“ワン・バトル・アフター・アナザー ★★
One Battle After Another
(2025年アメリカ映画)

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティ

 

レオナルド・ディカプリオ主演のサスペンス・アクション。

ディカプリオが演じるのは、元革命家のボブ。
活動していた頃、同じ革命家仲間だった女性との間に、娘ウィラをもうける。
娘可愛さにボブは活動から退きますが、妻は革命活動を止められず、二人の元を去る。しかし、軍人ロックジョー(ショーン・ペン)に逮捕され裏切り者となってしまうが、その後姿を消し、消息不明。

それから16年が経ち、ボブは愛娘ウィラとの穏やかな生活を送っていて、かつての革命闘士もとんだ腑抜けの中年男になり果てている。
そのボブとウィラに突如として危機が襲ってきます。
マッチョな軍人ロックジョーが、私利私欲のために二人を狙い、軍を動かしてきます。
ウィラとボブは、それぞれ別に逃走することになりますが、果たして・・・。

サスペンス・アクションというと、主人公は恰好良く、どんな危機に見舞われてもその特別の才覚、格闘能力で切り抜けていく、というのが普通のパターン。
その点が本作は異例。ボブ、ちっとも格好良くありませんし、“センセイ”と呼ばれる謎の人物(ベニチオ・デル・トロ)に助けられてばかり。
そのセンセイの方が、ボブを超えて恰好良いのです。この点がコミカル。

そして、異様な存在感を発揮して他を圧倒しているのが、変態気味で自負心が強く、自分は常に正しいと思い込んでいる(まるでトランプのよう)軍人、ロックジョー。

普通のサスペンスであれば、ボブが如何にロックジョーと闘うか、ということになる筈ですが、そうならないズレっぷりが何とも奇妙なのです。

それでも最後、荒野のハイウェイを車で追走するシーン、これがお見事。
アップダウンを繰り返すハイウェイ、これが実に観応えあり、そこにおける顛末も予想外。
通常のサスペンス・アクションを裏切ったような、裏をかいたような展開が本作の面白さ、魅力と言うべきなのでしょう。
観終わった後は、正直に言って、呆気にとられた気分。

2025.10.03

           


   

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