「撮影のときは必ず三脚を使う」ことを励行して10年くらいになります。手持ち撮影のときよりも映像が見やすくてきれいになるのは確かなのですが、何だか物足りません。どうやら、「映像は安定していればよい」というものでもないようです。時々、手持ち撮影を、特に移動しながらのカットなどを入れてやると、変化が出て面白いなと感じています。でも、画像がグラグラと動いてしまい、なかなかテレビや映画のようにはスムーズな映像になりません。
あるとき再生してみると、あまり揺れていないカットがいくつかありました。デコボコの山道だったので、道路の状態がよかったわけではないようです。同じように撮影して、激しく揺れる映像とそうでない映像があるのです。最初はその理由がわかりませんでしたが、比較してみるとハタと思い当たりました。激しく揺れるのはズームを望遠側にしているときで、広角側のときはあまり揺れていませんでした。よくよく考えてみると、広角と望遠では、見かけ上、縦や横の揺れる量が違うのです。望遠だと被写体を大きく見せるので、揺れる量も大きくなります。広角だと反対に小さくなります。これが揺れが小さくなる秘密でした。
これに気がついてからというもの、移動ショットを撮るのが楽しくなって、すっかりハマってしまいました。カメラを上から鷲づかみにして、ローアングルで移動させると、まるで犬の視線のような映像になります。普段見られない角度からの映像は新鮮です。そのうちに作品をインターネットで公開したいと思います。
(東京都/金のたまねぎ)