質問:顧客名簿の漏えい
当社は、家電、日用品を販売しています。この度、顧客名簿を整備することになり、ソフト作成を含めて外部の会社に委託することになりました。
当社は、相手の会社に、顧客名簿を渡し、データベースを作成してもらうことになりました。その際、約50万人分の名簿を渡しますが、これが外部に漏れる危険があります。特に、同業者に流されると、当社は大きな打撃を受けます。
契約書などで、名簿が流れるのを防ぐには、どうしたらよいですか。
相談者は、顧問の法律事務所を訪ね、弁護士のアドバイスを聴きました。回答:違約金条項
企業の顧客情報など情報管理は、重要なことです。名簿が、次の3条件を満たすなら、名簿の情報漏洩は、不正競争防止法違反となり、刑事、民事の対象となります。不正競争防止法の対象となれば 、名簿の情報漏洩は、不正競争防止法違反となり、刑事、民事の対象となります。
- 名簿が秘密事項として管理され
- 名簿が有用な情報として認識され
- 名簿が名簿管理者以外では入手できないものである
名簿の情報漏えいは、時には、企業にとっては命取りになります。まず、 契約書内に、名簿には、「秘密」と書き、名簿は秘密事項であり、「厳重に管理する」旨誓約させ、相手に渡す名簿原本に一連のナンバーを打ち、全て返還してもらう旨の条項を入れることです。必要なら、さらに、名簿の管理方法を具体的に書き、それを守らせることです。
これだけでは、単なる精神条項に終わります。判決では、漏れた名簿1名につき3000円の損害と認定したものがあります。そこで、万一名簿が漏れた場合は、あなたの会社は、相手に損害賠償を請求できる金額を契約書の中で決めてください( 民法420条 )。具体的に違約金は金300万円などと書く必要があります。
さらに、名簿が漏れたとしても、それが、相手からもれたことを証明することも難しいです。そこで、立証できる工夫をする必要があります。その1つは、名簿内に、相手に渡した名簿にだけ特有な情報を入れる(例えば、架空の名簿)ことなどでしょう。それぞれ、工夫する必要があります。法律
民法420条
1 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。 3 違約金は、賠償額の予定と推定する。 判決
- 大阪地方裁判所平成30年3月5日判決
原告の請求は,@被告P1及び被告八光薬品に対し,不正競争防止法4条に基づき連帯して318万6491円の損害賠償及びこれに対する不法行為後の日である平成27年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,A被告P1に対し,競業避止義務違反の債務不履行に基づく174万円の損害賠償及びこれに対する請求の日の翌日である平成27年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,B被告P2に対し,競業避止義務の債務不履行に基づく46万円の損害賠償及びこれに対する請求の日の翌日である平成27年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,C被告P3に対し,競業避止義務の債務不履行に基づく52万円の損害賠償及びこれに対する請求の日の翌日である平成27年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,