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11.やめるときも、すこやかなるときも 12.じっと手を見る 13.トリニティ 14.いるいないみらい 15.たおやかに輪をえがいて 16.私は女になりたい 17.ははのれんあい 18.朔が満ちる 19.朱より赤く 20.夜に星を放つ |
【作家歴】、ふがいない僕は空を見た、晴天の迷いクジラ、クラウドクラスターを愛する方法、アニバーサリー、雨のなまえ、よるのふくらみ、水やりはいつも深夜だけど、さよならニルヴァーナ、アカガミ、すみなれたからだで |
夏日狂想、タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース、夜空に浮かぶ欠けた月たち、ルミネッセンス、ぼくは青くて透明で |
「やめるときも、すこやかなるときも」 ★★ |
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2019年11月
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窪美澄作品というと、ちょっとショッキングだったりする作品が多いという印象なのですが、本ストーリィは冒頭こそ驚かされるものの、それ以降はむしろ地味と言っていいくらいの、30代男女2人のゆっくりとした恋愛もの。 須藤壱晴は大学の建築学科を卒業したものの、家具作家に弟子入りして今はその工房を引き継いで家具職人。毎年12月になると数日間声が出なくなるという症状(記念日反応)を繰り返しているのだが、原因は過去のトラウマにあるらしい。また、そのトラウマの所為で女癖が悪いという行動にも繋がっているらしい。 もう一人の主人公は、壱晴がパンフ作りを依頼した制作会社の営業担当社員である本橋桜子。これまで一度も恋愛が実ったことがなく、男性から見た女性として欠けている処があるのではないかという自虐意識に囚われている。 この2人における恋愛の運びは、最近の恋愛小説の流れと対極にあると言って良いのではないかと思います。 桜子にとっては恋愛=結婚ですし、始まりの段階ではっきり気持ちを決めてしまっています。それなのに恋を急ごうとせず、むしろゆっくり進めていきたいと願う。 32歳という落ち着いて良い年齢である筈なのに、冒頭の行動には驚かされますし、早く何とかしたいという気持ちをいつも抱いているにもかかわらずゆっくり進めていきたいという。 一途で矛盾だらけの行動がこの桜子の魅力であり、可愛らしさであり、愛しさであると思います。 恋に積極的である桜子に対して、壱晴の方は守勢の側にあると言って良いでしょう。 世知辛い現代の風潮の中に会って、2人の何ともゆっくりした、じれったいくらいの歩みがむしろ好ましく愛おしい。 ホッとし、ジンワリさせられる恋愛ストーリィ、私好みです。 |
「じっと手を見る」 ★★ | |
2020年04月
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富士山を臨む田舎町、そこで介護士として働く日奈と海斗が、本連作ストーリィの主要な登場人物。 介護士の専門学校で同級生、そこからなるべくしてなったような恋人関係。でも、日奈から申し出て別れたが、今も海斗は日奈にあれこれお節介を働いてくる。 そして、日奈が卒業した専門学校の入学案内作りに東京からやってきた編集プロダクションの宮澤と、日奈は関係を持つようになり・・・。 一方、海斗もまた、後輩で年上のバツイチ女性=畑中と関係を持つようになる・・・。 3〜4年という年月の中で、日奈、海斗、畑中、日奈、宮澤、海斗、日奈と、各章で主人公を変えていく連作ストーリィ。 彼らの関係は、愛情や人生観等で結びつくのではなく、皆セックスでの結びつきに他なりません。 何故そうなのかというと、狭い社会、仕事も限定されてしまう環境の中で、閉じ込められているという思いが強いからなのでしょうか。 宮澤という年上の男と知り合ったことで日奈は外の世界を知り、また海斗も畑中という女性との出会いによってこの町に留まらない道を知ることになります。 そうした経験を経て、日奈と海斗が再会した時、2人の間にはどんな関係が生まれるのでしょうか。 出版社のサイトを見ると「恋愛小説」と紹介されていますが、一般的な恋愛小説と同列に見ることはできないと思います。 縛り付けられるような恋愛関係の是非、不本意な恋愛関係を経て辿り着いた場所。本当の恋愛関係に進めるかどうか、2人はようやくそのスタートラインに着いた、ということだとおもいます。 窪美澄さんらしい、性的に、そしてかなり捻った観のある恋愛小説です。 そのなかにある、みずうみ/森のゼラチン/水曜の夜のサバラン/暗れ惑う虹彩/柘榴のメルクマール/じっと手を見る/よるべのみず |
「トリニティ Trinity」 ★★☆ | |
2021年09月
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このところ女性の生涯を語る作品を多く読んでいるような気がして、迷ったものの本作は見送ろうと一旦思ったのですが、評判が高そうなので思い直して読んだ次第です。 1960年代、当時人気を博していた男性雑誌「潮汐ライズ」の編集部で3人の女性が出会います。 といっても3人の境遇、状況は対照的。 一人目の藤田妙子は、恵まれない境遇に育ったものの、潮汐ライズ編集長の立見に見いだされ、イラストレーター=早川朔として彗星のようにデビューして一世を風靡する。 二人目の佐竹登紀子は祖母・母と三代に亘り物書き。ライターとして潮汐ライズを中心に活躍し、後にはエッセイストとしても人気を博します。 そして三人目の宮野鈴子は潮汐出版の正社員で、潮汐ライズ編集部の事務員。要はお茶くみ等の雑用要員。見合いで結婚を決め、退職した以降は専業主婦。 早川朔と佐竹登紀子はあの時代に先駆者と言える立場であったのに対し、宮野鈴子は保守的な生き方を選んだと、それぞれ時代を象徴する女性像と言えます。 保守的な生き方は社会に容認される一方、先駆者は常に社会の逆風を受けるもの。 ストーリィは鈴子が早川朔死去の連絡を受け、孫娘の奈帆を連れて赴いた葬祭場で、登紀子と再会したところから始まります。 結婚し、息子を持ちながら寂しく死んだ妙子、今は零落した登紀子。その登紀子から奈帆が3人の物語を聞き取るという形でストーリィは進みます。 今、満たされた生活を送っていると言えるのは鈴子一人。 でも、結末がそうだからといって、妙子と登紀子の人生は失敗、不運な人生だったとは言えない筈です。 自分らしく、精一杯、全力であの時代を駆け抜けた、生き抜いたと言えるのでしょうから。 不運だったとすれば、時代の先駆けであったからこそ、男性中心の時代に男性と伍して活躍をするために、大きな犠牲を払うことを強いられた、ということでしょう。 あの時代の妙子と登紀子、そして今を生きる鈴子と奈帆というそれぞれの姿が圧巻。力作と言って良い長編です。お薦め。 |
「いるいないみらい」 ★★ | |
2022年04月
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題名の「いるいない」とは誰のことを言っているのか、というと・・・それは我が子のこと。 夫婦となれば、夫婦となってそれなりの時間が経過すれば、当然にして浮上してくるのは、子どもの問題。 夫婦といっても子どもの問題となると、必ずしも想う処は同じとは限りませんし、現実問題としてただ願えばそれで済む問題ではありません。 5組の男女がその問題に直面した時、そこにさざ波も立つ、そういうストーリィ5篇。 ・「1DKとメロンパン」:知佳は35歳。夫の智宏との生活に十分幸せだと感じていたのですが、智宏が知佳の子どもが欲しいと言い出し・・・。 ・「無花果のレジデンス」:睦生は34歳。妻の波恵が子供を欲しいと言い出し、検査を受けるのですが、その結果にショック。 ・「私は子どもが大嫌い」:茂千子は36歳、未婚。子どもが嫌いな自分が母親になれるとは思っていませんが・・・。 ・「ほおずきを鳴らす」:勝俣博嗣は54歳、会社員。生まれて3ヶ月で娘を喪った後、妻とも離婚し、ずっと単身のまま。 ・「金木犀のベランダ」:繭子は43歳。夫の栄太郎と一緒に35歳の時にパン屋を開業し、ようやく軌道に乗って来たところ。そこで栄太郎が子どもを欲しいと言い出し・・・。 子どもの問題を考え出すと、いつのまにかそれが一番重要な問題かのように思えてきてしまうのかもしれませんが、夫婦はそのことだけのためにあるものなのか。 各篇の夫婦たち、何が大事なのかを見失わないところに好感を抱きます。 1DKとメロンパン/無花果のレジデンス/私は子どもが大嫌い/ほおずきを鳴らす/金木犀のベランダ |
「たおやかに輪をえがいて」 ★★ | |
2022年12月
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主人公である絵里子は52歳、ごく平均的な家庭の主婦であり、ホームセンターでパート勤めも。 夫の俊太郎はサラリーマン、一人娘の萌は20歳の大学2年生。 このまま穏やかに人生は過ぎていくのだろうと思っていたところで、絵里子は突然にしてショッキングな事実に向かい合わされることになります。 夫がまさか風俗通いをしていたとは! また、萌は中年男と付き合っているのか? ずっと夫や娘のために尽くしてきただけの自分の人生は何だったのか・・・呆然と立ちすくむような虚無感。 そんな絵里子の目を目覚めさせたのは、美容整形で若く生き生きとした姿を見せる高校時代からの親友=詩織、乳がんを発症しながら前向きな年上女性、夢を実現する資金を貯めるため風俗嬢として稼ぐ楓、そして絵里子に遠慮ない言葉をぶつけるみなも、等々の女性たち。 詩織が経営する女性下着店を手伝う内、次第に絵里子の気持ちに変化が生まれていきます。 前半は、子育ても終わった主婦の鬱積した感情を描き出すストーリィといった感じ。そうした気持ちが理解できるという一方で、辟易する思いもあります。 女性作家による、中年女性を主人公にした、主婦の立場を踏まえたストーリィですから、まさに女性のための作品という印象でしたが、ふと考えてみると決して女性だけの問題ではないことに気づきます。 ずっと働き続けてきて、ふと気づくともう定年間近、この先にはもう何の展望もないと感じるという点では、男性にも共通する問題だろうと思います。 まぁ、外の世界に身を置く男性より、家庭内に入ってしまった女性の方が切実という面はあるのでしょうけれど。 家族のために尽くすことも大切なことですが、だからといって自分自身を捨ててしまう、顧みない、ということに至ってしまっては如何なものか。 子育てもほぼ終わり、夫婦の営みも遠くなって初めてそのことを突き付けられる。そうなった時にどう進むのか、というのが本作の投げかけた問題だろうと思います。 自分の人生はやはり自分自身で大切にしていくしかないんだな、と思わされます。 新たな道を歩み始めた絵里子に、エールを贈ります。 |
「私は女になりたい」 ★☆ | |
2023年04月
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主人公の赤澤奈美は47歳、美容皮膚科クリニックの雇われ院長。 カメラマンだった夫とは6年前に別れ、息子の玲は大学入学と同時に巣立ち、今は一人暮らし。 子供の頃に両親が離婚しずっと縁が切れていた母親は老いて今は施設に入所中。奈美がその面倒を見ている。 仕事は順調でそれなりに落ち着いた日々でしたが、元患者で14歳も年下の業平公平と行きつけの居酒屋で偶然に出くわしたところから、奈美の日常に大きな変動が生まれます。 公平との恋、もうこれが最後の恋かもしれないという思いが奈美をかき立てたのか、奈美は公平との恋愛に身を委ねますが、それは大きな波乱を招き・・・・。 題名から読むのを躊躇するところがあったのですが、ずっと窪美澄作品を読んできたこともあり読書。しかし、読み始めて早々、これは私向きではないなぁと感じた次第。 要は、女性の生々しさが全面に押し出されてくる内容のため、(女性読者ならいざ知らず)共感することもできず、放り出して逃げ出したいという気持ちを禁じ得ず。 しかし、結末は爽快でした。 考えてみると、主人公自身が“女性”であることに捉われ過ぎていたのと同時に、後ろめたさを拭いきれなかったのではないか。 女性というより、人間としてどう生きるか、行動するか。そこに至るまでの恋愛ストーリィ、と感じるところです。 ※それにしても「業平」という名前は意味深ですね〜。 序章.バイカウツギ/1.アスチルベ/2.アザレア/3.オシロイバナ/4.アネモネ/5.ユーカリ |
「ははのれんあい」 ★★ | |
2024年01月
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題名からそれが本作の主ストーリィかと思うと、それは誤り。 実際は、そこに至るまでのストーリィです。 ひとつ家族ではあっても、時が過ぎれば、また周辺状況に変化が生じればそれに連れて変わっていく、と語るストーリィ。 第一部の主人公は、由紀子。 両親と縫製工場を営む智久と結婚、それなりに幸せな生活を手に入れたと思ったものの、受注仕事の減少から家族の状況は変わっていく。 長男の智晴(ちはる)を出産後、この子の将来のためにと由紀子は働きに出ますが、それが智久の自尊心を傷つけます。そして、双子の次男・三男が生まれた頃から、夫婦間の亀裂は大きくなっていく・・・。 第二部の主人公は、智晴。 忙しく働く母親に代わり、2歳下の弟たちの面倒を見、家事も担います。しかし、思うに任せないことばかり。 父親を慕う弟たちのように振る舞うことはできないし、懸命に働く母親を気遣う気持ちは捨てられない。 また、学校で同級生となったタイ人の少女シリラットへの複雑な思いを持て余している。 家族の姿は、夫婦だけだった時から、子どもが生まれれば変わり、またその子が巣立っていけばまた変わる。そんな当たり前のことを、改めて考えさせられた思いがします。 しかし、別れたからといって相手を憎むことなく、尊重し合う、それが出来たら家族にとってどれ程望ましいことか。 家族は変わっていく、でもそれが家族の広がっていく変化であったとすれば、素晴らしいことと思います。 第一部:1.かぞくのはじまり/2.せかいのひろがり/3.ちはる、あにになる/4.かわっていくかぞく/ 第二部:1.ちはる、ははになる/2.ちはる、こいをしる/3.あたらしいかぞくのかたち |
「朔が満ちる The Moon Waxes From New To Full」 ★★☆ | |
2024年07月
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子供の頃から酒を飲んでは荒れる父親の暴力に晒され、しかも母親に守ってもらえないまま育った横沢史也は、13歳の時に起こした事件を機に伯母の元に引き取られ、以後実家に戻ることも両親と会うことも無く過ごしてきた。 今は東京でカメラマンのアシスタントとして働く史也の、過去との決別と再生の物語。 今や家庭内暴力は、珍しいとはいえない現実の事件、そして小説題材になっています。 しかし、暴力から遠ざかることができたら幸せになれるのか、というとそんな簡単なものではない、自分の所為ではないことにずっと苦しめ続けられる子供もいるのだ、ということをいみじくも訴えるストーリィに本作はなっています。 親との関係に問題を抱えているのは史也だけではない。史也が常連客となったキャバ嬢の水希、治療で訪れた整形外科医院の看護師である中原梓も、同じ苦しみを抱く仲間と言えるのでしょう。 史也にとって幸いだったのは、梓と出会ったこと。 史也と梓が出会ってからのストーリィ展開は、目が離せないほど読み応えがあります。 お互いがいたからこそ、目を背け続けてきた事実に向かい合う勇気を持ち、前へと進むことができたのですから。 2人の抱える心の闇、慟哭、そして前進。2人の心の中に恐れがあるからこそ展開はスリリングですし、2人の苦しむ姿に胸が苦しくなります。 最後、2人の今後を祈りたい気持ちで胸がいっぱいです。 お薦め! 1.三日月−幾度となくくり返される悪夢/2.上弦の月−真夜中のサバイバーたち/3.十五夜の月−道行二人、北へ/4.下弦の月−闇夜の告白/5.新月−見出すもの、見出されるもの |
「朱(あか)より赤く−高岡智照尼の生涯−」 ★☆ | |
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実在の女性、高岡たつ子 → 高岡智照尼(1896〜1994)にまつわる史実を基にしたフィクションとのこと。 また、私は未読ですが、瀬戸内寂聴「女徳」のモデルとなった女性だそうです。 未婚のまま主人公を産んだ実母は産後まもなく死去し、父親は彼女を祖父母・姉の元に預けただけ。 祖父母死去後、病んだ姉が不在の折、父親はまだ12歳の彼女を言葉巧みに連れ出し、芸妓として売り払ってしまう。 その後は、主人公の意志や気持ちなど何ら考慮されず、先輩芸妓の憎しみを買って無体に扱われ、男たちは性的玩具として弄ぶ。 何故なら、心は主人公のものであっても、身体は金で売られ、買われる品物に過ぎないから。 それから後は、まさに波乱万丈、まことに凄まじい。 幾人もの男とすったもんだを繰り返し、14歳にして旦那への腹いせに自らの小指を切り落とすという行動に出る。その結果、身を移した東京で人気者となるが幸せを得られることはなかった。 しかし、米国にも渡り、寄宿学校に入学して英語とダンスを学んだという事実には驚くばかりです。 結局、主人公の身が落ち着かなかったのは、芸妓という立場に抗い続けた所為ではないかと思います。 そして、38歳にして剃髪し出家、智照尼となります。そこに至るまでの半生を描いたフィクション。 父親に売られた時から、花柳界や客たちに翻弄され続けた半生、やっと自分の世界を手に入れるための方法は、出家しかなかったのかと感じます。 なお、ストーリィ展開にばかり目を奪われ、それ以上に感じるところが余りなかったのが残念。どちらかというと私が苦手とする内容のストーリィだった所為かもしれません。 1.Nine-fingered girl/2.プロマイドの少女/3.女と女/4.スクリーンの女/5.髪を断つ女 |
「夜に星を放つ」 ★★ 直木賞 | |
2025年02月
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掛け替えのない人を失った痛みを抱える主人公たちを描くストーリィ。 と言っても、悲痛なストーリィばかりではありません。 哀切感のあるものもあれば、ちょっとユーモラスなもの、前に向かって歩もうとする前向きな姿勢を感じるストーリィもありと、そこは色々。 共通して言えることは、各篇の主人公たちのいずれもが、人との繋がりを求めていること。 だからでしょうか、本作を読んでいると心が温まるようです。 また、星がモチーフとして使われていることも気持ち良い。 ・「真夜中のアボカド」:主人公は綾・32歳。2年前に双子の妹を失い、今もその痛みから脱し切れておらず・・・。 ・「銀紙色のアンタレス」:高校生の真、夏休みに海の近くにある祖母の家へ。そこで経験した想いは・・・。 ・「真珠色スピカ」:2ヶ月前に死去した母親が何と幽霊に。中学生の娘みちるは学校で執拗なイジメに遭っていて・・・。 ・「湿りの海」:一年前に離婚、前妻は1歳の娘を連れて浮気相手と米国アリゾナへ。そんな沢渡・37歳の隣室にシングルマザーの母娘が現れ・・・。 ・「星の随に」:両親が離婚、小4の想は父親の再婚相手と平穏に暮らしているし、生まれたばかりの弟は可愛いのですが、ある時から歯車が掛け合わなくなり・・・。 「真夜中のアボカド」は哀切感が愛おしく、「銀紙色のアンタレス」はコレット「青い麦」風のひと夏の思い出パターン。 「真珠色スピカ」はユーモラス、「星の随に」は主人公を励ましたくなるストーリィ。 読後感は快いものがありました。 真夜中のアボカド/銀紙色のアンタレス/真珠星スピカ/湿りの海/星の随(まにま)に |
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