三浦しをん作品のページ
No.3



21.ゆびさきに魔法  

【作家歴】、格闘する者に○、まほろ駅前多田便利軒、風が強く吹いている、きみはポラリス、あやつられ文楽鑑賞、仏果を得ず、光、神去なあなあ日常、星間商事株式会社社史編纂室、天国旅行

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シティ・マラソンズ、木暮荘物語、ふむふむ、舟を編む、神去なあなあ夜話、政と源、あの家に暮す四人の女、愛なき世界、エレジーは流れない、墨のゆらめき

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21.
「ゆびさきに魔法 ★★


ゆびさきに魔法

2024年11月
文藝春秋

(1800円+税)



2024/12/20



amazon.co.jp

ネイリストを描いた“お仕事小説”。

月島美佐は、私鉄沿線駅近くにある商店街の一角でネイルサロン<月と星>を営んでいるネイリスト、30代、独身。
その仕事ぶりを読んでいると、真摯かつ丁寧に施術に取り込んでいる生真面目なキャラクターであることが感じられます。

ある日、若い女性と隣の居酒屋<あと一杯>の店主=
松永が巻き爪について言い争っているところに口を挟んだことがきっかけとなり、その女性、若いネイリストである大沢星絵が募集に応募してきたところから、美佐の世界が広がっていく。
すなわち、 いろいろなアイデアを発案、そのことで客や商店街の人たちとの繋がりが広がっていく、ところが楽しい。

美佐曰く「驚異的な距離短縮力」の持ち主という、大沢星絵のキャラクターが抜群に面白い。基礎技術に少々難がありますが、その欠点を補うための練習台に思わぬ人たちを取り込んでいくところは傑作的に笑えます。
美佐と星絵の、気の合った、相互補完し合っているような師弟コンビといった関係が実に気持ち良く、ストーリー自体の楽しさを膨らませています。

ネイルについて、私自身はしたことはありませんし、興味をもったこともないのでピンと来ない部分もありますが、したことのある人にとっては施術の詳細が分かってさぞ面白いのではないかと思います。
爪の手入れという点では良いと思いますが、定期的に施術を受けるとなると、結構かかるようですね。だからといって無駄、不要なものとは思いませんが。

いずれにせよ、美佐と星絵が真摯にネイリストという仕事に取り組んでいる様子を描いた本作、ページを繰るのが楽しく、たっぷり堪能しました。 お薦め。

          

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