宮田珠己
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1964年兵庫県生、大阪大学工学部土木工学科卒。(株)リクルートに就職、不動産関係部門、次いで編集部門に配属。95年新風舎より処女作「旅の理不尽」を自費出版しデビュー。以降、紀行エッセイを中心に、日常エッセイ、書評、小説等を執筆。2007年「東南アジア四次元日記」にて第3回酒飲み書店員大賞、23年「ニッポン47都道府県正直観光案内」にて第14回エキナカ書店大賞を受賞。2021年小説「アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険」を刊行。

  


       

「そして少女は加速する ★★☆   


そして少女は加速する

2025年09月
幻冬舎

(1800円+税)



2025/10/01



amazon.co.jp

高幡高校陸上部、女子ショートスプリンターたちの奮闘を描いた青春スポーツ小説。

主要登場人物は、二年生の
水無瀬咲横澤イブリン、一年生の春谷風香、樺山百々羽、手平あかねという5人。

「第一部」では、有力選手である三年生の上村柚月をリーダーとする女子4継(100m×4人リレー)チームでインターハイ出場を目指すものの、バトンミスでインターハイ出場を逃す。
次年はそのリベンジをと誓うものの、イブリンが前回のミスを引きずって絶不調。女子部長を引き継いだ咲は何とか建て直しと思うものの、前途多難。大丈夫なのか?

個人競技、リレーとも勝つためには、各自の走力を伸ばす必要があるのは当然ですが、リレーとなるとそれ以外にチームとしての結束力が求められるらしい。
しかし、各自の個性や考え方もいろいろ。4人それぞれが抱える悩みもあり、各自の葛藤と奮闘が描かれて行きます。

5人それぞれ、個性も抱える事情も様々で、各人のドラマは読み応えあって面白い。頁を繰る手が止まりません。
そしてさらに、5人がどうやってまとまっていくのか。
「第二部」は、彼女たちが三年、二年生となって、いよいよ勝負の大会を迎えます。

スポーツ小説、それも団体ものとなれば面白いのはお約束ごとのようなものですが、陸上の短距離リレーともなると、その面白さが際立つように感じられます。
そして、インターハイ出場を賭けた、勝負のレース場面、もうこれは飛び切りの面白さです。読んでいるだけでも、つい力が入ってしまうぐらい。

青春スポーツ小説の快作、お薦めです。

※なお、高校陸上部、男子4継を描いた傑作が、
佐藤多佳子「一瞬の風になれ。未読でしたらこちらも是非お薦めです。

プロローグ/
第一部 (登場人物一覧)/
 1.春/2.夏/3.秋/4.冬
第二部 (登場人物一覧)/
 5.春/6.春の終わり/7.前夜/8.夏へ/
新たなプロローグ 夏

           


  

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