イソップの宙返り・74
          
ライオンと兎
ライオンが兎を捕まえて食べようとしていると、鹿が通りかかるのを見つけました。
鹿の方が美味しいので、ライオンは兎を放って鹿を追いかけました。
鹿は足が速いので、逃げられてしまいました。
兎のところへ戻ってみましたが、兎も逃げたあとでした。
ライオンは、こう言いましたとサ。
「手の中のご馳走を放りだして、もっと大きな希望を選んだのだから」
寓意・ほどほどの儲けにあきたらず、大きな儲けを追ううちに、どっちも失敗する人がいる。
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極東の凡俗といたしましては・・・
甘い目先の利益に飛びついた、って云うと先のバブルを連想してしまいますねぇ。
バブルは、世界の金融の中心になると、必ず起こっていた経済現象なんですね。
これは経済学部では必ず教える経済史のイロハ。
ボクでも知っている一番古いのでは、オランダのチューリップ・バブル。
ボクの本棚にある学生時代の教科書に書いてあるチューリップ・バブルって、こんなこと。
               
チューリップは、トルコでは昔から栽培されていましたが、17世紀初めにオランダに大量に運ばれて大衆化し、新品種作成のブームがおこったとか。
珍しい品種や、新品種が先物取引され、実際にある球根ではなく架空の数の売買が行われ、1634年から狂乱状態となり、一時は球根一つと12エーカーの土地とが交換されたり、1万ドルで取引されるまでになった。
ところが3年後には暴落が始まったとか。
          
その次は、18世紀にイギリスが金融の中心になると、「サウスシー・バブル」が起こった。
これは、国策の南洋会社が、投機の対象になり、街角の喫茶店に全財産をもった人々が群れ集まったといいます。
まあ、これは数年もしないうちに暴落。
南洋会社をはじめとする「サウスシー」関連株は紙屑になってしまった。
         
次は1929年のアメリカの大恐慌。
これは同じように金融センターになったアメリカで土地投機から出たバブル。
          
まあ、「歴史は繰り返す」ってのは正確ではなく、「歴史家は繰り返す」だとしても、金融の中心になる国に繰り返しバブルが起こっていること、狂乱的な投機は何時か崩壊するのは、こんな学生用の教科書でも書いてあることなんですよね。
        
それに、1929年のアメリカの大恐慌の後始末にフーバーが公共投資をやって、一層地獄に陥ち込んだのに、日本では、公的資金の投入をしていますがね。
アメリカは「セブンデーズ・ホリディ」をやって、潰れるべきところを潰してから、残すべきところへ、タップリと公的資金を投入して経済を立て直したんだけどね。
「歴史は繰り返す」は歴史家のタワゴトだと思っているんかなぁ。
            
ところで、15年前、銀行がノンバンクやファイナンス会社を造って、狂乱貸し付けに走ったのも不審ですが、家電会社とかスーパーまで、高利貸を始めてしまいましたね。
あの貸し付け内容を見ると、担保の土地は、「虫食い」「浮島」。
「虫食い」って言うのは、他人の土地が内部に点在していること。
「浮島」ってのは、公道からの進入道路がないこと。
こんなものは、経済的価値がほとんどないことは常識。
まあ、まともな担保も取らずに無理に貸し付けた、ってこと。
             
あんなことをした連中は、れっきとした経済学部の秀才達でしょう?
日本のインテリって、知識を行動に生かす能力がないのかなぁ。
知識が身に付いていないからかなぁ。
大学で覚えたことは役に立たないと決めているんかなぁ。
学校教育の改善は、大学から改善するのが急務のように思える。