“ANORA アノーラ ★★☆
Anora
(2025年アメリカ映画)

監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー
出演:マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリソフ、カレン・カラグリアン、ヴァチェ・トヴマシアン

 

ニューヨークでストリップダンサー(日本のそれとはかなり違う)として働くロシア系アメリカ人のアノーラが本作の主人公。

ある日客となった、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の御曹司イヴァンに気に入られ、申し出を受けて一週間の専属を応諾した処、イヴァンの無軌道で派手な遊びに巻き込まれてしまう。そして仲間らとラスベガスへ遊びに行った処、イヴァンからプロポーズされるに至り、二人は正式に結婚します。
しかし、その事実を知り怒ったイヴァンの母親から命令されたロシア男二人(ガルニクとイーゴル)、さらにはイヴァンのお目付け役的な存在であるトロスまで家に押し寄せてくると、何とイヴァンはアノーラを放り出して自分だけ逃げ出してしまう。
そこからアノーラは、強制されてトロスら3人と夜の街中を、イヴァンを探して駆けずり回ることになります。

いやー、いくらなんでもアホな道楽息子みえみえのイヴァンと結婚するかな、と思いますが、それだけの事情がアノーラにもある、ということなのでしょう。
ドタバタ喜劇と決めつけてしまうのは行き過ぎですが、アノーラやロシア男三人との会話、やりとりがすこぶる面白く、愉快であるのは間違いなし。
そのうえで、どういう結末へと進むのか、まるで見当つかず。
だからこその面白さあり。

アノーラの、たたみかけるような言葉には彼女の想いが詰まっていますが、実はアノーラが口にしない部分にこそ彼女の切ない深い想いが詰まっていると感じます。その切なさに胸突かれる思いです。

アノーラ役のマイキー・マディソンの身体を張った熱演に、拍手を送ります。

※3月2日第97回アカデミー賞が発表、本作が作品賞・監督賞・主演女優賞・脚本賞・編集賞の五冠を受賞。

2025.03.03

           


   

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