“ブルータリスト ★★
The Brutalist
(2025年アメリカ・イギリス・ハンガリー映画)

監督:ブラディ・コーベット
脚本:ブラディ・コーベット、モナ・ファストヴォールド
出演:エイドリアン・ブロディ、フェリシティ・ジョーンズ、ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン、ラフィー・キャシディ

 

第81回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞、第82回ゴールデングローブ賞で三部門:作品賞・監督賞・主演男優賞を受賞した作品とのことで、暗そうで私の好みではなさそうなものの、観た次第。
それにしても長い、上映時間は何と 3時間40分。大丈夫かなと心配になりましたが、冒頭で途中15分の休憩が入ると予告されホッ。

主人公はハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トート(架空の人物)。
ホロコーストを生き延び運よくアメリカに渡りますが、妻エルジェーベトと姪ジョーフィアの二人はソ連軍によりオーストリアに留められたまま、生き別れ。
アメリカで再会しようと約束して別れ、手紙で連絡はついたものの、彼女たちが何時アメリカに来れるのかは全く分からない、という状況。

そうした中で先に米国へ移住した従兄弟に迎えられ、彼の仕事を手伝いますが、トラブルが発生して喧嘩別れとなり、日雇いといった感じの土木建築現場での作業員として働く日々。
しかしその原因となった富裕な実業家ハリソンが、ラースローの輝かしい業績を知り、亡母を記念するコミュニティセンター(礼拝堂を含む)の建築をラースローに依頼してきたことから道が開けます。さらにハリソンと親しい弁護士の尽力で、ついに妻と姪を迎えることもできます。
しかし、肝心の建築の現場で様々な揉め事が起こり、その結果・・・。

ホロコーストを免れたユダヤ人たちのその後を、一人の建築家の苦闘を元に描いた作品といます。
ただ、「ブルータリスト」という題名、“ブルータリズム建築”が元にあるようで、ブルータリズム建築の是非を描いた面もあるようです。
ちなみにブルータリズム建築とは、コンクリートを多用し、装飾を排した簡素で大型の構造物のことだそうです。まさにラースローが建築しようとしたもの。

時間的にたっぷり観応えはありましたが、最後、どういう結末なのかよく判らず仕舞い。結末より、過程の方が重要ということでしょうか。

※ラースローの妻エルジェーベトを演じたファシリティ・ジョーンズ、名前にかなり覚えがあるなぁと思いつつすぐには分からなかったのですが、出演歴を見てジェイン・オースティン原作をTVドラマ化した「ノーサンガー・アベイ」で主役のキャサリン・モーランドを演じた女優さんと気付きました。
当時、可憐で魅力ある女優さんという印象が強かったので忘れずにいたという次第ですが、17年も経っていますので今はもう熟練の女優さんになっていました。

※3月2日第97回アカデミー賞が発表、本作が主演男優賞・撮影賞、作曲賞の三冠を受賞。

2025.02.24

           


   

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