“死に損なった男 ★★
(2025年日本映画)

監督:田中征爾
脚本:田中征爾
出演:水川かたまり、唐田えりか、喜矢武豊、堀未央奈、正名僕蔵

 

地味で小ぶりなコメディ作品ですが、それなりに面白かったです。

お笑いの構成作家をしている関谷一平(水川かたまり)、憧れだった仕事も今は心身とも疲れ、自分がいなくなっても世の中は何も困らず回っていくと思ってしまい、駅ホームで投身自殺をしかけます。
しかし、その電車が別の駅で起きた人身事故で止まってしまい、自殺はできず仕舞い。
その後、ひょんなことから一平は、その人身事故で死んだ初老の男の幽霊に付きまとわれることになります。
普通幽霊といえば姿は見えても触れない、というものですが、その森口知宏の幽霊(正名僕蔵)はリアルに触ることもでき、一平は首を締められたりと森口から脅され続け。
その森口、大事な一人娘である綾(唐田えりか)が、DVで離婚した元夫に相変わらず付きまとわれており、このままでは何が起こるか分からない。
元夫が娘に対して何か起こす前に、元夫をおまえが殺せと、一平に執拗に迫ります。さて一平は・・・。

ノイローゼになるくらい幽霊に付きまとわれたら、その人間は殺人でも行ってしまうものなのか。また、他人に殺せというくらいなら、何故そう迫る本人はやらなかったのか?と考えながら見ていました。

主人公の関谷一平、ぼーっとしていて冴えない印象なのですが、良い人なのだよなあ。
実はこうした良い人、世間には沢山いて、良い人であるばかりに報われない状況に置かれているというケース、多いのではないかと思います。
ですから、そんな一平をきちんと評価している同じ事務所の女性=竹下希(堀未央奈)の存在に、救われる気持ちがします。

なお、一平と森口幽霊とのやりとりが面白く、森口幽霊がコント作りに口を挟んできたり、二人に繋がりが生まれていくところが微笑ましい。

※お笑いにはトンと縁、関心がないので、主役を演じた水川かたまりさん、その漫才コンビ<空気階段>については、まるで知りませんでした。

2025.02.21

                  


  

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