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「分岐駅まほろし Junction Station Mahoroshi」 ★☆ |
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2025年04月
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<分岐駅まほろし>とは、人生の分岐点へ戻る、その出発点となる駅。その駅には月替わりの駅員がいて、分岐点に戻るのを手伝ってくれます。 ただし、まほろし駅へ行くことができるのは、3つの条件を満たした場合だけ。 本書は、現在に後悔の念を抱え、あの時違う選択をしていたら、と思う人たちを描く連作ストーリィ。 あの時、ああしていたら、こうしていたら現在はもっと良かったかもと思ったことは、数えきれない程あります。 でも、過去を変えてもその後どうなったか判らないと思えば、それ以上強く願うことはありませんでしたね。 過去の分岐点に戻り、違う選択をした場合の体験はできても、実際に現在へ影響することはない、現在は変えられない、というのが本作のミソ。 でも、現実は変えられなくても、考え方、思いを変えることはできます。選択可能な分岐点は、今ここにある、ということでしょう。 各篇に登場する<駅員>とはどんな存在なのか。それは最終篇で明らかにされますが、その仕掛けが巧妙で面白い。 ※彩坂美月「思い出リバイバル」と似た処がありますが、ミステリ要素の有無、誰でもそう思ったことがある筈、という点で読んだ印象は全く別の連作ストーリィです。 1.もしもあの時、告白してたら/2.もしもあの時、第一志望の大学に合格していたら/3.もしもあの時、夢を追わなければ/4.もしもあの時、病院に連れて行っていたら/5.もしもあの時−− |