ビデオ編集

1−1 ビデオ編集とは何をすること?
1−2 ビデオ編集/効果的に見せるために



<基礎編>

1−1 ビデオ編集とは何をすること?

 ビデオ編集とはどのようなことをするのでしょうか。特殊な機器や知
識が必要なのでしょうか? 

 こう質問されたら、答えは、”はい”でもあり”いいえ”でもありま
す。これではまるで禅問答ですが、実際、どちらも正しいのです。

 ビデオの編集とは、撮影された素材テープの内容の一部を、別のテー
プにコピーすることを言います。つまり、撮影した素材から必要な部分
だけを抜き出す作業なのです。

 では必要な部分というのは何を指すのでしょうか? 必要ではない部
分を切り取ってしまった残りのことでしょうか? 

 編集の初歩段階では、まず不要シーンを切り捨てることから始まりま
す。失敗したシーン、長すぎて飽きてしまうシーンなどを外してしまい
ましょう。1時間あった素材テープが10分になれば、「しめたっ」と思
ってください。このテープを見せられる人は、がまんする時間がたった
10分で済むわけですから。撮影した本人だって、不要シーンは早送りす
るでしょう?

 もっとも初歩的な編集は、撮影したムービーと据え置きVTRがあれ ば実行できます。ムービーをテレビに接続する替わりに、VTRの入力 に接続します。VTRを録画ポーズ状態にしておいてムービーを再生し、 欲しいシーンのところで録画ポーズを解除する。不要シーンのところで 録画ポーズをかける。この繰り返しで編集できます。 プロ用機器と家庭用機器  ここで冒頭の質問に戻りましょう。必要なシーンだけを抜き取ってコ ピーする作業は、プロが使う高価な機器ではなく家庭用の身近な機器で も可能です。違うのは、コピーの画質がやや落ちるのと欲しいシーンが ちょっとだけずれることでしょうか。  プロが使う機械は高価です。家庭用との違いは、編集する精度が高く コピーしたときの画質がさほど劣化しないということです。編集精度が 高いというのは、欲しいシーンを少し前でもなく後でもないちょうどの 時間からコピーが始まり、コピーを終わりたい時間にぴたりと終わるこ とです。  これだけは精度の説明が充分ではありません。もう少し詳しく説明し ましょう。  ビデオもテレビ放送も、また家庭用もプロ用も同じ仕組みだというこ とをご存知ですか? テレビ放送の映像は静止した画像が次々と表示さ れ、残像効果という現象で動いているように見えます。テレビでは1秒 間に30枚の画が、商業映画の場合は1秒間に24枚の画が表示されます。 昔流行した8ミリシネカメラは18枚でした。この数が多いほど滑らかな 動きに見えます。ビデオではこの1枚の画を1フレームと呼んでいます。  編集精度が高いというのは、理想的には30分の1秒のずれもない、つ まり1フレームのずれもないことを指します。これが家庭用の機器では 専用の編集コントローラーを使っても数フレームはずれてしまうのです。 しかし1秒の何分の1ずれても、映像の内容によってはほとんど影響が ありません。そんなことよりも、内容をよく見せるにはどのようなシー ンを選び、どのシーンをカットするのかというほうが重要です。
1−2 ビデオ編集/効果的に見せるために  もっとも初歩的な編集は不要シーンのカットでした。次の段階では、 もう一歩進んで効果的な映像を見せるための編集に触れましょう。

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ビデオ撮影


1−1 まず、撮ってみる
1−2 カメラの構え方

<基礎編>
                                
1−1 まず、撮ってみる
 
 家庭用ビデオカメラでの撮影は難しいものではありません。テープを
カメラに入れて撮影ボタンを押すだけ。明るさやフォーカスなどはカメ
ラが全部やってくれます。難しい操作などは一切ありません。だから面
倒なことは考えず、まず外に出て撮影してみましょう。

 表に出ると美しいものがたくさんあります。思い付くままに撮影して
ください。カメラはあなたの目であり、あなたの記憶のかわりです。あ
なたなりの表現で撮影してください。でもひとつだけ約束してください。
カメラはできるだけ振らないように。パンニングやズーミングは、何を
表現したいのか、誰に伝えたいのかという思いが、強く明確になるとき
まで取っておいてください。

 ちょっと難しい話になってしまいましたね。もっと話を単純にしまし
ょう。美しくわかりやすい映像を撮影するコツは、カメラを振らないこ
と、なのです。

 ところで、構えてみるとカメラをぴたりと止めることって意外と難し
いと思いませんか。本当は三脚を使うべきなのですが、どんな時にも三
脚を持ち歩くというのは煩わしいですね。せっかくビデオカメラが小型
軽量になったのに気ままな撮影に三脚の重さは我慢できません。構え方
を工夫すれば三脚を使わなくてもいい画が取れないものでしょうか。

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1−2 カメラの構え方

 カメラの構え方についてお話するのはとても難しいのです。カメラの
デザインは千差万別。大きさ、重さも多様です。これが絶対というもの
はありません。デザインに応じた構え方が必要になります。

 カメラのデザインは、大きく分類すると肩のせタイプとハンディタイ
プに分けられます。ハンディタイプはさらに片手グリップタイプと両手
グリップタイプに分けられます。
 片手グリップというのは、文字どおり片手でカメラを握ることができ
るもの。これにも縦長と横長タイプがあります。片手でグリップできる
からといって本当に片手だけで保持するとぶれ易くなります。
 両手グリップタイプというのは、本体と、レンズがついたカメラ部が
横に並んでいるもの。本体背面に液晶画面がついており、接眼式のビュ
ーファインダーがないものがほとんど。

肩乗せタイプの構え方
 肩乗せタイプの構え方は単純です。右手でグリップし肩に乗せ、左手
はレンズのあたりに添えます。フォーカスをマニュアルで操作する場合
は左手で操作することになります。肩乗せタイプでは必ず両手を使用す
るためもっとも安定した構え方となります。
 ところが再生した画像を見ると、民生用(ホームビデオ)カメラの場
合は業務用にくらべ必ずしも安定しているとは言えません。なぜでしょ
うか?

 業務用と民生用の違いは、価格・性能だけではありません。重量が驚
くほど違っています。民生用は2kg程度ですが、業務用では軽いもの
でも5kg以上あります。
 しかしこの重さがカメラの安定には重要な要素となるのです。肩に乗
せファインダーを覗いてみると軽いカメラほど画面がぐらぐら動いてい
ます。また呼吸をするたびに画面が上下します。これは持つ人の力のほ
うがカメラの重量を上回ってしまい、体のちょっとした動きがカメラに
伝わってしまうからです。

<安定させる構え方>
 軽いカメラで安定した映像を得るための方法はいくつかあります。三
脚を使ったり、体の左側を壁や立ち木などに預けるなどです。でも三脚
も手ごろな立ち木もない場合はどうするか。

 カメラのフォーカスをオートにしておいて、左手をレンズの下に添え
るのではなくレンズ部もしくは本体の上に置き、カメラを下に押し付け
るようにしましょう。こうすると、カメラの重量が増すことになり、下
から支える右手と体に釣り合った反撥力が生まれ安定します。

ハンディタイプの構え方
 前段で、片手でグリップするものと両手でグリップするものの2種類
があるといいました。最初に両手グリップタイプからお話しましょう。

 両手グリップタイプのほうは、手持ち撮影がとても難しいカメラです。
カメラに接しているのは両手のみ。片手タイプは右手と左手、接眼ファ
インダーに触れる顔の3点で支えるため、上下左右とも安定します。し
かし両手タイプでは前後は安定しているのですが、上下の支えがありま
せん。脇を締めて壁によりかかっても呼吸の影響を強く受けます。これ
は片手タイプでも、接眼式のファインダーを使わず液晶画面だけを見て
撮影するときは同じことが言えます。
 こうしたタイプでは三脚撮影を前提に設計されていないため、三脚に
セットした状態では撮影ボタンやズームレバーの操作が難しいものが多
いようです。

 幸い、両手グリップタイプのカメラ部はほとんどが回転できるように
なっています。このことを利用すれば安定した撮影が可能です。

 カメラを両手で握って、目の高さではなく腰の高さで構えます。液晶
ファインダーは上に向けておきます。ウエストレベルでの撮影です。壁
などによりかかればさらに安定します。
 ただ問題がないわけではありません。人物撮影では下から見上げる形
になってしまうことと、屋外では太陽光に液晶ビューファインダーが負
けてしまい見づらくなることです。
 では両手グリップタイプはだめなのかというと、この構造だからこそ
というメリットもあります。

 ひとつはメガネ着用者にはやさしい設計であるということ。接眼ビュ
ーファインダーではどうしても画像がケラレてしまい、全体像を見るの
に時間がかかります。このタイプの液晶ビューファインダーであればひ
とめで見えます。
 構図が決めやすいというのもメリットのひとつです。接眼式のファイ
ンダーでは、一度に被写体のすべてを見ているわけではありません。例
えば被写体が人物であれば、全体像の中の、顔を見る、体を見る、手を
見るという結果が、頭の中で合成されてひとつの像になります。液晶ビ
ューファインダーでは全体を一度に見るため直感的に構図を決めること
ができるのです。このことを応用すると、動きのある面白い映像表現が
できます。構え方という本題からは外れますが、紹介しておきましょう。

<面白い撮り方>
 両手グリップタイプのカメラでは移動ショットが簡単に撮れます。視
界をふさがれることがないので被写体を捉えながらカメラごと移動して
いくことは難しくありません。また、動いている人物などに肉薄し動き
を逐一捉えることもできます。音楽番組などで、カメラが歌手に迫った
り離れたり、なめまわすようにするような画面。あんなシーンが簡単に
撮れます。カラオケパーティなどでやってみれば面白いでしょう。

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<片手グリップタイプの構え方>


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