(稿:三石あき)
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- 画面に文字で伝えたい情報を入れるテロップは、ナレーションと一対のものとして考えます。つまりナレーションで伝える情報とテロップで伝える情報とを効果的に組み合わせることによって、作品が何を表現しようとしているか、見る人の理解を助けます。これがテロップのもっとも大きな役割と言えます。
- またナレーションなしに音楽や現地音声をベースにテロップだけで情報を入れながら、作品を完成させていく手法もあります。テレビ番組の「名曲アルバム」はその一つですし、旅行ビデオなどもナレーションなしに作ることが多々あります。そのほか、テロップは映像画面を補強するデザインとしての役割もありますが、ここでは省略します。
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- テロップの役割を考えながら作品を作っていく場合、必要なことは見る側に理解してもらえるテロップ情報にすることです。
- 画面を見ていて、何がなんだか分からない文字や言葉、あるいは何を伝えたいのか理解できない文が入っていたのでは効果がないどころかかえってマイナスになります。言葉を選ぶとき、文章形式にするとき、初めてビデオを見る人にすぐに分かってもらえるかどうかを考えて見たいものです。長い時間をかけてやっと分かるテロップでは役に立ちません。
- 四字熟語は一見カッコよく見えますが、意味不明では困ります。外来語も普通の人に分からないようなものは避けたいものです。
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- 画面の中で文字数が多すぎるテロップも考えものです。
文字を読んでいて時間がかかり、なるほどそうかと分かった時には、かんじんの映像化カットが終わっていたというのでは、ビデオカメラマンとして撮ったあなたの努力はムダになります。少ない時間で読み取れるテロップは望まれます。
- そのためには、できるだけ字数を減らすこと。ムダな言葉はもちろん、「美しい」だの「晴れ晴れとした笑顔の○○」だのの形容詞、修飾語は、どうしても必要な場合を除いて使わないようにしましょう。こうした表現は、逆効果になる場合もあることを頭に入れておきましょう。
- また、字数はが多いと、せっかく撮った映像をその字数分だけつぶしてしまいます。少ない字数のテロップで映像にキズをつけないこと、特に人物の顔の上にテロップを入れたりすると異様な映像になってしまいます。
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- テロップを作る場合、もう一つ大切なことは映像を見て分かることは入れる必要がありません。たとえば、ヒマワリの花の映像に「ひまわり」のテロップ、あるいは田植えの終わった水田に「田植えは終わった」のテロップはムダです。
逆に見ただけでは分からない例とは、「ひまわり」の例で言えば、ヒマラヤ山脈から取り寄せた極めて珍しい品種であるとか、花の直径が50センチもあるジャンボヒマワリであるとかなら、テロップにする価値があります。これはナレーションの場合も同じです。
- じっくりと見せたい映像カットの場合も同じです。早春のフキノトウ。「ほれ、見てください、春ですよ」の気持ちを込めてズームイン。そんなとき、「フキノトウ」のテロップが入ったのでは、ムードぶち壊しです。
※次回は「ナレーション・コメント編4」
以上
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