私は未読ですが、2018年 第9回山田風太郎賞、19年 第160回直木賞 第5回沖縄書店大賞小説部門を受賞した、真藤順丈「宝島」の映画化。
舞台は、太平洋戦争敗戦から始まる米軍統治時代から1972年の日本復帰までの沖縄。
米軍統治下で、どれほど沖縄の人々が米軍の横暴下、犠牲にされてきたかがリアルに描き出されます。
基本的に国民は、その国によって守られる存在。しかし、その国がなかったら、いかに権利を蹂躙され、犠牲にされるだけか、ということが圧倒的な迫力をもって突きつけられます。
米軍統治下ということはすなわち、自分たちを守ってくれる国が存在しない、ということに他なりません。
しかし、日本に復帰したからといって、米軍基地がそのまま存在し続けている沖縄で、人々が犠牲になる事例が今も絶えないことを思うと、胸が痛みます。
ストーリーは冒頭、1952年の沖縄、米軍物資を盗み出しては地元住民に配るという行為を繰り返していた“戦果アギャー”と呼ばれる若者たちが、嘉手納基地内で米軍兵に追われるところから始まります。
彼らのリーダーで英雄視されていたのが「オンちゃん」(永山瑛太)。しかし、その夜からオンは姿を消してしまう。
その後時間を経て、オンと特に親密だったグスク(妻夫木聡)は刑事に、弟のレイ(窪田正孝)はヤクザになって今もオンちゃんの行方を捜し続け、恋人だったヤマコ(広瀬すず)は小学校の教師となります。
年数が経っても米軍による事故、事件が収まらない沖縄にあって、島民たちの不満はマグマのように溜り膨れ上がり、ついに爆発する・・・。
ストーリー内容はともかくとして、主役の三人の熱演が圧巻、目を背けられない観応えある場面が繰り広げられます。そして最後、思いがけない事実が明らかになります。
いずれにせよ、凄いエネルギーに圧倒される作品、お薦めです。
2025.09.19
|