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「失われた貌 Lost Identity」 ★★ |
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顔が潰され、両手首が切断、歯も抜かれているという、身元不明の遺体が発見される。 何故そこまでして遺体の身元を隠す必要があったのか・・・。 (身元不明の工作、奇しくも読んだばかりの川瀬七緒「18マイルの境界線」と似ています。その後の趣向は勿論異なりますが) 事件を追うのは、媛上警察署捜査係長の日野雪彦警部補。 上司に対しても遠慮ないもの言いをする入江文乃巡査部長にしばしば辟易しながらも、二人で捜査に当たります。 しかし、他にも殺人事件が発生し、担当事件は次々と様相を変えていきます。そして捜査は、駒根警察署との合同捜査に。しかも主導権を握るのは駒根警察署、柿本主任という具合。 複数の事件に、多彩な事件関係者が登場、ストーリーは複雑化かつ多層にわたる展開を見せ始めます。 そして、新たな事実が見つかる度に事件は様相を変え、どんでん返しの連続。 余りにコロコロ変わるので、事件関係者に対する思い、共感等々が置いてけぼりになり、繰り返され続けたどんでん返しのみが記憶に残った、という観がなきにしもあらず。 一方、二つの警察署の合同捜査という微妙な駆け引き、県警内部での人間関係も露わにされ、私としてはその部分の方が面白かったように感じています。 ミステリ好きの方にお薦め、という警察事件もの。 6月29日-顔のない死体/6月30日-小さな来訪者/7月1日-欠けてゆく月/7月2日-もつれた過去/7月3日-リストの名前/7月4日-死んでいた男/7月5日-破られた約束/7月6日-あるはずの光 |