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「かぶきもん」 ★★ |
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四代目鶴屋南北が書き、三代目尾上菊五郎、七代目市川團十郎ほか、五代目松本幸四郎等々が顔を揃えて演じた江戸歌舞伎の黄金時代を舞台に、<江戸芝居>の魅力を描いた佳作。 これはもう、愉快にして痛快! そして江戸芝居の面白さを満喫できる逸品です。 なにしろ登場人物一人一人が生き生きとし、演じられている舞台の興奮がリアルに伝わってくるようで、楽しきこと極まりなし。 とくに南北、菊五郎は曲者ですねぇ〜。 前半は菊五郎と団十郎が競い合うかと思えば、後半では南北が金もうけしか頭にない座元と対立、まるで活劇のようです。 その面白さの集大成と言って良いのが、最後の「耶蘇噂菊猫」。 章が進むごとにますます面白くなっていくのですから、堪えられません。面白きことのお好きな方には、是非お薦め。 ・「牡丹菊喧嘩助六」:玉川座の団十郎がお家芸「助六」を演じるとなるや、それに張り合って菊五郎も中村座で「助六」? ・「ためつすがめつ」:団十郎、「菅原」を失敗。自らも菊五郎の如く工夫しようとすると、蝦十郎が反対。さて・・・。 ・「伊達競坊主鞘當」:何と団十郎と菊五郎が舞台の上で、真剣で斬り合い・・・何故こんなことに? ・「連理松四谷怪談」:夏だというのに忠臣蔵? いや菊五郎がお岩? 折衷案を考えようと南北が大奮闘・・・。 ・「盟信が大切」:南北、狂言作者としてだけでなく、芝居小屋の危機にどう立ち向かうのか? ・「耶蘇噂菊猫」:南北の新作舞台、切支丹の妖術使用との噂。そのため町奉行までが目を光らすことに・・・。 牡丹菊喧嘩助六(はなとはなきそうすけろく)/ためつすがめつ/伊達競坊主鞘當(だてくらべぼうずのさやあて)/連理松四谷怪談(れんりのまつ)/盟信が大切(かみかけてしん)/耶蘇噂菊猫(やそのうわさおとわやのねこ) |