加者は、一〇名位。 
    司会者の代表祈祷に始まり、すぐに講義になりました。
    I男講師による「文鮮明の路程」についての講義でした。
     文鮮明が、どのような家庭で育ち、どのような子供であったのか、また、いつ
     イエス・キリストに出会い、再臨主としての使命を与えられたのか、その後、
     どのような苦難の道を歩み、その中でどのようにサタンに勝利して来たのか、
     文鮮明は、この世界をどのように変えていこうとしているのか 
    という内容のことが、熱く熱く語られました。
    すばらしい美談の数々で、胸が熱くなる場面や涙を流す場面もありました。

    セミナー終了後は、ビデオセンターへ戻り、
    ビデオセンターのスタッフと霊の親たちが用意してくれた「歓迎会」へ出席させ
    られました。
    そして、一人一人感想を述べさせられました。

    統一教会では、対象者の思考の変化を確認するために、ビデオを見た後は、必ず
    感想文を書かせること、セミナーの後は、全員の前で自分の感想を述べさせるこ
    とを行なっています。  

    私は、統一運動に対する関心が高まっていました。    
    それで、文先生の統一運動に参加したい、と感想を述べました。
    みんなから、ものすごい拍手と賛美の嵐が吹き荒れました。

    それから、「メシアと私」というビデオを見せられました。

    この日のN子さんからの手紙には
     どれほど文先生が全人類のことをそしてB子さんのことを愛してくれていたか。
     これからが、私たちの責任分担を果たすための闘いの始まりです。
     共に、神様・御父母様をささえるものとして、がんばりましょう。
    という内容のことが書かれてありました。

    私は、その時、闘志に燃えさせられていました。

    こうして、対象者が、完全に「文鮮明」と「統一教会」を受け入れたことで、
    統一教会による第一段階の情報コントロール過程が終了しました。 
    この後は、統一教会員養成過程の中で、対象者の思考が完全に切り替わるまで、
    繰り返し繰り返し、同じ情報を与え続けていくだけです。

    それから、第二段階の行動のコントロール段階に入っていくのです。

統 一 教 会 の 献 金 体 制

  私は、今でも、この時の状況を考えると、自分の意思で献金したとは思えず、
  どのように考えても、組織ぐるみで奪い取られたと言う他ありません。
  何故なら、普通の状況の中での献金ではなかったからです。

  1、「献金を迫る」ことは事前に知らせない

    一九九〇年二月二七日
    I子さんやN子さんから「B子さんの今後のことについての重大な話がある」と言
    われていましたが、その内容については、全く教えられませんでした。
    この日は、まず「万物と人間の関係」というビデオを見せられました。
     人間は堕落によって、神様との距離が万物以下になっている。
     神様のもとへ帰って行くためには、人間より神様に近い万物を通さなければな
     らない。
    という内容でした。

    ビデオの後で、I子さんが、サンドイッチを出してくれました。
    今日の話は長くなりそうだから、ということでした。
    食事の後、小会議室へ通されました。

    今後の大切な話は、I男講師からされることになっていました。
    どんな話になるのか、全く見当がつきませんでした。

  2、「献金」をしなければならない状況へ

    I男講師からは、最初に「万物復帰」についての講義がありました。
    講義の後、I男講師から
     B子さんも神様の前に万物を捧げなければ、復帰の道を歩くことはできない。
    と言われました。
    「万物」と言われても、何を捧げたらよいのか見当もつきませんでした。
    すると、I男講師が、私の心を読んだかのように、
     万物といっても何でもよいわけではない。
     やはり万物の王者であるお金を捧げるのが一番よい。
     神様もお金を一番に喜ばれる。
    と提言してきたのです。
    実際、私は本当にびっくりしていました。
    僅か二ヵ月足らずの間に、
    ビデオセンターへ入会させられ、
     よりよい人生を歩むための学びをしていたはずが、
    いつの間にか、人類の堕落から復帰の話になり、
     救いの道は、再臨主「文鮮明」と統一教会にしかない、と断言され、
    いきなり、人類は万物以下だから、神様に近づくためには、
     献金しないといけない。
    という話の展開なのです。
    しかし、私には、献金を断ることができませんでした。
    私は、ビデオセンターで、霊界の存在と誰も天国へ行けない現状を教えられて、
    このままだと皆地獄へ行くと言われ、因縁トークでは自分の家系が絶家に向かっ
    かっていると言われ、弟の生命が危ないと宣告され、解決の方法は、私が三四歳
    までに変革することであり、変革するにはビデオセンターで学ぶしかないと言わ
    れ、しかも、それは人間個人の努力では解決できず、堕落した人間は再臨のメシ
    アによる救いを受けなければ、本当の解決はないと断言されていたために、私は
    文鮮明と統一教会を受け入れるしかありませんでした。

    このような矢継ぎ早な展開の中で、今は献金を迫られているのです。
    I男講師の話は、どうしても献金をしないと復帰の道を歩むことができないこと
    を強調していました。
     一〇〇〇万円も二〇〇〇万円も献金しろというわけではない。
     金額は多ければ多いほど、神様は喜ばれるけれど、B子さんにそれだけのお金が
     ありますか。
    この言葉で、いったいどれ位の金額を要求されているのか、想像がつかなくなり
    ました。
    I男講師は、B子さんの持っているお金の中での出来る範囲でいいから、と言いま
    したが、あくまでも、全財産の拠出を促されているかのようでした。
    私は献金額をいくらにすればよいのかで、ずいぶん悩みました。
    万物復帰の内容からも、これまでのビデオセンターでの学びの内容からも、神に
    万物を捧げなければ、救いの道が閉ざされて、地獄へ行くことを意味しました。
    それは、私ひとりの問題ではありませんでした。
    私の決断によっては、先祖や家族の救いが全て閉ざされてしまうのです。
    I男講師は、
     大金持ちがいくら大金を献金しても自分の所持金の中の一部であれば、神様は
     喜ばれない。
     しかし、貧しい人が僅かな金額でも全額を献金したら、神様は喜ばれる。
    という話をしました。
    これは、聖書からの引用でした。
    私は心の中で激しく葛藤していました。
    自分から献金額を提示することはできませんでした。
    いくら献金をするのか、金額が決まらないままに時間だけが過ぎていきました。
    すると、痺れを切らせたI男講師が、
     B子さんが、自分で決められないなら、私が神様に尋ねてみますので、ここに
     所持金の全てを書き出してください。
    と言って、私の書いた金額を確認してから、席を外しました。

    統一教会では、事前に亀甲アンケートで調べている対象者の所持金から献金の目
    標額を設定して、組織ぐるみで、SKクロージングに臨んできます。
    この時も、目標金額は決まっていたはずですが、I男講師がすぐに金額を提示し
    なかったのは、神様の意志を強調することに重要な意味があったからです。

    しばらくして、I男講師が戻ってきました。
    そして、重々しい口調で、
     B子さんには、四〇数から、四〇〇万円の献金をしてもらうことになりました。
    と言いました。
    いくら何でも、それは私にとっては信じられない金額でした。
    当時の私の所持金は、生命保険も含めて、四五〇万円でした。
    一瞬の間に、様々な思いがかけめぐりました。
    自分の状況を考えても、一人暮らしのうえ、アルバイトで生計を立てている身で
    したし、あと数か月でアルバイト契約が切れることを考えると、所持金は多いに
    こしたことはありません。
    当然のことながら、神様は私のそのような状況を考慮してくれた上で、献金額を
    決めてくれるものと思っていました。
    しかし、神様の要求した金額は、全額に近い四〇〇万円という金額でした。

    私は、I男講師に、自分はアルバイトで生計を立てていることを伝えました。
    すると、I男講師は、
     働いている間は収入があるではないか。
     アルバイトの期限が切れたら、統一教会系の企業で働く方法もある。
     統一教会系の企業の方が人間関係の煩わしさもない。
     むしろ、その方がいい。
    と言って、金額の修正は考えてくれませんでした。
    I男講師の長い長い説得で、現在の生活に固執している自分が大きな過ちの中に
    いるように思えてきました。
    そう考えていた時に、I男講師に、
     復帰の道を行くためには、神様に万物を捧げなければならない。
     生命を捧げろというわけではない。
     お金を出すだけで、救いの道を歩き始めることができる。
     何を躊躇することがあるのか。
    と言われたのです。
    その時、私の中に、再び霊界への恐怖心がよみがえりました。
    また、今の生活と引き替えに先祖や家族の救いを放棄しようとしていたことが、
    これまでと違った恐怖心となって私を襲いました。
    救いの道を知っているのは私だけなのです。
    救いの道を知らされながら、自分の独断で、自分だけでなく先祖や家族の救いの
    道までも閉ざしてしまうのは絶えがたいことでした。
    例え、この場からこの身は逃げられても、この思いからは永遠に逃げられないこ
    とも本能的に感じ取っていました。
    神様の要求のままに四〇〇万円を献金することしか、全ての解決方法はありませ
    んでした。それしか、答えが用意されていなかったのです。
    それが、先祖と家族を救いに導くための唯一の解決方法であり、神から最初に与
    られた私自身の使命であり義務でした。
    そして、長い時間、狭い空間の中で、同じ話を何度も何度も繰り返され、私の気
    持ちが変わるまで何度も何度も説得され、体力的にも精神的にも限界にきていて
    かなり疲れている状態でした。
    私は、I男講師のお金で済むならそれでいいではないか、という言葉にうなづい
    ていました。

    I男講師の話の後で、N子さんに、
     この献金は、心から感謝してしなければ意味がない。
    と言われました。
    私は、自分自身の意思ではなく、先祖や家族の救いのために献金しなければなら
    なかったという思いでいたので、
    N子さんの言葉に自分が恥ずかしくなって、
    献金は四〇〇万円と決められましたが、五〇万円だけを残しておくのもバツの悪
    い思いになり、全財産の四五〇万円を献金すると申し出てしまったのです。
    これが、逆に五〇万円の献金額であったなら、こういう気持ちにはならなかった
    と思います。四〇〇万円と四五〇万円では大差ない額に思えたのです。

    N子さんは、献金額のことはI子さんに相談するように、と言いました。
    I子さんに、そのことを伝えると、
     B子さんには、海外セミナーにも参加してもらいたいので、二一数から、二一万
     円を追加した金額を献金額として、残りの二九万円は、ビデオセンター預かり
     にしましょう。
    と言いました。
    そして、三日以内に四五〇万円を用意することを約束させられました。

    気がつくと、ビデオセンターに来てからすでに五〜六時間が経過していました。
    ビデオセンターを出たのは午後一一時か一二時の間でした。

  3、現金は三日以内に集金  

    一九九〇年二月二八日
    献金を決めさせられた翌日、もう一度、I子さんとN子さんから、献金の催促が
    ありました。
     本当に三日以内に現金が用意できるのか、の確認でした。
    預金については、定期預金を解約に行くだけでした。
    ところが、N子さんから、いきなり「委任状」を出されて、 
     職務中に外出するのは難しいと思うので、私が代わりに行ってきてあげるから
     ここに、署名と印鑑を押して、
    と言われたのです。
    私は、一瞬、どうしてここまで、と思いましたが、N子さんがあまりにも一生懸
    命だったので、言われるままに署名と印鑑を押して、通帳と印鑑を渡しました。
    しかし、生命保険の解約に関しては、一週間かかる、と担当者から言われたので
    その旨はI子さんに伝えていましたが、
    N子さんは、そのことを知って、
     B子さんは、神様に嘘をついた。
    と言って、私をなじりはじめたのです。
    その日は、そのことで、夜遅くまで口論を続けました。
    気がつくと、深夜の二時になっていました。
    結果的には、何とかお互いの言い分が理解できたのですが、   
     献金に関して、私の中に、ある種のしこりが残りました。

    翌日、N子さんは、統一教会の兄弟の運転する車に、私を乗せて、
    F 書店(現B           )の担当者のところへ行きました。 
    それは、生命保険の解約の日数を確認するためでした。
    しかし、結果は同じでした。それで、やっとN子さんも納得してくれたのです。
    このようにして、私の全財産は、統一教会に奪い取られてしまいました。
    この時には、気がつきませんでしたが、全財産を奪うことは、もちろん統一教会
    の神である文鮮明がお金を欲しがっているためでもありますが、対象者の生活の
    基盤となっているものをはぎ取っていくことで、統一教会への依存心を強めてい
    くためでもあったのです。

  4、統一教会への献金を正当化するための「献金式」

    一九九〇年三月二日
    西古松にある統一教会の教会で「献金式」が行なわれることになりました。
    「献金式」は、教会の二階にある祈祷室で、i男教会長、F子さん、N子さん、
    私の四名の参加で、一人ずつ、感謝の祈祷を行なうことで進められました。
    「献金式」が終わると、私の気持ちも落ち着いていました。
    献金したお金への執着も消えかけていました。

  5、献金後のアフターケア

    一九九〇年三月三日
    この日に見せられたビデオは「真実」と「ブラザー・サン、シスター・ムーン」
    でした。
    とりわけ「ブラザー・サン、シスター・ムーン」は、久しぶりに見る映画でした
    が、万物にこだわって生きていくことの愚かさを痛感させられるものでした。
    神様に全てを委ねていけば、必要なものは神様が与えてくれるということを教え
    るためのものでした。
    全財産を献金したことで、神様により近くなったような感じにさせられていまし
    た。

    しかし、この時にはわかりませんでしたが、統一教会の神様(文鮮明)は、私た
    ちに莫大な金額のお金を要求し続ける存在であり、私たちの方が逆に面倒を見な
    ければならない存在だったのです。

統 一 教 会 員 養 成 プ ロ グ ラ ム

 統一教会の教会員養成プログラムが存在すると感じたのは、韓国フォーデイズセミナー
に参加させられることになった時、広島教会で参加者全員に対して、S男総団長が、
 統一教会では「献身」前までに、
  1)ビデオ受講
  2)ツーディズセミナー   (省略される場合もある)
  3)スリーディズセミナー
  4)新生トレーニング
  5)実践トレーニング
  6)特別スリーディズセミナー
  7)韓国フォーディズセミナー
 の順番で研修が行なわれ、最後の韓国フォーディズセミナーで、「献身宣言」をして、
 終了となる
という説明をした時です。
 これだけのしっかりしたプログラム構成があったにもかかわらず、対象者への事前説明
は全く行なわれませんでした。
 ひとつひとつの研修を終えた段階で、統一教会が組織的に対象者を次の研修段階へ導く
以外に、この研修プログラムをクリアさせる方法がないからです。   

 1、スリーディズセミナー

   一九九〇年三月一六日〜一八日
   三泊三日のセミナーは、広島県可部の統一教会の修練所で、中四国から約三〇名の
   統一教会員候補者が集められて、行なわれました。
   このセミナーでは、毎回、不思議なこと(霊的現象)が起こると、参加前から、
   霊の親やビデオセンターのスタッフに吹き込まれ、気づかないうちに、私自身も
   それを期待するような心理状態になっていました。
   スリーディズセミナーでは、統一教会員の基礎を徹底的に教え込まれました。
   一日のスケジュールは、午前六時に起床してから午前一時頃に就寝するまで、びっ
   しりと組まれてありました。
   スタッフは、司会進行者、講師、班長、食当の役割にある人たちで構成されていま
   した。
   セミナーの期間中は、五〜六人の班体制となっていて、班長を中心とする行動をと
   らされました。
   その中で、班長は、司会進行者(班長よりも神に近い位置にある人、神の代理)の
   指示で、班員(統一教会員候補者)を次の段階へと導く責任を全うさせられます。
   スリーディズセミナーの目的は、
    1)霊界の恐怖を増幅すること
     実際には、二日めの夜に薄暗くされた部屋で、文興進(文鮮明の次男で、霊界
     の支配者)が姉妹(統一教会の女性信者)に伝えたメッセージを朗読すること
     で、霊界の悲惨な状態を心にやきつけて、霊界の恐怖心を強めました。
    2)原理講論の繰り返し講義により、新しい価値観を徹底して植えつけること 
     実際には、これまでの「神観」「罪観」を一八〇度転換させて、新しい「メシ
     ア観」を打ち立てました。
     「神観」は、全知全能の偉大な神から、人間の責任分担がある故に、再臨のメ
     シアなくしては、人類の救いが成し遂げられない可哀相な神へ
     「罪観」は、罪の根源は人間始祖の中にあるものから、自分自身の中にあるも
     のという意識へ
     「メシア観」は、イエス・キリストの出生の秘密(神の子ではなく、ザカリア
     の私生児である)が明かされ、再臨のメシアによらなければ人類の救いは成し
     遂げれないという意識へ
     と、それぞれ変えられて行きました。
    3)カイン・アベル関係(神により近い上司であるアベルへの絶対服従)の基礎を
     確立すること
     実際には、講義の中で「カイン・アベル問題」を説かれ、アベルである班長と
     カインである班員との間で乗り越えなければならない課題(カインのアベルへ
     の絶対服従)をそれとなく与えられて、班員はそれを実践しなければならない
     状況下に置かれました。
     班員は、毎晩行なわれる班長との個別面談で、「統一教会員になること」「新
     生トレーニングへ参加すること」「献身すること」に同意できるまで、何時間
     でも説得を受けました。
   このような組織的な取り組みの中で、参加者の意識を変えて、
   最終日に、
   「統一教会入会申込書」へ記入させて、正式な統一教会員とし、
   「新生トレーニング」への参加を決意させ、
   「献身」(文鮮明への絶対服従者となること)を皆の前で誓わせてしまうこと
   それが、スリーディズセミナーの目的でした。

 2、新生トレーニング

   ビデオ受講、スリーディズセミナーに参加させることで、
    対象者の中のこれまでの価値観(サタン側の価値観)を捨てさせて、新しい価値
    観(神側の価値観、文鮮明の価値観)を受け入れさせました。
   その新しい価値観を対象者のものにしてしまうには、
    長期にわたる繰り返し学習で、対象者の意識へ植えつけていくこととや、
    実際に行動させて、対象者の身体に覚えさせていくことが必要です。
   新生トレーニングは、
    神の前に新しく生まれ変わるためのトレーニングとされていて、
    トレーニングの前半は、講義を受けることが中心ですが、後半には、講義内容の
    実践もあり、心身両面から新しい価値観の受け入れを可能にさせるプログラムが
    組まれていました。
   また、このころから、統一教会による組織的な行動コントロールも受けるようにな
   ります。

   一九九〇年四月・五月の二ヵ月間が、私が参加させられた新生トレーニングの期間
   でした。
   新生トレーニングの一ヵ月のトレーニング費は、二一〇〇〇円。
   トレーニング費以外に、十分の一献金(給料の一割を献金すること)を求められま
   した。
   新生トレーニングからは、統一教会の岡山教会(献金式を行なった場所)に宿泊し
   ながら、講義を受けることになっていましたが、私は、この急激な環境の変化には
   ついていけず、N子さんに叱られても促されても、自分のマンションから通い続け
   ました。その代わり、一日も休まないことと日曜日の三拝敬礼式の前日は教会に泊
   まることが条件になりました。
   新生トレーニングのスタッフは、N男部長、T子チームマザー、W子班長の三名で
   N男部長は、講師も兼ねていました。

   1)新生トレーニングの一日のスケジュール
    講義は、月曜日〜土曜日の午後七時三十分から約二時間行なわれました。
    お昼の定時連絡(一二時〜一三時の間に所定の電話番号へ必ず電話を入れる)が
    義務づけられていて、男性は部長の指示を、女性はチームマザーの指示を受ける
    ようになっていました。
    また、講義の準備のために、仕事が終わり次第、教会へ直行するように指示され
    ていました。
    私は、いつも午後六時三十分頃に教会へ行きました。
    講義終了後には、心情日誌に、
     (a)講義の感想
     (b)一日の出来事
     (c)神体験
     (d)明日の予定
     (e)困った事
    を書いて、男性は部長に、女性はチームマザーに提出し、一人ずつ面談を受けま
    した。
    面談の後は、全員で食事の場を持ち「神体験」について発表させられました。
    教会を出るのは、いつも午後十一時過ぎでした。
    それから、マンションに帰って、蕩減条件(神の前に条件を立てて、実践してい
    くことで罪が清められる)をしていると、就寝は翌日になってしまいます。
    これまでの生活に比べて、極端に睡眠時間が減っていきました。
    また、休日の日も、統一教会によって、管理されていきました。
    土曜日の休日は、午前中は、自分の部屋の掃除や洗濯のために時間を取らせても
    らえましたが、午後からは教会へ来るように言われ、班長のもとで、原理講論の
    勉強や統一教会関連ビデオの学習をさせられました。
    そして、土曜日の夜は教会へ泊まり、日曜日の朝は、午前四時三十分に起こされ
    て、午前五時からの三拝敬礼式に参加させられ、二〜三時間の仮眠の後、午前十
    時三十分からの聖日礼拝へ参加させられました。礼拝の後は、各部(新生トレー
    ニング、実践トレーニング、青年部、学生部、青年文化部)にわかれての活動に
    なりました。この時は、新生トレーニング以外の各部の活動内容は全くわからな
    いようになっていました。
    新生トレーニングは、教会で、講義を受けたり、ビデオを見たり、ゲームをして
    過ごしました。
    そして、平日と同じように、夕食を終えてからの解散となりました。

    新生トレーニングへ参加させられてから、急激に自分の時間が無くなっていきま
    した。また、交友関係も統一教会員だけとなり、情報も統一教会関連のものだけ
    に絞り込まれていきました。
    社会との接触を全面的に遮断され、統一教会という特殊な価値観を持つ社会へと
    取り込まれていったのです。

   2)新生トレーニングにおける情報コントロール
    毎日、行なわれる「原理講論」の講義や部長やチームマザーとの面談、
    そして、統一教会員に取り囲まれた生活の中で、新しい価値観の植えつけは、
    少しずつ、ゆっくりと、しかし確実に行なわれていきました。
    新しい価値観は、「人材復帰(伝道)」と「万物復帰(経済活動)」の二つのこ
    とが中心となっていました。
    人類の復帰の道は、七年路程(三年六ヵ月を人材復帰に、残り三年六ヵ月を万物
    復帰に従事すること)を万人が歩むことにあり、一人として、免れることのでき
    ない道であることに始まり、
    人材復帰(伝道)とは、救いの道(再臨のメシアに出会わなければならない)を
    伝え、人生の方向転換をさせることであり、
    万物復帰(経済活動)とは、神のものである万物(お金、地位、名誉、権力等)
    をサタン側(統一教会以外の世界)から神側(統一教会)へ取り戻すことである
    と教えられました。
    特に、万物復帰に関しては、
     自分の身体さえも神のものであるから、自分の思いで使ってはいけない。
     万物に固執すると神に出会えない。
     「イサク献祭」(自分の一番大切なものを捨てること)をしなさい。
    と指示されました。

    また、反原理ビデオも見せられました。
    反原理とは、原理に反対するという意味で、統一教会に反対している団体や牧師
    について説明されたものでした。
    こうした反原理団体や反対牧師に捕まると、必ず強制的に「改宗」させられる、
    という内容のものでした。
    つまり、統一教会以外は全てサタン世界の中にあり、反原理団体はその代表的存
    在で、しかもその中でも反対牧師は最たる存在であるという内容でした。
    統一教会は四面楚歌の中にあり、統一教会員である自分は統一教会以外に行ける
    場所などないということをしっかりと自覚しなければなりませんでした。
    (a)アダム・エバ問題について
     「原罪」は、再臨のメシアによる血統転換でしか、取り除くことはできない。
     自分本位な恋愛は絶対に認められない。
     自分の心の中に異性を誘惑する要因があってはならない。
     過去にアダム・エバ問題があった者は、アベルに告白して指示を受けなさい。

    (b)カイン・アベル問題について
     カインは、神に愛されているアベルを無条件で愛さなければならない。
     カインは、神に近いアベルの指示に絶対服従しなければならない。
     それにより、カインはアベルを通じて、神からの愛を受けることができる。

    総論としては、統一教会の神(文鮮明)の言うことは全て正しいことであるので
    信じて受け入れよ、統一教会の行なうことは全て神の喜ぶことであるので、自信
    を持って行なえ、ということでした。
    伝道や経済活動を躊躇する気持ちも、この教えをバネに、乗り越えてさせられま
    した。

   3)新生トレーニングにおける行動コントロール
    (a)お昼の定時連絡の徹底
     毎日、一二時〜一三時の間に、専用の電話番号に電話を入れて、男性は部長の
     女性はチームマザーの指示を受けさせられました。
    (b)聖塩による聖別
     統一教会は神聖な場所なので、教会に入る前に聖塩による清めの儀式が必要と
     され、
      聖塩を一摘み十字を切るようにして自分の身体にふりかけながら、
      「父と子と聖霊と真の御父母様と、私(自分の名前)において聖別します」
      と唱えさせられました。
    (c)文鮮明夫妻への挨拶
     統一教会では、最初の挨拶は、祈祷室の文鮮明夫妻の写真にさせられました。
    (d)スタッフへの挨拶
     教会に来た時と帰る時は、必ずスタッフに挨拶をさせられました。
    (e)服装、髪型の制限
     女性は髪を短くし、肌の露出度の高いものや身体の線のわかる服装は避ける、
     ジーパンもいけない、と指示されました。
    (f)男女間での規制
     異性の上司に相談してはいけない。
     異性の運転する車では、助手席に座ってはいけない。
     異性と肌が触れてはいけない。
     と指示されました。
    (g)蕩減条件の開始
     蕩減条件の内容は、アベルに相談して、決めることになっていました。
     最初は、一週間単位で、毎日続けられる内容を指示されました。
     原理講論を一日一ページ熟読する、聖書を一日一章読む、祈祷三分、肩たたき
     十分、水行四〇杯、などです。
     蕩減条件は、神の前に立てた尊い条件なので、一日でも実行できなかった場合
     は、さらに厳しい条件を課せられると言われていました。
    (h)アベル(男性は部長、女性はチームマザー)への報・連・相の徹底
     何事においても、アベルに報告、連絡、相談をすることが義務づけられていま
     した。そのことにより、情報や行動をコントロールされ、アベルの指示を受け
     なくては判断ができない人格へと変えられていったのです。
     親・兄弟、友人への連絡を行なう時も、自分の意思では出来ず、アベルの許可
     が必要でした。許可が出ても「統一教会の名前を出さないこと」「統一教会の
     研修に参加していることを言わないこと」を約束させられました。
    (i)横的授受の禁止
     トレーニング生同志のコミュニケーションは全面的に禁止されていました。
     お互いの住所交換はもちろん、講義内容や統一教会への疑問、個人的な悩み等
     を話し合うことはできず、全て、同性のアベルに相談することになっていまし
     た。
    (j)入教の勧め
     入教とは、統一教会に寝泊りしながら、トレーニングを受けることで、
     統一教会に全面管理されることを意味していました。

   4)初めての訪問販売
    新生トレーニングのしめくくりは、万物復帰(経済活動)の実践でした。
    これは、次の段階である実践トレーニングの内容を受け入れやすくさせるために
    行なわれたものでした。
    統一教会では、新しい価値観を植えつけるために、トレーニング生にはよく考え
    る時間を持たせないで、すぐに活動をさせました。
    この時に、トレーニング生がさせられた経済活動は、「親善会」のハンカチ売り
    でした。
    ボランティア活動と称して、三枚一セットのハンカチを二〇〇〇円で販売させら
    れました。
    「親善会」は、統一教会員が、経済活動のために組織したものです。
    しかし、ボランティアといいながら、統一教会という名前を出してはいけないと
    いう指示を受けました。矛盾した内容でした。
    ハンカチ売りは、二人一組となり、アベルに指定された地域の家庭を全件、訪問
    販売していく方法をとらされました。
    事前に、訪問販売のテクニックの指導も受けました。
    ョ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「イ
    、 まず、明るく元気に玄関の中に入り込み挨拶をする。   、
    、 家の中の様子や相手を誉めまくって、相手の警戒心を解く。、
    、 訪問目的を説明しながら、ハンカチのセットを並べていく。、
    、 相手に考える余地を与えず、どんどん勧めていく。    、
    、 ハンカチは必ずセットで買ってもらう。         、
    カ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「コ
    ハンカチ売りの途中で、アベルに電話で売上状況を連絡させられました。
    売上がわるいと、売上のいいチームの売上高を伝えられ、ハッパをかけられまし
    た。そして、条件として、昼食抜きとか、祈祷とかを指示されました。
    ハンカチ売りは、午前九時から午後六時までさせられました。
    終了時間になると、アベルが車で迎えに来ました。
    教会に戻ると、売上金を計算し、必要経費(昼食代)を差し引いたものをアベル
    へ提出させられました。
    この日の売上は、総額で二〜三〇万円位あったと思います。
    この売上金が「親善会」から施設へ寄付されたということは聞いていません。
    文鮮明のもとへ送金されたものと思われます。

    私自身は、このハンカチ売りを純粋にボランティア活動と受けとめていました。
    ボランティア活動を通して、自分が生まれ変わるための訓練を受けていると信じ
    込まされていました。

 3、実践トレーニング

   統一教会員にさせられた本当の目的は、文鮮明に送るお金を集めさせられるためで
   した。
   文鮮明は、莫大な金額をいつも要求していました。
   しかし、統一教会の中にいる間は、本当の目的は全くわかりませんでした。
   それは、統一教会によって情報をコントロールされ、統一教会が作り上げた美しい
   世界(幻想)の中で、文鮮明を盲目的に信仰させられていたからです。

   一九九〇年六月〜一九九一年一月八ヵ月間が、私が参加させられた実践トレーニン
   グの期間でした。
   実践トレーニングの一ヵ月のトレーニング費は、二一〇〇〇円。
   トレーニング費以外に、十分の一献金と心情献金(文鮮明へのお小遣い)一五〇〇
   円、蕩減献金(ユダの蕩減のためという名目で、三数を三回)を求められました。
   また、特別の式典(神の日、父母の日、愛勝日等)の時や目標額に達成できなかっ
   た時は、特別献金という名目で、手元の残金をそっくり献金させられました。
   この時点で、私の手元に残されたのは、僅かな家財道具だけでした。
   献金の時にビデオセンター預かりとなっていた二九万円は、スリーディズセミナー
   とソウルスリーディズセミナーの参加費用にあてられていました。
   実践トレーニングも、統一教会の岡山教会に宿泊しながら講義を受けることになっ
   ていました。私は、最初の間は自分のマンションから通いましたが、チームマザー
   の熱心な説得と執拗に繰り返される訪問によって入教させられました。
   この入教の時に、教会へ持ち込める荷物(衣装ケース二個、ダンボール箱五個)以
   外のものは処分させられました。
   実践トレーニングのスタッフは、私が参加させられていた期間では、K男部長、M
   男部長、n男部長、S子チームマザー、n子チームマザー、s子チームマザー、K
   子班長、O子班長(A男さんの霊の親)でした。

   1)実践トレーニングの一日のスケジュール
    実践トレーニングは、「伝道活動」と「経済活動」が中心でした。
    活動の拠点は、岡山教会ではなく、田町にある実践センターでした。
    月曜日〜土曜日の午後七時三十分から午後十時位までと日曜日の聖日礼拝の後は
    実践センターで、訓練を受けさせられました。
    実践センターでは、部長を司令塔とする「基台」体制がとられていました。
    それぞれの基台は五〜六人のグループで、基台長が基台員をまとめていました。
    そして、毎月、個人単位と基台単位で「伝道目標人数」と「献金目標額」を設定
    させられ、目標達成のために活動させられました。

   2)伝道活動
    「神の前に人材を復帰する」というのが、表向きの目的でした。
    実際は「文鮮明の絶対服従者となるべく人材を選定し養成する」ために、統一教
    会員たちは伝道活動に従事させられていました。
    統一教会員たちにも「本当の目的」は知らされず、これまでの教義の中で教えら
    れた「崇高な目的」のために邁進させられていました。
    活動意欲の低下した統一教会員は、常に目に見えない世界「霊界」の恐怖を繰り
    返し繰り返し植えつけられて、活動をしなければならない状況へと追い込まれて
    いきました。
    対象者と統一教会員は、文鮮明と統一教会の被害者なのです。
    何故なら、選択権のないままに入会をさせられて、全財産を奪われた対象者は、
    文鮮明の絶対服従者になるべく養成をされ、文鮮明が要望し続ける莫大なお金を
    稼ぐための労働力「「「「つまり統一教会員にされていくからです。
    対象者の延長線上に養成された統一教会員があるのです。

    伝道活動には、
     青年意識調査アンケートを用いた「路傍伝道」「訪問伝道」
     講演会(結婚講座、開運講座、国際情勢講座)伝道
    があり、どちらも「ビデオセンターへ入会させる」のが目的でした。
    しかし、対象者には、「統一教会」という名前は絶対に言ってはならないと指示
    されていました。
    対象者を騙してビデオセンターに連れ込んだ後は、アンケート等で統一教会員候
    補者を選別し、選別された統一教会員候補者は養成過程へ確実に送り込まれまし
    た。
    実践センターでは、実践トレーニングの他に、青年実践部、学生部、通教青年部
    青年文化部のメンバーも集まり、伝道活動に従事させられていました。

    実践センターでの伝道活動は、路傍伝道が中心で、
    午後七時三十分から行なわれる「伝道出発式」を契機に一斉に始められました。
    全員が輪になって、統一教会の聖歌の中から勇ましい歌を激しく歌い、一人一人
    が決意表明を行なった後、祈祷をしました。
    そして、部長の指示を受け、路傍伝道へと出発させられました。
    伝道活動での司令塔は、アベルである部長でした。
    数か月前に、N子さんから受けたアンケート調査を今度は私が行なうのです。
    私の頭の中にあったのは、とにかく一生懸命に笑顔で接してビデオセンターへ来
    てもらわなければならない、ということだけでした。
    部長からは「あなたでなければ、復帰できない人たちが一杯いる、何をもたもた
    している」と言われ、躊躇している気持ちを払拭させられました。
    その時は、それが私の使命のように感じられました。
    また、事あるごとに語り続けられる「霊界」の話は、恐怖心となって心の奥底に
    植えつけられていきました。
    「あなたが、今何もしなければ、霊界で先祖たちから殴る蹴るの暴行を受ける」
    永遠に続くと言われている霊界で、永遠に暴行を受け続けるのです。
    それは、実体のない、目に見えない世界のことであるだけに、確認する手立ても
    なく、激しい恐怖となって、私を襲い続けました。

    アンケートがとれると、部長に報告することになっていました。
    そこで、最初の「統一教会員候補者の選別」が行なわれます。
    アンケートの内容からも人材の選別ができるようになっていました。
    統一教会員候補者の条件は、
     (a)霊的なものに関心のある人
     (b)公的意識の高い人
     (c)時間に余裕のある人
     (d)一人暮らしの人
     (e)お金をもっている人
    の五項目があげられていました。
    それ以外にも、対象者との間にどれだけの心情交流がなされたか、ということも
    重要視されました。
    つまり、対象者との間にどれだけの信頼関係が出来上がったかということです。
    それらの内容を検討していき、人材の選別は部長が行ないました。
    そして、選別された人材「統一教会員候補者」への尋常を超えた勧誘が始まるの
    です。
    部長からは、対象者にすぐに手紙を書くことを指示されます。
    手紙の文例は、段階ごとに整理されたものがあって、最初はその文例をマネして
    書きました。慣れてくると、自分で状況に応じた内容の手紙が書けるようになり
    ます。文例をコピーして持つことは禁じられていました。
    手紙はその日の内に投函するように指示されました。
    対象者に関しては、一人ずつ「伝道記録」をつけていくことになっていました。
    部長からの次の指示は、最初の手紙を出した日から三日以内に手紙か訪問をして
    対象者に一生懸命つくし、熱心に説得して、この人の言うことならと思わせて、
    ビデオセンターへ連れてこい、という内容でした。
    同じことを同じ対象者に対して、最低でも一〇回は行なわなければ対象者の気持
    ちは変えられないと指導されていました。

    対象者をビデオセンターへ連れていくと、
     (a)青年意識調査アンケート
     (b)亀甲アンケート
    この二つのアンケートで、対象者の状況(特にニーズ)をつかむことと、親交を
    深めることを指示されます。

    ビデオセンターに入会を決意させられた対象者は、
    統一教会員養成過程へ送られるための特殊な教育を受けさせられます。
    亀甲アンケートで把握された所持金額から、貯蓄のある人は全財産を献金させら
    れます。                 
    そして、数か月後には、自分が伝道活動に従事させられていくのです。

    訪問伝道は、
    与えられたエリア(任地)の一人暮らしのアパートやマンションを、二人一組で
    訪問して、アンケートをとり、ビデオセンターへ誘う方法です。
    訪問伝道でも、訪問先の訪問記録をつけて、最低三回の訪問をするよう指示され
    ました。
    路傍伝道は午後十時位で打ち切られましたが、訪問伝道は午前二時位までさせら
    れることもありました。
    早朝訪問といって、出勤前の時間帯に訪問させられることもありました。
    訪問伝道テクニックの指導もありました。
    ョ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「イ
    、表札の名前を見て、その人の霊界に祈る。               、
    、ベルは三回鳴らす。                         、
    、ドアを開けてもらえるように工夫する。                、
    、そのためには、嘘をついてもよい。                  、
    、ドアが開いたら、一人がドアを支えて閉められないようにして、すばやく中、
    、に入り込む。                            、
    、同性であれば、スキンシップを行なって仲良くなり、部屋の中に上がる。 、
    カ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「コ

    講演会伝道は、
    「結婚講座」「開運講座」「国際情勢講座」に参加させて、ビデオセンターへ
    誘うやり方です。

    どの伝道方法でも、ビデオセンターへの入会を決意させる時は、
     コンサルタント(トーカー)を中心に、紹介者が補佐役にまわり、対象者への
     説得を行ないました。

    入会の説得を成功させるために、紹介者は、
     対象者との信頼関係を作り上げること 
     コンサルタント(トーカー)を権威づけして、対象者に信頼させること
    の二つを何としても樹立させなければなりませんでした。
    また、伝道は全員でやるものと言われていました。
    アベルの許可なく、単独で行なうことは許されていませんでした。

   3)経済活動
    「神の前にサタンが奪った万物を復帰する」というのが、表向きの目的でした。
    実際は「文鮮明が要求し続ける莫大なお金を集金する」ために、統一教会員たち
    は経済活動に従事させられていました。
                             
    経済活動の中心は、「ブルー展」といわれるものでした。
    「ブルー展」というのは、統一教会系企業(UCグループ)の商品を三〜四日間
    の展示即売会で売りつけるやり方です。
    「ブルー展」で扱う商品と展示会の名称は、
     (a)クリスチャン・ベルナールの宝石や毛皮「「「「CB展」
     (b)丸扇の着物「「「「「「「「「「「「「「「「「呉服展」
     (c)アート創和の絵画「「「「「「「「「「「「「「絵画展」
     (d)宝翔の印鑑や弥勒像や仏具「「「「「「「「「「宗具展」「I展」
     (e)一和の高麗人参茶や健康器具・食品「ホ「「「「ハッピー・フェア」
       男女美の化粧品「「「「「「「「「「コ
    でした。
    これらの展示販売会を通して、高額商品を売りつけ、ビデオセンターへ入会させ
    ることが、最大の目的でした。

    「ブルー展」は、一般の展示即売会のあり方とは大きく違っていました。
    会場には、統一教会員が動員してくる人だけしか入れませんでした。
    「ブルー展」は二〜三ヵ月に一度の割合で行なわれました。
    「ブルー展」の月になると、青学部だけでなく、壮年部、婦人部も総出で取り組
    みました。
    「ブルー展」への動員
     アベルの指示により、動員できそうな人の名前を「動員リスト」に記入させら
     れます。
     「動員リスト」をもとに、アベルとの面談が行なわれ、対象者一人一人への
     入念なアプローチ方法と目標金額が、アベルにより設定されます。
     その上で、目標金額を達成するために、電話や訪問による展示会への動員をさ
     せられていくのです。
     展示会へ誘う時には、次の五項目を伝えることを指示されました。
      (a)招待制であること
      (b)二時間位かかること
      (c)コンサルタントがつくこと
      (d)私も買ったということ(嘘でよい)
      (e)あなたも買ったらということ
     そして、統一教会主催であることは絶対に言ってはならないと指示されていま
     した。

     「ブルー展」の当日は、
     対象者とは、別の場所で待ち合わせをして、しっかりと信頼関係を築いてから
     会場へ案内することになっていました。
     会場では、受付を済ませると、対象者にはラウンジで待ってもらい、その間、
     タワー室にいるタワー長に報告に行きます。
     タワー長は、当日の対象者に関する状況報告から新たな目標金額を設定し、対
     象者にあったコンサルタントを決めます。
     そして、紹介者は、コンサルタントと一緒に対象者を迎えに行き、三人で会場
     内をまわりながら、対象者に商品を勧めていきます。
     「ブルー展」で、統一教会の商品を購入させる時は、
      コンサルタント(アドバイザー、マネキン)を中心に、紹介者が補佐役にま
      わり、対象者への説得を行ないました。

     販売の説得を成功させるために、紹介者は、
      対象者との信頼関係を作り上げておくこと
      コンサルタント(アドバイザー、マネキン)を権威づけして、対象者に信頼
      させること
     この二つを何としても樹立させなければなりませんでした。
     これは、アベルであるコンサルタントをカインである紹介者が一生懸命に愛す
     ることで、対象者が生きるという三位一体の教えに基づいたものです。
     立場を間違えると、対象者を殺すことになると言われていました。
     つまり、対象者に商品を購入してもらえない、ということです。

     対象者が商品を購入した後は、ビデオセンターへ入会させていくことになって
     いました。
     もちろん、アンケート伝道の場合と同じく、条件のそろっている人以外は選別
     からもれました。
     むしろ、選別からもれる人の方が多かったといえるでしょう。

     統一教会員は、いつも、このようなことを聞かされていました。
     「この世の生活は天国経由地獄行きの道だが、統一教会の生活は地獄経由天国
      行きの道だ」
     「統一教会員が家族にいると、家族が霊界で引き上げられる」
     「統一教会の販売する商品は、たとえハンカチ一枚であってもその価値は高く
      霊界での文鮮明による審判の時に統一教会の商品を購入したというだけで、
      霊界が大きく引き上げられる」
     「先祖の功績がなかったり、自分自身に問題があると統一教会に来れない、
      統一教会に来れない人たちは、統一教会の商品を購入してもらうことが、
      救いの条件になる」

   4)更なる新しい価値観の植えつけ
    実践トレーニングでは、行動させることで、統一教会の価値観を身体に植えつけ
    ることを目的としていましたが、講義による新しい価値観の植えつも行なわれま
    した。
    講義内容は、全て、統一教会の活動の中心である「伝道活動」と「経済活動」を
    重要視させていく内容になっていました。
    実践トレーニングでの講義は、「公式七年路程」と「伝道学」の二つでした。

    (a)公式七年路程について
     全ての人間は、六〇〇〇年の人間の歴史を蕩減復帰しなければならない。
     長生期完成級で堕落して万物以下に落ちた人間は、長生期完成級まで蕩減復帰
     して、再臨のメシア文鮮明を迎えて、文鮮明とともに歩み成長して、神の直接
     主管に入り創造目的を完成しないといけない。
      長生期完成級は、アダムとエバが堕落した時点
      再臨のメシアを迎えるというのは、祝福(合同結婚式)を受けること
     神の直接主管に入ると、人間は個性を完成できることになる。
     蕩減復帰の道は、三年六ヵ月の万物復帰と三年六ヵ月の人材復帰の七年路程で
     祝福の条件として、霊の子三名を立てなければならない。
      人間は、祝福を受けなければ救われない。
                  「「「「「「「「「「「「「これが結論でした。
    (b)伝道学について
     再臨のメシア文鮮明と出会う感動を伝えることが伝道である。
     堕落した人間にとって人生の目的は再臨のメシア文鮮明に出会うことである。
     伝道を成功させるには、
      み言三〇%、実践三〇%、祈祷四〇%であり、祈祷が最も重要である。
     伝道は、霊的生命を救う仕事である。
     全力投入で真の愛を注いでいかないと、人を復帰することはできない。
     その人の霊的生命を殺してしまうことになる。
      人生の目的は、文鮮明に会うことである。
                  「「「「「「「「「「「「「これが結論でした。
   5)実践トレーニングにおける情報コントロール
    (a)「内部修練会」へ参加させられる。
      三日間にわたり「原理講論」の講義を受講させられる。
    (b)「女性講座」へ参加させられる。
      文鮮明が語った女性像に近づくようにと言われる。
    (c)統一教会幹部の講話に参加させられる。
      森山操、横山伝道部長など。
    (d)「栄光在天」の考えを植えつけられる。
      伝道の成功も展示会の実績も天が与えたもの。
      栄光は天に返さなければならない。
    (e)「祝福のための講義」へ参加させられる。
      祝福によって原罪が清算される。
      原罪が清算されるとは、サタンの血統から神の血統に血統転換されることで
      文鮮明の血統を相続して、無原罪の子を生むことである。
      祝福では、文鮮明が選んだ「相対者」が与えられる。
      相手が人間でなくても感謝して受け入れなければならない。
      霊界に行くと自分の原罪が皆の前で写し出される。
      地獄は憎しみの感情を永遠に持ち続ける情念の世界である。
      祝福を受けれる条件は、公式七年路程を歩み、霊の子を三名立てること。
      文鮮明しか原罪を取り除ける人はいない。
      祝福を受けると先祖七〇代まで救われる。
    (f)チャーチマザーの牧会を受けさせられる。
      統一教会の活動に邁進できない統一教会員に対して行なわれる個別指導。
    (g)献身に向けての巡回師面接を受けさせられる。

   6)実践トレーニングにおける行動コントロール
    (a)ホームで毎晩行なわれる「全体集合」(活動の反省会)へ参加させられる。
    (b)「月初出発式」「歓送迎会」「心霊復興会」「野外祈祷会」等へ参加させられ
     る。
    (c)一二〇名伝道対象者リストを作成させられ、毎日祈祷をさせられる。
    (d)聖地祈祷に参加させられる。
    (e)勝共連合の集会「統推協大会」へ参加させられ、選挙の手伝いをさせられる。
    (f)献身に備えて会社を辞めるよう、アベルに命令され従わされる。
    (g)蕩減条件の内容を厳しくされる。
    (h)本部会員試験を受けさせられる。

   実践トレーニングを終了した段階での私の状況は、
   全財産(預貯金、保険金、家財道具)を失い、仕事を失い、帰る場所(マンション
   の自分の部屋、家族、友人)を失っていました。
   精神的にも物理的にも統一教会を頼るしかないという状況でした。

 4、特別スリーディズセミナー

   一九九一年四月一九日〜二一日
   広島県可部の統一教会の修練所で行なわれました。
   セミナー参加費は八〇〇〇円でした。
   スケジュールは、スリーディズセミナーの時と同じでした。
   特別スリーディズセミナーからは、本格的に「献身」を迫られました。
   班長との面談も内容が厳しいものになりました。
   「献身」しないと「祝福」が受けられない、と繰り返し説得されました。
   また、霊の子が一人もいない、と伝道実績を厳しく問われました。
   そして、「祝福」は、統一教会員にとって、他人から奪ってでも手に入れなければ
   ならない最高の恵みである、と教えられたのです。
   このセミナーでは、I男講師による「反原理対策」の講義がありました。
   I男講師は、私たちに、こう言いました。
    反対牧師の手にかかって、落ちてしまってもいい。
    しかし、統一教会に対しての反対運動だけはしないでくれ。
    特に、青春を返せ裁判はもっての外だ。
    文鮮明のために一生懸命過ごした青春ほど尊いものはない。
    何が、青春を返せ、だ。
   その激しい口調に、私たちは圧倒されました。 
   私もその時は、I男講師の言葉はもっともだ、と思っていました。
   しかし、自分自身を取り戻した今は、全く反対の気持ちでいます。

 5、韓国フォーディズセミナー

   一九九〇年一二月六日〜九日
   私の場合は、特別スリーディズセミナーの前に、韓国フォーディズセミナーへ参加
   させられました。
   文鮮明が伝道のために歩いた足跡をたどらせて、文鮮明の心情を疑似体験させ、
   最終日に第一聖地で「献身宣言」をさせることが目的でした。
   参加費用は、一六五〇〇〇円。
   統一教会系企業の世一観光の主催するセミナーでした。
   統一教会の研修所である世界日報国際研修院等に宿泊させられました。

   韓国統一教会の先生たちの講話を聞かされ、新旧本部教会、世一旅行社などが入っ
   ているUCグループビル、文鮮明の豪邸をソウルで見学させられた後、
   釜山へ移動し、ボンネッコル跡の教会、涙石を見学させられました。
   最終日は、二時間の睡眠の後、午前二時に起こされ、ボンネッコル跡の教会で三拝
   礼拝を行ない、第一聖地へ連れて行かれました。
   第一聖地は、山の上にあり、そこに行くだけでも大変な労働でした。
   第一聖地に着くと、一人ずつ、文鮮明のいる方向に向かって、大声で献身の宣言を
   させられました。
    私、 B子 は、ここに献身することを誓います。
   次第に、献身しなければならない、という気持ちになっていきました。
   再臨のメシア文鮮明に誓わされたということ、皆の前で大声で誓わされたというこ
   とで、死守しなければならないという心境にさせられたのです。

祝福に向けて伝道活動と経済活動に

   邁進させられる統一教会員の生活

 1、入教生活

   1)通教から入教へ
    実践トレーニングも半ばに入ると、私の中には、統一教会の活動に対しての疑問
    が芽生えてきました。
     伝道に関しても、全ての人を救う道と唱えながら、そこには、はっきりとした
     救いの順番が存在していました。
      まず最初に救うのは、健康でお金を持っている人、でした。
      統一教会に献身、献金できる人が最優先でした。
     私の中にある「献身」「献金」の意味と、統一教会の持つ「献身」「献金」の
     意味が大きく違っていることを感じ始めていました。
     経済に関しても、神側の商品を買うことでしか救われない人がいると教えられ
     ましたが、その商品は贅沢品で高価なものばかりでした。
      文鮮明が、神の摂理には莫大な費用がかかる、と言ったからでした。
     私がこの疑問をぶつける相手はアベルと決められていました。
     アベルの答えはこうでした。
      昔のように、造花や鉛筆を売っていたのでは、お金が集まらない。
      文鮮明がその商品にしろと言った、文鮮明を信じていればいい。

     私の中には、これらの疑問を解決したいという思いがありました。
     その上で、はっきりと、
      文鮮明が、本当に再臨のメシアであること。
      統一教会の活動が、本当に救いの道であること。
     の確信を深めなければ、伝道も経済活動もできないと感じ始めていました。
     全てを捨てさせられて、統一教会にいる意味を問いたかったのです。

     しかし、統一教会の情報コントロールにより価値観を変えられてしまっている
     アベルの答えは、壊れたレコードのように
     「文鮮明の命令に従っていればいい」
     と何度も何度も繰り返すばかりで、論理的説明をしてくれませんでした。
     私は、すっかり活動意欲を無くし、マンションの自分の部屋へ閉じこもってし
     まいました。
     毎日毎日、伝道活動と経済活動に従事させられて身体も相当疲れていました。

     一ヵ月間位、マンションの部屋で身を隠す生活をしていました。
     その間、N子さんからは、電話や訪問がありました。
     実践トレーニングのアベルの訪問もありました。
     その中で、私は次第に次のような心境に陥っていきました。
     救いの道と教えられた「伝道活動」「経済活動」を全くしないでいる毎日。
     自分とは対照的に、統一教会の活動に頑張っているメンバーたち。
     私の気持ちの中に、罪悪感のようなものが生まれてきました。
     何もしないでいることを霊界に責められているように感じ始めたのです。

     そんな状況にあった時に、n子チームマザーがやってきました。
     n子チームマザーは、身体が弱くいつも休みがちでしたが、信仰は人一倍だと
     N子さんから聞かされていました。
     そのn子チームマザーが、毎日毎日やってきて、激しくドアを叩き、大声で私
     の名前を呼びました。
     最初は、n子チームマザーが諦めて帰るのをじっと待っていたのですが、三日
     目に、これ以上は近所の迷惑になると思い、ドアを開けました。
     実際は、n子チームマザーの激しい執念に根負けしたのです。    

     そして、その激しい執念で激しい説得を受けて、
      三日以内に、マンションを解約して、岡山教会へ入教すること 
     をチャーチマザー命令として、約束させられました。
     岡山教会へ持ち込める荷物は、
      衣装ケース二個とダンボール箱五箱のみ。
     非原理的なもの(統一教会の教義に反するもの、サタンのもの)は、全て処分
     するように指示されました。

     自分の中の罪悪感や霊界への恐怖心から解放されたいとの思いが強まっていて
     岡山教会への入教を受け入れざるを得ない心境になっていました。
     この心境の変化は、統一教会に植えつけられた新しい価値観から生じたもので
     した。
     私の場合は、このようにして、入教を決意させられました。

   2)岡山教会での生活
    一九九〇年一一月に、決められた量の荷物だけを持って、岡山教会へ入教しまし
    た。
    岡山教会は、新生トレーニングと実践トレーニングのスタッフとメンバーの共同
    生活の場であり、新生トレーニングの学びの場となっていました。
    部屋は、男性スタッフと男性トレーニング生の部屋、女性スタッフの部屋、女性
    トレーニング生の部屋に別れていて、狭い部屋の中に十数人の荷物が持ち込まれ
    ていました。
    宿泊場所は、二階の礼拝堂が男性に三階の講義室が女性にあてられていました。
    浴室は三階にありましたが、水行にしか使用されず、入浴は銭湯に連れて行かれ
    ました。
    洗濯は、三階ベランダにある二台の洗濯機(男女別)で各自行ないました。
    一日のスケジュールは、
     午前六時起床
     洗面
     体操、スポーツ
     朝食当番か掃除(当番制) 
     朝拝(祈祷、講話)
     各自、職場へ
     (お昼は定時連絡)
     午後六時頃、岡山教会へ戻り、着替えてから
     午後六時三十分頃、実践センターへ
     「伝道活動」「経済活動」に従事
     夕食は、各部ごとに適宜とり、
     午後十時頃解散 (午前二時迄活動させられたこともある)
     入浴(毎日ではない)
     蕩減条件
     祈祷会
     午前一時頃就寝
    この入教生活は、私の生活から「自由」を奪いました。
    全てのことが統一教会の管理下に置かれることになったのです。

    活動の合間にできる空き時間も、原理講論の学習にあてられたり、
    アベルの命令で、
    (a)実践トレーニング基台長
      基台員の活動意欲を上げるために、一人一人をケアする役目
    (b)食当
      統一教会員青学部の夕食を作る役割
    (c)保育
      ブルー展の時などに、統一教会員の子供の世話をする役割
    (d)ビデオセンター受付
      ビデオセンターで対象者の動きを見張る役割
    (e)イベント接待
      結婚講座、開運講座、国際情勢講座の時にお茶や食事を接待する役割
    (f)ブルー展タワー長補佐
      ブルー展で、トレーニング生の士気を上げるための激励や目標数値の確認を
      する役目
    などをさせられました。

   3)津倉荘での生活
    一九九一年二月から、青年実践部への異動命令を受けて、ホームと呼ばれていた
    津倉荘へ移動させられました。
    津倉荘は、一階が共同の場所で、「食堂」「浴場」「トイレ」「青学部長室」
    「青年実践部部室」「学生部部室」があり、二階は女性専用で、「マザーたちの
    部屋」「献身者の部屋」「青年実践部の部屋」「トイレ」があり、三階は「全体
    集合の部屋」「男性専用の部屋」「ビデオセンターの部室」「トイレ」がありま
    した。
    青年実践部の女性が暮らすことになった部屋は、八畳位の広さで、原理講論等を
    置く棚と衣装ロッカーが置かれてあるだけの簡素なものでした。
    その中で十数名ものメンバーが折り重なるようにして眠りました。
    私が移動した時には、暖房器具はなく、入教の際に皆から持ち込まれた沢山の
    布団や毛布を重ねて蓑虫状態で眠るという状態でした。
    毎日の活動が激しく、通常の洗濯もままならない状況でしたが、布団や毛布や
    シーツ類も何ヵ月も何年も干されていない、洗濯されていない状態でした。
    洗面は、二階のトイレを使用させられましたが、水は冷たく、しばられる思いで
    した。     
    洗濯は、最初は一階のトイレに置いてある洗濯機を使い、屋上に干していました
    が、途中から、二階と三階のトイレに設置された洗濯機と乾燥機を使うようにな
    りました。
    新しい洗濯機と乾燥機が設置された頃、三階の全体集合室にも冷房が取りつけら
    れました。それまでは、冷房器具はありませんでした。
    入浴は一階の浴室(男女別)を使用しましたが、活動の疲れもあって、毎日とい
    うわけにはいきませんでした。
    青年実践部は、入浴の順番が最後の方になるので、時間が遅くなることや、大勢
    が使用するので、お湯が残っていないこともありました。
    一日のスケジュールは、岡山教会での入教生活の時と同じく、ぎっしり組まれて
    いました。

   入教生活によって、
   ますます、一般社会から隔離され、
   親兄弟はもちろん、友人や知人、テレビや新聞等の情報から離され、
   統一教会という特殊な価値観を持つ集団の中へ閉じ込められていきました。

 2、献身までの準備期間 

   統一教会員養成過程を終了して、統一教会員としての資質を備えさせられた後は、
   社会人は、青年実践部か青年文化部へ、学生は学生部へ所属させられました。
   青年実践部と学生部は、献身までの間、統一教会員としての更なる訓練を受けさせ
   られる部署です。つまり、献身生活の基礎を身につけさせられるところなのです。

   私は、一九九一年二月から、青年実践部に所属させられました。
   青年実践部は、一ヵ月に入教費三〇〇〇〇円と部費三〇〇〇円が必要でした。
   入教費と部費以外に、十分の一献金、心情献金、蕩減献金、特別献金を求められま
   した。
   会社を辞めさせられて、失業保険の給付に頼っていた私にとって、これらの支出は
   厳しいものでした。
   青年実践部のスタッフは、私が配属させられていた期間では、s男部長、H子チーム
   マザー、h子チームマザーでした。

   青年実践部での訓練が終了すると、「食当」の責任分担に数か月就かされてから、
   「マイクロ」と呼ばれる珍味売りへと送り出されていきました。

   青年実践部になると、伝道と経済の実績に対する責任の問われ方がますます厳しく
   なっていきました。
   月初めに提出させられた「伝道と経済の目標数値」に実績が達成しそうもない月は
   何日も徹夜の活動をさせられました。
   全体で行なう「蕩減条件」や夜を撤した「リレー祈祷」にも参加させられました。

  1)青年実践部における情報コントロール
   (a)内部修練会へ参加させられる。
     「原理講論」「国際情勢」の青学部長による三日間の講義を聞かされる。
   (b)献身講座へ参加させられる。
     献身には、内的献身と外的献身がある。
     内的献身が大切である。
     内的献身とは、文鮮明の命令に絶対服従すること。
     文鮮明の命令にすぐ従える覚悟があるか。
     を問われる内容でした。
   (c)祝福に関する講話を聞かされる。
     祝福の条件
      相対者を感謝して受け入れなければならない。
      霊の子三名を復帰しなければならない。
      霊の子がいないと、自分を守ってくれる基台がない。
      基台がないと、祝福が壊れたり、子供に障害が出る。
     という話を聞かされました。
   (d)反原理対策講座へ参加させられる。
     岡山では、反対牧師による統一教会員の脱会が深刻化していたので、こうした
     反原理対策講座は頻繁に行なわれました。
     統一教会に反対する組織や団体の名前、反対牧師の名前を教えられましたが、
     メモを取ることや資料を持ち出すことは禁じられていました。
     反対牧師による拉致・監禁
      アパートかマンションの一室に閉じ込められる。
      その部屋の窓には鉄格子がはめられていていて、ドアには鍵がかけられ鎖で
      ぐるぐる巻きにされている。
      腕や身体をロープで頑丈に縛られるか、椅子にくくりつけられる。
      反対派の書いた本を強制的に何日も徹夜で読まされる。
      食事を与えられない。
      そのような状況の中で、キリスト教に改宗するまで、反対牧師の説得が続け
      られる。
     反対牧師に捕まったらどう対処するか。
      祈り続ければ、脱出のチャンスもある。
      反対牧師は、重箱の隅をつつくような些細なことしか言わないので、
      文鮮明のビジョンを語ってあげる。
      対応できなくなったら黙秘する。
   (e)統一教会幹部の講話に参加させられる。
     アメリカで、文鮮明と一緒に長い間過ごし、ダンベリー刑務所へも一緒に入り
     服役したという松崎裕史から、文鮮明の美談を聞かされる。
   (f)韓鶴子来日信徒大会へ参加させられる。
     一九九一年九月二三日の早朝、岡山・倉敷の統一教会員全員が、会場となって
     いる福岡へバスで移動させられました。
     日本の法律では、文鮮明は日本への入国ができません。
     文鮮明の夫人である韓鶴子が代理で、日本の統一教会員を激励するために来日
     したと言われていました。
     韓鶴子は、韓国語で、
      文鮮明は、日本の教会員の苦労を知っておられる。
      あなたがたを休ませてあげたいと思っておられる。
      けれども、神様の摂理があるので、それもできない。
      文鮮明は、いつもみんなに申し訳ないと云ってられる。
     と話しました。
     通訳を通して、わたしたちに語られたその言葉を聞いて、会場中がすすり泣き
     ました。
     しかし、その言葉の裏には、お前ら働きがわるいぞ。もっともっとお金を稼い
     でもらわないと困るじゃないか、という催促の気持ちがあったと思われます。

  2)青年実践部における行動コントロール
   (a)国際勝共連合の選挙活動の手伝いをさせられる。
     森議員、蜂谷議員、磯村議員の決起大会の案内、挨拶まわり、ポスター貼り等
     の手伝いと講演会への参加をさせられました。
   (b)「マイクロ」の訓練に参加させられる。
     珍味売りのやり方や予備訓練に参加させられる。
     珍味売りのやり方
    ョ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「イ
    、北海道からやってきた珍味の会社の社員研修を装う。          、
    、「こんにちは。にこにこにっこりニッポーです。            、
    、 きょうは、社員研修で北海道からやってきました。」         、
    、と言って、替え歌を歌いながら踊りまくる。              、
    、そして、味見用のタッパーケースを開けて、試食してもらう。      、
    、相手に喜んでもらうことで、二五〇〇円の高い珍味を買ってもらう。   、
    カ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「コ
    s男部長の指導は適切で、替え歌や踊りも若人向けにアレンジされていて受け入
    れやすく、訓練の回数を重ねるごとに、早く「マイクロ」へ行きたい、「献身」
    したいと思う青年実践部員は増えていきました。

   (c)(株)ワコム岡山営業所へ勤務させられる。
     失業保険の失業給付の期間が終わって収入がなくなると、チームマザーから
     活動に差し障りのない会社を探して働くようにとの指示がありました。
     しかし、なかなか見つかりませんでした。
     一ヵ月ほど経った頃に、チャーチマザーに呼ばれて、
     統一教会系企業の営業所が岡山にできるので、事務員として働いてみないか、
     との話がありました。
     そして、アルバイト待遇で勤めることが決まりました。
      時給八〇〇円。
      交通費なし。
      社会保険なし。
     私が勤めることになった会社は、(株)ワコム岡山営業所です。
     ワコムは、コンピューター関連の会社で、当時の社長は、古田元男でした。
     ワコムはペン入力の特許を持っていました。
     CADのソフト開発にも力を入れていて、NECのハードとセットで販売して
     いました。イスラエルで開発されたDBマジックという単独ソフトも売り出し
     ていました。
     (株)ワコム岡山営業所は、岡山市野田にありました。
     従業員は、全員が統一教会員で、k男所長(二一日修練会終了者)、k子所員
     (献身者)、f子所員(献身者で祝福を受けている)と私の四名でした。
     私のワコムでの勤務期間は八ヵ月でした。

 3、祝福までの準備期間

   私は、岡山の青年実践部から献身をさせられ、そして、祝福を受けさせられること
   になっていました。

   しかし、私は、(株)ワコムのk男所長に非原理的言動を見て、とてもその場に居られ
   なくなり、青学部長とチャーチマザーの許可を得て、ワコムを辞めていました。
   また、チャーチマザーからは収入が得られないなら津倉荘を出るようにとの宣告も
   受けていました。

   その時の私は、いろんな意味で、統一教会の活動を休みがちでした。
   「祝福」の話が持ち上がり、皆が、伝道活動に、経済活動にと邁進している時に、
   私は、統一教会系企業を辞め、統一教会の活動に身を入れられなかったのですから
   組織の厄介者だったことは、容易に想像がつきます。
   そんな中、私は、統一教会発行の「中和新聞」に、世一観光(株)の社員募集広告を見
   つけ、チャーチマザーに相談して、応募させてもらうことにしました。
   早急に仕事を見つけなければ津倉荘を追い出される、そんな切羽詰まった状況の中
   での判断でした。
   この時の私は、全てを失い、統一教会にしか居場所のない状況でした。

   私は、一九九二年三月から世一観光(株)広島営業所に勤務することが決まりました。
   それに伴い、青学部長の命令で、広島教会の青年部へ転属させられることになりま
   した。

  1)広島教会の青年部での活動
   青年部の活動は、広島市中区にある青春センターが拠点になっていました。
   青年部のスタッフは、N 男部長、i子チームマザー、H 子チームマザーでした。
   青年部は、一ヵ月に部費一〇〇〇〇円が必要でした。
   部費以外に、十分の一献金、心情献金、蕩減献金、特別献金を求められました。
   活動内容は、岡山教会と同じく「伝道活動」と「経済活動」が中心でした。
   「伝道活動」には、路傍伝道と訪問伝道があり、
    路傍伝道は、八丁堀のアーケードで行なうことが多く、時には、路面電車の乗り
    場の近くやコンビニの前で行なうこともありました。
    訪問伝道は、部長の車で移動し、一人暮らしのアパートやマンションを徹底して
    回りました。
    そして、同じ中区にあるビデオセンターへと連れて行き、入会をさせるのが目的
    でした。
    広島教会の勧誘の方法も養成の方法も、岡山教会と全く同じでした。
    統一教会の勧誘、養成は、全国組織で行なわれているので当然のことです。
   「経済活動」は、ブルー展が中心でした。
    ブルー展は、やはり二〜三ヵ月に一度の割合で行なわれ、取り扱う商品も全く同
    じものでした。
    ブルー展の動員のやり方も岡山と同じで、まず対象者リストを作成し、アベルの
    指示で、電話や訪問で動員をかけていきます。
    目標金額を設定するのも全く同じでした。
    対象者がいない場合は、路傍アンケートや訪問アンケートを利用して動員してい
    くやり方を指示されました。
    目的を達成するためには、高熱がある時でも容赦なく、街頭へ出されました。
    「祝福」が近いという声が高まってきている時でした。

  2)世一観光(株)広島営業所での勤務
   世一観光(株)広島営業所は、広島市中区小町にあるマスダビルの七階にありました。
   マスダビルには、世一観光(株)の他に、六階にパシフィック産業、五階に(株)丸扇等の
   統一教会系企業が入っていました。
   従業員は、全員が統一教会員で、a男所長(献身者で祝福を受けている)、G子さ
   ん(献身者)、K 子さん(献身者で祝福を受けている)、S 子さん(献身者)、t
   子さん(献身者)、s 子さん(献身者で祝福を受けている)と私の七名でした。
   勤務時間は、午前八時〜午後六時位でしたが、祝福が近くなると渡航準備に徹夜作
   業が続くこともありました。
   世一観光(株)広島営業所が扱っていたのは、殆どが、統一教会の研修ツァーでした。
   私が参加させられたソウルスリーディズセミナーや韓国フォーディズセミナーも
   世一観光(株)の企画するツァーであったことを知りました。
   世一観光(株)では、このツァーへの参加者を多く出した中四国ブロック内の各部署に
   参加人数に応じて毎月報奨金を出していました。
   金銭出納帳もAとBの二種類がありました。Aの帳票は表向きのもので、Bの帳票
   では、統一教会員の幹部の交通費が処理されていました。
   その関係で、マスダビルにある統一教会系企業に所属する統一教会幹部だけでなく
   広島教会の幹部も顔を出すことがあり、広島教会へ転属したI男さんにも何回か会
   いました。
   パシフィック産業は、一和の高麗人参茶の卸をしている会社で、社長には統一教会
   中四国ブロックのS 男ブロック長が、専務には統一教会のO男対策部長が就任して
   いました。
   パシフィック産業と世一観光は、朝の朝礼を一緒に行なっている時期がありました
   が、パシフィック産業の監査の時期に重なった時に、余計なことはしゃべらないよ
   うにと厳重注意を受けたことがありました。
   また、パシフィック産業でアルバイトしている統一教会員(青年部)から、場所は
   大幹部の人しか知らないが、この近くに統一教会の秘密の経理処理をしている所が
   あることを、その経理処理をしている統一教会員の姉妹から教えられたと、聞かさ
   れたことがありました。
   多分、そこで、文鮮明へ送るお金を管理していたのだと思います。

   私は、世一観光での仕事を終えると、世一観光の人たちに送り出されて、その足で
   青春センターへと直行させられました。
   最初の内は、世一観光の女子寮に入居させられていたからです。
   世一観光の女子寮は、広島市中区猫屋町のコーポみずほ二〇一号室にありました。
   入居者は、K 子さん、S 子さん、t子さんの他に統一教会系企業セイロモータース
   の献身者もいて、私を含めると五名になりました。
   部屋の間取りは三Kで、奥の二部屋を寝室にしていました。

   寮での生活は、
    午前五時三十分起床 
    午前六時から祈祷会 
    祈祷会の後は、朝食作り、掃除(当番制)を行なう
    朝食(食事の間は、ラジオのハングル講座を聞かされた)
    朝食後は、身仕度をして、出勤していきました。
    夕食は、広島教会の近くにあるマンションの一室(献身者の食堂)で取らされま
    した。私は、青年部の活動を終えてから夕食を取り、寮に戻りました。
    この食堂には、世一観光、セイロモーターズ、アート創和の献身者も来ていまし
    た。この食堂のあるマンションには、統一教会系企業で仏壇仏具の会社、安芸天
    正堂の事務所も入っていました。
    夕食後は、寮で夜の祈祷会
    午後十一時頃就寝
   世一観光の寮費は、食費込みで、一ヵ月四〇〇〇〇円でした。
   私は、世一観光の寮には、二ヵ月間、滞在させられました。

   その後は、広島教会のチャーチマザーから、青年部のホームへ移るように指示され
   五月からは、広島市中区寺町のパークマンション四〇二号室にある青年部のホーム
   へ転居させられました。
   青年部の一ヵ月の費用は、入教費三〇〇〇〇円、部費三〇〇〇円でした。
   部屋の間取りは、三Kで、ここには、H子チームマザーも含め一四〜五名のメンバー
   が住んでいました。
   青年部のホームでの生活も、世一観光女子寮での生活と同じでした。
   だだ、夕食は、青春センターで済ませて帰ることになりました。

  3)祝福が近づく中で     
   もうすぐ「祝福」があるのではないか、という噂が、統一教会内のあちらこちらで
   囁かれるようになってくると、祝福に関する講義が頻繁に行なわれるようになって
   きました。
   「祝福は、他人から奪ってでも受けよ」
   これが、私たちに植えつけられていった「新しい価値観」でした。

   また、祝福の準備金として、一人六〇〇〇〇〇円が必要だとの話も出ていました。

   そして、一九九二年八月に祝福が行なわれるとの発表がありました。
   統一教会中が祝福の話題で一杯になり、祝福以外のことは考えられない状況になっ
   ていきました。

   広島教会の青学部でも、祝福へ向けてのセミナーやトレーニングが始められていき
   ました。

   私は、まず、一九九二年四月二九日〜五月五日に実施された「祝福セブンディズセ
   ミナー」へ参加させられました。
   祝福セブンディズセミナーは、広島市西区にある高須会館という統一教会の施設で
   行なわれました。
   セミナー費は、一五〇〇〇円。
   セミナーの内容は、前半が原理講義で、後半が親善会のハンカチ売りでした。
   ハンカチの売上額をより多く出すことが、祝福の最もよい条件になると言われてい
   ました。  
   毎朝午前八時に高須会館を車で出発して、与えられた任地で降ろされました。
   ハンカチ売りは、午後八時か九時頃までさせられました。
   ハンカチ売りの途中には、定時連絡があり、アベルに売上状況を報告させられまし
   た。売上状況のわるい時は、祈祷や昼食抜きの条件を課せられました。
   私は、三日間、一日十二時間以上も歩かされ、高層マンションでは、条件になるか
   らと階段を走って昇り降りさせられたことで、三日目の午後に左足のつけ根に激痛
   が走りました。それでも、「祝福」の条件を放棄することはできませんでした。
   びっこを引きつつ、激痛に耐えながら、ハンカチ売りを続けさせられました。
                
   祝福セブンディズセミナーが終わると、青年部から祝福トレーニングへ転属させら
   れることになりました。
   祝福トレーニングは年齢が三〇歳以上のメンバーで構成されていました。
   ホームも、広島市中区十日市にあるマンションの一室へと移動させられました。
   祝福トレーニングのスケジュールは、
   午後七時〜午後一一時位まで、広島市中区土橋町にある統一教会の広島教会で講義
   を受けさせられ、青春センターへ戻り、祝福の条件としての伝道活動、経済活動に
   これまで以上に邁進させられました。
   祝福の期日が迫る中、霊の子三名が復帰できないことをアベルから激しく問われる
   ようになっていきました。
   また、祝福の準備として、次のことをさせられました。
   (a)健康診断(エイズ検査を含む)
   (b)「告白文」の作成
     過去のアダム・エバ問題を詳細に書かされました。
     相手の名前、日にち、時間、場所、具体的内容(片思いも含む)等。
     今回の告白文は、直接文鮮明が読むという話がありました。
   (c)祝福の写真撮影     

   また、K 男教育部長からは、「三日儀式」の講義がありました。
   祝福トレーニング生の場合は、年齢的なものから、祝福後はすぐに家庭を持たされ
   る場合が多くなるということで、統一教会における祝福後の「結婚初夜」について
   の説明でした。
    今回の祝福の場合は、すぐに「三日儀式」を行なってもよい。
   これが、この講義で新しく植えつけられた価値観でした。

   原理講論の内容を徹底的に植えつけられた統一教会員にとって、一番大切なことは
   「祝福」です。  
   祝福が与えられると、
    原罪が清算され、無原罪の子供が生まれます。
    霊界の先祖も救われます。
    家族も救いの道につながります。
    神様も喜ばれます。
    自分自身も、霊界の恐怖から解放されます。
   祝福を得るためには、どんなことでもやらなければ、という気持ちにさせられまし
   た。
   文鮮明の命令に従うのは当たり前の心境でした。

  4)突然の父の死
   一九九二年六月二十日の朝、アベルから、父が交通事故にあったことを聞かされま
   した。
   自宅へ帰る交通費のない私に、アベルは、他の人の献金袋の中から、私の交通費を
   調達してくれました。
   その日の夕方、病院へかけつけた時には、父はすでに亡くなっていました。
   即死だったそうです。
   何故こんなことが起ったのか「「「「「「
   突然、因縁トークの時に、
    B子家は、男性運がよくない。
    あなたが頑張らなければ、B子家の男性、特に弟さんの生命が危ない。
   と言ったI子さんの言葉が、私に襲いかかりました。
    父の次は、弟かもしれない。
   急に身震いがして、奈落の底へ落ちていくような気持ちになりました。

   どんな時でも、アベルへの定時連絡は続けさせられていました。
   父の葬儀を終えた後、広島で巡回師の面談を受けるよう指示されました。
   どんなことがあっても、広島へ帰るように命令されました。

   巡回師は、
    あなたは、罪観もメシア観も全く確立できていない。
    原理講論の内容に感動したことはあるのか。
    霊の子が立たないのは、あなたが納得していないからだ。
    本当は、お父さんではなく、あなたが死ぬはずだった。
    あなたが霊の子を立てられないので、祝福の条件として、神があなたのお父さん
    をその代償とした。
    その神の愛と、お父さんに感謝して、もっともっと頑張りなさい。
   と言いました。

   あまりにも、衝撃的なことばでした。

   「あなたがお父さんを殺した。」
   と、巡回師は、私に宣告したのです。

   私は、自分自身を責めました。
   祈祷室で、声にならない声で、神と父に誓いながら、激しく嗚咽しました。
    今は、過去を嘆いている時ではない。  
    神と父の願いは、私が祝福を受けることなのだ。
   それしか残された道はない、と固く決意させられていきました。

  5)家族に保護される
   一九九二年七月に、父の四九日の法事で再び自宅へ帰りました。
   法事の後で、私は、統一教会が反対牧師と呼んでいる牧師さんのところへ連れてい
   かれました。
   そして、牧師さんの話を聞くことになりました。
   私は、牧師さんに対して、統一教会で教えられたことを全て実践しました。
   しかし、牧師さんの話の内容は論理的で一貫性のあるものでした。
   私は、自分自身を取り戻していく中で、物事を広い範囲で考えられるようになり、
   統一教会に騙されていたことを理解しました。
   そして、誰に言われるわけでもなく、自分自身の意思で脱会を決意しました。

統 一 教 会 の 活 動 を 振 り 返 っ て

 1、伝道活動のあり方

   統一教会の伝道方法は、
    統一教会の名前も
    教祖の名前も
    教義内容も
    全財産を献金させることも
    生涯、多額の献金を要求し続けることも
    長期にわたる養成トレーニングを受けさせることも
    会社を辞めさせて、献身させることも
    教祖の要求する莫大な現金を集めるため、過激な経済活動に邁進させることも
    教祖の決めた相手と祝福を受けさせることも
    教祖の命令で海外宣教へ出さすことも、
    活動できなくなると追放することも
   その人の人生に関わる大切なこと全てを隠して、
    青年サークルであるとか、
    人生の知恵を学ぶビデオ講座であるとか、
    そんな当たり障りのない内容で、アンケートに協力してほしい、と接近し、
   アンケートで、予め人材の選別を行なった上で、
   相手の気持ちを統一教会に向けさせ、
   ビデオセンターという、統一教会員で構成された特殊な世界へ引き込みます。

   ビデオセンターでは、
    もう一度、アンケートによる人材の選別と所持金の把握を行い、
    ビデオへの関心を高めて、入会を決意させます。
    入会後は、対象者を一般社会からの情報隔離を行なうために、
     ビデオセンターに来ていることを口外させない
     会社終業後は、すぐにビデオセンターへ向かわせる 
     毎日、ビデオセンターへ通わせる
    を徹底して行ない、
    その後は、対象者のニーズ別に作られた統一教会員素地教育のシステムにのせ、
    対象者の思考の変革状況を、ビデオの後に書かせる「感想文」でチェックし、
    システムの軌道から外れようとしている場合は、紹介者にフォローをさせ、軌道
    修正を行ないます。
    ビデオを見せ続けることと、コンサルタントの指導と紹介者のフォローによって
    素地教育は深化していきます。
   こうして、対象者に気づかせることなく、少しずつ新しい価値観への刷り替えを
   行ないます。
   統一教会、文鮮明の名前を証す前に、統一教会の教義である原理講論の内容をそれ
   とは知らせずにインプットしていき、
   対象者が、統一教会と文鮮明を無条件で受け入れられると判断できた段階で、
   初めて、本当の名前を証します。
   しかし、ここで証すのは、統一教会と文鮮明の名前だけです。

   宗教の伝道で、このような勧誘方法が認められるものなのでしょうか。
   勧誘される側から、統一教会への入会を決断するために必要不可欠な情報、資料、
   時間を奪った上で、統一教会への入会をしなければならない状況を故意に作り上げ
   た中で決断を迫ります。
   統一教会は、これを勧誘された側の自発的意思によるもの、と主張しますが、
   このような状況の中で、人間は、本当に自発的決断ができるものなのでしょうか。

 2、経済活動のあり方

   統一教会の経済活動の根底にあるものは、常に「霊界の恐怖」です。

   献金のさせ方においても、
    霊界の恐怖を植えつけてから、
    統一教会員が取り囲む状況の中で、
    長時間の説得を行い、
    解決困難な問題提起をした上で、
    その難問の解決者は「文鮮明」しかいないと答えを導いておき、
    その文鮮明が「全財産」を欲しがっているとほのめかし、
    全財産を献金しないと救いの道が閉ざされると脅し、
    さあ、どうするか、と迫るのです。
   宗教における献金は、どの宗教でもこのような方法で決断させられるものなので
   しょうか。
   これを、自分自身の意思で決断して献金したものと断言できるのでしょうか。

   ブルー展における商品の販売においても、
    霊界の恐怖を直接与えるわけではありませんが、
    商品を販売する統一教会員に霊界の恐怖を用いています。
   ブルー展の販売方法は、
    主催が統一教会であることも
    統一教会員にさせる条件で買わせることも、
    売上金は全て文鮮明に送金されることも、
    そのお金が文鮮明の野望のために使用されることも、
    商品購入後は、ビデオセンターへ入会させることも、
    ビデオセンターへ入会後は、統一教会に全財産を献金させることも、
    統一教会へ献金後は、統一教会員にさせることも、
   全てのことを隠して、販売していきます。
   販売の対象者が、どの位の商品なら購入可能であるかを把握しておき、
   会場では、統一教会員中心の特殊な空間の中で、トーカーと紹介者がつきっきりで
   長時間をかけて説得を行い、より高額な商品を購入させていきます。

   統一教会のように、
   教祖がいつもお金を欲しがっている宗教が、他にも存在するのでしょうか。
   統一教会は、統一教会員から、とことんお金を搾り取るだけでなく、
   全国に、色々な販売網を敷いて、一般の人たちからも、あの手この手で、絞り取れ
   るだけのお金を奪い取るのです。
   統一教会員たちは「天法は、地法に勝る。天法に従え」との文鮮明の命令に従い、
   お金集めに邁進させられます。         
   このようなことが、宗教であるというだけで許されるものなのでしょうか。

 3、統一教会員は、統一教会の一番の被害者

   統一教会員は、自らの意思で、統一教会に入会した訳ではありません。
   これまでに事実を述べてきた通り、組織ぐるみの特殊な勧誘方法によって、入会を
   決断させられたにすぎません。
   その方法は、個人の情報や行動を意図的にコントロールして、入会に結びつけると
   いうやり方でした。
   入会の決断にも、統一教会は組織として大きく関わっていますが、その後の統一教
   会の伝道活動や経済活動に従事させるためにも、ずっと、コントロールを続けてい
   きます。
   つまり、統一教会員は、文鮮明と統一教会という組織に操られながら、これらの活
   動に邁進させられているのです。
   自分自身の意思で、統一教会の反社会的活動に従事している訳ではありません。
   統一教会員たちは、文鮮明と統一教会を盲信させられていて、原理講論という特殊
   で美しい教義内容と霊界の恐怖を、アメとムチのように使い分けられながら、この
   ような活動へと追い立てられているのです。
   統一教会員には、選択の余地はありません。
   お金もない。
   帰るところもない。
   社会の価値観とは相反する価値観を植えつけられて、一般社会では暮らせない。
   これが、統一教会員の姿です。
   統一教会にとって、統一教会員は、最高の金蔓であり、最高の労働力です。
   そして、文鮮明と統一教会への絶対服従者なのです。
   私は、統一教会員こそが、統一教会の一番の被害者であると思っています。
   私が、証言できるのは、自分が体験した献身前、祝福前までの統一教会員としての
   活動に関してだけです。
   しかし、本当に知ってほしいのは、その後の統一教会員の実態です。
   献身後、祝福後の統一教会員の生活がどれだけ悲惨なものへと変わっていくか、
   そして、文鮮明のためにどれだけ苛酷で非人道的な活動へ従事させられていくか、
   そこに、統一教会の本質を垣間見ることができるのです。
   私は、そういった体験を持つ元統一教会員の方々からの証言もお願いしてきました
   が、彼らが心に受けた傷は、言葉で説明できないくらい大きく、また深く、事実を
   を語れるようになるまでには、まだまだ多くの時間を必要としています。 

最 後 に

   青春を返せ裁判の名古屋での判決においても、A男さんの判決においても、
   統一教会の被害者同士の証言を取り上げるだけに終わっています。
   その中で出された判決には何の意味も見い出せません。
   この問題を正しく審議していただくには、統一教会員たちの行末に心を痛められ、
   そして、専門的な立場から統一教会を調査・研究してこられた宗教学者や心理学者
   の方々の証言を避けては通れないことを申し上げておきたいと思います。



     一 九 九 八 年 七 月 十 日

                              B      子



岡 山 地 方 裁 判 所 御中
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