季刊・東ティモールホーム


文献案内

2004年1月改定

価格は発売当時のもので今はちがっているかもしれません。


<基本図書/日本語>
手始めに何を読むべきか、まよっているあなた。まずはここにある本から始めるのがいいでしょう。

松野明久『東ティモール独立史』早稲田大学出版部、2002年。1950年代のポルトガル植民地の状況から、1999年の住民投票までを描いた、東ティモール独立の経過についての日本語では最も網羅的な解説。英語、ポルトガル語、インドネシア語、日本語の文献一覧、年表、人名索引もついている。東ティモールを深く知りたい人の必読書。

高橋奈緒子・益岡賢・文珠幹夫著、『東ティモール---奪われた独立・自由への闘い』、明石書店、1999年10月。800円。同名の東ティモールに自由を!全国協議会の冊子が明石書店から新装出版されたもの。住民投票後の展開についてもフォローしてあり、簡潔にして網羅的。注文は書店または明石書店へ。

高橋奈緒子・益岡賢・文珠幹夫著、『東ティモール2、「住民投票」後の状況と「正義」の行方』、明石書店、2000年10月31日。77ページ。800円。上のブックレットに続く第2弾で、タイトル通り、住民投票後の騒乱から人道に対する罪の国連報告書、インドネシアの東ティモール人権侵害調査委員会報告書、難民問題あたりまで扱っている。必読書。

古沢希代子・松野明久『ナクロマ・東ティモール民族独立小史』日本評論社、1993年、279頁。サンタクルス虐殺あたりまでをカバーした東ティモール問題の総合的解説。タイトルのナクロマは東ティモールの言語、テトゥン語で「光」を意味する。すでに絶版。図書館で探して下さい。2200円。

カルメル・ブディアルジョ&リエム・スイ・リオン『地図から消された東チモール』ありえす書房、1986年。イギリスでインドネシア・東ティモール・西パプアの人権問題を中心に活動する人権団体タポルのスタッフが書いた東ティモール問題についての包括的解説。人権状況、インドネシア軍による支配体制について詳しい。日本語版はすでに絶版。図書館で探して下さい。原題は「The War against East Timor」。

アムネスティ・インターナショナル日本支部編『小さな島の大きな戦争・東チモール独立運動をめぐる大規模人権侵害』第三書館、1989年、310頁。問題の経緯、支援運動、教会、旧日本軍兵の関りなどのほか、第2部はアムネスティの人権レポートを全訳している。1800円。

ロイ・パクパハン著『東ティモール---独立への道』、インドネシア民主化支援ネットワーク(ニンジャ)発行、コモンズ発売、1999年3月。60頁、600円。ロイ・パクパハンはインドネシア人新聞記者でインドネシア人の東ティモール支援団体「ソリダモル」のメンバー。インドネシア人として初めて東ティモールのゲリラを取材したことでも知られる。(原題はMengenal Timor Timur - Dulu dan Sekarang。注文はニンジャのホームページへ。

<解説>

松野明久「東チモール、独立へ」『ブリタニカ国際年鑑、2000年特別記念号』、TBSブリタニカ年鑑株式会社、2000年4月、398-401ページ。4頁の簡潔な解説。授業などで配るのに便利。

後藤乾一「東ティモール『州』、『自決』への道」、後藤乾一編『インドネシア:揺らぐ群島国家』早稲田大学出版部、2000年11月、145-220ページ。住民投票へいたる概略。やや詳しい。

<独立後の政治>

松野明久「東ティモール大統領と内閣の対立」『世界』2002年6月号、岩波書店、25-8頁。

松野明久「東ティモール政治のスタート」『月刊オルタ』2002年8/9月合併号、アジア太平洋資料センター発行、8-11頁。

松野明久「東ティモールにおけるポスト・コンフリクトの課題」『国際問題』2003年7月号、国際問題研究所、55-71頁。

<住民投票前後の論考>

古沢希代子「東ティモール、住民投票のゆくえ」『世界』1999年9月号、pp. 178-179。

古沢希代子「東ティモールと『日本の貢献』---自衛隊派遣のまやかし」『軍縮問題資料』1999年12月号、pp. 72-77。

古沢希代子「東ティモール---『和解』を阻むもの」『インパクション』116号、1999年10月。

『月刊オルタ』1999年7月号、「東ティモール、激化する独立派住民への攻撃、ラウラ・ソアレスさんに聞く」、pp. 20-22。

古沢希代子、「東ティモール、『内戦』シナリオとの闘い---インドネシア軍駐留こそテロの温床」『アムネスティ・ニュースレター』1999年7月号、pp. 8-9。

『月刊オルタ』1999年10月号、「緊急報告:東ティモールに平和を!古沢希代子さんに聞く」(聞き手:村井吉敬)、pp. 15-19。

吉村文成「東ティモール危機の内幕」『アエラ』1999年9月27日号、pp. 66-67。吉村氏は朝日新聞ジャカルタ支局長。

白石隆「インドネシアはどうなる」『中央公論』1999年11月号、pp. 60-67。

首藤信彦「東チモール---和解は可能か」『世界』1999年11月号、pp. 98-104。

塩沢英一『インドネシア烈々』社会評論社、2000年9月。「第8章、東ティモール住民投票」がある。塩沢氏は弓道通信社ジャカルタ支局長。

Martin, Ian, Self-Determination In East Timor: The United Nations, the Ballot, and International Intervention, Lynne Reinner Publishers, 2001, 168p. 住民投票を実施した国連派遣団(UNAMET)の代表をつとめたイアン・マーティンが住民投票をふりかえって書いたもの。国連外交の内側についても示唆にとむ。

Bulletin of Concerned Aisan Scholars, Volume 32, Number 1-2, Special Issue on East Timor, Indonesia and the World Community, January-June 2000. UNAMETの政務官やその他の論者がかいた住民投票をめぐるいくつかの論考がおさめられている。

Tanter, Richard, Mark Selden and Stephen Shalom (eds.), Bitter Flowers, Sweet Flowers: East Timor, Indonesia, and the world community, Rowman & Littlefield Publishers, 2000. 上記のBulletin of Concerned Asian Scholarsの特集号に論考を追加して本にしたもの。

Martinkus, John, A Dirty Little War: An eyewitness account of East Timor's descent into hell, 1997-2000, Random House Australia, 2001. 住民投票に至る東ティモールを人びとの視点から取材したAP記者の本。

McDonald, Hamish, et al, Masters of Terror: Indonesia's military and violence in East Timor in 1999, Canberra Papers on Strategy and Defence No. 145, Strategic and Defence Studies Centre, Australian National University, 2002. 住民投票前後の暴力と騒乱を徹底解剖したもので、学者とジャーナリストの合作。インドネシア国家人権委員会東ティモール人権調査委員会の報告書の全文英訳が出ており、また関係したと思われるインドネシア軍将校、民兵指導者などの履歴・罪状などが詳細な一覧となっていて、価値が高い。

Greenlees, Don, and Robert Garran, Deliverance: The inside story of East Timor's fight for freedom, Allen & Unwin, 2002. 保守系の新聞「ジ・オーストレイリアン」紙のジャカルタ特派員による、住民投票に向けての動きの内幕もの。オーストラリア外務省、インドネシア高官などへのアクセスがある記者によるもので、タイトルとは内容がかなり違うが、それなりに興味深い。

Fischer, Tim, Seven Days in East Timor, Allen & Unwin, 2000, 149p. オーストラリア政府住民投票監視団を率いた元副首相の住民投票の記録。7日間とは8月26日から9月1日までをさす。

Kingsbury, Damien (ed.), Guns and ballot boxes: East Timor's vote for independence, Monash Asia Institute (Monash University, Melbourne), 2000, 201p. シャナナ、ベロ司教、UNAMET政務官、インドネシア人ジャーナリストなど各方面の論者を揃えて住民投票を多方面から検証。

Chalk, Peter, Australian Foreign and Defense Policy in the Wake of the 1999/2000 East Timor Intervention, RAND, 2001, 88p. ランド研究所によるオーストラリアの東ティモール介入政策についての本。

<基本図書/英語>

Budiardjo, Carmel and Liem Loei Liong, The War Against East Timor, Zed Books Ltd., London, 1984. 253p. ISBN 0 86232 229 4 (paper back). 『地図から消された東チモール』の原著で、インドネシア軍による東ティモール侵略の全貌、軍支配体制について詳細な報告やデータを用いて状況を活写した、もはや古典。1984年以降、東ティモール情勢は大きく変化しており、その点については新しい本を見る必要がある。

Dunn, James, Timor --- A People Betrayed, ABC Books, Australia, 1996. 365p. ISBN 0 7333 0537 7. 著者はポルトガル時代の元オーストラリア東ティモール総領事。外交官として東ティモールの政治的変動、侵略、その後の国際関係などをくわしく分析。初版は1983年に出版されたが、1996年の改訂版はその後の動きもカバーして、現在ではもっとも幅広く引用される本となっている。著者のあたたかいまなざし、高い人権意識に支えられた好著。注文は呉YWCAへ。tel/fax. 0823-21-2414。4000円(送料込み)。

Taylor, John, Indonesia's Forgotten War --- The Hidden History of East Timor, Zed Books/Pluto Press Australia, 1991, 230p. ISBN 1 85649 015 7 (paper back). 著者はイギリスの社会学者で長年の東ティモール専門家。1990年までの東ティモールの状況を包括的に記述しているが、他の著書とちがうところがあるとすれば、現地での事態の推移にかなり力点があり、国際関係にあまりページがさかれていない。

Jolliffe, Jill, East Timor --- Nationalism & Colonialism, University of Queensland Press, Australia, 1978, 362p. ISBN 0 7022 1481 7 (paper back) 東ティモールの非植民地化が始まって以後、侵略にいたるまでの時期について現地取材、インタビューなどを通じて描いた、かなり資料的価値の高い一冊。この時期は今もって問題のルーツであり、問題の歴史的な検討をするときには必要。著者はジャーナリスト。

Kohen, Arnold, From the Place of the Dead: Bishop Belo and the Struggle for East Timor, Lion Publishing plc, 1999, p. 398. ISBN 0 7459 5010 8 (pbk)。アメリカ人で長年東ティモール問題に取り組んできたアーノルド・コーエン氏によるベロ司教の伝記というスタイルをとった東ティモール問題の歴史。コーエン氏はベロ司教のアドバイザーをつとめてきた。

Gunn, Geoffrey C., Timor Loro Sae 500 Years, Livros do Oriente, Macau, 1999, 323p. ジェフリー・ガン氏は長崎大学経済学部国際関係論の教授。東ティモールについてはいくつもの著作があり、この本は民族主義運動がおこるまでの東ティモールの長い歴史を書いたもの。非常によく調べられていて、資料など参考になるところが多く、東ティモールの歴史をひもとく人には必読の書。

<内外の定期刊行物>

『季刊・東ティモール』大阪東ティモール協会が2000年10月から発行している、暫定行政下の東ティモールについての動向情報誌。かなり詳しい。年間定期購読料2500円。ただし主な記事は本ホームページでも見れます。(季刊・東ティモールのページへジャンプ

『東ティモール通信』呉YWCA東ティモール問題を考える会発行。すでに廃刊。1983年から2000年4月まで発行し続けた。今では非常に貴重な情報誌。とくに80年代後半、ほとんどの書物がカバーしていない時期のこまかな動きを知るのには今のところこれしかないと言える。

Timor Link, published by CIIR. Order to: East Timor Project, c/o CIIR, Unit 3, Canonbury Yard, 190A New North Road, London N1 7BJ, UK. tel. 0171-354-0833. fax. 0171-359-0017. Catholic Institute for International Relations (カトリック国際関係研究所)すでに廃刊。ロンドンにある社会正義関連のNGO。東ティモールについてはコンスタントに取り組んでいた。

TAPOL Bulletin, published by Tapol: The Indonesia Human Rights Campaign. Order to: Tapol, 111 Northwood Road, Thornton Heath, Surrey CR7 8HW, UK. e-mail. tapol@gn.apc.org. 年6回発行の充実のインドネシア・東ティモール・西パプア関連情報。購読料は年間16ポンド。郵便局からイギリスの郵便振替口座に振り込むとよい。Giro Account: 567814009。

Inside Indonesia, published by IRIP. Order to: Inside Indonesia, PO Box 190, Northcote 3070, Victoria, Australia. tel. +61-3-9481-1581. fax. +61+3-9481-1581. メルボルンに拠点をおくインドネシアの社会問題に関する情報誌。写真も豊富で充実している。年4回発行で18豪ドル。オーストラリアへの送金は常にむずかしく頭痛の種。郵便局からの為替は1月かかると言われる。銀行での小切手発行は金銭的にも高い。いずれにせよ、2年分は34ドルと安くなっており2年分送金するのがかしこそう。

<年表>

Taylor, John G., The Indonsia Occupation of East Timor 1974-1989, A Chronology, Catholic Institute for International Relations (CIIR), London, 1990, 102p. ISBN 1-85287-0.51-6. 戦争の歴史の流れを知るのに便利な年表。

<資料集>

Cambridge International Documents Series, Volume 10. East Timor and the International Community: Basic Documents, Cambridge University Press, 1997, 494p. 東ティモールに関する国連文書を中心にあつめたもの。

<現地ルポ>

南島風渉(はえじま・わたる)『いつかロロサエの森で、東ティモールゼロからの出発』コモンズ、2000年8月30日、2500円。長年東ティモールを取材してきたジャーナリストによる、地下運動組織、ゲリラ、ジャカルタの東ティモール人学生たちの精神の記録。住民投票までを十分にカバーしている。ビビッドな記述、表情をよくとらえた写真など、真摯なまなざしとあいまって陰翳にとんだ内部レポートとなっている。(本ホームページに書評あり。

横田幸典『東ティモールに生まれて ---- 独立に賭けるゼキトの青春』現代書館、2001年3月15日発行、238ページ、2200円。長年東ティモールの取材を続けてきた写真家ジャーナリストと東ティモール人青年の友情物語。(本ホームページに書評あり。

青山森人『抵抗の東チモールをゆく』社会評論社、1996年、220頁。東ティモール内部の抵抗組織を取材した(もちろんひそかに)現地ルポ。旅行記風につづられているが、ハードな現実である。運動論についても随所にコメントがある。筆者はフリージャーナリスト。2200円。

青山森人『東チモール、森の妖精とゲリラ』社会評論社、1997年。上記のルポに続く第2弾。

青山森人『東チモール、抵抗するは勝利なり』社会評論社、1998年。上記のルポに続く第3弾。

塩沢英一『インドネシア烈々』社会評論社、2000年9月。「第8章、東ティモール住民投票」がある。塩沢氏は弓道通信社ジャカルタ支局長。

仁井田蘭『私たちの闘いを忘れないで・東ティモール最新レポート』柘植書房、1992年、270頁。サンタクルス虐殺事件、現地からの報告、東ティモール人の訴えと3部構成。人々の声が伝わってくる。著者はフリージャーナリスト。1900円。

田中淳夫『チモール、知られざる虐殺の島』彩流社、1987年。日本軍の残した傷跡や現在の東ティモールの問題について、ルポやインタビューで構成している。筆者は当時はフリージャーナリスト。(1999年に緊急増刷されている)

熊村剛幸ほか『アジア内幕ノート』同文館、1988年。中に「チモール人の悲劇」(248-258頁)がある。東南アジア駐在記者たちによる各国内幕もの。

Sword, Kirsty and Pat Walsh, 'Opening Up': Travellers' Impressions of East Timor, 1989-1991, Australia East Timor Association, 1991. 50p. 旅行者の印象をあつめた小冊子。1989年に東ティモールは「開放」が宣言され、外国人が一応はいけるようになった。著者のひとりKirsty Swordは今ではシャナナグスマオと結婚。

Toudevin, Lansell, East Timor: Too Little Too Late, Duffy & Snellgrove, Sydney, 1999, 319p. オーストラリアの援助ワーカーとして1996年から1999年まで東ティモールに滞在した著者による東ティモールの内幕。住民投票直後までの時期をカバーしている。

<写真集>

Cox, Steve and Peter Carey, Generations of Resistance --- Eat Timor, Cassell, 1995. 120p. ISBN 0 304 33252 6 (paper back). 写真家スティーブ・コックスはサンタクルス虐殺の現場にいた数少ない外国人ジャーナリストで、東ティモールの内側をとった写真は重々しい空気を伝えている。解説を書いているピーター・キャリーはオックスフォード大学の歴史学講師でインドネシア専門家。

Bird, Ross, Inside Out East Timor, Herman Press, Australia, 1999. オーストラリアにいる難民、東ティモールの中の人びと。1995年からの写真の数々。

Loureiro, Joao, Postais Antigos & Outras Memorias de Timor, Joao Loureiro e Associados, Lda., 1999, 150p. ポルトガル植民地時代の古い写真が254枚集められている。

<東ティモール人の声>

呉YWCA翻訳グループ『私はチモール人です --- 東チモールからの証言』1992年、呉YWCA発行、80頁。1000円。イギリスのカトリック国際関係研究所(CIIR)が出した東ティモール人証言集に独自の証言を加え、国連決議の骨子や日本政府の対応、国会議員による日本の国会での質問などを資料としてそえた。写真もそえてあり、東ティモール人の声がよく伝わってくる。巻末の資料はとっても便利で、ぜひもっていたい。(注文は呉YWCAへどうぞ)

ラモス・ホルタ「東ティモールが望むこと」岩波書店『世界』1997年7月号、62-71頁。1996年ノーベル平和賞受賞者ジョゼ・ラモス・ホルタが1997年1月来日した際、国際キリスト教大学で行った特別講演の日本語訳。

マルチノ・ダ・コスタ・ロペス『東チモール・キリスト者としての考察』カトリック国際関係研究所出版、名古屋カトリック正義と平和委員会翻訳。ベロ司教の前任者として東ティモールでインドネシアの横暴とたたかって追放された東ティモール人聖職者ロペス師の講演記録。1986年に来日したが、1990年にポルトガルで逝去。

Ramos-Horta, Jose, FUNU --- The Unfinished Saga of East Timor, The Red Sea Press, 1987. 207p. ISBN 0 932415 15 6 (paper back). 1996年ノーベル平和賞受賞者、ジョゼ・ラモス・ホルタによる、孤独な第三世界小国の外交官の闘いの記録。1980年代半ばまでカバーしているが、侵略当時の状況についての貴重な内側からの証言となっている。国連で日本がインドネシアを支援すべくロビーしたことも書かれている。タイトルの「フヌ」は東ティモールの言語テトゥン語で「戦い」を意味する。

Ramos Horta, Jose, Towards a Peaceful Solution in East Timor, East Timor Relief Assciation (ETRA), Australia, 1996. 47p. ISBN 0-9586860-0-9. ジョゼ・ラモス・ホルタによる和平案などの講演録。ノーベル平和賞前に出版されている。注文はETRAまで。 etra@pactok.net。

Xanana Gusmao, A Travesty of Justice: Xanana's Defence, East Timor Relief Association (ETRA), Australia, 1996, 57p. ISBN 0-646-28203-4. 東ティモール民族抵抗評議会の議長で民族解放軍司令官だったシャナナ・グスマォンは、1992年11月にインドネシア軍につかまって終身刑を言い渡された(その後20年に減刑、さらに1997年8月に3カ月を減刑)が、世界中の人権団体が裁判の違法性を非難した。これは読むことを許されなかったシャナナ・グスマォンの法廷弁論の英訳。注文はETRAまで。

Tri Agus S. Siswowihardjo (ed.), Xanana Gusmao: Timor Leste Merdeka Indonesia Bebas, Solidamor, Februari 1999, Jakarta, p. 208. シャナナによるインドネシア語インタビューを中心に、インドネシアの東ティモール支援団体「ソリダモル」が編集したもの。

Frans Sihol Siagian & Peter Tukan (eds.), Voice of the Voiceless (Suara Kaum Tak Bersuara), Penerbit Obor, Jakarta, 1997, p. 279. ベロ司教のインドネシア語インタビュー集。ノーベル平和賞受賞演説(英文)も含む。(ちなみにベロ司教をインタビューした30分のドキュメンタリーもあります。詳しくは視聴覚資料を見て下さい。)

Pinto, Constancio and Matthew Jardine, East Timor's Unfinished Struggle --- Inside the Timorese Resistance, South End Press, Boston, 1997. 289p. ISBN 0 89608 541 4 (paper back). 著者のコンスタンシオ・ピントは東ティモールでは地下組織のリーダーだったが、サンタクルス虐殺後、インドネシア軍の迫害をのがれてひそかに脱出、亡命した。現在はアメリカで大学に通っているが、若手東ティモール人指導者のひとりとして活躍している。幼いころの記憶、侵略、地下運動、逃亡など彼が歩んできた道はまさに抵抗運動の歴史だった。

Turner, Michele, Telling --- East Timor: Personal Testimonies 1942-1992. New South Wales University Press, Australia, 1992, 218p. ISBN 0 86840 077 7. 第二次大戦中、ポルトガル時代、インドネシア占領時代の三部構成で、東ティモール人が語ったものを集めたオーラル・ヒストリー。貴重な証言資料。

Gusmao, Xanana, Timor Leste, Um Povo Uma Patria, Edicoes Colibri (Faculty of Letters, University of Lisbon), 1994, 357p. ISBN 972-8047-85-1. 抵抗運動の指導者シャナナ・グスマォンの自伝、評論などを集めたもの。ゲリラの司令官としてはきわめて文学的、とも言われる。

Ramos-Horta, Jose, Timor Leste: Amanha em Dili, Publicacoes Dom Quixote, Lisboa, 1994, 385p. ISBN 972-20-1120-0. ポルトガル語によるジョゼ・ラモス・ホルタの自伝。上記の「FUNU」と内容は重なっているが、こちらがかなり詳しく、また新しい。

Timor-Leste - Nobel da Paz: Discursos proferidos na cerimonia de outorga do Premio Nobel da Paz 1996 (East Timor - Nobel Peace : Lectures delivered at the 1996 Nobel Peace Prize awarding ceremony), Edicoes Colibri, Faculdade de Letras da Universidade de Lisboa, 1997, p. 160. 2人の東ティモール人のノーベル平和賞受賞演説。

Marcos, Arthur (ed.), Timor Timorense: com suas linguas, literaturas, lusofonia ..., Edicoes Colibri, 1995, 215. ISBN 972-8288-11-5. ティモール人による東ティモールについてのエッセー、発表などを集めたもの。

Joao Marian de Sousa Saldanha, Ekonomi Politik Pembangunan Timor Timur, Pustaka Sinar Harapan, Jakarta, 1994. 361p. ISBN 979-416-263-9. インドネシア占領下で登場した若手東ティモール人知識人の代表的研究者で、東ティモールにおけるインドネシア政府の経済政策について論じたもの。改革を志向している。これはインドネシア語だが、英語版もあるようだ。

Lennox, Rowena, Fighting Spirit of East Timor: The Life of Martinho da Costa Lopes, Pluto Press (Australia), 2000, 260p. 1983年に東ティモールを追放されるまで「ディリの司教」としたわれたロペス師の生涯を描いた伝記。インドネシア軍占領下における東ティモールについて貴重な情報がいくつかふくまれている。

ETRA (ed.), It's Time to Lead the Way: Timorese people speak about exile resistance and identity, writings from a conference on East Timor and its people, 1996, 174p. 東ティモール人がおこなったシンポジウムの論集。

Cardoso, Luis, The Crossing - A story of East Timor, Granta Books, 2000. (Cronika de Uma Travessia - A Epoca do Ai-Dik-Funan, Publicacoes Dom Quixote, 1997) CNRTリスボン代表をつとめていた亡命東ティモール人、ルイス・カルドーゾによる自伝的な小説で、原文はポルトガル語だが英訳が出た。ポルトガル植民地時代の東ティモールの雰囲気を伝える内容となっている。

<インドネシア人によるもの>

Aditjondro, George J., East Timor: An Indonesian intellectual speaks out, edited by Herb Feith, Emma Baulch, Pat Walsh, Australian Council for Overseas Aid (ACFOA), Development Dossier No. 33, 1994. 65p. ISBN 0-909-831-61-0. 著者は元テンポの記者として1975年当時東ティモール取材をしたこともあり、東ティモール人の運動におおやけに共鳴を表明した最初のインドネシア人学者として知られる。その後、ジャワの大学をおわれ、現在はオーストラリアの大学で教鞭をとる。

Aditjondro, George J., In th Shadow of Mount Ramelau: The Impact of the Occupation of East Timor, INDOC, the Netherlads, 1994. 96p. ISBN 90-70494-02-7. 上記の本につづき、東ティモールの文化、環境、占領の影響などを論じている。

Mubyarto, Loekman Soetrisno, et al., East Timor: The Impact of Integration, An Indonesian Socio-anthropological Study, the Indonesian Resources and Information Program (IRIP), 1991. 70p. ISBN 0-646-07960-3. インドネシアのガジャマダ大学の研究チームによる東ティモールの現在の社会研究の成果の英訳で、インドネシア軍がこれをよろこばず発表をおさえようとした経緯もある。全体としてはインドネシアによる併合を既成事実として認め、東ティモール人の要求をくむような改革を提言している。

Kristiadi, 'The Decolonization of East Timor: A Historical Review', in The Indonesian Quarterly, Vol. XIV, No. 4, 1986. Center for Strategic and Internationl Studies, Jakarta, pp. 546-577. 今となってはやや古いかもしれないが、インドネシア政府の立場を代弁する典型的な論文として一読に値する。著者は自身も政府の東ティモールをめぐる外交政策に関与している戦略国際研究所のスタッフ。

E. M. Tomodok, Hari-hari Akhir Timor Portugis, Pustaka Jaya, 1994. 376p. ISBN 979-416-130-2. 1975年当時、インドネシアの東ティモール領事としてインドネシアによる東ティモール併合作戦にかかわった著者の回想録。インドネシア政府の立場をきわめて忠実に表明している。

Soekanto (ed.), Integrasi: Kebulatan Tekad Rakyat Timor Timur, Yayasan Parikesit, 1976?, 714p. インドネシアの戦略国際問題研究所/インドネシア軍の立場を色濃く反映した東ティモール併合過程の総括。インドネシア政府の公式な立場に忠実とは限らないところが、やや注意が必要。かなり詳細で事情がよくわかっていいのだが、情報の出所などについて言及がほとんどなく、資料としてつかうにはかなりな背景知識が必要。

Machmuddin Noor et al. (eds.), Lahirnya Propinsi Timor Timur, Badan Penerbit Almanak Republik Indonesia, Jakarta, 1977. 347p. 東ティモール併合過程におけるさまざまな文書をあつめた資料集。インドネシア政府の国連でのスピーチや東ティモール暫定政権の文書などが含まれている。

Marwati Joened Poesponegoro and Nugroho Notosusanto (eds.), Sejarah Nasional Indonesia VI, Departement Pendidikan dan Kebudayaan, Balai Pustaka, edisi ke-4, 1984. 660pp. インドネシア政府教育文化省のチームが編纂したインドネシア史の正史といえるもので、東ティモール併合がpp. 486-497に記述されている。当然、インドネシア政府の公式見解にちかいわけだが、かならずしも同じとは言えない。

Aboeprijadi Santoso, Jejak-jejak Darah: Tragedi & Pengkhianatan di Timo Timur, Stichting Inham (Amsterdam)/ Pijar (Yogyakarta), 1996, 121p. 東ティモール人ジャーナリストによる現地取材、東ティモール人・インドネシア人関係者取材によって構成され、インドネシア軍による東ティモール併合作戦の非道さや政府のいっていることの欺瞞があばかれている。

Pour, Julius, Benny Moerdani: Profile of a Soldier Statesman, Yayasan Kejungan Panglima Besar Sudirman, Jakarta, 1993, 510p. ISBN 979-8313-03-8. インドネシア併合作戦に実際に現場でかかわった軍人の退役後の回想録(英語版)だが、その19章が東ティモール作戦にあてられている。結局、私の責任ではありませんよというような記述なのだが、正直に併合作戦がインドネシア軍の正規部隊をつかっていると吐露しているところなど、有益な情報も多い。

Hendro Subroto, Saksi Mata Perjuangan Integrasi Timor Timur, Pustaka Sinar Harapan, 1997, 250p. インドネシア軍の侵略に同行した従軍記者ヘンドロ・スブロトによる東ティモール併合作戦の記録。

Hendro Subroto, Perjalanan Seorang Wartawan Perang, Pustaka Sinar Harapan, 1998, 430p. 同じ著者のもので東ティモールは1章さかれているが、内容はかならずしも同じではない。追加的な情報が含まれている。

<ポルトガル人の書いたもの>

Magalhaes, A. Barbedo de, East Timor: Indonesian Occupation and Genocide, President's Office Oporto University, 1992, 75p. 東ティモール問題について取り組む必要を訴えた小冊子。著者はオポルト大学工学部教授。

Magalhaes, A. Barbedo, East Timor: Land of Hope, Presient's Office, Oporto University, 1992, 194p. ISBN 972-8025-04-1. 同じくオポルト大学のマガリャンイス教授による東ティモール問題の概略と展望。注文はオポルト大学まで。Oporto Uniersity, fax. 351-2-2002148, c/ Prof. Magalhaes。

Pires, Mario Lemos, Descolonizacao de Timor: Missao Impossivel?, Publicacoes Dom Quixote, 3. a edicao, 1994, 461p. ISBN 972-20-0939-7. 著者は、最後の東ティモール総督に任命され、東ティモール非植民地化過程の混乱の中で、本国からの指令もないままむずかしい立場におかれた。ポルトガル側の証言としてきわめて貴重なもの。

Assembleia da Republica, Timor-Leste: Factos e Documentos, Vol. 1, Factos (1988-1991), Assembleia da Republica, Direccao-Geral de Apoio Parlamentar, Dereccao- de Servicos de Documentacao e Informacao Biblioteca, 1991, p. 540. ポルトガル議会による事件のクロノロジー。

<論集>

CIIR/IPJET, International Law and the Question of East Timor, 1995, 341p. ISBN 1-85287-129-6. (CIIR; Catholic Insitute for International Relations, IPJET; International Platform of Jurists for East Timor) 国際法を中心として東ティモール問題を扱った論集。自決権や国際司法裁判所の裁定の研究に必要。注文はIPJETへメールでどうぞ。 ipjet@mail.antenna.nl。

IPJET, The East Timor Problem and the Role of Europe, 1998, 303p. ISBN 972-97911-0-4. 1996年にダブリンで開かれた東ティモールに関する会議に提出されたペーパーを中心に集めた論集。注文はIPJETへメールでどうぞ。(松野明久の論文2本を掲載。)

Carey, Peter and G. Carter Bentley (eds.), East Timor at the Crossroads: The Forging of a Nation, Cassell, 1995. 259p. 歴史、国際関係、抵抗運動などいくつもの側面についての論集。1991年4月にアメリカン大学で開かれたシンポジウムの記録、文献リストが貴重。1970年から94年までの年表もついていて便利。

John, Clement (ed.), East Timor: Prospects for Peace, Unit on Justice, Peace and Creation, World Council of Churches, 1995. 141p. (In a series of CCIA Background Information) 1994年12月、香港で行われた東ティモールについて会議の結果だされた論集。プロテスタント教会関係者による議論の集成。東ティモール人牧師も発表している。注文は次へどうぞ Oikoumene Central Office, 150, route de Ferney, 1211 Geneva 2, Switzerland. tel. +41-22-791-6111, fax. +41-22-791-0361。

Aubrey, Jim (ed.), Free East Timor: Australia's Cuplability in East Timor's Genocide, 1998, 298p. オーストラリアを中心に多くの論者がいろいろ書いている。

<地質>

島田いく郎『悲劇の島・東ティモール、その自然と人々』築地書館、1990年、156頁。著者は地質学者(元島根大学理学部教授)。東ティモールの地質、自然、そして現在の問題を書いている。すでに絶版。1400円。

<歴史・第二次大戦・日本占領時代>

後藤乾一『<東>ティモール国際関係史 1900-1945』みすず書房、1999年。

前田透『チモール記』蒼土舎、昭和57年、260頁。著者はかつて戦争中兵士として東ティモールに駐留した詩人(成蹊大学教授)で、チモールを生涯のライトモチーフとしたと記す。戦争中の記録と歌。すでに絶版。

後藤乾一「戦時期”ティモール問題”の外交史的考察」『日本占領期インドネシア研究』龍谷書舎、1989年、313-357頁。

後藤乾一「濠亜地中海の国際関係 --- ポルトガル領ティモールをめぐって」『近代日本と東南アジア』岩波書店、1995年。

Wray, Christopher C. H., Timor 1942: Australian Commandos at War with the Japanese, Hutchinson Australia, 1987, 190p. ISBN 0-09-157480-3. 著者は職業的な歴史家ではないが、オーストラリア軍史に造詣が深く、1975年に東ティモールがインドネシアに侵略されてから新たなティモールへの関心のたかまりに応じて、この本を執筆したとある。

Gunn, Geoffrey C., Wartime Portuguese Timor: The Azores Connection, Monash University, Working Paper No. 50, 1988, ISBN 0-86746-888-2. 25p. オランダ領東インドが日本の敗戦とともに独立を宣言しアメリカがそれを支援した一方で、ポルトガル領ティモールはアメリカの戦略的考慮によってポルトガル領のままにとどまった。それは大西洋のアゾーレス諸島とのひきかえになされた。

Pelissier, Rene, Timor en Guerre: Le Crocodile et les Portugais (1847-1913), Pelissier, Montamets 78630 Orgeval, France, 1996. 368pp. 著者はアフリカのポルトガル植民地研究をやってきたフランス人で東ティモールについてもいくつか研究がある。この本はドン・ボアヴェントゥラの反乱にいたるまでの時期をあつかっており、東ティモールの植民地史について幅広い材料を提供してくれる。

<女性の人権>

『月刊オルタ』1999年7月号、「東ティモール、激化する独立派住民への攻撃、ラウラ・ソアレスさんに聞く」、pp. 20-22。

古沢希代子「国連が表彰したスハルト大統領の民族絶滅策」『朝日ジャーナル』1989年7月21日号、14-18頁。国連人口基金がインドネシアのスハルト大統領に人口賞を与えた。しかし東ティモール人女性たちは、強制的な家族計画の推進にいかりの声をあげている。

古沢希代子「家族計画プログラムと女性の人権 --- インドネシア及び東ティモールの事例を中心に」『東京女子大学社会学会紀要・経済と社会』第22号、1994年2月。54-70頁。東ティモールでより強力な避妊法がすすめられている実態についての研究ノート。

古沢希代子「軍事占領下における性暴力 --- 東ティモール」、アムネスティ・インターナショナル日本支部編『アムネスティ人権報告4・女性が動く、世界がかわる』明石書店、1995年。45-53頁。

古沢希代子「軍事占領下の女性たち」、アジア女性資料センター編『北京発、日本の女たちへ--世界女性会議をどう生かすか』(第7章)、1997年1月、明石書店。193-218頁。

古沢希代子「インドネシア占領下の東ティモール・<女性の拷問写真>とスハルト軍隊の隠された顔」『週刊金曜日』1998年5月1日、35-39頁。

アムネスティ・インターナショナル日本支部・女性と人権チーム・なごや126G『くちゃ』編集、『インドネシアと東チモールの女性たち』(のら第17号)34頁、1996年。英語版のWomen in Indonesia & East Timor --- Standing againstrepression, AI Index ASA 21/5/95, December 1995 の翻訳。東ティモールにおける軍による弾圧、性的虐待についても報告している。

Free East Timor Japan Coalition, Violence Against Women in East Timor under the Indonesian Occupation and Suggested Measures to be Taken, Petition to the United Nations Special Committee of 24 prepared by Kiyoko Furusawa and Jean Inglis. July 23, 1996. 国連非植民地化特別委員会の公聴会に提出された東チモールに自由を!全国協議会の陳述で、東ティモールにおける女性に対する暴力についてわかっているケースについてまとめたもの。大きな反響を呼んで引用されている。

Asia Center for Women's Human Rights (ed.), Common Grounds: Violence against Women in War and Armed Conflict Situation, Manila, 1998. ISBN 971-91991-0-5。上記の国連非植民地化特別委員会の陳述が含まれている。その他の事例も収録されていて問題の全体像を概観することができる。

Winters, Rebecca (ed.), Buibere: Voice of East Timorese Women, Volume 1, published by ETISC (East Timor International Support Center, Darwin), 1999. 東ティモールの女性たちのいろいろな声。

<自決権>

曽我英雄「東チモール併合と自決権」『自決権の理論と現実』敬文堂、1987年。117-146頁。

臼杵英一「国際法上の自決権と東チモール事件」、越路正巳編『21世紀の主権、人権および民族自決権』未来社、1998年、pp. 257-298。

★東ティモールの自決権についての国際法的考察は、<論集>のコーナーのCIIR/IPJETにいくつか論文が出ています。

<外交・国際関係>

黒柳米司「チモール紛争をめぐる国際環境」『国際問題』193号、日本国際問題研究所、1976年4月。

首藤もと子「東チモール非植民地化の過程と問題」『アジア研究』37巻3号、アジア政経学会、1991年6月。89-137頁。

首藤もと子「東ティモール問題解決へのアプローチ」『外交時報』1995年6月号、外交時報社。46-60頁。

土佐弘之「太平洋西部における地域紛争と国際関係 --- イリアン・ジャヤと東チモール」『東洋文化研究所紀要』1988年10月、東京大学発行、115-177頁。

古沢希代子「ポスト冷戦期国際人権運動の課題、人権をめぐる南北のディスコース対立を超えて」『平和研究21』日本平和学会、1996年11月、67-79頁。

古沢希代子「東ティモール和平への機は熟している」『世界』1997年1月号、岩波書店。230-231頁。

古沢希代子「ノーベル賞後の東ティモール」『軍縮問題資料』1997年4月号、51-57頁。

古沢希代子「<ホットアングル>東ティモール地位交渉のゆくえ」『世界』1998年10月号、岩波書店。222-223頁。

古沢希代子「中国と東ティモール問題」愛知大学現代中国学会『中国21』Vol. 7, 1999年11月5日号、pp. 147-168。

★近年は東ティモール問題への政治学者の関心もたかまっているようで、たとえば、渡邊昭夫編『アジアの人権 --- 国際政治の視点から』(日本国際問題研究所刊、1997年6月、3500円)の中でも数人の論者が人権外交の事例として東ティモールに言及している。

<サンタクルス虐殺>

松野明久『東ティモール・サンタクルス虐殺、事件とその波紋』大阪東ティモール協会、1992年、63頁。600円。1991年11月12日におきたインドネシア軍による群衆への無差別発砲事件はサンタクルス墓地でおきたためサンタクルス虐殺とよばれる。この報告は事件にかかわる、ときには相互に矛盾するような報道・情報をあつめ、その全貌をできるかぎり明らかにしようとしたもの。1992年1月の予備的報告、1992年11月の第2回報告をおさめている。注文は大阪東ティモール協会へ。ak4a-mtn@asahi-net.or.jp

浅野健一『出国命令』日本評論社、1993年、295頁。1700円。著者はサンタクルス虐殺がおきたときジャカルタで共同通信社の特派員をしていた。現地取材の結果を第4章「東ティモールの悲劇」におさめている。

黒柳米司「東チモール問題と『11月12日』事件」『アジアトレンド』1992年第2号(季刊)No. 58、38-44頁。事件に対する国際的対応について論じている。

古沢希代子「東チモール・サンタクルス事件のその後:姿勢問われる最大援助国日本」『毎日新聞』1992年4月14日、4頁。新聞のコラムだがかなり詳細に論じている。

『法学セミナー』編集部、「ボブ・マンツ氏に聞く・人権回復のために何ができるか」『法学セミナー』1992年5月号、1-3頁。虐殺現場にいたオーストラリア人のNGOスタッフが来日し、インタビューされた。

Feith, Herb, 'East Timor: The Opening Up, the Crackdown and the Possibility of a Durable Settlement,' in Crouch, Harold and Hal Hill (eds.), Indonesia Assessment 1992, Australian National Univresity (ANU), 1992, pp. 63-80. サンタクルス虐殺にいたる主にインドネシアの政策の動向とその後の展開を概略。著者は元モナシュ大学教授でインドネシア政治が専門。東ティモール問題について積極的に発言している。

<バリボ殺害事件>

1975年10月16日、インドネシア軍がひそかに東ティモールへの侵入攻撃をおこなったときに殺された5人のジャーナリスト。その真相はいまもってわからないところが多い。オーストラリア政府は事実を知っていて隠蔽した。

Ball, Desmond & Hamish McDonald, Death in Balibo, Lies in Canberr, Allen & Unwin, 2000, 199p. オーストラリア国立大学教授とシドニー・モーニング・ヘラルド記者の合作。オーストラリアの情報部はインドネシア軍とフレテリンの無線を傍受していて事態の進展をすべて把握していたという仮説を証明しようとしたもの。画期的な内容。

Jolliffe, Jill, Cover-Up, the inside story of the Balibo five, Scribe Publications, 360p. バリボ事件の証言者をこまかく検証したもの。(本ホームページに紹介あり。)

<ナショナリズム>

ベネディクト・アンダーソン「『東ティモール』を想像すること」『aala』101号(1997年2月)日本アジアアフリカ作家会議。著者は『想像の共同体 --- ナショナリズムの流行と起源』(リブロポート刊)で日本には知られたインドネシア政治の専門家でコーネル大学教授。東ティモールについてはよく発言している。

<ティモール・ギャップの石油>

古沢希代子「自決権無視され、資源も失う東チモール」『朝日ジャーナル』1988年11月25日号、98-99頁。

古沢希代子「東チモールの自治権無視した開発条約」『朝日ジャーナル』1989年12月29日号、91頁。(タイトルの自治権は自決権のあやまり)

仁井田蘭「ティモール沖の油田開発」『世界』1992年4月号、岩波書店、182-183頁。

Stepan, Sasha, Credibility Gap: Australia and th Timor Gap Treaty, Australian Council for Overseas Aid (ACFOA), Development Dossier No. 28, 1990. 46p. ISBN 0-909-831-49-1.

★ティモール・ギャップ条約についてポルトガルがオーストラリアを相手取って国際司法裁判所に提訴した件についての国際法的考察は、<論集>のコーナーにあるCIIR/IPJETにいくつか論文が出ています。

<武器売却>

The European Network Against Arms Trade (ENAAT), INDONESIA: Arms trade to a militaty regime, 1997. 124. ISBN 90-803702-1-5. インドネシアに対する武器売却は今や重要な国際的関心事項。最近の米国製F-16戦闘機売却問題で、インドネシアがしぶるアメリカに背を向けロシアからスホイを購入することにしたのは日本のテレビもニュースにした。

<国連>

★国連と東ティモールは切っても切れない関係にあるので、多くの本が扱っていますが、それ以外に次のようなものがあります。

古沢希代子「国連と東ティモール問題」『軍縮問題資料』1996年4月号、38-41頁。

古沢希代子「東ティモール独立問題の最終局面---不安定化と窮乏化との闘い」『軍縮問題資料』1999年5月号、62-67ページ。

松野明久「国連人権委員会における東ティモール」『マスコミ市民』1997年6月号、75-79頁。

河辺一郎『国連と日本』岩波新書(赤317番)、1994年。240頁。国連総会における日本の行動をフォローしたもので、東ティモールは一例として紹介されている。

斉藤鎮男『国際連合の新しい潮流』(増補改訂版)、新有堂、1984年(初版1979年)。第1章の3節に東ティモールがある。著者はかつてインドネシア大使をつとめ、東ティモール侵略時(1975年)は国連大使をつとめていた。日本が積極的にこの問題で動いたと書かれている。

Gunn, Geoffrey C., East Timor and the United Nations: The Case for Intervention, The Red Sea Press, 1997, 241p. 著者は現在長崎大学経済学部教授で国際関係論を講じており、東ティモールについては著書、論文も多い。1997年6月、この本の発表と同時に、国連非植民地化特別委員会の公聴会で国連の人権をベースにした積極介入を訴えた。注文は呉YWCAへ。tel/fax. 0823-21-2414。2600円(送料込み)。

<インドネシアの民主化と東ティモール>

古沢希代子「インドネシアの通貨・経済危機と東ティモール」『軍縮問題資料』1998年3月号、60-65頁。

古沢希代子「スハルト後の東ティモール問題」『軍縮問題資料』1998年10月号、51-57頁。

<マスメディア>

Gunn, Geoffrey C., A Critical View of Western Journalism and Scholarship on East Timor, Journal of Contemporary Asia Publishers, Manila, 1994, 272p. ISBN 971-8639-08-X. オーストラリア側の資料を駆使して、第二次大戦中の東ティモール、アメリカの政策、オーストラリアの報道、研究者の動向などを論じている。注文はマニラの出版社に手紙を書いてください。PO Box 592, Manila, Philippines 1099.

<援助>

生島玲「東チモールの独立派の無線を”潰す”日本」『朝日ジャーナル』1988年1月1/8日号、104頁。日本の対インドネシア無償援助「全国無線周波数監視計画」は東ティモールに移動用の無線監視車を配備した。これは紛争中の片一方の当事者に利する軍事的支援にあたらないのか。

古沢希代子「対インドネシア軍事援助の一部凍結!」『世界』岩波書店、1992年12月号、178-179頁。米議会が東ティモールの人権状況を理由に対インドネシア軍事教育訓練の提供停止を可決した。

<事件>

古沢希代子「東チモール・法王は何を見たか」『世界』岩波書店、1989年12月号、208-209頁。1989年10月に「部分開放」を宣言された東ティモールにインドネシア政府はローマ法王を招待した。安定を印象づけようとしたがデモが発生し、法王は軍の飛行機でジャカルタに帰された。

古沢希代子「東チモールの嘆願デモ流血、死者も」『朝日ジャーナル』1990年2月9日号、93頁。東ティモールを訪問した米国のインドネシア大使に直訴しようと東ティモール人若者たちが大挙してホテルにおしかけた。直訴はかなったがその後流血の弾圧。いわゆるホテル・トゥリスム事件。

古沢希代子「東ティモールのインティファーダ」『世界』岩波書店、1990年4月号、214-215頁。ホテル・トゥリスム事件について。

古沢希代子「東チモール解放軍の司令官と会見に成功」『朝日ジャーナル』1990年11月23日、101頁。シャナナ・グスマォンがつかまる前、はじめて外国人ジャーナリストとのひそかな会見を東ティモールの山の中で行った。

「幻の司令官、シャナナ・グスマオを初直撃!」写真週刊誌『フライデー』1990年12月21日号(51号)、22-23頁。上記の会見について。

古沢希代子「東ティモールの虐殺にNO。世界の若者たちが現地へ出帆」『朝日ジャーナル』1992年3月13日号、85頁。東ティモールはポルトガルの管轄下だ、という論理でポルトガルの船をしたてて世界中の若者たちが東ティモールへ向かった。結果はインドネシアの海軍に追い払われたが、元ポルトガルの大統領まで乗船して大きな騒ぎとなった。日本からも4人が参加。

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