
2024年03月
ポプラ社
(1800円+税)
2024/04/10
amazon.co.jp
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海辺にある八重浜町、親が原因で辛い状況の中で生きる少年少女たちの葛藤、成長を描いたデビュー作。
小学六年生の鳴海翔、母を亡くしたうえ、父親がその看護で心を病みんでしまい、八重浜町にある亡母の実家で、祖母と叔母の世話になることになります。
転校した学校で翔が気になったのは、除け者にされ孤立している同級生=栗原大也のこと。
ふとしたことから大也と親しくなった翔は、同じくクラスで孤立していた河崎美波からサーフィンを勧められます。
それから翔と大也は、美波と同様に、プロ・サーファーでサーフショップを営む叔母の香夏子の指導を受けてサーフィンを始めることになります。
父親の不調により我慢を強いられている翔。不本意に若くしてシングルマザーとなった為なのか、母親リカから育児放棄だけでなく、万引をさせられて泥棒のレッテルを貼られてしまった大也。義父の暴力に日々晒されてサーフィンだけを心の拠り所にしている美波。
しかし、翔が転校してきたことによって翔と大也、美波という3人に繋がりが生まれ、3人は前に向かって歩き出すことができるようになります。
孤立している状況はやはり厳しい。自分のことを思ってくれる誰か、心配してくれる誰かがいると信じられることが、どれだけ心の支えになることか。
でもそれは第一歩に過ぎません。
彼らが本当に成長する姿を見せるのは、守らなければいけない相手がいると気づくこと。それによって強くなり、成長することができるのですから。
しかし、成長することは歩む道が分かれることでもある。
それぞれの道を歩みだす彼らに、心からエールを送ります。
1.翔/2.大也/3.美波/4.翔/終章 |