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1.再会 2.ミス・パーフェクトが行く! 3.闘え!ミス・パーフェクト |
●「再
会」● ★☆ 江戸川乱歩賞 |
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2012年08月
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スーパーの店長が銃殺されて発見される。 「予選委員会から本選考会まで常にトップを走り続けた」応募作とのことで、注目が高いようです。 次々と頁を繰り面白く読めたものの、読了後に思い返すと物足りなさもあり、というのが読後感。 |
2. | |
「ミス・パーフェクトが行く!」 ★★ |
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2025年04月
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真波莉子、29歳。厚生労働省雇用環境・均等局総務課に所属するキャリア官僚。 仕事のスピードと正確性では誰にも引けを取らず、「総務課に真波あり」と省内外にその名前を鳴り響かせるだけでなく、どんな仕事でも簡単にこなしてしまう故に付いた仇名が「何でも屋」。 さらに現職の栗林総理の遠縁という噂もあり。 そんな訳で困った問題が生じるととかく上から解決を任され、その度に「この問題、私が解決いたします」が決め台詞。 冒頭章は、頑固なベテラン議員による問題発言で、ネットで大炎上。何とか解決に持ち込んだのですが、莉子の秘密が暴かれることに繋がり・・・・。 その後は、莉子の実力と経歴を掴んだ経営者たちから、それぞれが抱えた問題の解決を委ねられ、その都度莉子が奮闘する、という連作ストーリィ。 面白いです。誰もが理解できるファミレス、航空会社、病院の立て直しに、莉子がどんな策を講じるのか、という興味溢れるストーリィですから。 莉子の正体は?という点も注目せざるを得ませんが、血筋よりはやはり能力、と言うべきでしょう。 莉子専属の送り迎え運転手兼護衛となった元SPでシングルファーザーの城島真司とその小三の娘=愛梨とのやりとりも楽しい。莉子が決して仕事だけの人間ではない、と描き出しているところですから。 ※なお、こうした問題解決型ストーリィ、以前何か読んだ気がするなぁと思いつつ思い出したのは、農業ものでは黒野伸一さん、リストラものでは垣根涼介さんの“俺たちに明日はない”シリーズ。スケールはかなり違うかもしれませんが。 第一問:某政治家の不適切発言による炎上を収束させなさい。 第二問:某ファミレスの売り上げワーストの店舗を何とかしなさい。 第三問:某航空会社の客室乗務員のセカンドキャリアについて考えなさい。 第四問:赤字経営が続く某市立病院の経営を立て直しなさい。 |
3. | |
「闘え!ミス・パーフェクト Fight! Miss Perfect」 ★★ |
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2025年04月
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エンターテインメント、シリーズ第2弾。 <問題 → 解答>というパターンは、前作どおり。 また、有能な元厚労省キャリア官僚で、栗林現総理の隠し子でそのブレーンも務めている真波莉子(30歳)に、元警視庁SPで現在は警備会社社員として莉子専属の運転手兼護衛という城島真司、その小四の娘=愛梨という取り合わせも前作どおりとあって、楽しき哉。 なお、莉子は前作で依頼を受けた相模原市立病院の建て直しに引き続き関与中。 それでありながら、新たなトラブル事案への対応、父親のブレーン仕事と相変わらず忙しい。 そんな莉子の姿に、愛梨が「莉子ちゃんみたいなキャリア官僚になりたい」と告げるのですが、最近のキャリア官僚の人気低迷を思うとちょっと面白いです。 各章のストーリー内容は題名そのままですが、現代日本社会における課題も描かれている処が興味深い。 ・第一問は、限界集落問題。 ・第三問は、女性アスリートの産休問題と、LGBTQ問題。 最後、思わぬ展開に驚きますが、その後の展開は次作で読めるのでしょうか。 ちなみに第3弾「ミス・パーフェクトの憂鬱」は今月刊行。 第一問:限界集落である某村を活性化させなさい。 第二問:某市の給食センターの異物混入問題を解決し、ついでに客離れに悩む某キャバクラの売り上げを回復させなさい。 第三問:ハラスメントだらけの某女子バレーボールチームを改革しなさい。 第四問:厚労省の元キャリア官僚によるインサイダー取引疑惑の真相を解明し、地に墜ちた厚労省の評判を回復させなさい。 |