森バジル作品のページ


1992年宮崎県生、九州大学卒。会社員。2018年第23回スニーカー大賞<秋>の優秀賞に選ばれ、文庫「 1/2−デュアル−死にすら値しない紅」を刊行。23年「ノウイットオール あなただけが知っている」にて第30回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。


1.ノウイットオール 

2.探偵小石は恋しない 

  


       

1.

「ノウイットオール Know It All −あなただけが知っている− ★★ 松本清張賞


ノウイットオール

2023年07月
文芸春秋

(1600円+税)

2025年09月
文春文庫



2023/08/09



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推理小説、高校青春小説、SF、暗黒ファンタジー、恋愛小説。5つのジャンルのストーリィをひとつの連作ものに仕上げた、という、趣向の面白さで読者を惹きつける作品。

難しいことを考える必要はなく、一つ一つの小説(章)が、どれもそれぞれに楽しめるものばかり。
ふと気づくと、既に読んだ小説の登場人物が、こっちの小説にも登場しています。そうしたことで、各ストーリィが同じ切縞という町、同じ時間帯で展開していると判ります。
しかし、各登場人物にそんな小説構造が判ろうはずはなく、そうと知るとは作者と読者のみ、という趣向。

そこにどういう意味があるか?というと、この世界にはどんなことがあっても不思議はない、ということでしょうか。
全く別の世界の出来事のようなことが、知らぬ間に、ひとつ世界で同時に起きることだってあり得るのだ、ということを本作は示しているのかもしれません。

5つの小説では、漫才M−1グランプリを目指す男女高校生の青春小説である
「イチウケ!」、未来人がその<技術>を使って激闘を繰り広げるSF小説である「FUTURE BASS」が、とくに面白かったです。
また、生まれつき厄介な病気を抱えている女性の真摯な恋愛模様を描いた
「恋と病」も私は好きです。

エピローグでは、ちょっとした種明かしが最後に行われます。
どうぞお楽しみに。


1.推理小説「探偵青影の現金出納帳」
2.青春小説「イチウケ!」
3.科学小説「FUTURE BASS」
4.幻想小説「ラクア=ブレズノと死者の記憶」
5.恋愛小説「恋と病」
エピローグ

           

2.

「探偵小石は恋しない ★☆   


探偵小石は恋しない

2025年09月
小学館

(1700円+税)



2026/02/11



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本屋大賞候補作になっていると知り、読んでみました。

主役となるのは、探偵事務所代表兼調査員の
小石と、相談員兼調査員である蓮杖の二人。
小石、本格的推理力を発揮したいのですが、依頼はいつも不倫調査ばかり。しかし、不倫調査は超得意。何故なら、小石にはある特殊な能力があるから。

ストーリーは5章構成。第1章から第3章までは小石探偵事務所に依頼があった3つの事件。
しかし、その最後に、サイコキラーのような一幕が加えられています。本作全体を貫く、本筋の事件でしょうか。
第4章は、今から10年前、高校において起きたある事件の顛末が語られます。
そして第5章は、それまでの4章をひっくり返すようなどんでん返し。

第1章から第3章までの顛末、それなりに面白かったですし、小石と蓮杖のコンビ、そのやりとりも楽しめます。
しかし、どんでん返しの内容、その前提として無理筋の設定が幾層にも重ねられていて、率直に言って私には頷けず。
ただこれは、読み手の好み次第だろうと思います。このどんでん返し、読む人によっては抜群の面白さ、と感じられるのかもしれません。
でも、本屋大賞という程ではないのではないか、と思う処です。


プロローグ/第一章〜第五章/エピローグ

           


  

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