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11.ZOO 12.くつしたをかくせ! 13.失はれる物語 14.小生物語 15.銃とチョコレート 16.GOTH−モリノヨル 18.箱庭図書館 |
【作家歴】、夏と花火と私の死体、天帝妖狐、石ノ目、失踪HOLIDAY、きみにしか聞こえない、暗黒童話、死にぞこないの青、暗いところで待ち合わせ、GOTH、さみしさの周波数 |
サマーゴースト、一ノ瀬ユウナが浮いている、さよならに反する現象、大樹館の幻想 |
●「ZOO(ズー)」● ★★ |
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2006年05月 2003/08/13 |
まこと乙一さんらしい短篇集。 本書中最も印象的だったのは、冒頭の「カザリとヨーコ」。ストーリィ設定も凄いのですが、展開の鮮やかさが秀逸! カザリとヨーコ/血液を探せ!/陽だまりの詩/SO-far そ・ふぁー/冷たい森の白い家/Closet/神の言葉/ZOO/SEVEN ROOMS/落ちる飛行機の中で |
●「くつしたをかくせ!」(絵:羽住都)● ★☆ |
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乙一さん初めての絵本。それもクリスマス・ストーリィ。 本当に短いストーリィです。立ち読みしてもすぐ読み終わってしまうくらい(買う必要があったのかと、考えてしまう程)。 それにしても、クリスマス・ストーリィでありながら「くつしたをかくせ!」とは、虚を衝いています。 |
●「失はれる物語」● ★☆ |
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2006年06月
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収録6篇のうち、下記に記載したとおり5篇は既刊、新作は「マリアの指」のみという短篇集。 既刊5篇は、角川スニーカー文庫にてライトノベルとして刊行されたもの。乙一さんのあとがきによると、「ライトノベルは業界においてまともな小説として受け入れられていない」という。改めて一般向けの単行本に5篇を収録したのは、そうした背景があったからとのこと。ただそれは、「本書の存在は、私にとってある種の敗北である」という乙一さんの言葉どおりであり、私としても残念な気がする。ライトノベルでしか乙一作品を読めないということで、ライトノベルに新たな読者を引き入れる面もあるのですから(現に私がスニーカー文庫を手に取ったのも、乙一作品を読みたいからこそに他ならない)。 「Calling
You」「しあわせは子猫のかたち」は、「暗いところで待ち合わせ」に繋がる三部作。孤独を抱えた主人公が救いを得られるという、いずれも切ないストーリィで、元々大好きな作品です。 Calling You/傷
← (「きみにしか聞こえない」収録) |
●「小生物語」● ☆ |
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2007年04月 2004/12/03 |
乙一さんが自分のHP上に連載した日記を加筆・訂正したうえでの単行本化。 ホラ話がかなり入っているといっても事実の部分もある筈で、乙一さんの実像に少し近づけるのかもしれない。 故郷を離れて−愛知編/ラジオがクリアな−東京編/流れ流れて−神奈川編 |
●「銃とチョコレート」● ★★ |
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2016年07月
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“かつて子どもだったあなたと少年少女のための−ミステリーランド”シリーズ(講談社)の第10回配本作品です。 数々の富豪の家から宝石などを盗む怪盗ゴディバ。 そこは児童向きミステリですから深入りして綿密に描くということはありませんけれど、先に進めば進む程ストーリィは一転二転して留まることなし。最後にどう収まるのかまるで検討も付かないといった展開は、大人向けサスペンス・ミステリと比較しても全く遜色はありません。 |
●「GOTH−モリノヨル」●(写真:新津保建秀) ☆ |
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「GOTH」の番外編。 ストーリィのパターンは、「GOTH」と変わりありません。 本書の半分を占める写真のモデルは、高梨臨。どこかで見た覚えがあると思ったら、朝のTV番組でよく見る女性タレント。 |
●「なみだめネズミイグナートのぼうけん」●(え:小松田大全) ★★ |
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児童向け漫画or絵本というべき一冊。 主人公は、孤独で弱虫な為にいつも涙目、ねこに襲われたおかげで片耳が欠けているというネズミのイグナート。 ひとりぼっちではない、ということがどれだけ大切か。友情を大事にすることによってどれ程のことができたのか。それを子供たちに語った作品。 |
●「箱庭図書館」● ★ |
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2013年11月
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集英社のWEB文芸「RENZABURO」における企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた一冊とのことです。 元々のネタは読者の作品とはいっても、リメイクによって乙一さんらしさがコーティングされています。 当然相互には関わりのない作品だった筈ですが、子供の頃から極めつけの活字中毒である潮音と、子供の頃から物語を書きはじめ若くして作家となる山里秀太という姉弟が冒頭の篇で登場すると、それ以後の篇でもちょっと顔を出す、というのがコーティングの一つ。 私として楽しめたのは、姉弟が主役である「小説の作り方」、弟の秀太が主人公となる「青春絶縁体」、ファンタジーSFといった観のある「ホワイト・ステップ」。 小説家のつくり方/コンビニ日和!/青春絶縁体/ワンダーランド/王国の旗/ホワイト・ステップ/ |
19. | |
「Arknoah1−僕の作った怪物」 ★☆ |
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2015年09月
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乙一さんによる、異世界に迷い込んだ少年2人の冒険物語。 父親が早く死んで母子家庭。学校では共にいじめの対象となっているアールとグレイのアシュヴィ兄弟が本書の主人公。 ストーリィについてはさておき、本ファンタジーの面白さは箱庭のような部屋が集積して作り上げられた“アークノア”という世界の発案でしょう。部屋であれば当然に天井があり、その天井は四千メートルの上空というのですから想像を絶するところがあります。 |
20. | |
「Arknoah2−ドラゴンファイア」 ★★ |
2018年06月
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“アークノア”第2部。 本巻では歯並びの悪さについて執拗なイジメを受けていた少女=マリナ・ジーンズがアークノアの世界に入り込み、同世界に新たな怪物=龍が出現します。 前半部分では、【竜巻砂漠】という部屋世界にて、“ハンマーガール”ことリゼとアール、“ドッグヘッド”のカンヤム・カンニャムが乗り込んだ蒸気機関車と、炎を吐く龍との壮絶な激闘が見もの。 アークノア特別災害対策本部のある【中央階層】でリゼとアールらはマリナと出会いますが、そこからが思いもせぬ展開。再びリゼとアールらはマリナを追跡することになります。 第1部(巻)で不思議なアークノア世界、その住人たちのことを一通り知り得ていたためか、この第2部(巻)ではすんなりとその世界の中に入りこむことができ、充分に楽しめました。 三部作の中でこの第2部は、どちらかというと単純なアクション編という印象で、それ故に単純に楽しめたという処。 アークノアの謎解きは、次の第3部に引き継がれるようです。次が楽しみです。 |
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