砂原浩太朗作品のページ No.2



11.星月夜−藩邸差配役日日控−  

12.小石川養生所青春譜 

【作家歴】、高瀬庄左衛門御留書、黛家の兄弟、藩邸差配役日日控、霜月記、夜露がたり、浅草寺小屋よろず暦、冬と瓦礫、雫峠、烈風を斬れ、武家女人記

砂原浩太朗作品のページ No.1

  


      

11.

「星月夜−藩邸差配役日日控− ★☆   


星月夜

2026年03月
文藝春秋

(1700円+税)



2026/04/15



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神宮寺藩の江戸藩邸内における“何でも屋”というべき<差配役>である里村五郎兵衛を主人公に、藩邸内で起きる日常的なあれこれの始末をつけるべく差配役の奔走を描く時代物連作ストーリー、藩邸差配役日日控第2弾。

前作で登場人物はひととおり登場していますので、新たに人物関係を覚える必要はなく、前作の延長上で、気楽に読めました。
すでに安定したシリーズものになっている、という印象。

一方、欲を言えば、主人公の里村五郎兵衛、何でも屋という位置づけ故か人間臭さを余り感じず、ちょっと印象が薄いなぁ、と感じてしまいます。

砂原さん、今後も本シリーズを書き続けるつもりのようで、
北原亞以子“慶次郎縁側日記”のような長いシリーズになることが期待されます。

「波と波」:大久保家老の側近である波岡喜四郎に、ちょっと不審な動き。五郎兵衛が気にします。
「揺れる槌」:藩邸出入りの大工で、神田の名工という評判をとる源蔵が、何故か息子の壮吉にやたら厳しい。何故?
「梔子日和」峰尾付の女中=お玉につき、亀千代から予想外の依頼ごと。その背景にある事情は・・・。
「碌々亭日乗」:配下の安西主税が、隠居した父親の惣兵衛が外出多く気がかりと。行きがかり上、五郎兵衛が・・・。
「小心者」:御納戸役の窪田吾兵衛、脅迫じみた投げ文が届いたことから、不安顔。やむなく五郎兵衛が・・・。
「星月夜」:夫の死で出戻った長女=七緒の様子がおかしい。父親として心配せざるを得ず・・・。

「碌々亭日乗」にユーモア感があって楽しい。一方、「星月夜」は切ないなぁ。

波と波/揺れる槌/梔子日和/碌々亭日乗/小心者/星月夜

         

12.

「小石川養生所青春譜 ★☆   


小石川養生所青春譜

2026年07月
光文社

(1800円+税)



2026/07/30



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父親の急逝により、結城長三郎(20歳)はその跡を継ぎ、南町奉行所所属の<小石川養生所>見廻り同心となります。

貧しい患者たちを収容する小石川養生所は、患者、医師、看病中間などがたむろし、混沌とした場所。
養生所に詰めるのは南町と北町が一日交替、南町の同僚は与力である
長門伊兵衛に、同じ同心の田原十蔵、磯貝新平と計4人。
患者たちの間で何か揉め事、不審な出来事が起これば、長三郎たちが対応することになる。

ある日、長三郎が持ち帰った弁当包みの中に、紙片が入れられていた。いったい誰が、何の意図で?
もしや、父の
瀬左衛門が養生所に忍ばせた手下か・・・。

養生所というのは、ある意味閉鎖的な場所ですけれど、その一方で世間の縮図のような場所かもしれません。
そのため長三郎は、いろいろなことで右往左往させられます。

したがって、本ストーリーでは、医療と事件が混在します。そこが本作の面白味かもしれません。
ただ、題名にある“青春譜”というより、“新米譜”という方が長三郎については相応しいのではないかと思う次第。

本作についてはもう一つ物足りなさを感じる処がありますが、まだまだ長三郎について充分には書かれていない、とも感じます。
その意味では、これから始まるという物語なのでしょう。
シリーズ化、今後の展開に、期待したいです。

※“青春”という点では、
藤沢周平“獄医立花登手控え”シリーズがまさにそう言うに相応しい作品でした。懐かしい。

咳(しわぶき)の咎/眼(まなこ)の壁/五臓の影/亡者の縛(ばく)/疑惑の檻/無間の傷/闇の果て

       

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