森沢明夫作品のページ No.2



11.桜が散っても 


【作家歴】、青森ドロップキッカーズ、虹の岬の喫茶店、ミーコの宝箱、ヒカルの卵、たまちゃんのおつかい便、おいしくて泣くとき、青い孤島、本が紡いだ五つの奇跡、ロールキャベツ、さやかの寿司

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11.

「桜が散っても ★★   


桜が散っても

2024年12月
幻冬舎
(1700円+税)



2025/01/11



amazon.co.jp

釣り好きの山川忠彦は、釣りに訪れた清流のある桑畑村で雑貨屋を営んでいる檜山浩之と出会い、すっかり意気投合して親友の仲に。そして桑畑村は、忠彦にとって“第二の故郷”といってよい存在になります。
しかし、その桑畑村の美しい自然を破壊するようなリゾート開発計画が進行していることを知らされたうえ、その開発に携わっているののが、自身は直接関係ない部署にいるとはいえ、勤務先である帝王建設と知る。
その後、釣りをしに桑畑村を訪れた忠彦の前で、信じ難い出来事が起こり、それは忠彦の人生、そして家族の運命を大きく変えてしまう。

冒頭のあらすじは上記のようなもの。
出版社紹介文には
「不器用ながらも自分の信念を貫いた男と、その家族の絆を描いた感動の物語」とありますが、ちょっと違うのではないか、と思わざるを得ません。

大きな出来事の結果、忠彦と
麻美の夫婦は離婚に至り、麻美は人生を台無しにされ、子ども2人(建斗里奈)は父親に捨てられたという思いをずっと抱えることになります。
結果がどうであれ、父親と子どもの関係が断絶していた事実はなくならないし、離婚して20年も経てば元妻にとって元夫はもう他人でしかないのではないか。
それを、家族の復元とまとめてしまうのには、ちょっと疑問を感じます。
ただ、子ども2人にとって、その後に父親が歩んだ人生が、意義の無いものでは決してなかった、子どもたちのことを決して忘れたわけではなかった、と知ることは救いであったと思います。

以前だったら単純に感動的な家族の物語として感動できたかもしれませんが、家族の姿が変化してきた今にあっては、家族の物語としてまとめてしまうことには、残念ながら違和感が残ります。


プロローグ.辻村宏樹/1.山川忠彦/2.山川忠彦/3.松下麻美/4.松下里奈/5.松下建斗/エピローグ.松下春菜

        

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