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2.果断−隠蔽捜査2− 3.疑心−隠蔽捜査3− 4.同期−"同期"シリーズNo.1− 5.初陣−隠蔽捜査3.5− 6.転迷−隠蔽捜査4− 7.確証 8.欠落−"同期"シリーズNo.2− 9.宰領−隠蔽捜査5− 10.自覚−隠蔽捜査5.5− |
精鋭、プロフェッション、真贋、去就、継続捜査ゼミ、変幻、棲月、エムエス継続捜査ゼミ2、清明、宗棍 |
探花、審議官、署長シンドローム、一夜、署長サスピション |
●「隠蔽捜査」● ★★ 吉川英治文学新人賞 |
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2008年01月
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殺人事件、警察庁、警視庁とくれば、ハードボイルドサスペンスを予想するのが当然と思いますが、本ストーリィはそうしたサスペンス小説とはかなり違います。 本書の主人公は、警察庁長官官房総務課長の職にある竜崎伸也警視長。 でも、それは本来当然のこと。その当然のことをしない人間がいかに多いことか。それは高い地位にいる人間ほど、言えると思います。 |
●「果 断−隠蔽捜査2−」● ★★☆ 山本周五郎賞・日本推理作家協会賞 |
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2010年02月
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山本周五郎賞、日本推理作家協会賞ダブル受賞と聞いて、そんな作品なら読まなくちゃ損!と手に取った一冊。 主人公の竜崎伸也は警察庁長官官房の総務課長を務めるキャリア官僚でしたが、息子の不祥事から大森警察署の署長に左遷されたという人物。その竜崎が大森署へ新たに出勤するところから本ストーリィは始まります。 何といってもこの竜崎伸也警視長の人物像が秀逸。 なお、ストーリィとしても、強盗犯の人質立て籠もり事件、事件の指揮内容をめぐって監察の餌にされる、そのうえで最後の大逆転と、無駄のないスピーディな展開。 |
●「疑 心−隠蔽捜査3−」● ★☆ |
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2012年02月
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「隠蔽捜査」シリーズ、第3弾。 この辺り、徹底した合理主義者の竜崎であっても人間であることには変わりない、ということを描いた本巻のミソと言うべき部分なのですが、率直に言って、幾らなんでもそこまではありえねーだろー、と思う。 竜崎が恋にやつれる思いを味わうといった信じ難い展開がストーリィの中心に居座ってしまい、竜崎のキャラクターが際立つといった本来の面白さが後手に回ってしまった印象を受けます。 |
●「同 期」● ★★ |
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2011年07月 2012年07月
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暴力団事務所をガサ入れした際に危ういところを救ってくれたのは、同期の公安部刑事=蘇我。3日後、その蘇我が突然に懲戒免職となったうえ、行方知れず。 暴力団同士の抗争による殺人事件という捜査方針の下、組織対策本部四課主導で組織された特別捜査本部に加わって捜査に邁進する一方、宇田川は蘇我の謎を追い求める、というストーリィ。 当初、主人公像としては頼りなかった宇田川、ストーリィが進むにつれ次第に硬骨漢ぶりを発揮していくところが、味わいのひとつ。 |
●「初 陣−隠蔽捜査3.5−」● ★★ |
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2013年02月
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“隠蔽捜査”シリーズの第4弾。今回は初の連作短篇集。 前3作は長篇にしてスリリングな展開が魅力でしたが、今回は短篇集とあってむしろユーモラスな雰囲気をまとっており、それはそれですこぶる楽しい。 そうした展開の故、どんな問題についても竜崎の鋭い切れ味が改めて浮き彫りになるのですが、その引き立て役となっている伊丹のキャラクターの良さも見逃せません。 「指揮」:伊丹が警視庁刑事部長に栄転する前の、福島県警刑事部長時代の最後の事件。竜崎は警察庁長官官房総務課の広報室長で、伊丹と同時の辞令で総務課長への栄転が決まったところ。 指揮/初陣/休暇/懲戒/病欠/冤罪/試練/静観 |
●「転 迷−隠蔽捜査4−」● ★★ |
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2014年05月
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“隠蔽捜査”シリーズ、第5弾。 今回、様々な事件・トラブルが連鎖し、一気に竜崎に襲い寄せます。 さてその対処方法はというと、状況を整理し、基本ルール通りに、やるべきことをやっていくだけ、ということ。 ミステリ・サスペンスには余り興味がないという方にも、この“隠蔽捜査”シリーズは是非お薦め。 |
7. | |
「確 証 Confirmation」 ★★ |
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2015年06月
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偶々高橋克実&榮倉奈々主演によるTVドラマ「確証−警視庁捜査3課−」を観てしまい、面白く感じて原作も、と思ったのが本作品を読むに至ったきっかけ。 渋谷で強盗、そのすぐ近くで鮮やかな窃盗、そしてその後に赤坂で強盗殺人と、一課と三課の双方に関わるような事件が連続して発生します。 捜査一課が相手にする犯人はド素人、それと対照的に捜査三課が相手にする犯人はプロ、というのが萩尾の決め文句。 事件の謎、捜査の両面が楽しめる、目新しい趣向による警察ミステリ。お薦めです。 |
8. | |
「欠 落」 ★★ |
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2014年10月 2015年11月
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“同期”シリーズ、第2弾。 本書は、その宇田川と蘇我の初任科同期で3人仲が良かったという女性刑事=大石が所轄署から特殊犯捜査係に異動してきたところから始まります。すると早速に主婦を人質にとった立て籠もり事件が発生。特殊捜査班が出動し、大石が身代わり人質となりますが、その直後大石を連れたまま犯人に逃亡されてしまうという事態に。 警察小説でありながらサスペンスやミステリとはまた違った味わい。面白いかと問われれば、ちと微妙、と答えたくなります。 |
9. | |
「宰 領−隠蔽捜査5−」 ★★ |
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2016年03月
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“隠蔽捜査”シリーズ、第6弾。 今回の事件は衆議院議員の誘拐、そして運転手の殺人。 組織というのは組織であるが故に効力を発揮することもありますが、組織であるが故に逆に障害要因となることもある。 |
10. | |
「自 覚−隠蔽捜査5.5−」 ★★ |
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2017年05月
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“隠蔽捜査”シリーズ、第7弾にして、シリーズ2冊目となる短篇集。長編作品とは別の意味で面白くてたまらない巻になっています。 いや、正確に言うならば、竜崎署長は極め付けの合理的な人物という認識は必ずしも誤ってはいないのですが、その“合理的”という意味を正しく理解できていないでいる、ということ。 各章、それぞれちょっとした事件等々がベースにありますが、それを踏み台とした各人とのやりとり、会話が痛快に面白くて堪えられません。本シリーズのファンだけでなく、未読の方にも是非お薦め。 |
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