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11.夏雲あがれ 12.ふたり道三 13.風魔 14.おねだり女房 15.海王 16.天空の陣風 17.みならい忍法帖−入門篇 18.みならい忍法帖−応用篇 19.家康、死す 20.陣星、翔ける ※ 秋篠新次郎(藤水名子監修「ふりむけば闇」収録) |
【作家歴】、剣豪将軍義輝、こんぴら樽、夕立太平記、尼首二十万石、青嵐の馬、北斗の銃弾、影十手活殺帖、藩校青春賦、将軍の星、陣借り平助 |
風魔外伝、武者始め 、天離り果つる国、松籟邸の隣人1、松籟邸の隣人2 |
●「夏雲あがれ」● ★★ |
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2005年08月 2002/09/25 |
主人公達の若々しさが清々しい、青春版時代小説第2弾! 「藩校青春賦」の続編となる作品です。 前作から2〜3年が経ち、主人公の筧新吾は相変わらず部屋住みの身の上ながら、親友である曽根仙之助は2年前から出仕、さらに今回花山太郎左衛門が幕府主催の武術大会へ代表者として推挙された、というところから始まります。 |
●「ふたり道三」● ★★ |
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2003年01月 2005年10月 2010年12-02月 2019年10月
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美濃を奪取した“斎藤道三”は、父子ふたりを後世まとめて呼んだものだという設定の元に、道三が乱世の梟雄として名乗り上げるまでをスケール豊かに描く、大型歴史小説・全4巻。
「美濃の蝮」と呼ばれた斎藤道三を描いた作品というと、司馬遼太郎「国盗り物語−斎藤道三編−」を忘れることはできません。本書を読みながらも、自然と司馬作品と比べてしまうのは仕方ないことでしょう。 主人公は、伝説の刀鍛冶の末裔・おどろ丸=後の長井新左衛門尉(父)と、出生に秘密を持つ峰丸=後の長井新九郎(子)。 本作品の面白さ・魅力は、登場人物の多彩さ、多様なストーリィ軸にあります。 |
●「風 魔」● ★★ |
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2009年08月
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北条家滅亡の後歴史上から姿を消した忍び集団、風魔。その頭領であった小太郎を主人公とした歴史長篇。 これまで読んだ歴史小説の中で風魔がかなり重きを持って登場した作品というのは、隆慶一郎「影武者徳川家康」くらい。その興味と「影武者」に匹敵する長篇であることからかなり期待したのですが、意外と小粒に終わってしまったという印象。 忍びは所詮裏舞台での活躍に留まるもの。また、北条・豊臣・徳川という歴史の枠に留まってのストーリィですから、それは必然的にやむを得なかったのかもしれません。隆慶一郎作品のようなスケールの大きい伝奇小説はもう望むべくもないのでしょうか。
風魔小太郎、即ち風間小太郎。世に伝えられる如く巨躯をもった超人的な若者として本書には描かれます。 舞台背景は「影武者」とかなり共通します。 |
●「おねだり女房−影十手活殺帖−」● ★ |
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2010年03月
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鎌倉・東慶寺の御用宿を勤める餅菓子屋の“餅平”の倅・和三郎と“焼芋”と仇名される人の善い寺役人・野村市助が活躍する「影十手活殺帖」シリーズ、第2弾。
駆込寺を舞台にしたストーリィですから、そこは不幸な目に遭った女の話が中心となります。そして和三郎が活躍するからには、その裏には事件、悪計が潜むということになるのですが、今回は東慶寺や野村市助を騙して利用しようという連中が多く登場します。 その紀乃がちょっと顔を覗かせるのは、「助六小僧」「おねだり女房」の3篇。また、紀乃が思いがけない窮地に陥るのが「雨の離れ山」。 助六小僧/おねだり女房/長命水と桜餅/雨の離れ山 |
●「海 王(かいおう)」● ★★☆ |
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2011年12月
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出世作となった「剣豪将軍義輝」の続編、義輝と真羽の遺児であるハイワン(海王丸)を主人公とする、大型歴史時代長篇。
義輝の死から12年後、ハイワンはメイファ(梅花)を母とし、フーチアン(浮橋)らと共に明人の貿易商として成長してきた。 文句なく面白いです。最初から最期まで、一時たりとも飽きるということがありません。 また、こうした歴史小説には主人公たちを狙う強敵の存在が欠かせませんが、本書においてはその点が真に多層に渡り、切迫感、緊張感が高められています。 間違いなく本書は、これまで読んだ宮本昌孝作品中一番の傑作。 |
●「天空の陣風(はやて)」● ★☆ |
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2013年09月
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“陣借り平助”の異名をとる魔羅賀平助と愛馬・丹楓を主人公とする戦国もの連作短編集「陣借り平助」の第2弾。
巨躯の上に豪快な剣技をもち、愛馬も巨大な牝馬。そのうえ太刀は将軍義輝から贈られた志津三郎。 それを補うかのように、前作同様、戦国史における著名な人物が幾人も登場し、著名な歴史的事実に平助が直面するというのが、各篇でのストーリィ展開。 「城を喰う紙魚」で平助が出会うのは、竹中半兵衛。 城を喰う紙魚(しみ)/咲くや、甲越の花/鶺鴒(せきれい)の尾/五月雨の時鳥(ほととぎす)/月下氷人剣 |
●「みならい忍法帖−入門篇−」● ★☆ |
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2010年06月
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時代小説作家の宮本さん、ついに軽い現代ものも執筆したのかと思ったら、順序は逆。20年も前に刊行し、事情あって絶版化していた作品の、集英社文庫での復活版だそうです。 明経高校2年の風早隼(しゅん)、幼馴染の小野寺美樹と安易に本州半周自転車旅行の賭けをしてしまい、後悔しながらも何とか伊賀上野までたどり着く。 お気楽・お調子者の主人公=風早隼、サヤカをはじめ美人揃いの“くノ一”集団、幼馴染のGF=美樹の他、頭脳明晰な弟=燕昭(てるあき)、両親、同級生、藤林家のライバルである服部家第二十世の半蔵クン等々、登場するキャラクターが皆楽しい。 酷暑の夏、休日に気楽に読むのには格好の、青春スラップスティック小説です。 かくれみの(マスカレード)/双忍(ダブル・ステルス)/如幻忍(リリュージョン) |
●「みならい忍法帖−応用篇−」● ★ |
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2010年07月
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現代忍者もの、青春スラップスティック小説、第2弾。 今回、風見隼と小野寺美樹、同級生の神保雅士らは、RPG(ロールプレイング・ゲーム)に巻き込まれ、大活躍。 20年も前の時代、優等生の美樹でさえパソコン通信なるものを知らず、知ってるのは神保のみ。懐かしくなるぐらいです。 |
●「家康、死す」● ★★ |
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2014年01月
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本作品の刊行を知った時、まず最初に感じたことは、ついにここに来たか、ということ。 亡き隆慶一郎、宮本さんはその後継者たるべき一人と目されていた訳ですが、その隆氏の代表作のひとつが「影武者徳川家康」。 本作品も冒頭、思わぬところで家康が狙撃され死す、というところから始まります。
隆作品では文字通り影武者が家康を演じることになってから後のストーリィですが、本作品は影武者といっても元々家康の異母弟である、というところが違います。 ストーリィとしては、とにかく面白いです。 |
●「陣星、翔ける(いくさぼしかける)」● ★☆ |
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2015年04月
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“陣借り平助”の異名をとる魔羅賀平助と愛馬・丹楓を主人公に描く戦国もの連作短編集、「陣借り平助」「天空の陣風」に続く第3弾。 実は本シリーズ、そう惹かれている訳ではないのですが、そこは宮本昌孝作品であること、読み続けてきたシリーズものであることから、読んだ次第。 巨躯の上に豪快な剣技をもち、愛馬も巨大な牝馬。そのうえ太刀は将軍義輝から贈られた志津三郎、というスケールの大きな豪傑、というのが平助像。 異名の「陣借り」とは傭兵のことですが、陣借りでの平助の活躍ぶりが図抜いていることから、戦国乱世の時代とあってそれだけ平助が高く評価されているという次第。 陣借り者故に諸国を放浪する、その中で戦国時代の名のある人物たちと平助が邂逅し、そこにちょっとした戦国ドラマが繰り広げられる、というのが本シリーズのミソです。 「鵺と麝香と鬼丸と」:平助を兄と仇と狙う狗神党の娘=鵺が登場。細川藤孝の妻=麝香と息子=熊千代(後の忠興)の危機を助けたことを経て、名刀国綱を将軍家に返却、明智光秀とも再会。 「死者への陣借り」:武田勝頼に嫁ぐ途中の信長養女=徳姫の危難を平助が助け、勝頼とも出会う。 「女弁慶と女大名」:女弁慶と異名を取る飯尾幸との出会い、また女大名と異名をとった故今川義元の生母=寿桂尼との因縁。 「勝鬨姫始末」:里見の女忍=紅火の復讐劇に平助が利用され、かつて勝鬨姫と異名をとった遮那姫と平助が再会。平助は遮那姫の娘であり人質となった太衣良姫を救うために必死の活躍。 「木阿弥の夢」:盲人の木阿弥を助けた縁で若き日の筒井順慶に陣借り。その際、若き日の島左近とも出会う。 本書では1冊目「勝鬨姫の槍」の続編というべき「勝鬨姫始末」が、平助にとって重要な事実も語っていて見逃せません。 鵺と麝香と鬼丸と/死者への陣借り/女弁慶と女大名/勝鬨姫始末/木阿弥の夢 |
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