被害者が年金受給者の場合の得べかりし利益の計算方法
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2024.5.13 mf updated
弁護士河原崎弘
厚生労働省の平均余命を参考にして下さい。
質問
年金(月20万円、母と暮らしている)の父(73歳)が病院の過失で亡くなりました。慰謝料の外に、逸失利益はいくらになりますか。
回答
平均余命期間年金を受け取ると考えて、計算します。
平成4年における73歳、男性の平均余命は、13年です(小数点以下は切捨て)。13年に対応するライプニッツ係数は、10.6350で計算する。扶養家族1人なので、生活費控除率は、40%です。
計算式は、
240万円×(100−40)/100×10.6350 =1531万4400円です。
慰謝料は多めに2800万円を請求してください。
判例
- 名古屋地裁平22.5.21判決
以上の事実によれば,被害者の基礎年収は,平均余命の約半分である13年間については,私学共済年金に相当する191万6300円(被害者が実際に得ていたのは遺族年金であるが,191万6300円の私学共済年金に切り替えることも可能であったことからすれば,191万6300円については,死亡による逸失利益の対象になると認めるのが相当である。)に江南市から得ていた委託料18万0480円を加えた209万6780円,平均余命の残りであるその後の12年間については同年金額に相当する191万6300円であると認めるのが相当である。
自宅の管理については,逸失利益を認めることはできない。また,月極駐車場の管理については,その具体的な労務やそれにより得られた利益についての具体的な証拠がないから,これを逸失利益と認めることはできない。
そして,基礎収入の全部ないしほとんどが年金であり,その額が上記のとおり200万円前後にとどまることからすれば,生活費控除率は60%とするのが相当である。
そうすると,被害者の死亡による逸失利益は,次のとおりとなる。
ア 最初の13年間
209万6780円×(1−0.6)×9.394=787万8861円
イ 次の12年間
191万6300円×(1−0.6)×(14.094−9.394)=360万2644円
したがって,被害者の死亡による逸失利益は1148万1505円である。
(2) 死亡慰謝料
被害者の死亡慰謝料は2400万円が相当である。
2024.5.22
神谷町 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03−3431−7161