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12.市立第二中学校2年C組 13.恋愛小説 14.純愛モラトリアム 15.どんまいっ! 17.シロシロクビハダ(文庫改題:メイクアップ デイズ) 18.その青の、その先の、 19.消えてなくなっても 20.未来の手紙 |
【作家歴】、十二歳、未来の息子、しずかな日々、体育座りで空を見上げて、みきわめ検定、枝付き干し葡萄とワイングラス、るり姉、ガミガミ女とスーダラ男、坂道の向こうにある海、フリン |
伶也と、14歳の水平線、明日の食卓、見た目レシピいかがですか?、つながりの蔵、さしすせその女たち、緑のなかで、昔はおれと同い年だった田中さんとの友情、こんぱるいろ彼方、純喫茶パオーン |
ぼくたちの答え、ミラーワールド、きときと夫婦旅、ともだち、みかんファミリー、ご利益ごはん |
●「ダリアの笑顔」● ★★ |
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2012年11月
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姉の真美は引っ込み思案な女の子(小6)、一方弟の健介はリトルリーグで活躍する元気で明るい男の子(小5)。 冒頭、母親は一人で苛立ち、子供たちと父親はそんな母親に戦々恐々としている様子で、この家族はこのまま崩壊してしまうのではないか、と感じるところ大。 引っ込み思案な真美、外で働き出した母親の春子、転校生の女の子がきっかけで新たな局面を知った健介、仕事にやる気のでない父親・明弘と、各章で語られるストーリィは、4人各々のドラマです。 最近、家族なのにと思うような事件が次々とニュースを賑わせます。そうした中で、平凡ではあっても、家族というものの愛おしさを率直に描いた本作品、嬉しくなります。 ダリアの笑顔/いんじゃないの、40代/転校生/オタ繊 綿貫係長 |
●「市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日」● ★★ |
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2013年10月
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ウェブサイトでの連載小説の単行本化。 市立中学校のとあるクラス、どこにでもあるようなクラス、どこにでもいるような中学生たち。 クラス全員を一からげにして語るのではなく、クラスの中で目立った存在の生徒をその代表者として描くのではなく、本当に一人一人対等に描く、という風。それが何とも楽しい。 仲良し4人組と見られていても、実はその中で2対2に別れていたり、同級生に対する思いが各々ズレていたり、結構面白いのです。 椰月さんの達者な筆遣いで、現代の中学生群像が鮮やかに浮かび上がってきます。 |
●「恋愛小説」● ★★ |
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2014年09月
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長い、本当に長い。フツーの恋愛小説だったらもう終わり、と思うのにちっとも決着しない。そこが未だ中盤。 本ストーリィが呆れるくらい長いのも当たり前。それこそ恋愛におけるあらゆる感情、あらゆるゴタゴタをすべてぶち込んだと言えるストーリィなのですから。 注目したいのは、その時の意味がそれと判るのはずっと後になってから、という作者の言葉が時折入ること。 |
●「純愛モラトリアム」● ★★☆ |
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恋愛もの連作短篇集なのですが、とにかく上手い! 思わず唸ってしまいます。 冒頭の「西小原さんの誘拐計画」は、女子高生が帰校途中にいきなり車の中に連れ込まれて誘拐される、というところから始まる話なのですが、その後の展開が何ともはや。早くもこの一篇で、本短篇集の虜になってしまいました。 恋愛に不器用な男女が、数多く登場します。それでも、捨てる神あれば拾う神あり、と言ったら良いでしょうか。 可笑しさがあってちょっぴり皮肉も交る、恋愛もの短篇集の逸品と言える一冊。 西小原さんの誘拐計画/やさしい太陽/オケタニくんの不覚/スーパーマリオ/妄想ソラニン/1Fヒナドル/アマリリス洋子/菊ちゃんの涙 |
●「どんまいっ!」● ★★ |
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工業高校に通う男子高校生3人と、女子高生3人のグループデートから始まる本書、表紙絵からしても裏表紙の紹介文からしても、疑いもなく青春群像劇。 高校生、やがて社会人と、年は重ねてもどこか高校生の頃と変わらず馬鹿っぽい、単純一直線、というところが主人公たちにはあります。はっきり言ってしまえば、大人になりきれないところあり、という風。 気持ちがウキウキとして、楽しい気分になってくる、そんな男女青春群像ストーリィ。軽く楽しめる一冊です。 ゲイリーの夏/本社西部倉庫隣発行部課サクラダミュー/マッハの一歩/希望のヒカリ/ドンマイ麻衣子/愛の愛/キャメルのメランコリ/亮太と神さま |
16. | |
●「かっこうの親 もずの子ども」● ★★ |
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2014年10月
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「かっこうの親もずの子ども」、実に意味深な題名ですが、本書は色濃い母子の関係を描いたストーリィ。 主人公はシングルマザーの統子、41歳。 後半、都会での日常生活を離れ、夏休みに母子が訪れた五島列島での伸び伸びした2人の姿が印象的です。 |
17. | |
●「シロシロクビハダ」● ★★
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2016年04月
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まず「シロシロクビハダ」とは何?と思うでしょうけれど、主人公=秋山箱理の祖母ヨシエさんのこと。 職場・仕事のことがストーリィの半分を占めますが、といってお仕事小説ではなく、残り半分を家族のことが占めますが、といって家族小説でもない。そこにあるのは、職場においても家族においても、特別なそんざいではなくても個性ある一人一人の存在。その存在感に、温もりと安心感、愛しさをしみじみ感じます。 |
18. | |
「その青の、その先の、」 ★★☆ |
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2016年06月
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17歳、高校2年、仲間との日々を生き生きと、瑞々しく、力強く描いた学園もの青春小説の逸品。 主人公はまひる、仲の好い同級生は夏海、クロノ、むっちゃんという3人。ごく普通の高校生活が描かれている訳ですが、17歳という今のひと時を目一杯に生きている、という雰囲気の横溢しているところが本作品の魅力。 主人公は一応まひるであり、本ストーリィは彼女の視点から描かれていますが、彼女とその仲間たちに留まらず、同級生、彼氏とその友人等々とそれぞれに距離感の違いはあっても、俯瞰すると17歳の高校生群像という姿が見えてきます。 |
19. | |
「消えてなくなっても」 ★★ |
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2017年05月
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椰月さんには珍しく、ファンタジーなストーリィ。 あおのは、縁あって節子の元に世話になることとなりますが、そこには既に平井つきのという24歳の訳有り女性が居候として住み付いていた。 その最期には思いもしなかった結末が待っているのですが、それを明かしてしまっては本作品を読む楽しさ自体が飛んでしまうというもの。そんな謎もあってこそ、読んでのお楽しみ。 |
20. | |
「未来の手紙 The Letter of the Future」 ★★ |
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2016年11月
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子供にだって大人と同じように子供なりの悩みはある、という趣旨のことを言ったのはケストナーですが、まして思春期入口の中学生たちとなれば様々に思い悩むことはあるもの。 |
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